魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜   作:D-5

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デバイスの名前が気に入らなくて変更しました。



第20話

「でりゃっ!」

 

「っ!」

 

 横薙ぎに迫る鉄槌をスウェーでギリギリ回避する。

 今、俺はヴィータ副隊長との模擬戦を行っていた。しかし何故俺はいつも一人で模擬戦をしなけりゃならんのか………。

 

「アイゼン!!」

 

《Explosion.Raketenform》

 

「でりゃあああああああ!!」

 

 カートリッジを排出し変形するヴィータ副隊長のハンマー型アームドデバイス、グラーフアイゼン。後方に出来たスラスターが火を吹きと遠心力を利用した強力な一撃を放とうとする。

 訓練とはいえ元々装甲が薄めの俺が喰らったら唯じゃすまないんだが……愚痴っていても仕方ないか。

 

「よっと!」

 

「な!?」

 

 新デバイス、アクセル・ビートは多機能的で魔力式のワイヤーガンも内蔵されている、射出されたワイヤーはヴィーター副隊長の胴体に巻き付く、そこを一気に振り回す。

 

「おりゃっ!」

 

「うおぁ!?」

 

 遠心力とグラーフアイゼンの推進力で体勢を大きく崩してその場にコケる副隊長、起き上がる瞬間にチェーンバインドを三重に掛ける。動きが完全に止まる副隊長は不敵に笑う。

 

「さらり怖いことしてくれてるじゃねぇか」

 

「動けば爆発しますからね。多めに魔力篭めておいたので貴女でもダメージは有ると思いますよ」

 

 爆発するバインド、知っているからこそかなりの拘束力となる。知らなくても不意打ちのダメージにもなるという寸法だ。

 

「でも、こうすれば問題ないだろ?」

 

 身体にバリアを纏い、チェーンバインドを引き千切る、副隊長は爆発に飲まれたのだが……

 

「これくらいじゃ傷一つつかないぞ」

 

「ですね……」

 

 この通り出力の高いバリアを纏われたらダメージが全く通らなかった。この技は完全に初見殺し、頭の回転が早いものならば身体にバリア系魔法を纏えば簡単に対処されてしまうのが欠点だ。

 効かないのは判っていたことだ、仕切りなおして策を練りながら、結晶をポーチから取り出す。

 

「さて、どこまで通用するか……」

 

「さあ、かかってきな!」

 

「いきます!」

 

 結晶を投げると同時に突っ込む、投げた結晶が弾け閃光が迸る。即席の閃光弾で視界を潰し一気に接近する。

 

「ハァッ!」

 

《Hard beat》

 

 隙を突いてボディを殴る、だが相手は歴戦の猛者、この程度では止まらず。

 

「こん、にゃろぉ!お返しだ!!」

 

「ぐぅっ!」

 

 その場に踏みとどまり、反撃にグラーフアイゼンで横殴りに殴られる。

 咄嗟に左腕で防いだが凄まじい衝撃が腕を襲う。

 腕が痺れる、これが以前のデバイスだったら砕けて腕の骨まで折られていただろうな。新デバイスの硬度に感謝だ。だが折れてないとはいえ痺れて腕を上げることが出来ない、これだけでもヴィータ副隊長の攻撃力の高さがわかる。

 だがこの威力を恐れてミドルレンジに持ち込んでも敗北は必至、勝つには俺の距離、ショートレンジに持ち込むしかない。

 拳に魔力を篭めて構える。

 ヴィータ副隊長も俺の構えを見てカートリッジを二発も排出する、大技で来るのを知って真っ向からぶつかることを選んだのだろう。さすがベルカの騎士だ、出を潰すという考えはないようだ。

 

「………全力で来な。胸貸してやるよ」

 

「感謝します」

 

 互いに魔力を高め、そして………………。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「でりゃぁあああああああああああああああああああああ!!!」

 

合図は無くとも俺達は同時に駆け出し、互いの得物が激突し合い、そして膨大な魔力爆発を起こすのだった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「はーい、模擬戦終了」

 

 結局、俺が魔力切れによる力押しで負けた。

 元来の魔力の低さがこうも結果として出てくると世界の理不尽さを呪ってしまう。

 やっぱり強い、魔導師ランクを下げてあの強さとは…制限なしだと一太刀も喰らわせることも出来ないだろう。

 

「大丈夫ですか、兄さん?」

 

「大丈夫、お兄ちゃん?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 心配して駆け寄ってくるのはライトニングのチビっ子組。

 あの日以来、キャロとエリオは俺を兄と呼ぶようになった。

 何故、俺を兄と呼びたいのかキャロから聞いてみたのだが、初襲撃の時にチビっ子達に俺がとても頼りになる年上の男、それからも側にいると安心できるからという理由から、『兄』と呼びたかったそうだ。

