The Over rooms   作:美味しいラムネ

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初投稿です
あと、ある程度両作品の知識がある前提です


level0

Q.人生の全てを費やすほどハマったMMOが明日サービス終了するとしたら?

A.発狂する。外なる神を直接見てしまった直後の探索者のように。

 

ここにも1人、そんな男がいた。

22世紀、地球の自然という自然は息絶え、一般人は社会の歯車として使い捨てられ、核汚染が進み監獄と化した終わった星。

そんな中で、フルダイブ式の仮想空間での遊びは一般家庭では唯一の娯楽であった。

その中でもVRMMOというジャンルの「Yggdrasil」。それにどハマりした男、鈴木悟。プレイヤー名モモンガ。一時期はランキング9位の勢力を誇ったギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のギルドマスター。

 

モモンガの頭の中は、言いようのしれない虚無感に支配されていた。

 

沢山の大切な友人と出会い、そして駆け抜けたユグドラシル。それが今日の0:00を持ってサービスを終了してしまうのだ。

 

コンソールを開き、現在時刻を確認する。

視界の端で、ワールドチャットがここ数年はなかった活気を見せている。反面、ギルドチャットには反応は何もない。

ただ一行、「ヘロヘロがログインしました」というシステムメッセージが数分前に流れただけ。

 

(58、9分………あぁ、結局、最後は俺1人、か…)

 

そして、現実と直面してしまう。

明日から、何を頼りに生きていけばいいんだ。虚無。虚無である。

 

「あ、あああああ゛!あ゛!糞、糞が!どうして、どうしてナザリックを、アインズ・ウール・ゴウンを、簡単に捨てることができるんだ、糞、糞!」

 

そして、モモンガはここで正史とは異なり、軽く発狂してしまう。

そして全力で体を地面に叩きつけ、地面に頭をガンガンと打ち付け───

 

体を浮遊間が包む。

 

「糞運営!最後の最後に、壁抜けバグかよおおおおおお!」

 

 

サーバーから強制ログアウトさせられる0:00の瞬間、モモンガの体が床のテクスチャをすり抜け、虚空へと落下してゆく。

そして、視界が暗く、暗く落ちていき──

 

 

(あぁ、糞。明日起きたくねぇ………)

 

 

 

 

 

 

 

 

とすん。

体が湿った床にあたった。

 

 

 

「ん?寝ている間にベットから落ちたか……?」

 

ゆっくりと起き上がる。

見慣れた自室の壁…ではない。

 

黄ばんだ壁。それが小部屋を形成し、その壁の途切れた間からは、この黄色い空間がどこまでも広がっていることが予感される。

どこかで見たことがある気がするし、実際にその場所に行ったことはない気もする。

記憶の中にある気がするけど、そこがどこだかわからない、「気持ちの悪い」空間が、広がっていた。

 

「…は?え、は?誘拐!?」

 

驚きのあまり、勢いよく立ち上がり、そして気づく。自分の体が、人間では無くなっている。骸骨の体に。それも見慣れた、ユグドラシルでの自分のアバター、「モモンガ」の姿に。

目が覚めて、予期していなかった場所に自分が居た。姿も人間ではなかった。その衝撃で精神が急激に緊張し──瞬時に抑制される。

 

(今のは…アンデッドとしての精神作用無効化、か?いやそれよりも…ここは、どこだ?)

 

まさかユグドラシルのサービス終了が延期されて、自分はまだその中なのか?とも思ったが、自分が知る限りこんな、悪趣味な黄色いだけのダンジョンなんてユグドラシルには無かったはず。まさか、ペロロンチーノさんが時々いっていた、異世界転生?ギルメンの幾人かが時々話していた、21世紀にはやったライトノベルのジャンルに、「ゲームをプレイしていたらアバターの姿で異世界に転生してしまった」というものがあったはず。

指を動かし、顎の骨を上げ下げし、周囲の匂いを嗅ごうとする。

 

匂いがある。ユグドラシルでは再現できなかった、アバターの口や、細部が動いている。

 

(ありえない。仮想空間で匂いを再現するのは電脳法で禁じられている…それに、死獣天朱雀さんが昔、ナノマシンの量がどうたらで、匂いや触覚を現実に等しいレベルで再現するのは不可能だとかいっていた記憶がある…つまり、ユグドラシルでは無い?)

