魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜   作:D-5

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3年近く放置してスマヌ、スマヌ……
もう仕事やら私生活やらで執筆のモチベが上がらなかったんや。
リハビリしながら書いておりますのでこれからも鈍亀行進になると思いますがよろしくお願いします。


第17話

 機動六課に配属されてから約一ヶ月、高町隊長の訓練も本格化していき毎日扱かれ、疲れ日々、だが充実していた。

 そして今日もそのはず……だったんだがな。

 

「フハハ!私は楽しいぞ、カグラ!!」

 

「俺はッ!楽しく、ないですッ…………危なッ!?」

 

 俺一人だけは何故かライトニング分隊副隊長シグナム副隊長とマンツーマンでの模擬戦していた。

 副隊長の剣閃を紙一重で躱す、鋭い一閃の空圧に髪が数本持っていかれる。幾ら非殺傷とは言え一級品の騎士の剣、冷や汗を出てくる。

 

「どうした!避けてばかりでは何時までも終わらぬぞ!!」

 

「っ!ハッ!」

 

 剣と拳がぶつかりお互い弾かれる。その後に続く、終わらない斬撃を拳で弾き、受け流し、時折此方からも反撃を繰り出し繰り返す。

 

「はぁあああ!!」

 

「ぐぅっ!!」

 

 お、重っ…………!上段からの一撃を交差した腕で受けるがさすが生粋のベルカ騎士、とてつもなく重い。これでもリミッター掛かってるというのだから全力出されたらひとたまりもないだろうな。

 

「ぜぁ!!」

 

「くっ!」

 

 受けた剣を腕で挟み、副隊長のガラ空きとなった腹に蹴りを叩き込む。一撃を喰らいふらついたところで追撃に踏み込もうと思ったが踏みとどまる、このまま行ってたらカウンターで切り伏せられてたと察知したからだ。体制崩しても隙がないとかキツすぎだろ。

 

「やるな……だが、この距離は私の間合いだぞ?」

 

「ええ、知ってますよ」

 

 シグナム副隊長のデバイス、真性の古代ベルカ式のアームドデバイス『レヴァンティン』の形態の1つが中距離戦闘が可能なのは資料で知り得ている。

 ただでさえ圧倒的に完成された剣技に加えて、古代ベルカの魔法、俺の持つ技程度なら敵うこともないだろう…。だが、俺には拳《これ》しかないからな、ただ積み上げてきたものをぶつけるだけだ。

 

「………いきます」

 

「ああ、来い!」

 

 魔力を集中し踏み込む、ただ真っ直ぐに。振り下ろされる剣、それを俺は………。

 

「なっ!?」

 

 拳で真っ向から殴った。この人の技量ならば殺傷設定であれば素手を両断されたであろう、だが魔力を拳の一点に集中させればそう簡単には切られることはない。

 真っ向から弾かれた剣をそのまま大きく後ろへと戻された副隊長は無防備、叩き込むならこの一瞬だった。

 

「貰った!!」

 

 温存していた左拳に魔力を集中させ突き出す。

 だが、俺の拳に伝わったのは金属を叩く感触だった。

 

「ッ!鞘!?」

 

「惜しかったな」

 

 シグナム副隊長の手にはレヴァンティンの鞘が握られていて、それで俺の拳を受け止めていた。予期せぬ防御法に虚を突かれ、隙のできた俺に待っていたのは…。

 

「紫電一閃ッ!」

 

「ガァッ!?」

 

 切り返しで放たれた炎熱を纏った一閃に俺は吹き飛ばされた。地面を二転三転し、チカつく視界に耐え起き上がろうとするが………。

 

「終わりだ」

 

「…参りました」

 

 眼前に切っ先が突きつけられていた。

 

「ふむ、筋はいいな」

 

「ありがとうございます」

 

 シグナム副隊長の手を借りて立ち上がる。

 咄嗟に防御魔法を張ってダメージは軽減させたからいいが、これ訓練じゃなかったら耐え切れなかっただろうな……さすが古代ベルカの騎士、近接戦において俺と格が違う。

 

