魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜   作:D-5

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エンゲル係数を上昇させる女!ギンガ!


第11話

「ここが108部隊の隊舎か………」

 

「うん、正式名称は陸上警備隊第108部隊。私たちが配属される部隊だよ」

 

 あの空港火災事件から数週間、俺たちは陸士訓練校を無事卒業し、正式な管理局員となった。

 まあ、これから本番ってことでしばらくは研修期間みたいなもんらしい。だが気を引き締めないとな。

 

「確かお前の親父さんがいるんだよな?」

 

「うん。お父さんが部隊長なの」

 

「そうか」

 

 まさか卒業してまでギンガと同じで、しかもその親父さんがいる部隊に行くとは思っていなかった。

 なんでも新人確保争いの中ギンガの親父さんが様々な手を尽くして俺らを確保したらしい。娘を他所に出したくなかったんだろうな。俺は多分オマケなんだろう。

 

「でも、卒業式の時凄かったね」

 

「言わないでくれ、思い出したくない」

 

 そう、卒業の日。

 

 

 

 ~~~~~~

 

 

 

「「ヴェント(ちゃん)!!」」

 

「うおっ!?」

 

「何でお前は海に来ないんだ~、俺たちは運命共同体だろ~~」

 

「お別れなんて嫌よ~~~~」

 

「は、離せ!カカオ、海に行くのはお前の意思だろ!てかスカウトされたのはお前等なんだから当たり前だろ!そしてジョニー!貴様は俺の制服のボタンを根こそぎ持っていこうとするな!これまだ着るんだぞ!!」

 

「「ヴェントォ(ちゃん)~~~!!」」

 

「放せ!!」

 

「ぐへぇっ!?」「ぶるぅぁ!?」

 

「「・・・・・・・・・・ヴェントォ(ちゃん)~~~~~!!」」

 

「うっとおしいわ!!」 

 

 

 ~~~~~~

 

 

 こんな感じであのやり取りを何十回もやらされたのだ、涙と鼻水塗れの二人が迫ってくるんだぞ、恐ろしさしか無いわ……。

 

「でも意外だったよね、今年の卒業生の半分が海行きだって」

 

「そうだよな、教官が言うには例年じゃありえない数字だったらしいぞ」

 

「そうなんだ」

 

 今年、俺達の同期の訓練生なのだがここ数年の中じゃ一番の出来だったらしく、成績上位のペアだった者は軒並み海の方に持っていかれてしまったのだ。

 カカオ達もそうだ、あいつ等は結果的に主席ペア卒業した為いの一番に海からスカウトが来た。

 まあ、あの二人は既に犯罪者との実戦も経験しているし才能もあるからな……海に行っても十分やっていけるだろう。

 ちなみに俺達は成績五位のペアだったがスカウトが来なかった。

 いや、正確に言えば俺にだけ来なかったのだがな。ギンガには幾つもの部隊から勧誘があった。

 大方俺は魔力保有量の少なさではぶられたのだろう。まあ、海に行きたいとは思わないがな。

 

「まあ、突っ立てないで行くか」

 

「あ、うん。そうだね」

 

 で、勧誘されたギンガだったが何故か俺が誘われなかったことに怒っていて全て蹴ったらしい。

 勿体無いことをしたと思ったが、ギンガは悔いはないと言い切り、そしてジョニーと一部の女子たちがニヤニヤと笑っていた。

 まあ色々あったがギンガとのペアは解散せず正式に部隊でもコンビを組む事になったわけだ。

 自動ドアを潜り中に入るとそこには一人の男性局員が立っていた。あの人は……。

 

「お、来たか。指定時間十分前、まずは合格か」

 

 この人俺達を待っていたのか?とりあえず敬礼しておこう。

 

「本日付けで陸士108部隊に配属となりましたヴェント・カグラ三等陸士であります。よろしくお願いします」

 

「お、同じくギンガ・ナカジマ三等陸士であります」

 

「陸士108部隊ゲンヤ・ナカジマ三佐だ」

 

 ……え?ナカジマ?あ、ああっ!そ、そうだこの人ギンガの親父さんじゃねぇか!

 ま、まさか部隊長が新人の出迎えに来るってそういうことだよ!?

