魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜   作:D-5

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第12話

「や、どうもお久しぶりです」

 

「………」

 

 ふと気が付いたら俺は真っ白な空間に立っていた。

 そして目の前には茶髪で日サロにいったような焼けた肌をした男。

 随分と懐かしい場所だ、ここに来たのは十数年ぶりか?

 なんて事も思うが今の俺がする事はただ一つ……。

 

「とりあえず一発殴らせろ」

 

「え?ちょ、いきなり何を、って、ギャァあああああああ!!」

 

 人の睡眠の邪魔をするなぁーーーーーーーー!!!

 

 

 

 ◆

 

 

 

「スマン、六徹後にようやく取れた、貴重な仮眠の時間だったんだ。許せ」

 

「能力付きの全力パンチを叩き込んだのに許せるわけないでsh…あ、いえ何でもありませんよ、だからその握った拳を解いてください。いくら神様でもあれは痛いんですから!!」

 

 しかしココに来たのは本当に久しぶりだな。真っ白なのは相変わらずか。

 

「で、何で俺をココに呼び出した。まさかまた死んだとかふざけた事は言わないだろうな」

 

「いえ、あなたはちゃんと生きてますよ!まぁ………毎日死にそうになるまで仕事をしてるみたいですけど…」

 

「……………ああ」

 

 陸の部隊はいつも人材不足で大変だとは聞いていたが、まさかここまでブラック企業だとは思ってもいなかった…………。

 事務仕事に関しても報告書一枚書いている内にファイル一冊増えるのは当たり前で、過労によって倒れるのは日常茶飯事、それなのに給料は少ない…………普通なら訴えれば勝てるレベルのブラック企業だった。

 俺とギンガも入隊早々大量の仕事を渡され過労で倒れたのは懐かしい記憶だ。

 それに出動回数多いし、戦闘多いし………あれ?涙が出てきた。

 

「そんな事はどうでもいい、それより用は何だ」

 

 どうだ、睡眠時間をこれ以上減らしたくはないんだよ!

 

「分かりました、では手短にお話しましょう。○○さん…………いえ、今はヴェントさんでしたか、あなたが転生する際にやった特典ルーレットのことを覚えていますか?」

 

「ルーレット?ああ、あったなそんな事。で、それがどうした?」

 

 実際、緊急時の際には使わせてもらっているぞ、それ以外のときは使わないようにしているがな、まだ力の調整が甘くてな、要練習だ。

 

「いえ、ヴェントさん特典は二つだったのを覚えておられますか?」

 

「ん?二つっていうと…………魔力の形状変化と高速収束だろ?」

 

 俺が貰ったのはこの二つだけだったはずだが、後は前世の妹の幸運に使ってもらった筈だが…………。

 

「あ、やっぱり勘違いなさっていましたか…………」

 

「勘違い?どういうことだ」

 

「いえですね、ヴェントさん。あなたの言った能力は特典じゃありませんよ」

 

「え?そうなのか」

 

 ん?じゃあ、あの力は一体………。

 

「あ、訂正します。一つは形状変化であっていますよ。ただそれは力の片鱗でしかありません。収束能力もその一部です」

 

 アレで片鱗なのかよ!?てか別だと思ってのが実は一つだったとは……お、俺にどんだけの才能が眠っているんだ……。

 

「じゃあ何なんだ?もう一つの能力って」

 

「それを今から説明させてもらいます。えーヴェントさんのもう一つの特典能力、それは『魔力結晶化』です」

 

「魔力結晶化?それって文字通り魔力を凝縮して結晶化させるってことだよな?」

 

 ロストロギアで魔力結晶とかよく見るがそれと同じ類のものか?

 

「その通りです。ヴェントさんにはその能力が備わっているのですよ。使い方はですね………」

 

 それから小一時間ほどチャラ男から能力のレクチャーを受けた。要約すると

 

・使用者の魔力を結晶化する事が可能。

・結晶は自然消滅することはなくストックする事が可能。

・結晶の大きさは消費した魔力に比例して大きくなる。

・魔力の開放は微量の魔力を撃ちこめばいい。

 

 との事だ。

 

「ところで使用方法はどうすればいいんだ、結晶作っただけでおしまいって訳じゃないだろ?」

 

「はい。ちゃんと使用できますよ。使用方法は簡単です、使用する際に使用したい魔法の術式を選択して結晶に込めるだけで使用可能です」

 

「それだけか?」

 

「はい、親切設計なのですよ。あっ、それと使用する魔法によっては大量の結晶が必要となりますので注意してくださいね」

 

