魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜 作:D-5
時が過ぎるのは早く、俺は十歳になった。
あれから三年間、毎日特訓し、武術も魔法も進歩した。
武術に関してはかなり上達したと思う、母さんのお客さんの中には近接戦闘を主体とした魔導師も多くて、その人達から棒術や剣術などを少しだけ教えてもらい様々なスタイルを取得って言う程でもないけど技は増えた。
で、それを三年間続けたおかげで教えてもらえた人たちからも認めてもらえるようになり、そろそろクイントさんへの再挑戦をと思っていたんだが………それは叶わなくなった。
「何で……何で死んじゃったのよ!クイントちゃん!!」
クイントさんが死んだ。それは突然やって来た訃報であった。
「………」
棺桶の中で静かに横たわるクイントさん、肌は土気色になっていて微動だにしない。俺も嘘だと言って欲しかった、いつもみたいにおちゃらけて嘘だよと言って欲しかった。
。
「う、うう……」
棺桶に縋り付き泣いている母さん。俺は母さんが泣いている姿を見るのは初めてかもしれない。
いつも笑顔が耐えなくて疲れたとも言わず、弱みを見せない母さんを俺は初めて見た。
「クイントさん……」
また、稽古してくれるんじゃなかったのかよ。俺強くなったと思うんだぜ。
心の中でそう語りかけるがクイントさんは答えてはくれない………。
「…………」
それに死んだのはクイントさんだけではない、彼女が所属する部隊任務中に全滅したそうだ。…………それはつまりゼストさんもメガーヌさんということだ。しかも死体が見つかっていないという、事件現場は今や瓦礫の下となっていて今も探索が続いているけど見つかる気配がないという。
そして更に悲劇は続いた。三歳になるメガーヌさんの娘、ルーテシアが何者かに攫われた。預かっていたシッターが襲われ、気を失っているうちに攫われたようだった。
知らせは家にもすぐ来て母さんがコネを使いすぐに局に連絡し捜査網を張ってもらったがそれでも見つからなかった。
現在も捜査は続けられているが手掛かり等は一切無く絶望的な状態である。
これには俺もショックを受けた、メガーヌさんがよくルーテシアを連れて遊びに来て面倒をみていたしな。あの子は俺によく懐いていて、いつも後ろに着いてきて、帰るときにはいつも服を掴んで大泣きして皆困らされていた。
俺は落ちた気分のまま、ふと視線を横に向けてみる、するとそこには―――。
「グスッ、グスッ…おかーさんッ……」
「う、うぇえええぇん!」
「ッ…………」
クイントさんに似た俺と同い年くらいの女の子と少し下くらいの女の子が一人の男性、クイントさんの旦那さんのゲンヤさんに縋り付き泣いていた。ゲンヤさんも必死に涙を堪え女の子達を抱きしめいていた。
あの二人はクイントさんの娘さんらしい。クイントさん、子供いたんですね。なんで話してくれなかったんだろな……でも答えてはくれない。
「クイントさん………」
俺は持っていた花をクイントさんの棺桶に入れ。
「さようなら……」
別れを告げた、頬に冷たい感触を感じる、オカシイな、何で室内に雨がふるんだろう……。
◇
「ねぇ、母さん」
「何?ヴェント」
クイントさんの葬式の帰りの車の中、俺は決意したことを母さんに告げることにした。
「俺、管理局に入りたい」
「…………」
何も言わない、怒っているのか呆れているのかは分からないな。
「そう…………でも何で?」
「クイントさんの姿を見てそう思った………」
「クイントちゃんの?」
「いや、正確に言えばクイントさんの家族の姿が」
クイントさんの遺体に縋り付き泣く小さな女の子と必死に涙を堪える姉と思える女の子、そして悲しそうにしているクイントさんの旦那さんのゲンヤさん、その三人の姿を見ていてとても苦しくなった。
人の悲しそうな顔を嫌になった。見たくは無いだからもうそんな人が出ないように守っていきたい。 それを母さんに伝えた。
「それと……」
「それと?」
「ルーテシアを探す」
「ルーちゃんを?」
「うん」
俺が局員になってあの子を見つけ出す、手掛かりがないとしても草の根を掻き分けてでもルーテシアを見つけ出す、その為には局員になるのが一番いい。
「そう……ヴェントの好きにしなさい、私は止めないし応援もするわ。……でもやっぱ私の子供ねヴェントは」
「え?」
どういうことだ?