 

「君達の入隊を歓迎するぞ」

 

「「は、はっ!」」

 

 ナカジマ三佐の敬礼に俺たちはさらに背筋を伸ばす。な、なんか緊張する。

 

「ま、堅苦しいのはここまでにしてだ」

 

 ナカジマ三佐はニヤリと笑い敬礼を解く。ネクタイも緩めて楽な格好になった。

 

「よく来たな、陸はいつでも人手不足なんだ目一杯扱き使ってやるからな覚悟しろよ」

 

「「はい!」」

 

「じゃあ、まずは二人ともIDカードの更新してこい」

 

「IDカードの更新?えっと、それってここでできるんじゃないんですか?」

 

 配属される部隊でできるって聞いたがそれじゃダメなのか?

 

「どういうことですか?おとうs……ナカジマ三佐」

 

「お父さんでも構わねぇぞ、今いるのは俺たちだけだからな」

 

「も、もう!お父さん!ケジメはつけなきゃいけないでしょ!」

 

 おい、ギンガ、戻ってる戻ってる。

 そのことに気づいたギンガは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 そんなギンガを俺とギンガの親父さん…ナカジマ三佐は見ながら苦笑してしまう。

 

「そうだな、ケジメつけないとな~」

 

「あ、頭撫でないでよー!」

 

 頭を撫でられ髪のセットがーと嘆いているギンガであったがその顔は笑顔だった。

 そんな親子のやり取りを見ながら俺は質問をする。

 

「えっと、ナカジマ三佐それで何故ここでできないのですか?」

 

「おっとそうだったな。いや、IDカードの更新機が半年ほど前から故障しちまってな。相当古いやつだったからな、騙し騙し使ってたんだが遂に寿命がきやがったんだよ。交換しようにも時間も費用も掛かるからずっと替えれずじまいだ」

 

「そうですか」

 

 機材が古くて騙し騙し使うのは陸ではよくあることだった。唯でさえ資金は海や空の方に持っていかれるので陸の何処の部隊も何時も金欠状態なのだ。

 

「面倒なことさせてすまんな」

 

「いえ、そういうことならわかりました。では先にそちらに向かいます」

 

「ああ、そうしてくれ。少し遅くなっても構わんからな」

 

「了解しました。行くぞギンガ」

 

「あ、うん。それじゃあ行ってきますお父さん」

 

「おう、行って来い」

 

 そう言い俺達を送り出すナカジマ三佐。ところでギンガ、呼び方がお父さんになってたぞケジメはどうしたケジメは。

 まあ、さっさと行ってIDを更新しないとな。じゃなきゃ入隊したことならないしな。えっと場所はっと……。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ふぅ………ようやく終わったな」

 

「そうだね」

 

 IDの更新も終わり隊舎に戻るため俺たちは街中を歩く。予想以上時間が掛かったな、まあ受付の待つ時間の方が長かっただけだけどな。

 

「でも、これで私たちも立派な108部隊の一員だね」

 

「そうだな、でも認められるにはちゃんと頑張らないといけないぞ」

 

「わかってるよ」

 

 これから頑張らないとな、まあ最初のうちは下っ端の仕事ばかりだけどな。

 と考えながら歩いていくうち大通りの広場に差し掛かった今日は一般的には休日なため人通りも多く、所々で店も出ていた。

 

「ねぇヴェント君、お腹すかない?あそこの露店でホットドッグ買わない?」

 

「ん?ああ、そうだな。そろそろ昼時だな……買うか」

 

「じゃあ、私買ってくるね」

 

「おう」

 

 ギンガのやつ目が輝いてたな本人は否定してるけどやっぱアイツって食いしん坊キャラだよな……何個くらい買ってくるんだろうか……。

 と、ギンガを待っていると道の向こうが騒がしくなった、なんだ?

 

「ひ、引ったくりよーー!」

 

「ど、退きやがれ!」

 

 引ったくりだった。

 騒ぎのする方向から一人の男が女性物のハンドバッグを持ち走っていた。しかも男は空いた手には刃渡り十五センチ程のナイフが握られていてそれを振り回し通行人を脅し退けていく。

 

「こんな密集してるところで刃物振り回すんじゃねぇよ、たくっ」

 

 俺は駆け出し男の前に出た。

 

「管理局だ、大人しく刃物を捨て投降しろ」

 

 まずは警告しておくが大抵の場合は……。

 

「そこを退きやがれ!」

 

 まったく聞く気もなくナイフを振り回しながらこっちに突っ込んできた。はぁ……初日からこれか…一応ココは108の管轄外なんだよな、でも無視するわけにもいかないから。

 

「あああああ!!」

 

「よっと」

 

 男がナイフを持つ手を素早く掴み取り後ろに回って間接ごと腕を捻った。

 

「イデデデデデ!?」

 

 手を捻られた男の手からナイフが滑り落ちる、それを確保し、離れた所に投げる。後は地面に倒して拘束してっと……。

 と、そこでようやくギンガが戻ってきた。

 

