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わたしたちの軍は、『光』に対し、攻守どちらの立場であろうと、兵器を持たないという点で決定的に不利だった。
従ってわたしたちは、短期間・短時間で目的を果たすために、奇襲による一点突破を狙うことになっている。今度の作戦を練った参謀を始めとした上官たちにとっては、考案にずいぶん骨が折れたことと思う。
戦前の祝杯が交わされた夜が明け、日中、斥候が様子を見に何度もフェノバールとベースキャンプの間を行き来した。
堅牢だったわたしたちのフェノバールの城郭は、敵のものとなると、やはり攻略するのに困難であるのは明白だった。だが、依然交戦の時の欠損が残っているので、ある程度、攻め込める脆弱さはあるように見える。
持ち出してきた兵糧には限りがあり、あまり長くはわたしたちはキャンプを維持出来なかった。
優れた弓矢の射手たちがわたしたちと共に来ている。彼等は城郭の上で見張りしている衛兵の射殺のため、今度の任務を課せられた選り抜きの猛者だった。見張りを片付けねば城郭の内側への侵入が出来ないので、まずはそこを成功させなければいけなかった。
攻め入る時機がとうとう訪れ、晩餐の次の晴れた夜、篝火を焚いたベースキャンプで、列をなしてわたしたちは並び、作戦の概略が、ブレイズの口から説明され、早速、射手たちを先頭に、第一陣が出立した。
士気の高低はよく分からなかった。作戦がうまく行くという見通しが明るいわけではないので、決して高いと断定できるほどの士気ではなかったかと思うし、わたしのように、作戦開始を知らされてからずっと胸の動悸が激しくて苦しい思いに苛まれている者は、結構いるのではないだろうか。だけど、皆、口数少なで、一見落ち着いてみるようであった。
じっと馬上で待ち続け、第二陣に対するブレイズの命令が下ると、その中に組み込まれているわたしは、馬の脇腹を踵でポンポンと突いて、前進させた。行きながら、ブレイズの方に流し目をし、彼としばらく目が合っていたが、やがて深い夜の闇に遮られるのと、遠ざかっていくので見えなくなり、わたしは何だか見知らぬ兵士たちといっしょにいて、ひとりぼっちになったようだった。
月と星が明るく照っている。麗しい夜空には、だけど見えるのは、不安の暗いうねりばかりだった。
敵方が、油断してくれていれば、今度の作戦は捗々しく進むだろう。夜警に飽きてウトウト夢の世界にでも行ってくれていれば、楽勝だ。
だが、そういう楽観を、厳しいとされる作戦に持ち込むのは、わたしの浅はかで情けないことだった。厳しい戦いに臨むならば、気を引き締め、決然とした覚悟を持って、意気を高めていくべきだった。周りの仲間の顔色をこっそり窺ってみると、眉間にしわを寄せている者や、目を瞑ってブツブツ鼓舞する文句を唱えている者がいた。
死んでしまうかも知れない――そういうおそれが、フェノバールに進攻を受けた時の記憶と共に、最初はおぼろげに、後にはっきりと、わたしの心中に浮かび上がってきた。
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