「母さんも管理局にいたの知ってるわよね」
「うん、確か技術部だったよね?」
「そうよ~私にはヴェントと違って魔法資質は無かったからね~。やれるとしたら得意のデバイス弄りくらいだったらね~」
そうだったのか。で、今はその時の経験を生かしてデバイスの会社の社長か……。
「でも、なんで管理局だったの?デバイス弄るなら民間の会社もあったのに」
「それはね、お母さんは人助けがしたかったの」
「人助け?」
「そう、昔目の前でビルの爆発事故が起きてね爆発に巻き込まれて死んだ親の前で泣いている子供の姿を見たの」
母さんは淡々と語っていく。
「その子の周りは火に囲まれていてね誰も助けにいけなかったのよ。私はその泣いている子供の姿を見ているだけで心が苦しくなった。助けたいと思ったの、でも助けられない……相当悔やんだわ、力のない自分が不甲斐なかったわ」
「……その子はどうなったの?」
「無事助けられたわよ、管理局の救助部隊にこの時なのよ私が管理局に入ろうと思ったのは。管理局に入れば誰かを
助けられるあの子の流した涙を見ないで、泣かせないですむって。変な話でしょ?
でもね、お母さんはたとえ力が無くても自分のできることをやることで人助けができるって信じていたから管理局に入ったの」
「………」
「ヴェント、母さんはあなたが管理局に入りたいなら応援するわ、でも……」
母さんは俺を抱きしめた、その腕は少しだけ震えていた。
「絶対に帰ってきてね………あなたのクイントちゃんやメガーヌちゃんみたいにいなくならないでね」
「うん……絶対に帰ってくるよ、母さん」
強くなる、そして守れるようになってみせるよ母さん。
◇
それから二年、俺は取り合えず魔法学校初等部を卒業した。この二年は管理局員になるために魔法の修練、勉強などと大忙しだった。後、母さんの薦めでデバイスマイスターの資格を取るための勉強をした。
この資格はデバイスの整備や製造に必要な資格なのでとっておいて損は無いと言われて教わったけど、相当なスパルタでした……。寝落ちしませんので電気ショックだけは勘弁して下さい。
だが時の流れは早いな………毎日が濃密過ぎてマジでそう感じるよ。
でもおかげで…。
「本校の試験を合格した諸君等を歓迎します」
おかげで俺は陸士訓練学校に合格したのだからな。
「管理局員武装局員としての心構えを持って平和と市民の安全のための力となる決意をしかと持って訓練に励んでください」
ザッ!
「はいっ!」
壇上に上がっている訓練校の校長に敬礼をする。
「以上、解散!一時間後より訓練に入る」
「はいっ!」
これから始まるんだ。
◇
「えーと二十七号室か……っと、ここだな」
訓練校は寮制だからね相部屋は当然だ。さて、どんなやつがルームメイトなんだろうね。ちなみにルームメイトだからって訓練のパートナーというわけではないようだ。
軽くノックしてから扉を開ける。
「失礼する」
「うふふ………私といいことしましょうよ」
「は、放せ!俺にそんな趣味はない!」
あらん限り最速で扉を閉めた。
…………目がおかしくなったのか?今、馬鹿の姿が見えたような。それに図体のでかいオカマ口調の男が半裸で馬乗りになっていたような……部屋は間違えていないな。
「ヴェ、ヴェントか!た、助けてくれ!」
「あら?イケメン」
うわぁ、こっちに気づきやがった、このオカマ。とりあえずは馬鹿に喰らいついているようだから大丈夫そうだな。
「おい馬鹿、何でここにいる」
「ふ、ふふ…それは永遠のライバルである俺がいないとお前が寂しいだろうと思ってな……わざわざ陸士学校に入学してやったんだよ!」
「うるせぇ」
「うぼぁ!?」
「いやん、ワイルド」
一発蹴りを入れておいた。
「か、顔を蹴るな!結構痛いんだよ!」
「次は本気でやってるからな」
「ヒドッ!?」
「クールなのもいいわん」
はぁ……コイツとオカマがルームメイトなんて最悪すぎるだろ。
てか、なんで合格できてるんだよコイツ。筆記テストはかなり難かったはずだぞ。
「ふっ……天才の俺様に不可能は無い!問題なぞ全てこの鉛筆サイコロでやったのだ!」
「………………」
頭が痛くなってきたよマジで。
って、時間やばいな、後十分で集合じゃねえか。
「おい馬鹿にオカマ。準備しろ」
「え、準備って?」
「誰がオカマじゃい!お姉さまとお呼び!!」
とりあえずスルーで。
「後十分で集合だぞ」
「ぬおっ!?マジかよ!」
「あら?急がないとねん」
急ぎトレーニングウェアを持ち更衣室に向かう。この三人で過ごすのかよ…………欝だ。
更衣室で着替え終わり、ほとんどの奴らは訓練用デバイスを借りに行っている。俺は自作のグローブ型のデバイスを持ってきたから訓練用のは使用しない。まあ棒術も習っているから訓練用のスピア型デバイスでもよかったんだが一番慣れているのは無手だからコチラにした。