 

「GMコール!《伝言(メッセージ)》!…どれも無反応、か…」

 

システムコンソールがないのに、自然に《伝言》の魔法が使えてしまった。

 

「《第一位階不死者召喚》」

 

単純な、最下級モンスターの骸骨(スケルトン)を召喚しようとする。

地面から、乾いた音とともに骸骨が湧き出す。

 

「成功した……まさか本当に異世界転生?だったら、なんでったってこんな悪趣味な空間に?」

 

天井の蛍光灯から、耳障りなハム音が響く。

異様な黄色の狂気の空間と、蛍光灯から鳴り響く耳障りな音は、モモンガの心を乱す。強制的に沈静化させられるほどではない、じわじわとした恐怖心が心を乱す。

 

そんなこともあって、冷静さを少し欠いていたのだろうか。

一刻も早くこの場を離れたいと思ったモモンガは、一つの魔法を使用する。

 

「《上位転移(グレーターテレポーテーション)》」

 

頭の中で、ナザリック大墳墓のあったグレンベラ沼地を思い浮かべて、そこへ転移しようとする。

視界が変わる。

 

 

 

モモンガの体は、黄色い狂気の空間から脱した。

そして、虚空へとその身が投げ出された。

 

何も見えない。何も聞こえない。何も「無い」。

 

完全な虚無の中へ。落ちて、落ちて、落ちてゆき──

 

「て、《転移》ッ!」

 

精神が強制的に沈静化される。

 

咄嗟に魔法を使い、再びモモンガの体が元の空間へ戻る。

先程の空間はなんだったのか。何も認識できない、虚無のような空間にいたような、そんな感覚があった。

 

「なんだ…なんなんだ…誰か、誰かいないんですか!?」

 

モモンガは叫び、そして沈静化させられる。

ここはどこだ。どこなんだ。悪夢のような空間。

 

ここはThe back rooms。地球をfrontとすれば、その裏側。地球の裏に広がる、狂気の空間。

そこへ、鈴木悟は、モモンガとして落ちてきた。

 

止まっていても埒があかない。

ユグドラシルの頃の経験に従い、盾役として死の騎士を2体召喚し、防御魔法と探知に対する結界を張り、防御を固めた上で、モモンガはこの黄色い空間の探索を開始した。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、糞、糞(shit)!こっちによるな、化け物が!」

 

黄色い狂気の空間を、散弾銃を抱えた男が必死に走っていた。

そこそこ鍛えているであろう、浅黒い肌をした、安っぽいジーンズとシャツを着た男。

名前はマイケル。アメリカ合衆国の一般的な家庭に生まれた男は、手に持った瓶に入った液体─アーモンドウォーター─を飲み干し、瓶を後方へ投げ捨てる。

 

その男は、ぐちゃぐちゃに絡まった黒い針金のようなエイリアンから、必死に逃げていた。

激痛に苦しむ男性のような叫び声をあげる黒い化け物。それが2体。

 

雄叫びを上げながら迫る化け物に、こちらも負けじと28ゲージの弾丸をお見舞いするが、機敏な動きで避けられる。

 

彼は不幸な男だった。

階段を踏み外し、地面に落下しそのまま地面をすり抜けこの世界へ降りてきた。しかも、聞くものが聞けば震え上がる、level funへ落下してきた。

奇跡的に、空間ないでM.E.G. *1の構成員だという男と出会い、彼に助けてもらいながら、その悪夢の空間は突破できた。しかし、その後にたどり着いたlevelで構成員を名乗る男は死んでしまった。

