***
定められたその日、刑は執行された。
反逆者たちは、両手を縄で縛られた状態で、騎士に引かれて広場の台に並んだ。皆、諦観した面持ちで、最期を覚悟し、血の気がなかった。
広場には、住民がギュウギュウ詰めで犇めいていたが、みずから欲して見に来た者はひとりもいなかった。誰もが命令によって強制される形で来たのだった。
公開の処刑は、終始ずっと陰惨であり、決して邪念からやったわけではない行いに対する償いとしては、妥当のものであるとは言えなかった。
確かに、城下町兵団は、衛兵である派遣軍の騎士を殺めた。また、城での小競り合いにおいて、攻略しようとする兵団側でも、防戦する派遣軍の側でも、何名か戦死した。
その後の量刑までの手続きは不透明だった。悪いのは兵団側であり、騎士たちは被害者だとされた。勝者の言い分であり、公平性は怪しかった。圧政に対するあらゆる意見は退けられ、否定され、拒まれた。ことの道理は勝者が決めた。
この度の事件によって明らかにされたのは、城政の権威の強さ・高さであり、また、城政に反意を抱くことの危うさや不毛さであった。
城下町に働く力学を――甚だしく強靭で打ち倒すことの困難な力学を、公開処刑を通じて、城下町の住民はあまねく思い知らされることになった。否。むしろ、改めて痛感させられたと言うのが適切かも知れない。
痛みと苦しみと惨さを、屈辱と共に嘗めた町民は、処刑が終了したことで、ようやく解放され、それぞれの家・持ち場へと帰ったが、彼らの心は、幻滅に染まり、以後ずっと、この騎士たちの覇権のもとで暮らさないといけないという狭窄になった展望を見、暗澹たる気持ちになった。
飛脚のオットーは旅に出かけていなかったが、女学生のリーザもアリサも、また、花屋の娘のエルマも、そして、彼女の母も、広場に来て、公開処刑に参加しており、だが、目を逸らして、決して直視しないようにした。
彼女たちにしてみれば、他の多くの町民と同じように、たとえ平和であっても、騎士による支配を進んで受容することは出来なかった。
騎士たちのもとでの平和は、表面的なものであり、確かに衣食住に事欠くことはないにしても、例えば外部への侵略や、今回あった反逆者への非人道的な扱いなど、見えないところで、乱暴だったり邪悪だったりすることが溢れていて、その実は虚偽であり、欺瞞なのだった。
救世主が現れでもしてくれれば、と誰もが思い描き、待望した。どこからか、仁徳と正しい力を備えた者が現れ、圧政や権力の占有を相手取って戦い、悪者を懲らしめて打ち破ってくれればいいのに……。
都合のよい妄想だった。
冬の空気は冷え切り、城下町の雰囲気は一層落ち込んでいた。
この極寒の時期は、まだまだ続きそうで、終わりが見えなかった。
***