「剣との戦闘も慣れているようだな。しかしあの一手には脅かされた。まだ拙いところが光るところもある、精進しろ」

 

「了解です」

 

 近接戦闘しか脳がない俺にとって最高の相手ですよ、シグナム副隊長は。しかも一級品の騎士ときた、そんな人に稽古をつけてもらえるだなんて、贅沢者だな俺は。

 

「そろそろ時間だ、あちらも終わったようだから行って来い」

 

「そうみたいですね」

 

 高町隊長達が訓練している方から轟音が聞こえなくなった、どうやら終わったみたいだな。

 

「それじゃ、失礼します」

 

 さてと、ちょっくら急ぐか。俺は駆け足で皆の元へ向かっていった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「それでは今日の訓練の反省会を始めまーす」

 

「……………」

 

「どっか頭でも打ったか、なのは」

 

「ふぇ!?ヴィータちゃんヒドイッ!ヒドイよー!」

 

 いや、訓練も終わってゆっくりできるはずなのだが…。

 

「あの~何で俺、ここにいるんですか?」

 

 俺がいるのは食堂の一角のテーブル、まだ昼食の時間から外れているため人はいない。いるのは俺と高町隊長、そしてスターズ分隊副隊長のヴィータ副隊長くらいである。

 

「え?前にも言ったでしょ。訓練での意見を聞かせてって」

 

「いや、言いましたけど」

 

 だからって毎回呼ばないでくれませんかね?俺も訓練後の疲れを抜きたいんですけど……いやまあ、報告書免除っていう特典がありますから、楽できますけど。

 

「私はなのはの付き添いだ、気にするな」

 

「は、はぁ……」

 

 気にするなってのは無理があるような…まあいいか。

 

「高町隊長、意見を聞くのはいいですけど俺、今日はシグナム副隊長と訓練してたので訓練見てませんよ?」

 

「あ、うん大丈夫、ヴェント君のためにちゃんと録画してるから」

 

 用意周到なことで、それじゃあ見せてもらおうかね。

 

 

 

 

 

 

 

「感想は?」

 

「全員チームプレイの基礎がしっかりとしてきましたね。特にティアナは全員の動きを理解していて的確に指示を出せるようになってます。スバルちゃんは元々ティアナとのペアを組んでいましたから指揮下であれば問題ありませんね。チビッ子達もどう動けばいいのか、ちゃんと分かったきましたし、だいぶ良くなってますよ」

 

 うん、動きは良くなってるな。ただ…。

 

「若干一名全くチームプレイを理解していないのがいますが」

 

「あ、あはは…やっぱりそうだよね」

 

「だよな………」

 

 ゴッドランダーが全てを無駄にしていた。

 

「チームワークを無視した単独行動、それが何度も他のメンバーの動きを阻害しています」

 

「だが攻撃は鋭い」

 

「うん、手加減してるとはいえ、際どいと思う攻撃が何回もあったよ」

 

 集団では使いにくいが個としての戦力は優秀か………面倒な奴だな。

 ゴッドランダー、奴は文句なしの天才だ。豊富な魔力量にレアスキル、そして戦闘のセンスもある。全てにおいて高水準だ。羨ましいほどに。だがそれすら陰ってしまうほどの欠点がチームワークを乱すといった単独行動の多さだ。

 

「すみませんが正直に言わせてもらえば何でアイツを六課に呼ばれたのか理解できません。この手の輩は部隊全体士気にすら関わってきたりします。メリットよりもデメリットの方が大きく見えますが……」

 

「いや、それはね、実は…」

 

「アタシから説明する。アイツはな……」

 

 ヴィータ副隊長も苦そうに事情を説明しだした。

 

 

 

 

 

 

「え、ええっと……要は騙され押し付けられたと?」

 

「ああ…」

 

 ヴィータ副隊長から聞かされたゴッドランダーが六課に入隊できた理由はなんと厄介払いだった。

 

「あの時見せられた資料は巧みな言い回しで誤魔化してあって訓練風景も面接も問題が無かったから引き受けちゃったんだ……」

 

「資料を見たはやても特売品を見つけたように乗り気でな。アタシらも乗り気でスカウトしちまったんだよ……だからすっかり騙されちまった」

 