 なるほどつまり砲撃魔法や大規模魔法とかになると使用魔力に比例して数が必要となるって訳か……。

 

「よし、大体理解した。次は作り方を教えてくれ」

 

「作り方も簡単ですよ、ただ掌に魔力を集中しておけば勝手に精製されますよ。今までヴェントさんはそれに近い方法をやっていましたがそれは拳にでしたからね、だから今まで気づかなかったんでしょうね」

 

 そうなのか、確かに何時もは拳を魔力でコーティングするだけだったもんな。じゃあ試してみるか。

 

「あ、時間のようです」

 

 チャラ男がそう言うと周りの景色が歪み始めた。

 

「そろそろお目覚めの時間のようですね。ではヴェントさん、次会うときはあなたが寿命を迎えたである事を望んでいますよ」

 

「ああ、世話になったな」

 

「いえいえ、アフターケアですよ。ではさようなら」

 

 チャラ男が手を振り世界が暗転したと思った次の瞬間、俺は目を覚ました。

 

 

 

「…………」

 

 無言で起き上がり目覚ましを確認すると時間は丁度交代時間手前だった。

 疲れは大分取れたがずっと起きていたかのような感じがして何か変な気分だ。それ以前にあれは本当にチャラ男からの干渉だったのだろうか、もしかしてタダの夢だったりしてな。

 

「……試してみるか」

 

 夢の中での話が本当だったか確認するために実践する。掌に魔力を集中させる、纏わせるんじゃなくて掌の真ん中に集める感じで。

 この行為を集中してやること数分、握った掌の中に何かを物を感じた、手を開くとそこには……。

 

「本当だったか……」

 

 ビー玉サイズのような丸い結晶があった。本当にできたという驚愕よりも俺が思ったことは…………。

 

「あー、申請どうしようかなー」

 

 レアスキルになるよなこれって………はぁ、メンド。

 手間がとてもかかるレアスキル申請をどうしようか悩んでいたのだった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 となんやかんやで数ヶ月経った。

 

「ん~、久々の休暇だぁー」

 

 ブラック企業以上の勤務を耐え向いた俺にようやく休暇が来た。

 申請自体はしていたのだが中々受理されず自分でも忘れていたほどだ………実を言えば申請すら忘れ去られていたみたいだが。

 

「さて、今日は何をするか。母さんに会いに行く……は仕事の邪魔になるだろうから却下で、一日中部屋でダラダラと……ていうのも時間が折角の休みが勿体無く感じるな………」

 

 何をするか悩むこと数秒、結局はいつもの休暇と同じことをすることにした。

 

「久々にパーツショップ巡りだ」

 

 そろそろデバイスのフルメンテの時期だからな。

 いや、一応隊にもデバイスマイスターはいるんだけが。俺は手早く着替えを済ませ財布を持ち寮を出た。

 途中、今日は仕事の先輩方から呪詛めいたお言葉を貰ったが気にしない事にしよう。次の休暇まで頑張って下さい。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……大量大量!」

 

 いやーまさか欲しかったパーツが中古で出回ってるなんて思いもしなかったぜ。

 

「少々値が張ったがこれで魔力循環効率が少しは改善されるだろうな」

 

 いやーいい買い物をした。とそんな事を思いながら歩いていたら。

 

「うおっ!?」

 

「キャッ!」

 

 注意力が散漫だったのか女の子とぶつかってしまった。俺は倒れなかったが女の子のほうは尻餅をついて地べたに座り込んでしまった。

 その周りには彼女が買ったであろうアイスがもったいないことに地に落ちてしまっていた。

 

「すみません、大丈夫ですか?」

 

「あ、は、はい!大丈夫です!ってあれ?」

 

「ん?あっ……」

 

「スバルちゃん?」「ヴェントさん?」

 

 うわぁー偶然ってあるもんだなー。

 

 

~side Teana~

 

 

「ティアティア!この人がヴェントさんだよ」

 

 両手にアイスを持ったルームメイト兼私の相棒が騒がしく帰ってきた、隣にはギンガさんと同じくらいの年齢の男の人を連れて。

 スバルは器用に腕を絡ませて彼を引っ張る。

 あの人がヴェント・カグラさんか……スバルから話は聞いていたけど正直な感想はあまり凄そうな人には見えなかった…。

 

「ちょっとスバル!少しは静かにしなさいよ、まったく……」

 

「って、え?ヴェント君?偶然だね」

 

「よっ、奇遇だな」

 

 ギンガさんと軽く挨拶を交わすカグラさん。

 随分と仲良さそうね、関係は恋人……って感じでもなさそうね。スバルも分からないって言ってたし……一体どんな関係なのかしらね、気になる。

 