 母親代わりのテスタロッサ隊長とは違う、安心感から俺から感じるらしい。

 別に断る理由もなかったので承認したんだが、この年頃の子供にそう呼ばれるとどうしても思い出しちまうんだよな………ルーテシアのことを。

 元気にしているといいんだが…。

 

「アクセル・ビートの扱いに慣れてきたね。動きも良かったよ」

 

「ありがとうございます。高町隊長」

 

 高町隊長から高評価を貰っているとヴィータ副隊長が腕を組みながらこちらに寄ってくる。その表情はどこか不機嫌であった。まあ理由は分かっているんだけどな。

 最後のぶつかり合いの際、確実に押し負けると分かっていたため、悪足掻きにとヴィータ副隊長の足元に魔力結晶を転がらせ、俺が吹き飛ばされる瞬間に結晶を爆発させたのだ。

 結晶の威力自体は小さいが、足元を爆破され掬われたことにより、ヴィータ副隊長はひっくり返って後頭部を地面にぶつけたらしい。実際、彼女の赤い髪には土がついており、たんこぶも見えていた。

 エリオたちから聞いた話だがあまりにも見事なコケ方だったとのこと……。

 

「はい、ヴィータ副隊長から何か一言」

 

「最初は近接主体のフルバックとかいう頭おかしいスタイルだと思ったけど、完全に物にしてるし特に言う事はねぇ。強いて言うならもっと格闘戦の腕を磨け、それだけでもっと強くなる」

 

「と、お褒めの言葉でした♪」

 

「褒めてねぇ!」

 

「ご指導ありがとうございます」

 

 格闘技術の向上か……まあ、指摘通りだな。俺の格闘技は我流、母さんの顧客の人たちから少々手ほどきしてもらって組み上げてきたスタイルだ。師事していたというのなら帰還的に長いクイントさんなんだろうけど、シューティングアーツからはかけ離れた戦い方だからな。やはり俺のは我流というべきなのだろう。

 

「でも、流石108のエース、噂は本当だったな」

 

「ソレやめて下さいよ。それとも皮肉ですか?」

 

 こんな才能と実力の塊ばかりの部隊でエースって呼ばないでくださいよ………。

 

「ちげ~よ、褒め言葉だ。アタシに少しでも本気出せたんだ、十分だろ」

 

 右手を見せるヴィータ副隊長、袖は焼け焦げ、かすかに震えていた。

 そりゃ全力でいかせてもらいましたからね俺にだって意地くらいはあるさ。

 それに今回ヴィータ副隊長は空を飛んでいない上に誘導弾も使ってない。ハンデがかなりある状態でこれだ。

 

「でも、凄いですよ!ヴィータ副隊長とあそこまで戦えるなんて!」

 

「お兄ちゃん、スゴかったです!」「キュクぅ~!」

 

 素直に褒めてくるチビどもの頭を撫でてやる。可愛い奴らめ。

 

「ケッ、でも結局負けてたじゃねぇか」

 

 小声のつもりだろうが聞こえているぞ。悪態突くのは毎度おなじみゴッドランダー、相変わらず場の空気を読まねぇ奴だ。正直コイツの扱いには皆が困っている。

 

「何言ってんのよ。ランク落としているとはいえニアSの騎士と戦ってほぼ互角だったのよ。凄いに決まってるじゃないの」

 

「へっ、俺なら勝てるね」

 

 超がつくほどの自信家で自己中心的、最初の頃の方がマトモに見えたが最近では完全に化けの皮が剥がれている。

 だが、まあ、今の発言はイカンな。

 

「こ、コイツは「へぇ、ならやってみるか?」え?ヴィ、ヴィータ副隊長?」

 

 ヴィータ副隊長がグラーフアイゼンの突起部分をゴッドランダーに突きつける。

 これは挑発と取られたんだろうな……。

 てか額に青筋が出てるし……まだまだヒヨッコの新人に勝利宣言されたのはイラッときたんだろうな。ゴッドランダー、馬鹿なことしやがって。

 

「なのは、コイツちょっと借りてくぞ」

 

「む、無理だけはさせないでね」

 

「え?ちょ、ちょっと?」

 

 ヴィータ副隊長に引きづられていくゴッドランダー、これはフル折檻だな。

 取り残された俺らはとりあえず解散となった。午後の訓練までしっかりと体を休めないとな……。

 

「兄さん、行こう!」

 

「行きましょう」「キュク~」

 

「ん?おお、分かったから引っ張るな」

 

 二人に手を引かれ隊舎へと戻る、やれやれ、一気に弟と妹が二人できると引っ張りまわされるな。お兄さんちょっと疲れてんだからゆっくりさせてくれよ。

 

「キュ~」

 