 本気で落ち込む二人。だがゴッドランダーは本当に厄介払いだったんだな。

 それに話しによれば訓練風景を確認してた上で騙されたってことはなのは隊長たちが来ると判っていて演技してたんだろうな、きっと。あいつ魔導師よりも詐欺師のほうが向いてるんじゃねぇのか。

 

「はぁ~、事情は分かりました。ですがこの問題は早く解決しないといけませんよ?まだ訓練だからいいですけど実戦になったら問題が起きますよ、何れ」

 

「分かってるけど…」

 

「何度教えてもあれだからな」

 

「そうですか………」

 

 無駄に実力があるから変な自信が付いてるんだろうな、きっと。あそこまで酷くは無いが本当に昔のカカオみたいだ………。

 

「俺の体験談から言わせてもらえば。一度徹底的にプライドをへし折ればいいと思います、アイツは自分が強いと思い込んで何でも1人でできると考えているから、ああなってるんだと思いますし」

 

 カカオと同じだ、一回高くなった鼻をへし折ってやるのが一番だろ。

 

「でも………」

 

「アタシはカグラに賛成だ、一回痛い思いしなけりゃわかんねぇだろ、アイツは」

 

 だがリスクは有る。ああいうタイプのは挫折を知ると二度と起き上がれなくなるのが多い。特にあれだけプライドの高い奴ほど、高町隊長はそれを危惧しているんだろうな。

 

「でも、そうだね…………そのことも視野に入れておくよ。じゃあ、今回の反省会はここまで。ありがとうねヴィータちゃん、ヴェントくん」

 

「おう」

 

「はい」

 

 反省会は終了か。さて、後輩達の様子を見に行くとしましょうか。………って、そうだ。

 

「高町隊長、他の連中が何処にいるか知りませんかね?」

 

「あ、そうだった!ヴェント君、一緒に来て」

 

「はい?」

 

 今度は何があるんだ?

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「あ、来た来た、待ってましたよ~」

 

「ゴメンねシャーリー、話し長くちゃって」

 

 高町隊長に連れてこられたのはデバイスの整備などを行うメカニックルーム、何でここに連れて来られたんだ。

 

「あ、ヴェントさん!」

 

「お疲れ様ですカグラさん」

 

「「お疲れ様です」」

 

「ケッ」

 

 っと、ここにいたのか。

 そういえばさっきの訓練でスバルちゃんとティアナのデバイスが壊れちまったんだっけな、そのメンテか………って、んん?

 

「それは……?」

 

 台座に浮かぶ五つの待機状態のデバイス、チビッ子二人のやつなら見たことはあるが残りの三つは見たことが無いな………もしかして新型か?

 

「あ、私達の新しいデバイスです!」

 

「こんな高価な物まで支給されるなんて、ちょっと驚きです」

 

 マジかよ、新人に新型デバイスを支給するのかよ。デバイスマイスターの資格を持っているからわかるが、これは相当な金額な代物だぞ……それこそ俺の十年分、いや、それ以上の………どんだけ予算があるんだこの部隊は。

 

「この二人のはチューンですか?」

 

「そうですよ~、エリオとキャロのデバイスには今まで最低限の機能しか付けていませんでしたから中身はまったくの別物なのですよ~」

 

 と、答えるのは俺の頭上を飛び回る人形サイズの人物、彼女はリインフォース・ツヴァイ曹長。こんななりでも上官にあたる人物だ。

 

「なるほど………ところで何で俺は呼び出されたんですか、見たところ新型の配給というわけでもなさそうですが」

 

 俺は現状、このデバイスでも結構満足しているんだがな。

 

「へ、お前はその旧型で十分だろ」

 

「何言ってんのよ!」

 

「グホッ!?」

 

 俺に対しての発言に逐一体罰を加えるティアナ。ご苦労さん………。

 

「あ、ヴェントくんを呼び出したのはね。シャーリー」

 

「はいはいっと」

 

 フィリーニ一士が取り出したのは小さなアタッシュケースだった。何だコレ―――ってこのエンブレム。

 

