さまよえるフリッツ【完結】   作:Yuki_Mar12

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第176話

***

 

 

 

 リーザは、故郷の凶報を耳にし、ハラハラする焦燥感に駆られて、もう通学が始まるその直前という時機に、学校に背を向けてしまった。

 

 入学日を逃したことで、リーザは最初、あるいはもうじぶんは、脱落してしまったに違いないという確信を持ち、学業を諦めることを考えた。

 

 親が行方不明になり、その安否も分からず、そういう状況で、その子供が学業に専念することなど出来ようもないが、かといって、学業を放り出してまですることも特にないのだった。

 

 放心状態だった彼女には、だが、朗報があり、復帰できるチャンスがあると、伯父が教えた。

 

 学籍はまだちゃんとあり、事情は、伯父の方で、学校にすでに説明済みのようで、行かなかった分の遅れはあり、その分不利ではあるけれど、何カ月も欠席したというわけではないので、リーザの高い基礎学力があれば、だいじょうぶだろうということだった。

 

「安心したわ」、とリーザ。

 

 伯父と一対一で、テーブルに対面して話しているところだった。

 

「わたしの方も、ホッとするよ。君が無事帰ってきてくれただけでも十分嬉しいが」

 

「心配をかけてごめんなさい」

 

 と、リーザは頭を下げる。

 

「いや」

 と、伯父は、手のひらを見せて気にする必要はないという素振りをする。

「謝らなくていいんだ。君の両親を慮る心は痛いほど分かる。パパもママも、早く見つかって、会えるといいな……」

 

「誰か、わたしの代わりに探しに行ってはくれないのかしら」

 

「すでに、バルビタールの軍が駐屯しているんだろう? 村の復興と合わせて、どういなくなった村民の行方を辿るのかは分からないが」

 

「うん。でも、村に来たひとたちは復興だけんために来たみたい」

 

 リーザは、あまりいい展望が見えず、しょんぼりとし、また、執事のことや、同行した仲間である、フリッツとブルーノのことを思い起こした。

 

 すると、気になることがあって、彼女はハッとした。

 

「そういえば、伯父さん。馬は、どうしてる?」

 

「馬? あぁ、君が乗ってきたのか。今は、知り合いの厩舎を借りて、そこに預けてるよ。わたしは、畑は持っているが、厩舎は持っていないのでね」

 

「そう――」

 

 リーザが納得し、話がそこで終わるかと思われたところ、伯父が、忘れていた伝えるべき事柄を、にわかに思い出したように、口にした。

 

「リーザ。そうだ。学校だけどね。どうも先生に話を聞くと――君のことを伝えに言った時に、ついでに聞いたんだけどね――どうも、当初決まっていた教育課程が少し変わったみたいなんだ」

 

「変わった?」、とリーザはきょとんとする。「それは、つまり、新しい教本が必要になったりするっていうこと?」

 

「いや、持ち物は最初に指定されていたものだけでいいんだ。ただ、神学の内容が改定されたみたいでね、まぁ大したことじゃないらしいが」

 

「神学が変わった――?」

 

 リーザは、腑に落ちなかった。神学の内容が変わるということは、つまり、学ぶべき宗教が変わるとでもいうのだろうか?

 

 それはずいぶん妙だと、リーザは不審に思うのだった。

 

 

 

***

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