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知らせは突然訪れた。
何の前触れもなく、出し抜けに、不意打ちを食らわせるように、その知らせはリーザに衝撃を与えた。
村の壊滅を聞かされたのは、あの雨の日の翌日だった。雨は上がったが、雲がしつこく空に残っており、草木に水滴が付着するなど、外はあちこち湿っていた。
伯父の話だった。ゲールフェルト村が襲われ、荒廃しているようだ、と。ある巡礼者の口伝でその情報を得たらしい彼は、大変気遣わしいという風に語り、余計なことは言わなかった。
リーザは最初わけが分からなかった。自分の村が、嵐や地震などの自然災害ではない原因で滅んだらしいということが、事実として飲み込めなかった。何となれば襲われる理由などないのだ。
なぜ、と彼女は伯父に問うた。切実に知りたかった。理由を知りさえすれば、納得が出来るかも知れなかった。
だが、伯父はまことに遺憾だというように首をゆっくりと左右に振るばかりで、真相は分からなかった。
もう学校が始まる直前という時期だった。始業の準備をすっかり整えなければいけなかった。
父や母や、フリッツ、ブルーノ、コンラートの安否を知りたかったが、伯父が知るはずもなく、リーザは歯がゆい思いで断念した。
「もうすぐ学校が始まるというのに、ひどい話だ」
渋面の伯父がそう呟いた。
「そうね」、とリーザは物思うように生気のない表情で俯いて答えた。「でも、そうなったのなら仕方ないんじゃないかしら。わたしのあずかり知らない理由があって、村は襲われたんでしょう」
「お父さんとお母さんが無事だといいが。幸い、死亡者は少ないらしいと聞いたからね」
「えぇ。そう願うわ。心からね」
……リーザはポツリポツリと話しながら考えていた。旅路の途中で、年少のフリッツに、ひとの道というか、生き方めいたことを説いた覚えがある。ひとは過去に生きるのではなく、未来へ向かって生きるべきだと。とりわけ年齢の低い子供には、振り返るべき過去など多くないはずで、子供の分際で郷愁に浸るという趣味は好ましくないと、彼に向かって言い放ったのだ。
あの話は正しかったか?
リーザは今、昔の思い出を思い起こしていた。今よりももっと幼かった頃の、無垢の淡い光に包まれた、ぼんやりした光景が、目くるめく彼女の目蓋の裏を巡った。家族で食べたご飯や、遊んだ遊びや、しみじみとその情趣に浸った小旅行など。
過去とは過ぎ去ったもので、後戻りの出来ないものだ。だから、過去がどれだけ魅惑的であろうと、取り戻せないし、取り戻そうと努力しても、虚しいだけだ。であれば、未来へ向かって生きる方が有意義だし、有益だろう。
だが、滅びたらしい村の話を聞き、急激に郷愁的な気分になったリーザが想うのは、両親であり、赤ん坊の頃から世話になっているコンラートであり、その他のメイドなどであった。
フリッツに偉そうに持論を
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