「これ…ウチのじゃないですか?」

 

「その通り!ヴェント君の専用デバイスは、カグラ・インダストリーにオーダーメイドで製作依頼しましたー!」

 

「か、カグラ・インダストリーってあの大企業のですか!?」

 

「世界一のデバイス技術を誇るって言われてるあのカグラ・インダストリー製の特注品って………どれだけ掛ったんですか…」

 

 はぁ………やっぱりか。スバルちゃんとティアナは驚いているな、まあ自作デバイスを持っている時点で多少はデバイス関連については齧るだろうし多少は知っているか。

 

「しかも!あの伝説のデバイスマイスターのシルフィーヌ・カグラさんのお手製!世界に一つだけの一品よ!見せてもらったけど惚れ惚れするわー」

 

 伝説のデバイスマイスターって…………。

 

「フィリーニ一士、うちの母のことをご存知で?」

 

「当たり前!デバイスマイスターの中じゃ知らなかったらモグリよ!!近代ベルカ式のカートリッジシステムの安全性の向上に貢献して、数々のエース達のデバイスは彼女の作品が多く、制作するものはまさに革新的かつ芸術!数え切れないほどの功績を残す伝説の、私の憧れの人なんだから!!」

 

 ね、熱が入ってるな。つーか母さんってそんなに凄い人物だったのかよ……どっからどう見ても中学生にしか見えない甘えん坊な母親にしか思ってなかった。

 

「シャーリー落ち着いて、みんな驚いてるから」

 

「あ、ご、ごめんなさい………でも、なのはさんのレイジングハートやフェイトさんのバルディッシュの初期型カートリッジシステムもシルフィーヌ・カグラさんの研究成果でもあるんですよ」

 

「え?そうだったの?」

 

 フィリーニ一士の必死さからして母さんの凄さをようやく理解したよ。

 

「それよりもヴェント君、中身の確認を」

 

「あ、はい」

 

 本当だったら実家の力添えは受けないつもりだったんだけど、母さんが作ってくれたんだ、ありがたく使わせてもらおう。

 俺はケースを開けた。

 

「コイツは……」

 

 中にはブレスレットが入っていた、黒に金のレリーフが刻まれた華美なブレスレットである。少々派手なのが気になるがこのブレスレットのデザイン、俺が愛用してるブランドのデザインだ。

 もしかしてデザイン依頼したのか?無駄なところで金かけて……まあ母さんの気遣いだろう、デザインはかなり気に入ったぞ。

 

「それは非人格搭載型のブーストデバイス……と言うよりはヴェント君のスタイルに合わせた、強度重視の設計だから性能的にはアームドデバイスと言われても遜色のない性能だね。カグラインダストリーの試作モデルをベースにヴェントくんの戦闘スタイルに合わせてチューンしたワンオフ機だよ。性能はもちろん折り紙つき。処理速度に耐久力、全てにおいて最高クラス。まさに芸術品!さすがだわぁ。あ、スペックノートとマニュアルデータは内蔵してあるからちゃんと確認しておいてね」

 

 これが俺の新しい相棒か……大切に使わせて貰うよ。

 

「午後にはテストも兼ねて訓練するからそれまでに目を通して置いてね」

 

「了解」

 

「で、この子の名前は……」

 

 まあ三十分もあれば大体の内容は掴めるし楽勝―――だと思ったがそうはいかなかった。

 突如鳴り響くアラート、これは……。

 

「これって、一級警戒態勢!?」

 

 どうやらタイミング悪く、来てしまったようだ………。いや、デバイスを新調して戦力アップしたからある意味間に合ったのかね。

 すぐさま八神部隊長から通信が入り概要を伝達される。どうやらロストロギアを運送中だったリニアトレインがガジェットの強襲で制御不能になったらしい、他にも未確認のタイプのガジェットの姿も確認されている……こりゃハードだな。

 八神部隊長は的確に各員に指示を飛ばしていく、そして最後は俺達フォワード陣も。

 

「機動六課フォワード部隊、出動!!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

 さて、忙しくなるぞ。

 機動六課フォワード陣の初陣である。

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