「ヴぇ、ヴェント君大丈夫!?」

 

「おう、何も問題はねぇぞ。あ、そうだところでギンガ」

 

「え、何?」

 

 ギンガ持ってればいいんだけどな………。

 

「手錠持ってねぇか?俺持って来ないんだが」

 

「あ、ゴメン。私も初日だから持ってない……」

 

 マジか、仕方ない。バインドでいいか。俺のバインドは爆発するからギンガにかけてもらった。

 

「じゃあ、掛けてくれ。罪状は窃盗と質量兵器所持でいいと思う」

 

「う、うん、わかった。えーと、窃盗と質量兵器所持の現行犯であなたを逮捕します」

 

「ち、チクショーーーー!!」

 

 バインとで簀巻きにされた男の惨めな叫びが広場に木霊する、そして次の瞬間には捕物終了を賞賛する市民からの拍手の雨だった。

 何だか恥ずかしさを覚えながら、俺は考えていた。帰ったら仕事増えるだろうなーと。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ハッハッハ、入隊初日から大活躍だなお前等」

 

「もう、笑わないでよお父さん!大変だったんだから」

 

「すまんすまん」

 

 あの後引ったくり犯を引き渡してから引き渡しやら報告書やらで疲れ果て、初日を終えた俺らはナカジマ三佐に連れられ隊舎の近くにある居酒屋に来ていた。

 

「カグラも遠慮すんなよ。じゃんじゃん頼め」

 

「す、すみません、俺までご馳走になってしまって」

 

 何故か連れて来られた俺は正直ココにいていいのかと困惑していた。

 

「ん?ああ、気にすんな。いつもギンガが世話になっている礼と今日の活躍のご褒美だ。それにお前とは一度じっくりと話してみたかったからな」

 

「は、はぁ……」

 

 話ってもしかして、昔のことか?やっぱ三佐は気づいてるんじゃないのか………だからじっくりと話したいってわけか。

 

「むぅ、お父さん聞いてるの!」

 

「おうおう聞いてるぞ、なんだおかわりか?頼むからいつもみたいにバクバク食わないでくれよ。今月はちと金欠で……」

 

「そ、そうじゃないよ!もうっ!」

 

 顔を真赤にしたギンガは立ち上がる。何処行くんだ?

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「お手洗いです!!」

 

 頬を赤くして早足でトイレに行ってしまったギンガ、やっぱり仲いいなこの親子、俺も親父がいたら……それはないか親父ってヒモだし無理だわ。

 

「カグラ」

 

「は、はい」

 

 二人になった途端ナカジマ三佐の声は真剣みの帯びたものになった。

 

「ギンガにスバル、何度も助けてくれありがとう。礼を言う」

 

 ナカジマ三佐は頭を深く下げた。

 

「あ、頭を上げてください三佐!助けたって言っても殆ど最後は他人任せでしたし」

 

「それでも助けたのには変わりないさ。お前は何度も娘たちを守ってくれた、何度も礼を言いたかったんだ。だから本当にありがとう」

 

 上官としての立場ではなくてギンガとスバルちゃんの父親として俺に感謝しているんだ、この人は……無碍に出来ないな。

 

「………わかりました。お気持ち受け取ります」

 

「ああ……さて、湿っぽいのはこれで終わりだ。本題だ」

 

 これが本題じゃなかったのか……ということは。

 

「シルフィは元気か?お前さんと直接話すのはこれが初めてだったが、お前のことはいつもクイントから聞いてたぞ」

 

 ああ、やっぱりこっちのことか。

 

「さすがに分かってましたか」

 

「ギンガは覚えてなかったみたいだが、俺は覚えてたぞ。まあギンガからお前の名前が出てきた時は驚いたがな」

 

「そうですか」

 

 俺達は緑色の豆に舌鼓を打ちながら会話を続ける。

 

「ギンガはずっと初対面だ思っているが……言わないのか?」

 

「ええ、タイミングを逃したのもありますけど……その内話すつもりです」

 

 クイントさんとの関係はギンガの中で整理がつくまで話さないつもりだ。

 

「そうか…ところでシルフィ、お袋さんは元気か?」

 

「ええ、元気ですよ。毎日仕事でバタバタしてますよちっちゃい体で」

 

 今日も会議がーってメール着てたな。そういえば。今度休暇貰っときに会いに行ってあげよう。

 

「ハハッ、そうか相変らず小せぇのか。いつまでも大きくならねぇみたいだな」

 

