魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜   作:D-5

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第14話

◆ 新暦75年二月・ミッドチルダ西部

 

 

「えへへ~、ヴェントと一緒のお休み~♪」

 

「か、母さん、離れて歩いてよ……………」

 

 久々に取れた休暇。そして偶然休日の重なった母さんは俺と一緒に買い物にきていた。

 隣を歩く母さんは俺の腕に組み嬉しそうにしているんだが…………。正直恥ずかしい。

 

「だって嬉しいんだも~ん♪」

 

「まったく、子供じゃなんだから」

 

 見た目は子供なんだけどな。

 ………………しかしずっと見た目中学生のままなんだよな、母さん。俺が産まれてから十七年経つけどずっと変わらない、まさか不老の魔法でも存在するのか?……………うん、深く考えないようにしよう。

 

「あっ!ヴェントヴェント今度はこっち!」

 

「はいはい」

 

 母さんに腕を引かれて行く。

 まあこれも親孝行か………………今日はちゃんと付き合ってあげよう。

 

「ねぇねぇヴェント、どれがいいと思う?私はね」

 

「分かったから落ち着こうね母さん」

 

 二人でウィンドウショッピングを楽しんでいるとサイレンの音が耳に入る。通り過ぎて行くパトカー、その側面にはられた隊章は…………。

 

「あー……」

 

 デバイスから鳴り響く通信コール…………どうやら休日返上のようだ。

 

「ごめん母さん、仕事だ」

 

 

 

~~Side Ginga~~

 

 

 

 ヴェント君がお休みで、今日の私は交通課の先輩と一緒のパトカーでパトロールに出て、そして事件が起こった。

 うちの管轄内で銀行強盗が発生した。犯人たちは多額の現金を強奪し現在車両で逃走中。そして厄介なことに犯人たちは質量兵器で武装していた………。

 この時私と先輩のパトカーは一番近い位置にいたので直ぐに急行、犯人たちの車を追跡を始めたのだった。

 

 犯人たちの車と私たちがのったパトカーが交差点をドリフトする。

 道路にゴムが擦れる音と共に車体が大きく揺れる。そして私の乗ったパトカーが前を行く車を追いかけていく。

 

「そこの車、止まりなさい!!」

 

 私が拡声器を用いて前方の車両に警告する、でも車は止まる気配はなく速度を速めていく。

 

「先輩!もっと速く!」

 

「ぎ、ギンガちゃん無茶言わないで!こっちはミニパトなのよ!!それにこっちも速くしたら事故に繋がっちゃうわよ!!」

 

「でもこれじゃ逃げられちゃいますよ!!」

 

「そうだけどっ!」

 

 犯人たちの車は赤信号を無視しながらの危険か運転で進んでいく、それに比べてこっちは二次被害がないように気を付けながら追跡しなければいけない、応援を呼んでいるけどまだ来ていない。

 

「今はこの距離を保ちながら応援が来るのを待つしかないわ、しっかり掴まってなさい!」

 

「はいっ!」

 

 逃がさないんだから!

 

「ん?通信?ギンガ出て!」

 

「はい、こちら五号車……え?りょ、了解!」

 

 108本部からの通信だったけど、これって………。

 

「何て?」

 

「え、えっと、犯人の車両を第七埠頭まで誘導しろとの事です」

 

「え?」

 

 い、一体何をしようというの?

 

 

 

~~Side Vent~~

 

 

 

 

『よし、それじゃあ後はお前に任せるぞ。誘導はこちらがやる』

 

「お願いします、ナカジマ三佐」

 

 連絡はやはり休暇返上の催促だった。

 発信者は先輩であるカルタス三尉。三尉から状況を聞き把握し終えた所だ。しかし質量兵器で武装した銀行強盗か……厄介そうだな。

 作戦内容は追い込んで一気に殲滅、逮捕の流れで行くらしい。作戦立案はナカジマ三佐、内容は完全に俺がいることを想定した作戦だった。

 

『頼むぜ、カグラ』

 

「わかりました。それじゃポイントに急行します」

 

『分かった、脚は一台そちらに向かわせてある』

 

 よかった、走らずに済んだ………だが。

 

「あ、ところで三尉、これって休日手当てか代休って…………」

 

『それじゃあ頑張れよ!』

 

 言い切る前に通信を切られたよ。これじゃあ代休は望み薄かね……ハァ。

 落ち込んでてもしょうがないかさっさとポイントに向かおう。

 

「ゴメン母さん……」

 

「いいわよヴェント、お仕事なんだし。気にしないで悪いのはゲンヤ君だから………」

 

 母さんの周りの空気が突然重くなる。そしてその笑顔は笑ってるけど笑ってなかった。三佐、南無。

 

「じゃ、じゃあ俺行くから!買い物はまた今度で!!帰りも気を付けて!」

 

「ええ、いってらっしゃい。ちゃんと一人で帰れるから心配しないでね。フ、フフフフフフフフ…………どうしてあげようかしらね~ゲンヤ君」

 