「ところでイケメンさん、あなたのペアは?」
杖型のデバイスを持ったオカマが戻ってきた。形状からしてどうやらミッド式のようだな。
「さり気なく近づいて尻を触ろうとするなオカマ…………それと俺はヴェント、ヴェント・カグラだ」
「あら?ご丁寧にどうも、ジョニー・グラメルよ。それと私はオカマじゃなくて身体が男なだけよ」
いや、それがオカマだろうが。
「…………で、ペアの話だったけかジョニー」
「ええ、あなたペアはどうしたの?普通はルームメイトとなのに」
そのことか…………俺らの部屋は三人部屋だからな。気になったんだろう。
「俺のペアは女子らしい」
「あらそうなの、珍しいわね」
そうだな、訓練校のペアは連携が円滑に進むために同性同士で編成されるんだがな。今回は人数の関係で俺が女子とペアになったようだ。教官からは後で教えられることになっている。
「ああ、まあ正式なペアが決まるまでの仮ペアだ、気にはしないさ」
「そう、まあ頑張りなさい」
「ああ」
さて、どんな奴なんだろうな。
「おおい、さっさと行こうぜヴェント!」
「騒ぐな馬鹿が」
まったく、騒がしい奴だ。てかそのスピア型の近代ベルカ式のデバイスを振り回すな他の奴に迷惑だ。
「ムフフ、頑張りましょうねカカオちゃん♪」
「ち、近よんじゃね!」
「あん、いいじゃなのよ私たちペアじゃない」
「く、来るなーーーーー!」
「フフフ、お待ちになってぇ~~~~」
やっぱ騒がしいなあの二人。でもカカオの奴に同情するぜジョニーと一緒なんて想像しただけでゾッとするぜ。
「さて、俺も行くか」
とりあえずまともな奴がペアであってくれよ。
◇
「これより訓練を開始する!まずはラン&シフトだ、まずAチームから!」
訓練が始まった、でも俺は今別の問題に直面していた、それは…………。
「始めまして、ギンガ・ナカジマです。よろしくお願いします」
青く長い髪の後ろにリボンのワンポイントの俺と同世代の少女、しかも性はナカジマ…………間違いないあの時見た、クイントさんの娘だ。
「まさかこんなところで会うなんてな…………」
「? どうかしましたか?」
「いや、何でも無い。俺はヴェント・カグラだ。よろしく」
「はい」
手を差し出し握手する。どうやら俺のことは覚えていないようだな…………まあ、母親の葬式だったからな来た奴の顔なんて覚えてないか。
「ところでそのデバイスは自作ですか?」
「ん?ああ、そうだぞ」
俺の戦闘スタイルはかなり特殊な部類らしく既成のデバイスなんかじゃ上手く立ち回れないから会社の余ったパーツとかを分けてもらって組んだ自作だ。
「へぇ~凄いですね!」
「あ、ああ」
目をキラキラと輝かせながら俺のデバイスを着いた手を取った。クイントさんの娘だな、興味のあることになると子供のように目を輝かせて喰いついてくる。
「うわ~これってナックルタイプのじゃないですよね?アームドでもなさそうですし…あ、もしかしてブーストですか?」
「あ、ああ、ブーストデバイスだ。ちょっと頑丈に作ってあるが……」
「ブーストってことはフルバックなんですか!じゃあ使える魔法は―――」
し、質問が止まん……!それに返答が済んでいない。
「次はCチーム、前へ!」
「お、俺たちの番だ、行くぞ!」
「あ、はい」
順番が回ってきたことで無理矢理打ち切る。はぁ……助かった。
スタート位置に立ち、手順を確認する。やるのは基本中の基本の連携移動だ。
「ラン&シフトだ、分かるよな?」
「はい、障害物を突破してフラッグ位置で陣形展開、ですよね」
「そうだ、そのローラーブーツ型のデバイスからして足は速いだろう?先行しろ、俺がフォローする」
「分かりました!」
ナカジマのデバイスはクイントさんと同じローラーブーツ型と手甲型のアームドデバイス。使用する技も恐らくシューティングアーツだろう、それなら動きを知っている分合わせやすい。
先の組が終了して俺らの番になる。
「55……セット……ゴーー!」
開始の合図と共にナカジマはダッシュをかけた、用意されたコーンを安全確認しながら器用に曲がっていく。
俺は彼女の後ろを追いかけ、そして危ういところをカバーしていく。
先にフラッグポイントに到着したナカジマは警戒態勢に入り俺を待つ、そこに俺も到着し陣形を展開する。
「よし55番、いいぞ!」
ふぅ……ナカジマはちゃんと動けるやつみたいだな、クイントさん結構突っ走るってメガーヌさんがボヤいてたから懸念してたが、これなら心配は無いか。
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れさん」
「62---!!」
なんだ?
