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町を、見慣れない装いの者らが、列を成して歩いている。
足並みをピシッと機械のように揃え、武装している彼らは、兵士であった。
黒光りする鎧が、何ともいかめしく、歩みと共に、金属の装備が揺れたり擦れたりする音が聞こえる。
通りを闊歩する彼らに、町民はおずおずと委縮したように退いて道をゆずる。
リーザが学校へ行く日の朝だった。もう空気が冷え冷えとして、秋が深まっていた。
彼女にとって、この軍事パレードは見慣れないものであり、始め、面食らったが、他の町民たちの物怖じした様子を見て、取るべき態度と振舞い方を敏活に心得、彼らと同様に、やや気後れしたように、身を縮め、通りの端へと寄った。
夥しい兵士たちの行進を過ぎるまでは結構待たないといけなくて、リーザは内心苛立って、黒い鎧の数々を見送った。
学校への途上、リーザは周りの建物や設備などを見て歩いて、確かにじぶんはまだ通学路の景色が見慣れないが、果たして以前もこのようだっただろうか、という疑念を持った。
つまり、そこかしこで、工事が行われており、しかも、その工事という工事が、教会や、聖堂に限ってのものであるらしく、リーザは、どうして矢庭にいっせいに改築などするのだろう、と不思議に思うのだった。
とはいえ、リーザは、城下町への違和感より、もっと他に気になることがあり、それはつまり、学校のことであり、彼女は、どういう者らといっしょになるのか、不安なのだった。
学校は主として聖職者の育成の機関であり、教師が導き、生徒が目指すのは、聖職者なのである。
聖職者は基本的に男が大半であり、つまり、学校に行く生徒の割合でいえば、女子は圧倒的に少数なのである。
リーザは、男子に対して、例えば恐怖症のような精神面での難点があるというわけではないが、粗忽だったり、野卑だったりするという先入観を持っており、友達とするなら、ぜひ同性が望ましいのだった。
彼女は一人っ子であり、幼少時、村ではあまり子供とは遊ばず――というのは、彼女は高貴であったので、よその子供との交流は、親の思惑によりあまりなかったのである――遊び相手としては、コンラートがせいぜいだった。父は仕事で忙しく、母は、物語の読み聞かせをしてくれた。
コンラートとはよく遊び、母には加減法や文法をならい、父は一家の大黒柱として、慕うと同時に、畏れた。
丘陵の町に相応しく斜面ばかりの道路を行き、やがて彼女は、修道院付属の学校へと至った。
校門を、ぞろぞろと生徒らしき子供が通っていく。
やはり、男子ばかりで、リーザは心細くなったが、目を凝らしてみると、案外女子もちゃんとおり、やや不安が和らぐのだった。
――学校も、例に漏れず工事現場となっており、だが、改修の手が加えられているのはシンボルであり、さほど大がかりな工事というのではないようだった。
おはよう、と誰かがリーザに声をかけた。顔も名前も知らない女の子だった。男の子も、殊勝に、彼女の近くを通りかかる時、朝の挨拶をかけた。
リーザはちょっと嬉しくなって、胸が弾んだ。
確かにじぶんは悲しい目に遭った、と彼女は思った。
だが、もう終わりというわけでは決してないのだ。新たな生活が待っている。
未来へと通ずる、新たな生活が……。
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