 すみませんナカジマ三佐、俺にはどうにも出来ません!俺は振り返らず走るのだった。

 

 

 

~~Side Ginga~~

 

 

 

「そこの車、止まりなさい!!管理局です、止まりなさい!!」

 

 意味はないけど繰り返して呼びかける。でも強盗犯の乗った車はこちらの思惑通り第七埠頭に進んでくれている。

 

『こちらカルタスだ。聞こえるか?』

 

 カルタス三尉からの通信だ。

 

「はい、聞こえてます。目標は現在第七埠頭に向かって進行中。ご指示を」

 

『こちらもマークしている。そのまま追ってくれ、誘導はこちらがする』

 

「了解。………ですがどう止めるんですか、進路を塞いだとしても犯人たちの抵抗は激しいと思いますよ。それに相手は質量兵器を所持してます」

 

 質量兵器相手じゃこちらの被害にもかなりの被害が出る可能性が、一体どうするの・・・・・。

 

『そのことなら大丈夫だ。既にうちの『エース』が待機してる』

 

 『エース』………なるほどそういうことね。

 だったら問題ないか。

 

『今第七埠頭までの誘導ルートを送った、指定されたポイントに逃走車を誘導する。いいな?』

 

 データは………来たっ!廃コンテナ置き場、ここに行けばいいのね。

 

「了解です!………先輩!」

 

「オーケー任せなさい!!フフフ、アルトセイムの豹と呼ばれた私から逃げられると思うんじゃないわよ!!」

 

 え?ちょ、せ、先輩?う、運転が荒くなって…………す、スピードも出しすぎじゃ。

 

「フハハハハハハハ!!」

 

「きゃ、キャアアアアア!?」

 

 た、助けてぇええええええ!!

 

 

 

~~Side Vent~~

 

 

 

『後もうすぐで来るぞカグラ、準備はいいか?』

 

「はい、問題ありません」

 

 仕掛けも設置完了、後は来るのを待つだけだ。

 

『頼んだぜ『エース』さんよ』

 

「その『エース』っての止めてくださいよ。俺ランクCの弱者ですよ。エースってのはAランクのギンガに言ってくださいよ」

 

 俺のこと、隊の皆がそう呼ぶんだよな…俺はそんなの柄じゃないし止めてほしいんだよな………。

 

『何が弱者だ、んなこと言っておきながら検挙率は1………おっと、お喋りはここまでだな、おいでなすったぞ』

 

「ええ、そのようですね」

 

 サイレンの音が近づいてくる。コンテナの影から一台の車が飛び出し此方に急カーブしこちらにまっすぐ向かってくるのが見える。

 誘導は問題無く成功したみたいだな。

 

『しくじるなよ』

 

「了解」

 

 さて、上手い具合に誘導してくれたから設置した罠が無駄にならずにすむな。

 

「残念ながらここが終着点だ…………<Starting>(起動)」

 

 道路の真ん中に中規模の魔法陣が広がる。仕掛けたのは浮遊魔法、設置された魔法陣を踏んだ車は宙へ浮き動きが止まった。

 これで車両による逃走は不可能となる。

 だが車が動かないなら降りて足で逃げればいいと降車しようとする犯人たちを設置しておいた魔力結晶の二つ目の魔法が襲う。

 

《Stun Shock》

 

 人間を気絶させる程度の雷撃が奔る。犯人たちは気絶し、浮遊魔法で浮かぶ、土左衛門みたいだな。

 広範囲の鎮圧魔法を魔力結晶に仕込んで爆弾式にしておいた。電撃付与の術式を後天的に修得するのには苦労したもんだ……それに出力をうまく上げることが出来なくて実戦に織り交ぜるのも難しいしな。

 

「ま、これで鎮圧完了っと」

 

 浮遊魔法を解除して地面に落ちた犯人たちから質量兵器、銃を回収して。手錠を掛けながらカルタス三尉に通信を送る。

 

「あーカルタス三尉、こちらカグラ」

 

『お、終わったか?早いな、さすが『エース』だな』

 

「だからエースっての止めて下さいよ………銀行強盗犯三名、全員拘束しました」

 

『了解した。あともう直ぐで他連中も着く、しばらく待ってろ』

 

「了解です。ところで俺の休暇ってどうなるんでしょうk………」

 

『スマン!隊長が俺を呼んでるんだ通信を切るぞ!』

 

「あ、ちょ………ハァ~」

 

 休暇返上、代休の見込みなし………もう踏んだりけったりだな。

 

「ん、ん~………ハッ!き、貴様放しやがれ!!」

 

「黙ってろ」

 

「あぶぁ!?………」

 

 はい、大人しくしてろ。

 こうしてミッドチルダ西方銀行強盗事件は終了したのだった。

 

 

 

~~Side Genya~~

 

 

 

「そうかい、終わったか。ご苦労、引き続き調査を続けてくれ」

 