 そしてフリードよ、頭の上に乗るのだけは止めてくれ、結構首に負担がかかるんだよ……。

 あー、それにしても腹が減った……。今日の日替わりはなんだろうな。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「えっと、久しぶり」

 

「いや、それさっきも言ってただろ?」

 

「そ、そうだけど…」

 

 場所は六課隊舎の食堂、ではなく108部隊隊舎の食堂。俺は遅めの昼食を摂っていた。

 何があったのかというと、訓練を終えて隊舎入り口で外回りへと出掛けようとしていた八神部隊長と遭遇、そして俺も着いてこい、との命令を出され大慌てで身支度を整えて車を運転すること数時間、やって来たのが古巣である陸士108部隊である。

 

「ま、元気そうだな、ギンガ」

 

「う、うん。ヴェント君も元気そうだね」

 

「ああ、まあ毎日高町隊長に扱かれてるけどな…」

 

 久々に長いこと組んでいたバディと一緒に昼食を摂りながら近況を話し合う。尚、八神部隊長はナカジマ三佐と話し中で一緒について来たリイン曹長は……。

 

「美味しいです~♪」

 

 俺のランチについていたサラダのプチトマトを抱えて食いついていた。身体のサイズが小さいためプチトマトですらリイン曹長にとっては巨大な食べ物なのだ。

 

「ところで最近、108の方ではどうなんだ?」

 

「うん、特段変わりなし、何時も通り密輸ルートの捜索をしながらご近所トラブルから軽犯罪、重犯罪まで抱えて大忙し、ヴェント君が抜けた穴も大きくて毎日が大変だよ」

 

「悪かったな」

 

「異動命令だからね、仕方ないよ」

 

 何時も通りの平常運転。大忙しの陸上部隊なようだ。

 

「ところで八神部隊長はどうしてうちに?」

 

「まあ捜査協力だろうな、108は密輸ルートの捜索に長けている。ロストロギアを専門に扱う機動六課と手を組んでおいた方が得だろ。ナカジマ三佐の事だ、断ることもないだろ」

 

「そうだね。だとしたら私の担当だし、これから一緒に仕事することが増えるかもね」

 

 ギンガは密輸ルートの捜査チームの一員、確かに仕事が重なることが増えるかもな。

 

「ま、俺は実働部隊だから捜査に出てくることは滅多にないと思うがな」

 

「えー、そんなー」

 

 落胆するギンガ、そんなに俺と離れたのが寂しいのか?と弄ってやると肩を叩かれた。六課では出来ない軽口の叩き合い、やっぱコイツくらいだよな、こんな風に話せるのは。

 と、ランチも食べ終え一息ついたところで。

 

「ごちそうさまです♪」

 

 プチトマトを食べて満足したリイン曹長がギンガの前に立った。この小さな体に良くあの大きさの物が納まったな…。

 

「ヴェントと一緒に仕事ができなくて落ち込んでるギンガには良い物を上げるのですよ!」

 

「お、落ち込んでません!良い物?」

 

「はい!捜査協力にあたって六課からギンガにデバイスをプレゼントするですよ。スバルのと同型機をギンガ用に調整するです」

 

 おいおい、随分と太っ腹じゃねぇのか。しかもスバルちゃんのマッハキャリバーと同型、つまりはインテリジェントデバイスってことだ、あんな高価な物を別部隊の隊員に進呈するって……。

 

「……………」

 

「あ、あれ?嬉しくないですか?」

 

「い、いえ、とても嬉しいんですけど…そんな高価な物貰っちゃってもいいのでしょうか?」

 

「あー…まあ経費はこっち持ちだから気にすんな。六課は異常なほど太っ腹だからな。俺も六課の金で実家に新型デバイス制作してもらってたし、いいんじゃねぇか?」

 

 首に掛けた待機状態のアクセルビートを見せる。

 

「六課の調査主任のフェイトさんなのですよ。一緒に走り回れるように立派な機体に仕上げるですよ」

 

「フェイトさんと…」

 

 テスタロッサ隊長の名前に反応するギンガ、あの空港火災事件の時に助けてもらってからギンガにとっての憧れの人だからな、気合入っただろう。

 

「今のデバイスのままじゃ追いつけないだろうから貰っておけ。あの人の速さは尋常じゃないからな」

 

「……うん、それじゃリイン曹長、お願いします」

 

「頑張るですよー!」

 

 と、三人で談笑しているうちに部隊長達が捜査協力を決定し、俺も含め本格的な打ち合わせが始まった。久々に会った108部隊の捜査主任、カルタス二尉からギンガと俺が夫婦だのカップルだの色々と絡まれて、そういった冗談に耐性のないギンガに殴られて気絶し、打ち合わせは大きく遅れたのであった。

 

 それといつの間にか俺も捜査担当に回されていた。これ以上仕事増えるとキツイのだが……。

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