「えっと、初めまして。ヴェント・カグラだ、よろしく」

 

「あ、はい、ティアナ・ランスターです。よろしくお願いします」

 

 カグラさんが差し出した手を握り握手する。

 落ち着いている人だな…私よりひとつ上だっけ?なんか凄く大人って感じがする。アイツ『・・・』とは大違い。

 

「で、今日は三人で買い物か?」

 

「はい、そうなんですよ!今日はティアも誘って!」

 

 半場無理やりだったけどね、この子こっちが頷くまで延々と誘い続けてくるから頷くしかなかったわ。

 

「そうか。ところでさ」

 

「はい?」

 

「あそこにいるのって君たちの知り合い?なんかずっとこっちを見てるけど」

 

 あそこ?カグラさんが視線の先には休日にまで会いたくないアイツがいた。かんべんして欲しいわ……。

 

 

 

 ~~side vent~~

 

 

 

「何でアンタがココにいるのよ!」

 

「俺は偶然ここにいるだけだぞ。何で怒っているんだ、あ、分かったぞ俺と会えて嬉しいんだn」

 

「うっさい黙れこのストーカー!」

 

「ハッハッ、ティアナはツンデレだな~」

 

 ランスターさんが銀髪の少年に暴言をはくのだが、少年とまったく会話が噛み合っていない。

 一応知り合いみたいだな……仲はどうなのかは置いといて。

 

「スバルちゃん、彼は………」

 

「あ、あはは。えっと……彼は私たちと同じ訓練校のゴッド君です」

 

「へぇ、仲はいい………わけじゃなさそうだね」

 

 ランスターさんの反応から見るからに相当嫌悪しているっぽいな。

 それにしてもゴッドだったけか?奴は一方的に好意をぶつけているだけにしか見えない。

 

「はい……入学当時からずっとティアナに付き纏ってきてて……」

 

「へ、へぇ~」

 

 ずっとアレの相手をしてたのかランスターさんは……ご愁傷様だ。

 

「そんなに悪い人じゃないんですけど、ずっとあんな感じなんで、私もちょっと苦手です……」

 

「そうなのか……」

 

 でも小さい頃と違って明るくて大体の人と仲良くできるスバルちゃんが苦手って……。

 

「ところでスバル、ストーカーってどういうこと?」

 

 お、ギンガ、良い質問だ。そのことは俺も聞こうと思ってたんだよ。

 

「ええと、ゴッド君って何でか、何時も私たちがいるところにいるんだよ」

 

「それってタダの偶然なんじゃないのかな?」

 

「私もティアも最初はそう思ってたんだけど。何回も何回も同じことが続いて……挙句の果てには私達の寮部屋で喋った内容まで知っている始末で……」

 

 それは完全にストーカーだわ。

 

「そ、そうなんだ……」

 

 俺たちは無言でランスターさん達の方を見る。

 あ、ランスターさんがゴッドの腹にボディーブローをかました。しかも良い角度で入ったしアレは内臓にもダメージあるぞ。

 でも直ぐに起き上がってちょっかいを掛けてくる。

 ……頑張れランスターさん、その手の相手は粘着質だから大変なことになるだろうけど。

 

「じゃあ、俺は行くわ」

 

 女三人の中に男一人ってのもきつそうだからな、早々に撤退しよう。

 

「え?一緒に行きましょうよ~ヴェントさん」

 

「もう、無理言わないのスバル!ヴェント君にだって予定があるんだから。ごめんねヴェント君」

 

 さすがギンガ、ちゃんとスバルちゃんを止めたな。

 

「いいよ、スバルちゃんまた今度誘ってくれ」

 

「わかりました、また今度誘いますね!」

 

「ああ、ランスターさん……忙しそうだし、よろしく言っといてくれ」

 

「分かりました」

 

 ランスターさんとゴッドの言い争いはまだ続いている。挨拶はできないがまあ、いつか会えるだろう。

 俺は俺で休暇を楽しむさ。

 

「じゃあな」

 

「またね」

 

「はい、また!」

 

 と二人に軽く手を振り歩き出す、とその時。

 

「ん?」

 

 急に視線を感じ後ろを振り向いた、すると視線の先にはゴッドが俺を鋭い目付きで睨んでいた……が、それは一瞬ですぐに戻ってランスターさんにちょっかいを掛け始めた。

 ………俺に何かあるのか?まあ考えていても仕方ないしさっさと立ち去るとするか。

 俺は適当に街をブラつき休暇を満喫するのであった。

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