 終わったか。

 さすがカグラだな、奴に任せて正解だったぜ。

 アイツは自分のこと過小評価しているが何だかんだでウチの部隊じゃNo.1の逮捕率を誇っている。荒事から捜査までなんでもこなすからな……うちには勿体無いくらいだ。

 

「じゃあカルタス、後は任せたぞ。報告書が纏まったら持って来てくれ」

 

「了解しました部隊長」

 

 俺は優秀な部下に恵まれてるぜ、他の部隊じゃそうそういないぞこの面子は。

 おっと、こんなこと考えてる場合じゃなかったな早く隊長室に戻らねぇと、アイツを待たせちまったることだし。

 

「スマンな、待たせちまって八神」

 

「いいえ、大丈夫です。ナカジマ三佐」

 

 ソファーに座るのは数年前に色々と教えてやった小娘、この数年ですっかりと成長して少女から大人になり、いつの間にか階級も俺を越しやがった。

 そいつが俺に話がると今日訪れたのだ。

 

「事件のほうはもうええのですか?」

 

「ああ、うちのエースがやってくれたよ。で、話ってなんだい、愛の告白か?」

 

「そうそう、ここで愛の告白を……ってなんでですか!ちゃいますよ!」

 

「冗談だよ」

 

 面白い奴だな、ホント。

 ま、冗談はここまでにしてちゃんと話を聞いてやるか。

 

「で、何だ?話してみろ」

 

「ハァ~、遊ばんといてください。実は今日、相談がありまして………」

 

 飽きれていた表情から一転し、いっちょ前な表情に変わった八神。

 さて教え子の相談に乗ってやろうか。

 

 

 

~~Side Vent~~

 

 

 

「ダァ~、終わった~~~」

 

 報告書がようやく書きあがった………。

 

「お疲れ様『エース』さん」

 

「……ギンガ、その呼び方止めろって言ってるだろ」

 

 エースって止めてくれよ、実力で言ったらお前の方が強いだろ。

 

「ふふ、いいじゃない。皆もヴェント君の実力を認めて呼んでるんだから」

 

「そうは言っても、嫌なもんは嫌なんだよ。第一俺はCランクだぞ」

 

「ランクは飾りだって、昔教官言ってたじゃない。それにいつまでもCランクなのはヴェント君が試験メンドクサがって受けてないからじゃない」

 

「誰もメンドクサがってねぇよ。試験の日に限って仕事が忙しいだけだからな」

 

 確かに面倒臭いというのもあるが受けようとしたら強盗が起きたりとか張っていた犯人が動き出したとか、暴力団同士の抗争が始まったとか色々あって参加出来ないんだよ。

 何かに取り憑かれてんのか?いや、単に忙しいだけか………。

 

「だけどエースってのは部隊で一番強い奴のことだろ、それならお前だろギンガ」

 

「数値的な戦闘力だけだったら私の方が強いだろうけど、実戦だとヴェント君には敵わないよ」

 

 まあ、確かに絡めて込だったら、勝てなくもないな……だけどそれでもランクとか様々なところで言ったらギンガのほうがエースでいたほうが部隊の顔にもなるだろうに……。

 なんで俺をエースって呼ぶんだよ……。

 

「はぁ、とりあえず『エース』だけは止めてくれ」

 

「やだよ~♪」

 

「はぁ………勘弁してくれよ」

 

 そう期待されんの好きじゃなぇんだよ。

 とりあえず休暇も返上させられちまったし軽く体動かしてくるか。

 

「お、いたいた!カグラ、部隊長がお呼びだぞ」

 

 立ち上がった所で俺にお呼びがかかった。

 別に問題になるような行為はしてなかったはずだが………とりあえず行ってみるか。

 

「わかりました、今行きます」

 

「お父さん何か用かしら?」

 

「さぁな。んじゃ、行ってくる」

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

「お、来たな。今日はお疲れさん」

 

 隊長室に入るとナカジマ三佐は『よう』と手を上げて俺を労った。

 

「いいえ、たいしたことありませんよ………で、ご用件は?」

 

「ん?おおカグラ、お前に辞令だ」

 

「辞令ですか?」

 

 おいおい休暇返上の上に仕事の追加か?さすがブラックな管理局。

 ハァ……一体どんなのが来るのやら……。

 

「おう、ヴェント・カグラ一等陸士」

 

「はっ!」

 

 さて、どんなのが来るのやら。

 

「二ヵ月後に発足される新設部隊、古代遺物管理部機動六課に一年間、出向を命じる」

 

「はっ!了解しました…………え?」

 

 出向?マジで?しかも古代遺失物管理部機動六課って……。しかも一年って……マジかよ。

 

「じゃ、準備しておけよ」

 

 おいおいマジかよ。何か嫌な予感しかしないんだが……。

 

「よろしく頼むな~、カグラ君」

 

 手を振るのは数年前、うちの部隊に研修に来ていた八神はやて二佐だった…………これは嫌な予感がするぞ………。

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