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「おれは」、とブルーノは、少しばかり張り詰めた緊張感を伴って、ぼくに対して切り出した。
「お前の同伴者、いわばツレだからな」
彼は焚火の跡をぼんやりと見つめ、乱れた後ろ髪を手で押さえ付けながら話す。
ぼくをツレと呼ぶその言い方には、照れや嫌味などはなく、あくまで事実を事実として、ありのままに伝えるのに必要なだけの意味合いしか含まれてはいなかった。
「お前が残るっていうなら、おれも残るよ。だいたい、おれとコンラートさんが二人でコンビを組んで、城下町に戻って、お前がひとりになって……っていうのは、やっぱりおかしい」
彼は襟足の辺をギュッと握り潰すように掴むと、「そういうわけで」、とコンラートさんに向けて言った。
「城下町へは同行しないことにします」
「そうですか」
「おひとりで、行かれるのですか?」
「えぇ、執事の責務ですから」
「道中、お気を付けて。一路平安を祈ってます」
「お言葉、痛み入ります」
コンラートさんはすっと立ち上がり、もうすぐにでも発つ素振りを見せる。
すると馬車の馬が、ずっと横になっていたのに、馭者の意を汲んだかのように、直後に立ち上がり、ブルッと鼻を鳴らした。
ぼくら三人は、二人と一人に、それぞれの目的の相違から、今日、物別れになる運びとなった。
ぼくらは、再び会うのだろうか。ぼくはちょっと疑問に思った。
ぼくらの再会は、予期されるべきことではあった。なぜなら、ぼくらはシュトラウスさんを――まだ打ち合わせとかしていないけど――報酬の受け取りのために探すつもりだし、執事のコンラートさんは、リーザ嬢に彼の行方不明を知らせにこれから行く。
「コンラートさん」、とぼくは、馬の背にまたがった彼に呼びかける。
「はい」
「ぼくらは、また会いますよね」
「……」
コンラートさんは、ポカンとしてぼくを見つめ、口を噤む。
「リーザさんに城下町で会った後、また、この辺りで……場所は分からないですけど」
「そうですね。わたしが主としてお仕えするのは旦那様であり、お嬢様ではありません。お嬢様のお世話はご親戚に一任されています。ですから、わたしは、お嬢様への伝言を終えた後、戻ってきます」
「それまでに」、とブルーノが口を挟む。「全てのぼくらの課題が、望ましい結果を得られるといいのですが」
彼のその発言に、ぼくらは、見通しのつかない展望に対する不安を覚え、それぞれ深刻に、厳粛に、一時の悲嘆に沈み、小さな覚悟の炎を心に灯した。
目の前に横たわる世界は眩しい。これから何かが始まることを強く予感させる光明に溢れている。広く、遠大で、途方に暮れるぼくらは、だけど、その中に勇気をもって踏み出していかないといけないのだった。
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