第241話
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色々あった。そう、色々だ。
ぼくは故郷であるメンドンという村を、ひとり親の母の病死によって失い、旅に出ることになった。
導いてくれたのは、まだ二十ほどの若々しいブルーノという男だった。
彼との出会いがなければ、ぼくは途方に暮れたし、ぼくと母は、底意地の悪い領主にこき使われる立場だったので、もし、母の死後、ぼくが村に留まっていたとしても、まともな処遇を得ることは叶わなかっただろう。
遍歴職人だったブルーノに付いて、ぼくは、よりよい仕事と住みよい環境を求めて各地を巡った。
だが、中々天職を得られず、キャンプなどして、その日暮らしの日々を送った。
ある村で、金払いのいい単発の仕事があった。ゲールフェルトというのどかな村のシュトラウスという貴人が依頼したもので、その愛娘、リーザ嬢の護送だった。グルンシュロス城下町へのエスコートだ。リーザ嬢は学業とホームステイのために城下町へ行くのだった。
村では、ある少女と出会い、近い年齢からか、親しくなった。ミアといって、服屋の娘だった。ぼくは彼女を気に入ったが、旅のために村を離れなければならなかった。
旅路は長大で、兵士との遭遇や、令嬢の体調が崩れるなど、緊張を要す場面がいくつかあったが、結果として、任務は成功した。
報告のため、村へ帰着すると、様相が劇変していた。
ゲールフェルト村は滅びて廃村となっており、賊の荒らし放題だった。村人は死ぬかいなくなるかしており、ミアは、行方不明だった。
ひとまず、村を離れたが、どうしても真相を突き止めたいという思いから、ぼくとブルーノは村へ戻ることにした。一緒にいたシュトラウス家の執事、コンラートは、事情をリーザ嬢に伝えるため、城下町へとんぼ返りすることにした。
コンラートのその後は分からないが、ぼくとブルーノは、村へ忍び込み、隠密にザッと調べて回った。だが、得られるものはゼロだった。賊に踏み荒らされた村には、めぼしい手がかりはなく、ぼくたちの調査は徒労に終わったようだ。
そこはかとない虚しさを覚えたぼくたちが野宿した城址で、ある者が現れた。最初は怪しんだし、警戒したが、その正体は、よく見知ったであり、服屋の娘の、ミアなのだった。
ミアは、ゲールフェルト村の事件の被害者であり、ことの真相を知る唯一の証言者だった。
彼女は敵地より逃げ
ぼくとブルーノは、村の滅亡と、ミアの悲話を通じて、この世に着々と力を付けて勢力を拡大しているある宗教結社の存在を知り、その宗教結社と、浅からぬ因縁で繋がることになったのだった。
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