「危険行為!コンビネーション不良!腕立て二十回だ!!」
「な、何故だぁーーーー!?」
「あらん?私もかしら?」
「連帯責任だ!」
…………見なかったことにしよう。
「な、なんか変な人たちですね………」
「そうだな……ほら次行くぞ、順番だ」
「あ、はい」
次は垂直飛越、相方を押し上げて塀の上に飛び乗らせ、引っ張ってもらう奴だ。これも連携しての移動訓練だ。
「今度は私が下に行きます」
「ん?そうか、男の俺がやった方がいいんじゃないか?」
「私は足のがありますから」
足?ああ、そうかローラーブーツじゃ持ちにくいか。
「そう、だな……じゃあ任せる」
「はい!」
「55番」
塀の前に立ち俺はナカジマが組んだ手の上に足を乗せる。
「頼む」
「いきます!せーのっ!!」
掛け声と同時に跳ね上げられる。って、ちょっと強すぎだ!
上に投げられ塀の頂上はすぐに見えたのだがすぐに通り過ぎてしまった。
(チッ!)
空中で体を捻り何とか壁のを掴み落下するのを防ぎ攀じ登る、なんとかリカバーできたな。
「ふぅ……こっちだ」
「は、はい」
下のナカジマに手を伸ばすとジャンプして俺の手を掴んだ、俺はそれを引っ張り上げる、デバイスの重量もあるせいか少し重く感じる。だがその言葉を口に出してはならない。女に体重の話はタブーである。
「55番……まあ、いいだろう。だがナカジマ候補生、力を入れすぎだもっと抑えろよ」
「りょ、了解しました……」
まあ成功したからいいかね。ナカジマは優秀だけどまだ力加減にムラがあるな、そこは直していかなきゃな。
「すみませんでした………」
「気にするな、成功はしたから十分だ」
「そう、ですか……」
ん~、クイントさんみたいに活発なタイプじゃないな、何かやりにくいな……。まあクイントさんと全く同じだったらメガーヌさんみたいに心労が絶えないんだろうな……。
「次、62番!」
お、今度はあいつらの番か。さっきは見てなかったがかなり無茶苦茶だったみたいな、お手並み拝見だ。
「いっくぜぇーーーー!!」
「ええ、突き上げて頂戴!激しく!」
馬鹿が組んだ腕にジョニーが変なことを言いながら足を乗せる、それを馬鹿が…。
「おりゃーーーーーーー!!」
思いっきり上に飛ばすが、おいおい、あれは力入れすぎだろ。しかも魔方陣出てるし……。
「漢女は空を飛ぶうううううぅぅぅぅーーーーーーーーーーー!!」
キランッ
「「「「「「………………………………………………」」」」」」」
「馬鹿が……………」
ジョニーは星になったとさ。
「そして、蘇るーーーーーーーーー!!ぶるぅあ!?」
帰ってきたよ、しかも頭だけ地面に刺さってるし。
「し、死んじゃった……………の?」
ナカジマは怯えて俺の背に隠れて震えている。
あまりの事態に誰も動けないが、さすがにこれはやばいと教官が担架を持ってくるよう指示を出すが。
「漢女、フォーーーエバァァァァァーーーーーー!!」
「ヒィッ!?」
地面から勢いよく出てくるジョニー、服は何故だか所々焼け焦げていたゾンビか奴は。てか漢女ってなんだよ?
ナカジマはもう涙目である。確かにあれは怖いわ。
「カカオちゃん、私を殺す気!大気圏抜けたわよ!衛星が見えたわよ!」
大気圏抜けたのかよ!?つーか生身大気圏突破して何で死なないんだよ!?
「いや、そのすまん」
「いいわよん」
いいのかよ!?
「62番……………貴様らは走って来い!校舎百週!!」
「げぇ!?」
「いやん」
はぁ……………前途多難だな。
「へ、変な人たちですね…………本当に」
「そうだな……………」
部屋割り…………変えてもらえないかな、マジで。