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城下町の修道院学校で行われることは、勉強以外にもあった。
それは、礼拝であった。係の者が合図をすれば、生徒も教員も皆、色を正し、厳粛になり、決まったやり方で、最も近くにある
礼拝は一日に複数回あり、城下町を統べる『真光教』の信徒たちは――すなわち、町民全員は、義務として、必ずこれを行わなければならないのだった。礼拝を怠ったりおざなりにしたりして、監視の者の目に付いた場合、不敬として、懲罰が課されることがある。
この礼拝は、城下町の政治に武官が介入するようになったのとほとんど同時期に町民の公的生活に導入されたものであり、多くの町民は、大っぴらにはしないものの、心の内で、この新しい慣習を胡散臭がっていたし、家の中などでは悪態を吐いた。
リーザは、素行のよい女生徒であり、決して情熱的ではないけれど、知的で、利発だった。従って、勉学に対してそうであるのと同様に、義務として課された礼拝に対しても、まずまずの評価を得られるように振舞い、こなした。
だが、彼女も、強いられた礼拝に対して懐疑的であり、消極的であった。友人のアリサもやはり同じで、礼拝を積極的にやっているように見えるのは、権力欲・出世欲の強い多くの生徒ばかりに限られていた。結局のところ、礼拝と宗教的儀礼のように呼称されてはいるが、その実は、権力者への服従の容認と、表裏一体の関係であった。
行方知れずとなった父母のことがずっと頭に残っているリーザは、精神的には依然として健全ではなかったが、気丈に行き、その才知を存分に発揮して、みずからの役目を的確にこなした。伯父夫婦は、彼女が通学を取りやめにして旅に出ると言い出した時にはあまりにも驚倒して絶望さえしたほどだが、今となっては、まるで我が子のように、リーザの才女ぶりに、得意になっていた。
ある日、学校より帰宅したリーザは、伯父夫婦宅の屋根裏の自室へと行き、荷物を机にサッと放ると、ベッドに大の字になった。切妻の屋根に向かって斜めに狭まっていく天井を薄闇の中にじっと見つめ、彼女はため息し、何だか疲れていた。
講義を受けている時や、算術・修辞法の問題を解いている時や、アリサなどの友人と喋ってる時などは、そのことに集中しているのだが、いざその集中がなくなると、彼女はまるで誘われるかのように、想像が父母の行方へと向いていってしまうのだった。そして、謎に突き当たり、途方に暮れる。
将来決まった職業に就きたいなどの理由から学業に従事しているわけではない彼女は、父母がいなくなったという状況で、くだらない宗教的慣習が出来て増えていこうとする、あまり意義を見出せない修道院学校での生活に、うっすら嫌気が差していた。
この学生生活を続けた果てに、望ましい新たなる生活が待っているとは、到底思えなかった。
いわゆる反抗期なのだろうか、などと自問してみたりしたが、彼女は首を左右に振って否定した。
そうじゃない――とリーザは心中で呟いた。
――わたしは、未来の新しい生活ではなくて、突如起きた事件によって失われてしまった元の生活を、家族を、取り戻したいだけなのだ。
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