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ずいぶん目立つところに死体がある。廃村の出入口付近の原っぱだ。
あれを放っておくのは安全上よくないが、かといってのけたところで、溢れるように流れ出た血が残る。
死体を隠したとしても血を見られた時点で賊たちは敵の来襲を推断するだろう。ピリピリしたムードになり、ぼくらがもし見つかって、捕縛され、たとえ嘘を吐いて身の潔白を主張したとしても、怪しいという理由だけで易々と殺害するだろう。どこかの貴族の血縁者ならまだしも、ぼくらみたいな身元不詳者など、捕えておく価値はまるきりないのだ。
後は時間の問題だ。不利な時機となる前に、仕事をやっつける。
ブルーノは、ぼくが憂鬱に寝込んでいる間、村に忍び込み、さっと偵察してきてくれたらしいが、彼曰く、村に入り込んでいる賊はそう多くはないとの見立てだ。賊はある邸宅に集まっているようで、その近辺と出入口にだけひとがおり、他の者は各所をまわって金品を漁っているようだ。
時は、日の位置がちょうど一番高所に来る頃だ。
彼らが規則正しい生活を送っているなら、だいたいお昼ご飯を食べる頃合いだ。
ぼくらは急ぎ、手薄となった村の出入口をくぐり、物陰に身を潜めて、ひと気を避けて村中を探索した。
特に手がかりとなるものが見つからない中、死体が目についた。主に番兵や老人の亡骸だが、ぐったりとしたままで、ひどく痛々しい。
賊は金品だけが目当てのようだ。村人の死体には目もくれず、朽ち果てるに任せているのだろう。
薄暗い路地を通り抜け、傾いだ扉より廃屋に入り、無人のその中で、家具調度の乱雑に散らかっている様を眺め、ぼくらは、これがこの村を襲った敵の仕業なのか、賊がひっくり返してこうなったのか、釈然とせず、悩むのだった。
あるいはどこかにまだ殺されも囚われもせず無事に残っているひとがいれば、などという夢想をしてもみたが、敵に襲撃された上に賊が入り込んだこの廃村に、無事で残っているひとなどいようはずはなかった。
ぼくらが予想した通り、お昼ご飯の時間だったのか、周りには動き回る賊の姿は見なかった。
ブルーノに先導され、そこに賊が居座っているという邸宅のそばに来た。
成るほど。確かにいきいきとした人声が聞こえる。ひとがいる気配がする。ゲラゲラと下卑た哄笑が外にまで響いて来、その無神経さに、ぼくはひどく不愉快になった。
「もう十分だろう」、とブルーノがささやいた。「村を出ようぜ」
これ以上は時間の無駄だ、と、彼の口ぶりは、そう言いたげに聞こえた。
暑い……。
日照りがきつい。夏に戻ったかのようだ。
ぼくが殺した見張りの死体に、カラスが数羽、寄ってたかっている。
もうどうでもよかった。
ぼくらは賊の圏外へと脱出すると、取り合えず遠くへ――彼らが仲間の死に気付き、慌てるなり憤激するなりして、緊張感や敵意を張り詰めらせる前に、安全なところへ、退散した。
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