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数日間の旅を経て、町へと着いた。
広い平野にある、大きな町で、高く堅牢な城郭に囲まれており、その富裕さを偲ばせた。
フェノバールという城下町らしい。
城門をくぐり、詰所で門番と質疑応答を行う。どういう目的で訪れたか、どういう身分か、などを聞かれた。最初はうたぐりぶかそうにしていた門番は、リフレのよどみない答えを聞いていると、どこか感心したようになり、最終的には、容認するのだった。
領地や国によっては、鎖国も同然だったりし、真摯に受け答えして、敵意も害意もないことを示しても、邪慳に拒まれることもある。経験はないが、ブルーノから聞いたことがある。
その町は、だが、入ることが出来、ぼくは、城門のトンネルを、向こうの日向を目指してくぐりながら、ようやく人心地が付き、みずからの企てた計画に着手出来る、と、そう嬉しく思った。
城門を抜けると、広々とした町の景観が目に入った。
城郭都市らしく、庁舎を中央とし、周りには、建物が軒を争って並ぶ街路が、蜘蛛の巣のように張り巡らされている。見事だった。
時間は午後で、昼と夕の間だった。
お昼ご飯を食べていないぼくらは、まず腹ごしらえからしようという話になったが、ぼくは、とにかくまずギルドハウスへと行きたかったので、すぐ戻ると言って、リフレとミアの二人とは別行動することにした。
小走りで、道行くひとにその在処を尋ねて、少し迷った後、ギルドハウスを訪れた。
町の規模に比例して、ギルドハウスは大きく、高層で、ぼくは、急いで来たけれど、今までにないその偉容に、ちょっとビビッてしまった。
勇を鼓して中に入ると、中では、たくさんのひとがひしめいていた。剣を提げているが防具を着ていない軽装の傭兵らしき男、愛嬌をふりまく受付のネクタイをした若い女、夥しい張り紙がある掲示板の前にはひとだかり――盛況のようだった。
「おっ、どうした、坊や」
と、中に入って間もなく、緊張して立っていたぼくは、ひとりの男に話しかけられる。あまり品のある話しかけ方ではなく、むしろ、どちらかというと、軽薄だった。小指ほどの長さの顎鬚に、肩まである濃い褐色の癖毛。細い目は、相手を半ば睨むようで、半ば値踏みするように光る。
「迷子にでもなったか」
と、彼は前屈みになり、ぼくの方に首を伸ばして威圧するようにして尋ねる。
「仕事を探しに来たんです」
と、ぼくは、内心で怯えながらも、表面的には毅然として返す。
「へぇ、若いのに殊勝だねぇ。まぁ、せいぜい頑張れよ」
男はそう言い捨てると、手をヒラヒラ振って去り、出入口より出ていった。
ぼくは男の後ろ姿の方をずっと睨み付け、ムッとして、怒鳴りでもしたかったが、相手がいともたやすく行ってしまったので、やるせない気持ちになった。
子供だから、小さいから、弱そうだから、舐められるのだ。
ぼくは歯噛みし、俯いた。
悔しくて、泣きそうだった。そして、ひとりぼっちでいるのが、どうしようもなく、寂しかった。
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