最強の幼馴染   作:なゆさん

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修行、そして入隊

 おじいさんから死神として認めて貰うために、死神としての修行が始まった。

 主に死神の基本技能である斬拳走鬼、魂葬の仕方、死神としての座学、そして斬魄刀の開放を学べるらしい。

斬術や座学、魂葬の仕方については元先生だというおじいさんから、瞬歩や徒手の戦闘についてはその分野において並ぶ者は居ないという四方院夜一という女性から、鬼道については卯ノ花から、そして斬魄刀の開放についてはまだ隊長では無いがかなり優秀だという浦原喜助という男から学ぶ事になった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 山本元柳斎重國は眼の前で木剣を構える女、中野ハクナの成長に戦慄していた。

 自らの提案によりハクナに死神として手ほどきをしてやる事になって5年が経ったが、魂葬の仕方はともかく、本来何年も掛けて学ぶ座学をたった8カ月でマスターし、斬術に関しては教える前からかなりの腕だったのにも関わらず、自分の教えを踏まえ、自分の剣と組み合わせ、最適化し、今や総隊長たる自分の剣と並ぶ程の腕前となっている。頭も良く剣もとてつもない才能を持ったハクナは、総隊長たる自分でも見たことがないほどに優秀だった。

 正直3年程前の時点で予定していた合格レベルに達していたのだが、一教えると十成長するハクナに教育者としての快感を覚え自分から一本を取ることを条件とした。

 そして今、自分の喉元に木剣を構えるハクナを見る。

己の全力を超えてきた、若い彼女を。不思議と、元柳斎の胸は敗北に対する悔しさではなく満足感と誇らしさで満たされた。この娘は、己を剣で超えたのだと。

 

「合格じゃ。儂から教える事は、もう何もない。」

 

優しい微笑みを浮かべ、元柳斎はハクナにそう告げる。

 

「……ありがとうございました。」

 

ハクナに頭を下げられて元柳斎は満足げに頷き、ハクナの頭を撫でた。素直な性格で自らの事をいつの間にかおじいさんと呼ぶハクナを元柳斎は内心孫のように思っているのだ。

 

「……やめて、おじいさん。」

 

不満げにハクナは元柳斎の手をどけるのだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「合格じゃ。」

 

四方院夜一は、眼の前で自らの奥義とも言うべき瞬閧(しゅんこう)を発動させ、己の手を掴んでいる中野ハクナに告げる。そして、ハクナとの日々を思い出す。

 総隊長の地獄の修行をたったの5年で終わらせた者。そしてあの恐ろしく巨大な霊圧の持ち主であり剣鬼と呼ばれるまだ若い女。夜一は最初、どんな者がやって来るか想像も出来なかった。

 だが実際見てみれば長い銀髪に少し垂れ気味の赤い目、整った顔立ち、男どもの劣情を煽りそうなスタイル。称号とは不釣り合いな美女だった。正直拍子抜けした。

 しかしその腕と成長速度に一切の偽りは無かった。まさか瞬神と呼ばれた自分がたったの3年で、しかも卯ノ花烈から鬼道を同時に習っているハクナに全力で逃げて追いつかれるとは。更にハクナは己の奥義たる瞬閧をこの期間に習得してみせた。もはや素手の戦闘での勝率は五分であり、今スピードで遅れをとった。まさしく鬼才。総隊長が気に入るのも頷ける。

 そして性格も好感が持てる。

頭が悪い訳では無いのに何処か抜けてたり、人の気持ちを察して空気を読む事が上手かったり、そのくせ異性からの好意に鈍かったり、無口で不器用だが優しく素直であったり。面倒見のいい夜一は、ハクナの事を砕蜂に次ぐ妹分として見ていた。

その二人が仲が良いのも、夜一がハクナを気に入った要因の一つである。

 

「もうワシがおぬしに教える事は無い。ハクナ、もうおぬしは一人前じゃ。」

 

「……今までありがと、夜一。」

 

「おう。」

 

礼を言うハクナに、夜一は笑顔で返したのだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「もう教える事はありません。ハクナさん、合格です。」

 

卯ノ花烈はハクナに告げる。

 同時に習いたいというハクナ本人の希望で、四方院夜一の修行と同時進行で行った鬼道の修行。この修行に、更木剣八の事を教えてくれて、己を励ましてくれたハクナへの恩を返すために自ら立候補した卯ノ花は、ハクナの凄まじい才能に驚愕していた。

 隊長を軽々超える霊圧を持ち、その霊圧を制御し、己よりも強かった少年相手に無敗を誇り、総隊長に斬術でお墨付きを貰ったハクナであるが、卯ノ花が教えるのは鬼道。席官レベルが関の山だと思っていた。

