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日が暮れてきた。
日中はまだ残暑で汗ばむくらいだったが、太陽が低く下りてしまうと、日照があっても、熱気は去り、代わりに秋の気配が色濃く出始める。風はひんやりとして、短くなった日脚は、ひとを心細くする。
今日は野宿にするか、と、ブルーノが提案し、ぼくもコンラートさんも、特に異は唱えなかったが、かといって、積極的に賛意を示してわけでもなく、ただこの中で一番決断力がありそうと思われるメンバーの言葉だからというだけの理由で、やむなく従うのだった。
本当なら一刻も早く、いなくなった村民の行方を知るために動くべきなのだろうが、今のぼくらは、何とはなしに、強い動機付けが欠けているようだった。
ぼくにとって、ミアを救いたいというのは、切実な思いだったし、彼女とのぼくが求める再会のために、全力を注ぐことを厭うつもりはまったくなかった。
ところが、気が抜けでもしたように、ぼくは――いや、ぼくだけに限らず、ブルーノも、コンラートさんも、どこか挫けたように、ぼんやりとして、また心なしか老け込んだようでもあった。
シュトラウスさんから引き受けた仕事をこなしたその報酬を貰わないといけないというのも、ぼくらがじりじりとした焦燥感に駆られて活動すべき立派な理由なのであるが、今ではどこか縁遠いものに感じられてしまい、ゆるがせにされてしまうのだった。
馬車に積んだ荷物にテントがあったので、それを平地に張り、薪を集めて焚火を起こした。夕が過ぎて夜になれば、パンだけというメニューよりかは幾分かだけバリエーションの多い夜食を取り、腹八分目というあんばいで、お腹を満たした。
ぼくとブルーノはテントの中で、コンラートさんは馬車の中で寝ることにした。
焚火を消し、おやすみなさいと互いに挨拶し合うと、それぞれ寝場所に向かい、横になった。
真っ暗闇。下草の風になびく音や、秋の虫の合唱が、湖水の音に混じって賑やかに聞こえる。が、不快というほどではなかった。
村より逃げてから、ぼくら三人はほとんど会話しなかった。これからの予定や企図を活発に交換してもよかったが、それぞれ半ばしゅんとして、半ばムスッとして、口を噤んでいた。
だけど、きっと、みんな同じなんだろうと思う。それぞれ同じ心理的過程を辿っていたのだ。それをすっかり経てしまうまでは、周りのことにはまじめに取り組めないのだろう。
ぼくは、村の変わり果てた模様と、幾人かの亡骸を見てショックを受け、大きな疑問符を植え付けられた。動揺し、考究しようと試みた。すると不意を衝く形で攻撃を受け、命の危険を感じ、一目散に逃走した。頭の中で導き出そうとして紡いだ思考の断片は、その不意打ちに引っ掻き回され、粉々にされ、後に残ったのは、大きな疑問符だけだった。どうして、という問いだけが、頭の中で木霊し、いつまでも止まなかった。
一夜だけ……。
ぼくは思った。
一夜だけだ、許された猶予は。
湖の自然の賑わいは、ぼくの思考を決して妨げなかった。
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