 母さんは言ってなかったけどナカジマ三佐も同僚かなんかだったのだろうな、三佐は母さんの話をする度に昔のことを懐かしんでいるように見える。クイントさんがいた頃の事を思い出しているんだろう。

 

「毎年、アイツの命日に花をやってくれてるのはお前だろ?」

 

「はい、母さんの分も一緒に持ってってます」

 

 毎年ナカジマ家に鉢合わせないようにしながら朝早くに出てクイントさんのお墓に花をやっているのもこの人は知っていたようだ。

 

「ありがとな、アイツも喜ぶぞ。お前のこと気に入ってたからな」

 

「そうですか」

 

 あの人のことだから絶対茶化してきそうだけどな。

 

「まあ、これからもよろしくな。同じ職場なんだ、相談くらいには乗るぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「なんかしんみりしちまったな、親父!熱燗一つ」

 

「あいよ!」

 

 ナカジマ三佐は店主に酒を注文した。しかしいいのか?明日も勤務あるよな、大丈夫なのか?

 

「ホイッ、熱燗だよナカジマさん」

 

「おおっ、これこれ……親父、猪口もう一つくれ」

 

「あいよ」

 

 コトッともう一つ置かれる猪口、なんで二つも必要なんだ?

 

「ほれ、お前も飲め」

 

「え?い、いや俺は未成年ですし」

 

「いいってんだよ、俺がお前の年頃には酒なんか水のように飲んでたぞ」

 

 いや、管理局員が未成年に酒を進めるなよ。

 

「あ、あの………」

 

「それとも何か、俺の酒が飲めねぇのk……オゴァ!?」

 

 突然ナカジマ三佐が奇声を上げて机に倒れこんだ、な、何が起こった。

 

「お父さん、何やってるのかな?」

 

 後ろを振り返るとギンガがすごくいい笑顔で、しかも拳を握って立っていた、正し目は笑っていなかった。

 

「ぎ、ギンガ……お前今本気で、殴らなかったか……」

 

「うん。未成年にお酒を飲ませようとする人に手加減はいらないから」

 

 こ、こえぇ…しかも本気ってお前の力って下手したら俺より強いんだぞ、そんな力で殴られた三佐は大丈夫なのか?

 それにしてもギンガの笑顔がこえぇ……。

 

「お、親父……今日はツケで……」

 

 そう言い残し三佐は気絶した。

 

「はぁ……ごめんねヴェント君。私がいなかった間迷惑かけなった?」

 

「ん?あ、ああ、大丈夫だ、少し男同士の話をしてただけだ」

 

「それならよかったけど………もう、お父さんったら………罰としてお腹いっぱい食べてやるんだから!」

 

「いや、それはやめたほうが……あ、はい。何でもないです」

 

 そんなことをしたらナカジマ三佐の財布が大変なことになってしまう……んだが、ギンガの目が据わっていて反論できない。すみません三佐、俺には止められません。

 

「すみません!メニューのここからここまで全部ください!」

 

 ……これはしばらく三佐は水だけで過ごすことになるかもしれない……そうなったら昼食くらいは奢ってあげよう。うん。

 そして結局ギンガは食べに食べて会計の時に見た金額は凄まじいことになっていた………俺はただナカジマ三佐に合掌するのみだった。

 

 

 ◆

 

 

「ふぅ…疲れたな………」

 

 何とか三佐を三佐を部屋まで送った後、俺は宛がわれた自室に辿り着いた。

 部屋割りの関係で俺は偶然一人部屋となったのだが今までが騒がしかったぶん少々寂しくはあるな。

 まあ一人の方が気を使わなくていいんだけどな。

 まだ荷解きはしてなくダンボール箱だらけだが元は二人部屋だから広く寝るスペースは十分ある。

 

「明日も早いし寝y、あれ?メールか」

 

 カカオ達からか?だとしたらどうせ変なことしか書いてないだろ……って母さんからか。

 内容は短めく『頑張れ』としか書いていなかった。

 

「母さん、もうちょっと書こうよ」

 

 でもそれだけで頑張れる気分になる俺も現金なのかね?

 通信はできないだろうしメールだけ書いておこう。今日起きたことやギンガのことやナカジマ三佐のこととかを。

 書き終わったら寝よう、明日のために。

 

「さて、明日も頑張りますか。じゃあ、お休み………」

 

 緊張して疲れたこともあってかすぐに眠りにつけたのだった。

 

 

 ◆

 

 

 翌日、高額の領収書を見て真っ白になっているナカジマ三佐を発見し、目をそらしたの俺は悪く無いと思う。

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