この世界で生き残る術を教えてくれた恩人が死んだことに絶望しながらも、彼が残してくれた端末と、レミントンM870。それに、超希少なオブジェクトであるスーパーアーモンドウォーターを手に、なんとか比較的安全なこの黄色い空間へ辿り着き──そして運悪く2体のエンティティに捕捉され、追われていた。

 

「糞!ここで、ここで死んでたまるかよ!」

 

そして、男は終わりを予感した。

あの壁の向こうから、何かの気配を感じる。

 

端末から得た、この空間─「level 0」の情報によると、ここでは基本的に他者と出会うことはない、つまり、この空間で感じる気配は全て致命的存在であるエンティティ。

 

マイケルは、覚悟を決めた。壁の向こうの存在に気づかれる前に、なんとかして目の前の2体の化け物を殺す。

そして、さっさとこの場を去る!

 

そして、マイケルが引き金を引こうとした瞬間──

 

 

「伏せろ!《魔法二重化・龍雷(ドラゴンライトニング)》!」

 

雷が、化け物の体を薙いだ。

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

 

 

化け物目掛けて、魔法を放つ。

モモンガの心は、歓喜に満ちていた。ようやく会えた生きた「人間」。後モンスター。

生物の影などどこにも無い、ただただ広いだけの空間を彷徨ううちに、不死者であるはずなのにモモンガの心は疲弊していたのだ。

 

そんな中、ようやく出会えた生きた存在。

魔法を使い、HPとMPを確認すれば、両者とも大した脅威では無い──だから、介入することにした。とりあえずは、会話ができそうな男の側として。

 

「一撃では沈まないか……行け!死の騎士ッ!」

 

漆黒のフランベルジュを振り上げた不死者の騎士が、黒い化け物目掛けて突撃する。

死の騎士の突撃を避けた化け物は、そのまま死の騎士の首を切り落とし、そしてもう一撃加えることで、食いしばりもろとも消滅させる。

 

「耐久は低い代わりに攻撃力が高いタイプか…だったら!《魔法三重化・魔法の矢》!」

 

ホーミング性能を持った魔法の矢弾が、黒い化け物の四肢を吹き飛ばす。

しかし、体のほかの部位が、失った四肢の代わりとなり、勢いよく伸びた黒い蔓が、モモンガの体に迫る。

 

バァン!

 

モモンガの体に迫った蔓が、男の放った弾丸によって迎撃される。

 

「《火球》…耐久は30レベル程度、攻撃力は50レベル近い…死の騎士とは、ちょうど真逆だな。」

 

驚いた黒い化け物が硬直したところへ、モモンガの放った火球が直撃する。

 

「おい、骨の兄ちゃん…誰だかはわからないけど、ひとまずは味方ってことでいいんだな!?」

 

同胞が炭化させられたのを見て、もう一体の化け物が後退りしたように感じた。

 

「あぁ。そうだ…さて、聞きたいことがいろいろあるが、ひとまずは残った一体を片付けるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
放浪者を助け、バックルームを探索し、データベースを通じて放浪者に危険なレベルなどの情報を提供する組織。













モモンガさんが若干弱体化していますが、まぁ原作ブレインvsコキュートスで仄めかされたように、オバロ現地世界にはシステムがありました。しかしバックルームにはそのシステムがない分弱体化してる、ということです。レベルって概念がないから攻撃無効系パッシブスキルが働かない、とかそんな感じです。


本作品ではウィキドット版、ファンダム版ともにいいとこ取り…というか私の好きなレベルが採用される感じです。
続くなら、ですが



今回行ったレベル

level0 「The Lobby」「Tutorial Level」
https://backrooms.fandom.com/wiki/Level_0

http://backrooms-wiki.wikidot.com/level-0

The void

https://backrooms.fandom.com/wiki/The_Void

参考
http://backrooms-wiki.wikidot.com/

https://backrooms.fandom.com/wiki/Backrooms_Wiki

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