無表情少女と俺の夏休み   作:餡 子太郎

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墓参りが終わったらやるべき事、それは親友を連れてどっかにGoだ

 

「あー、あちぃ〜あちぃな〜継実さん」

 

「........」

 

継実がやって来て4日目、今日も今日とて暑い日が続く中、俺はリビングにある小さいソファーで寝転んでいる中、継実は黙ったまま本を読んでいた。

夏休みが始まって一週間が経とうとするのだが、姉貴と買い物に行ったきり、俺との会話はしなくなってしまった。

 

いやー参ったねー。異性同士が盛り上がりそうな話題がないでござるよ。そもそも趣味が全く違うからね、何話したらいいのか分からん。

 

「いつまでソファーでだらけてんの?さっさと行くよ」

 

「え?なんかあったっけ?」

 

「はぁ?今日お墓参りだって言ってたじゃん」

 

あーそうだったー忘れてたー。でもなー墓参りだけだろー?ってか今年はいつもより家に出るの早くね?

 

「さっさと着替えて、準備しろ駄兄」

 

「いつから暴言を言うようになったんだい妹よ」

 

「早く、お墓参り終わったらBBQするってあーちゃんが言ってたから」

 

「急げ継実!ちゃっちゃと線香あげてBBQだ!!」

 

「......いつもあれなの?」

 

「ごめんね、馬鹿で。優の事は放っておいて、先に行こ?」

 

「...」コクッ

 

「待たせたなひよっこ共!さぁ行こうって置いてかれたあああああああ!!」

 

 

 

ちょっとばかり解説しておこう。

 

先程、妹である百合愛の発していたあーちゃんというのは、即ち、俺の祖母の事だ。どうやら俺達3兄妹が赤ん坊の時に、祖母の事を『ばーちゃん」と言ったのではなく、『あーちゃん』と言ってたのが始まりで、それ以降、祖母の事はあーちゃんと呼んでいる。

 

「ばあ、久しぶり」

 

「おー継美!暫く」

 

「どうもー」

 

「はぁ..はぁ...運動不足......」

 

「お、百合愛も暫くー、どうした優?息切らして」

 

「其処の二人に置いてかれた」

 

息を整いながら祖母に言うと、祖母は呆れながら俺の肩を叩いた。

 

「そういや、部活終わったんだっけ?結果はどうだった?」

 

「一回戦目に優勝校に当たって負けた」

 

「あれは運が無かったよね~」

 

先月まで俺は男子バレー部だったのだが、先程百合愛が言った通り、今年の優勝校に初っ端から当たって見事に惨敗した。

 

最後なんて顧問の先生が三年生全員投入するというヤケクソハプニングが起こったのにも関わらず、何故か俺だけがハブられた。

 

あれ?俺って幽霊部員だったの?と思って涙を流したが、顧問も先生に「出してやれなくてすまなかった...」とコメントを貰った途端、流れてた涙が収まった代わりに虚しさが襲った。その様子を見た部活仲間が俺に同情したのか、帰りにラーメン奢ってくれたのは嬉しい誤算だった。

 

「ねぇ、さっさと墓参りしようや。BBQやるんでしょ?」

 

「ん?BBQなんてやらないけど?」

 

え?

 

「だって百合愛が...」

 

「嘘に決まってんじゃん、暑さで頭やられた?」

 

「ばーか」

 

実の妹に騙されては年頃の女の子に罵られた俺は泣いていいと思う。

 

 

 

 

 

「あーあ、もうやってらんねぇわ。夏休みなんてクソだわ」

 

墓参りが終わって昼食を済ませた俺は、ダラダラと住宅街を歩いていた。折角BBQ楽しみにしてたのにこの仕打ち、いじめにも程がある。P教育委員会にも訴えてやる。正直言って俺は夏休みは嫌いな分類に入る。バレー部に所属していた頃は、ずっとバレーの練習に打ち明けて所為か、これと言った思い出があるかないかぐらいである。それにゴールデンウイークとか冬休みとかの長期休日も嫌いである。やる事がないとダラダラと時間が過ぎていくのが嫌だからだ。

 

「......」

 

「つかぬ事聞きますが継実さん。なんで着いて来てるの?」

 

「気分」

 

そう、俺の後ろには何故か継実が着いて来ていた。気分で着いて来てるとかタチ悪すぎません?そんなに俺をいじめたいの?泣かせたいの?