 だが蓋を開けてみれば、ハクナはこの3年で己とほぼ同レベルの回道、鬼道衆の上位層にも引けをとらない破道と縛道を身に着けた。もはやハクナが卍解を習得しその卍解が強力であれば、この護廷にハクナに勝てる存在は居なくなるだろう。

 

「……ありがとう、卯ノ花。また手合わせしようね。」

 

そう言って微笑むハクナに、卯ノ花は素直に、

 

「えぇ。次は負けませんよ。」

 

と返した。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「……出来た。」

 

そう呟く眼の前の女、中野ハクナに、浦原喜助は内心驚愕しながらも、

 

「おー、凄いデスね。こんな短期間に卍解まで到れるなんて。」

 

賞賛の言葉を送る。

隊長になった浦原は、始解と卍解を習得するためにやって来たハクナに対して自身が卍解まで至った経緯を説明し、とりあえずその方法を試してみるように言った。

 それが1週間前の出来事であった。ハクナは、たった一週間で、始解すら出来ない状態から卍解に至ったのだ。しかもそれはとんでもない能力だった。

 

「……ありがと、浦原。」

 

「いえいえ。こっちが困った事があったらハクナサンを頼りますから、その時はよろしくお願いします。」

 

「……任せて。」

 

浦原は胸に手をあて、少し自慢げな顔でそんなことを言うハクナを微笑ましいものを見るように眺めていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 8年間の修行が終わり、私は死神の基本的な技能を全て会得した。予想以上に大変だったが、沢山の人と仲良くなれたし、私自身も成長出来たから結果は良かったと言えるだろう。更に、私の霊圧が別次元に達したのか、霊圧を全開にすると、誰も私の霊圧を感じないようになった。コントロールが完全に出来ているから威圧のために他の人間が霊圧を感じ取れる最大の霊圧も把握した。

 この様に私は8年前とは、別格の強さを手に入れた。そしてこれより、隊長達が集うこの場で、私は死神に成る。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 ハクナの眼の前に山本元柳斎が立って、告げる。

 

「今この場で、剣鬼中野ハクナを護廷十三隊の新たな一員として認める。隊長達よ、異論はあるか?」

 

ほとんどの隊長は口を出さない。しかし、

 

「なんだ、剣鬼と聞いてどんなのが来るかと思ったらただの青臭い女じゃねえか。納得いかんなぁ。」

 

十一番隊隊長、鬼厳城剣八が水を差した。

十一番隊らしく、強さこそが全ての考え方である、ブタのようだと同じ隊長格に評されているこの男は、中野ハクナの実力を知らず、更に察することができるほど頭がいい訳でも無かった。

 

「……何で?」

 

中野ハクナは問い掛ける。鬼厳城剣八は口を開こうとして、動けなくなる。

 ハクナが鬼厳城剣八にのみ、感じられる最大限の霊圧を浴びせたのだ。鬼厳城剣八は余りに膨大な霊圧に何もできずに震えることしかできない。

 

「……何か文句ある?」

 

再びハクナが問いかける。

 

「な、無い! 悪かった! あんたが強いのは分かった!」

 

十一番隊隊長は真っ青な顔でそう返した。

場は再び静寂を取り戻す。

 

「――おっほん。では、中野ハクナの所属を決める。立候補する隊はあるか? 儂の1番隊は立候補させてもらう。」

 

元柳斎が告げる。

 

「では、ワシの2番隊も立候補するぞ。」

 

と、四方院夜一。

 

「是非私の4番隊に」

 

と、卯ノ花烈。

 

「彼女の知恵はきっと研究の役に立ちます。是非、アタシの隊に。」

 

と、浦原喜助。

 

「もうおらんな。では、ハクナよ。この四隊の中から自らの所属を選べ。」

 

ハクナは知る由もないがこの待遇は中々の異例だった。しかし、この後もっと異例な結果になる。

 

「……決めれない。掛け持ちはアリ?」

 

元柳斎に尋ねる。ルールに厳しい元柳斎である。通常ならば許さなかっただろう。しかし、

 

「……う、む。特例として認めよう。他の隊長よりも強く、多くの仕事をこなせるため、中野ハクナは特例で護廷十三隊一番隊兼二番隊兼四番隊兼十二番隊の、零席という新たな地位についてもらう。」

 

それは、異例も異例だった。

護廷十三隊を作った山本元柳斎重國という死神だからこそ下せる決定。更にその相手が鬼才、中野ハクナだからこそ下された決定だった。

 しかしそんなことは知識として習っておらず、知ったことではないハクナ本人は、

 

「……やった。」

 

と、呑気に小さくガッツポーズを決めたのだった。




だいぶめちゃくちゃしたけど許して。
原作設定よりも書きたい方を優先しちゃうんだよ。
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