「おーい!ライブが始まるぞ、ルフィ!」
ウソップ(うひょー! 照明が落ちてもうすぐ始まるぞ……ああ心臓がドキドキする!)
薄暗くなったライブ会場を見渡しながら、ウソップは高鳴る胸を押さえ深呼吸を繰り返していた。
ダメ元で抽選に応募した『プリンセス・ウタ』のライブチケット。
まさかど真ん中最前列の
あわてて仲間たちを説き伏せて音楽の島エレジアへと針路を向けたのが1週間前。
ウソップは今日がずっと待ち遠しかった。
ウソップ(こんな目の前の席でライブが見られるの、この先一生ないかもな)
ウソップ(それも憧れのプリンセス・ウタのライブで!)
ウソップ(この日のために衣装作ってきてよかったなあ……特典のバッジが目当てだったけど、やっぱこういうのって作ってる時が一番楽しいよな)
ウソップ(てかうちの船長はいつまで肉食ってんだ?……いやいやライブに集中集中!)
背後からただよう肉が焼ける匂いを気にしながらもウソップは正面に顔を向けた。
みんなライブのために思い思いの格好をして楽しんでいる。
陸のライブに詳しくない魚人のジンベエは「なぜこんな格好を?」と不思議がっていたが、観客たちの様子を見て納得したようだ。
隣のチョッパーは光る棒を両手に持ってわくわくしながら握り締めている。
そして。
《新時代は この未来だ》
《世界中全部 変えてしまえば――》
透き通るような歌声とメロディが会場に響き渡る。
びしっとウソップは背筋を伸ばした。
ウソップ(ききききたァ!)
《変えてしまえば――――!》
ウソップ(うおお伸びのいい歌声! 腹に響くドラム! 会場の盛り上がりと熱気! すっげええええ!!)
ウソップ(ステージのセットも凝ってるな! ってなんだあの演出! 水で文字?? どうやって作ってるんだ??)
ウソップ(なにもかもが凄すぎて感想がすごいしか出てこねえ!でもこれが…これが世界の歌姫のライブ…ッ!!)
チョッパー「うおおおウタだー!生だー!!本物だ!!!」
ウソップ「チョッパーおれたち生きててよか゛った゛な゛あ゛」
チョッパー「う゛ん゛」
光と音、そして水を使った幻想的な世界観に誰もが飲まれ酔いしれた。
歌姫の姿に涙ぐむ二人を仲間たちが遠巻きに眺めている。
ロビン「二人ともちょっと飛ばし過ぎじゃないかしら」
ブルック「ライブの1曲目からこうだと先が思いやられますね。ですが、いいダンスとサウンドです」
サンジ「U!T!A! ウタちゅわ~~~~ん♡♡♡」
ゾロ「こっちもかよ」
《果てしない音楽がもっと 届くように夢を見せるよ 夢を見せるよ》
フランキー「あっちこっちから音が聞こえるぜ。一体どんな性能のいいスピーカー使ってんだ?」
ナミ「それだけウタがこのライブに力を入れてるってことが分かるわね。いえーい!ウター!」
ジンベエ「ははあ……すごいもんじゃのう」
《新時代だ!》
ウソップ「うおおおウター!」
チョッパー「最高ダヨー!」
サンジ「ウタちゅわーん!!」
ウソップ(会場中がすごい熱気と歓声だ! みんなウタの生ライブを心待ちにしてたんだな)
ウソップ(観客の気持ちを一つにまとめちまうなんて、さすがは歌姫!)
感動に身を震わせるウソップの後ろから肉を片手にルフィがやってくる。
ルフィ「へー、あいつ歌上手いんだな」
ウソップ「えええ今頃かよ! いっつもおれやチョッパーが音貝流してたじゃねェか」
ルフィ「なはは、よくおぼえてなかった!」
ウソップ「ったくよォ……でも配信や音貝で聴くのとじゃ迫力が全然違うな。これが生か~!」
最初の曲が終わると会場が一気に明るくなる。
ライブが始まる前は薄暗く曇っていた空はいつの間にか綺麗に晴れ渡っていた。
* * *
ウソップ(おっ? ステージ手前にウタが降りてきたぞ)
ウソップ(結構ちっちゃいなー細いなー女の子だなーカヤとどっちが大きいかな……いやいや身長の話だぞ?)
ウタ「みんな、やっと会えたね! ウタだよ!」
『うおおー!ウター!』『ウタちゃーん!』『会いたかったよー!』
ウタ「ごめん、ちょっと感動しちゃった」
『かわいー!』『おれたちもだよー!』『泣かないでー!』『がんばってーウター!』
ウタ「グスッ…みんなありがとう。えっと、今日が初めてって人もいるかもしれないから、まずは自己紹介するね」
ウタ「会場にいるみんな、映像電伝虫を使って配信を見てくれているみんな、私のライブに来てくれてありがとう!」
ウタ「私はウタ。歌姫ウタって呼ばれています。今日は一緒に盛り上がっていこう!」
『おおおおおーー!!』
クラッカーの音と同時に大量の風船が浮かび上がる。
そんな会場の様子を離れた場所から眺めている姿があった。
ゴードン「…………」