 

そんな訳で、俺達はなんの目的もなく、ただひたすら住宅街の町を歩いていた。

 

 

 

 

 

 

「か~ずきくん!あっそび~ましょ!」

 

「......お前、今日に限って来るなよ」

 

「え~?折角彼女出来たから自慢しにきたのに」

 

「性癖が歪みに歪みまくったお前が何妄言言ってんだ」

 

「ところがぎっちょん、妄言ではない現実なのさ!これを見よ!」

 

「..........随分とクオリティの高い人形だな」

 

「お前今から眼科行ってこい」

 

そんな戯言を交わしながら親友の家の前にやって来た俺と継実。俺が近所迷惑にならないぐらいの音量で叫ぶと、俺の声で気付いたのか、俺の親友が小さい窓を開けて顔を覗かせてきた。流石俺の親友、分かってくれると信じていたぜ!

 

「......で、何しに来たの?」

 

「彼女出来たから自慢しに」

 

「え、嘘でしょ?ほんとに出来たの彼女?」

 

「だからこうして事実確認を”ぅ”!?」

 

「ウソ、ダメ」

 

「ハイ...スミマセン...」

 

いきなり継実が横腹を殴ってきたので頑張って訂正する。いって...、なんか殴る力強過ぎない?昔空手とかやってた?

 

「で、マジで何しに来た?」

 

「暇だから」

 

「気分」

 

「此処は人間用パーキングエリアじゃないんだぞ?ってか誰?」

 

「俺の遠い親戚の東 継実。ほら、ご挨拶」

 

「夜露死苦」

 

「なんか挨拶が憎悪に満ちてるのは俺の勘違い?」

 

気にするな、俺も同じ事思ってたから。

 

 

 

 

彼の名は雛森一樹。俺の唯一無二の、自慢の親友だ。説明は姉貴とほぼ一緒なので、詳しい説明は省くが、何といっても俺と趣味が合う男だ。よく二人でカラオケに行ってはtokyoに遊びに行ったりする程、俺達の絆は固い。それはもうダイヤモンドクラスである。まぁ俺より身体が弱いってのが難点だが。ちなみに、こいつは中性的な顔をしてるなのか......。

 

最近、女装にハマっている。

 

一度だけ一樹が女装してtokyoのメイド喫茶に行ったら『カップルなんですね!』と誤解を発生してしまった過去がある。当時の俺はメイド喫茶に初めて訪れた事もあり、バッキバキに緊張していたが、一樹なんてノリノリである。こいつ俺よりコミュ障の癖にその自信は何処からやってくるの?

 

 

 

話しを戻そう。俺は一樹を無理矢理連れて隣町のRタウンにやって来た。理由は特には無いのだが、折角継実を一樹に紹介のだから、継実との親睦を深めて貰おうと思い、急遽Rタウンに向かった。...え?別に隣町じゃなくてもよくね?だって?あはははは!それもそうだね!!(今更)

 

「さてと、Rタウンにやって来たのはいいのだが、何する?」

 

「お前、毎回思ってるけど行き当たりばったり過ぎないか?いつもノープランじゃん」

 

「人生そんなもんだよ」

 

「この野郎、くたばってしまえ、ホトトギス」

 

「おー、上手い具合に五七五かと思ったら五八五だったよ」

 

「まずお前が馬鹿にされてる事にツッコもうぜ?」

 

それは今更過ぎじゃないですかね一樹さん?だって継実だけでなく、百合愛にも馬鹿にされてるんだぜ?兄より優れた弟(この場合、妹)等いないという名言があるが、実際俺の妹が優れてるんだぜ?蓮美家の人間辞めていいっすか?

 

「優」

 

「ん?どったのー?」

 

「あれ」

 

突然、継実が俺の腕を引っ張って気になった方へ指を指すと、何かしらアニメのイベントが開催されていた。そのアニメは、今流行りのち○かわだった。流石はち○かわ、こういうのは興味ないと思っていたが、ち○かわに興味が出たとはな。

 

「気になるのか?」

 

「ん」

 

「よし、行ってみるか。一樹、付き合ってくれ」

 

「いいぞ、俺もあれでちょっと欲しいのがあるし」

 

お前もハマってたんかい。

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