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寄宿先の伯父夫婦は、リーザの村の件についてとても気の毒に思い同情したが、その同情は、彼女の突発的な閃きである旅への企てへの合意を助けることはなかった。
もしも伯父たちの助けがあれば、リーザの旅は、ずいぶん余裕のあるものになっただろう。たとえば車夫を雇って馬車に乗っていくなど、楽が出来ただろう。
しかしリーザと伯父たちのすったもんだの問答は決裂という形で終着し、その成り行きを間近で見ていたオットーは、やれやれ大変なことになったものだと思い、呆然とするのだった。
ハァ、ハァ、と肩で息をする声がする。
旅慣れていないのだな、とオットーは後ろを振り返り、彼女を見る。
下草の風に柔らかに揺れる平原のど真ん中だった。
天穹はどこまでも広く、太陽は高々と輝き、鱗雲が所せましと並んでいた。
まだ子供ではないか――とオットーは思った。背丈も確かにある程度成長しているとはいえ、大人とは程遠い。そんな子供が、何里もの旅路を徒歩で行くなど、正気の沙汰ではない。その疲弊した、汗で額を濡らしているグロッギー状態を見ると、余りにも気の毒で、自分までぐったりしてくるようだった。
だが、彼女の保護者は彼女とやむなく訣別し(訣別は、令嬢の一方的で融通の利かない態度が主に原因だった)、物別れになった。
オットーは、拱手傍観せず、リーザが思いとどまるよう、伯父たちの側に付いて説得するべきだったという後悔の念を覚えた。
城下町のそばのグラス街道を通り、陸橋を渡った。
日は傾き出している。これ以上前進するのはかえって以後の旅に支障を来す。
「休みましょう。もうくたくたでしょう」
「……」
令嬢は膝に両手を突いて前屈みの姿勢で、オットーを見た。
その眼差しは、どんよりとしていてどこか人間味に乏しく、何か妄執めいたものを思わせ、オットーは怯んでしまった。
「もう今日は十分進みましたよ。続きはまた明日に」
「……分かったわ。そうしましょう」
令嬢が承諾したのを聞くと、何かオットーは、胸の閊えが下りるようだった。
彼は、自分が、リーザが抱える緊張や、悲壮感や、苦悩などの不安に共鳴しているようで、彼女ほどではないにしろ、彼女と共に疲れ、悲しみ、イライラしていた。その自覚があったので、彼は極力感情を殺すよう、意識した。
冷静でなければ成せないであろうことなのだ、今回のことは――オットーは考えた。情熱的に勢いで突っ込んでも、虚しいばかりだろう。村はほとんど絶対、安全ではない。何が得られるか分からない。もしも得るものがまるでなく、失うばかりだと分かれば、すぐに退却しよう。
オットーも野宿は嫌だったので、馬車を借りる費用は惜しんだが、宿泊する費用は惜しまなかったので、適当な人里を訪ねて、そこにある宿に泊まった。
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