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元々いた避難民に新たに来た避難民が合流したことで、わたしたちの人数は増え、ちょっとした軍団のようだった。
中には、互いに離れ離れだったが再会したひとたちがおり、彼等は相手の無事を確認し合うことで、安堵を得た。
――関係が絶えた裂かれたひとたちの全てが、再会出来ればよかったが、事情はそうはいかなかった。
わたしは、町を逃げる時に何人もの死傷者を見たし、がんばって逃げてきたが機を逸したことで避難民と合流できなかったひとたちの姿も、そうせざるを得ないという必然性に屈して、断腸の思いで見捨ててきた。
「ブレイズ……!」
王妃が緊張感を漂わせて彼と対面している。
ブレイズは完全に目を逸らし、隠せない気まずさを露わにしている。
「王は、王はどうなりましたか?」
「殿下は……」、と彼は重い口を開いた。「殿下は、最期を遂げられました」
「……!」
ブレイズの報告の意味するところを察して、王妃は衝撃を受け、目を見開いて固く短いため息を吐いた。
乳母に抱かれた王子は、今明らかにされた事情の一端さえ、解しないように、ボーッとしている。
「勇敢な最期でした。王は、『光』の軍勢を一手に引き寄せ、我々の活路を作り出してくださいました」
言いながら、ブレイズは涙ぐんだ。
「わたしがおりながら、王をお救いすること能わず、忸怩たる思いです」
王妃は、静かに細い涙を流し、悲しんでいることは明確だったが、ことの成り行きを理解し、気丈に受け止めているようだった。
「いいえ、あなただけが責任を感ずる必要はありません。わたしたちが脆弱だったから負けた。それだけのことです」
後から避難してきたひとたちには、負傷者が多く、周りでは能力と知識のある者が、彼等の傷の手当てと保護にあたっていた。その中にはやはりマルテがおり、彼女は、ミアと再会を喜んでいて、マルテが言ったように、互いに親しそうだった。
フェノバール兵団の上官は、ブレイズを始めとして、何人か生き残ってこの場にいた。王は不在だが、後でこれからのことに関して鳩首合議するという。
くに破れて山河あり。
わたしたちは住処をおわれ、こうして自然のただ中に逃げ延びたが、いつまでも木立の中でなど、物資に限りがあるし、暮らしてはいけないのだった。
きっといい方に向かうという展望を見ることの出来る者が、上官たちの中に、またその他の中に、果たしているのだろうか。
わたしは……よく分からなかった。
だが、惨めに死ぬつもりはなかった。繋がった活路にいるのなら、わたしたちは前へ進むべきに違いない。
ブレイズがいる、ミアがいる、これだけの人数の生き残った町民がいる……それらのことだけで、わたしはこの窮境に打ちひしがれず、次への展開のため、捲土重来を期すために、何か出来るのではないかと思わせてくれる力の満ちてくる感覚を、ほのかに覚えるのだった。
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