魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜転生したら魔法?がある世界だった〜 作:D-5
「ここか」
片付けもすぐに終わり無事に退院し荷物を実家に置いた後、俺は見舞いの品のフルーツの盛り合わせを片手にギンガが入院しているという病院にやって来た。
ギンガの見舞いにやってきたのだがよくよく考えるとギンガもそろそろ退院なのではないのか?ま、まあとりあえず行くとしよう。
しかし俺と違う病院で入院か。だがここって研究施設と隣接しているミッド有数の大病院だ。もしかしてギンガの親父さんがコネ使って入れたのか?娘可愛さに。
テスタロッサ執務官の話だと命に別状はないと言っていたが俺を助けるために無理をさせちまったからな…その事を謝らないと。
「えっと病室は……」
「あっ!ヴェントお兄ちゃんだ!」
ん?この声は………。
「お、スバルちゃんじゃないか」
ギンガの妹のスバルちゃんが元気に駆け寄ってきた。
「ヴェントお兄ちゃん、もう大丈夫なの?」
「ん?ああ、もう完治したぞ。スバルちゃんは怪我とか無かった?」
完治はしたが鈍った身体を元に戻さないといけないからこれからが大変だ。
「うん、大丈夫!」
「そうか。で、ギンガの方は大丈夫か?」
「うん!今日退院」
そうか……って、退院の日まで被っちまったか。てか見舞いに来る意味なかったか?なんともタイミングが悪いことで……。
ま、顔を見に行くだけでもするか。
「ところでお姉ちゃんの病室はどこかな、お見舞いに行きたいんだけど……大丈夫かな?」
もしかして家族以外見舞い禁止とかあったりするのだろか?
こういう病院は許可なしじゃ患者に会えないんだよな。色々と重要なデータが保管されているから犯罪者が入り込むケースが多いから色々と面倒なんだよな。
「うん、大丈夫だよ!こっち!」
そう言って俺の手を引くスバルちゃん。
元気だなこの子は、こういうところはギンガと違ってクイントさん似だな。
手を引かれエレベーターへ入る、スバルちゃんはジャンプをして高いところにあるボタンを押すと扉が閉まり動き出す。
上へと登っていくエレベーター、随分と高い階の病室なんだな………って。
「ジーーーーー」
「そ、どうしたんだい?スバルちゃん……これ?」
スバルちゃんの視線は左手に持っているフルーツを詰め込んだバスケットに釘付けになっていた。
買って来たわけじゃなくて家にあったフルーツを適当にバスケットに放り込んできただけだ。
家に常備してるフルーツは大体が高級品、母さんはフルーツだけには煩いから高い物を取り寄せたりするからな。
俺はワザとらしく左手を揺らしてみるとスバルちゃんの視線はそれを追う。完全に食べ物だと分かってるなこの子。
「ククメリの匂いがする……」
いや、何で分かるんだよこの子は!?布掛けてあるのに何で分かるんだ!?犬なのか!?
「じゅるり……」
「お姉ちゃんと一緒に食べるんだぞ」
「は~い」
残念そうにするスバルちゃん。一人で食う気満々だったようだな。
そういえばクイントさんも家に来たとき常備してあった果物全部食ってたな、遠慮無く全部、あの時母さんの大切にしていた希少なサーレの実まで食われて大泣きしてたっけか………懐かしい。
だがやはりナカジマ家の女って食い気が凄いな……食費とかどうなってるんだ?
と、そんなこと思っているうちにエレベータは目的の階に到着、再びスバルちゃんに手を引かれ病室にたどり着いた。
それじゃノックをしてっと、女性の部屋にはいる時はノックだって教えられたしな。
「おねえちゃーん!ヴェントお兄ちゃん来たよー!!」
「あ」
だがそれよりも早くスバルちゃんが勢いよく扉を開けてしまった。
一般的な病室のベットがあると思われる場所にはカーテンで仕切られている。
本来なら見られたくないからカーテンで仕切っていたのだがスバルちゃんはそれを思いっきり開いてしまった。
開かれたカーテンの向こうにはギンガは居た、居たのだが………。
「キャッ!?こ、コラッ、スバル!部屋に入るときはノックしなさいって何回言っ…て……」
そこにはほぼ全裸のギンガがいた……。
「「っ!?」」
ギンガはパジャマを脱ぎパンツ以外は何も着ていなかった。
しかもその手に持っているのはブラジャーであり、俺の視界には同年代では大きめの胸がバッチリ見えている訳でして………はい。
って、何見ちまってんだよ俺は!?
「い、いいっ……!」
「ご、ゴメッ………!!」
慌てて手で目を塞ぎながら謝る。
「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「グハッ!?!?」
飛んできたのはギンガの近くにあったダンベル、リハビリにでも使っていたものだろう。それは見事に俺の額に直撃し俺は意識は彼方へと飛んでいった。
◆
「……………」
「うう~~~~~~~!」
「お姉ちゃんがブったぁ~~~」
現状を簡潔に説明すると。
・俺(看護士さんに包帯巻いてもらってる)
・ギンガ(顔を真っ赤にして頭だけ布団から出して蹲っている。所謂カメ状態)
・スバルちゃん頭にでかいタンコブを作って泣いている。
だ。
中々カオスな状態だな。
しかしよく生きてたな俺、訓練校で三番目に腕相撲が強いギンガの腕力で投げられたダンベルを頭に受けたのに頭蓋骨に罅は入ってなかった、額から少し血は出たがそれだけで済んだ。。
しかし気まずい、不可抗力とはいえギンガの素肌を見てしまった。
見て無かった…………と誤魔化すには無理がある、バッチリ目が合ってたし。
どうしようか…………。
「よし、これで大丈夫だよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
包帯を巻き終えた看護婦さんは肩をポンッと叩き、包帯を片付ける。
偶然近寄ったこの看護婦さんが頭から血を流して倒れている俺を見て驚きながらも急いで処置してくれたおかげで余計な出血をせずに済んだ。
「それじゃ、私は行くからね。ギンガちゃん、いくら恥ずかしかったとはいえ彼氏さんにはもうちょっと優しくしなさいよ~」
「えっ!?いやっ、チガッ!?」
うわ~、この人とんでもない爆弾残していきやがった。
でもこれって傍から見れば痴話喧嘩とかにも見えるな、そういえば。
ギンガも看護士さんの勘違い発言に否定したが看護婦さんはそのまま去って…………いかずに。
「うぅ~痛いよ~」
「ほらスバルちゃんも泣かないの、お菓子上げるから」
「うんっ!泣かない!!」
早っ!?泣き止むの早っ!?
「あらあら、それじゃあお姉さんと行きましょうね。お姉ちゃんたちはちょっとお話があるみたいだから」
「わかった!」
「じゃあね~♪後はごゆっくり~♪」
「ゆっくり~♪」
そう言って始終ニヤニヤしていた看護士さんはスバルちゃんまで連れ去ってしまった。
てかスバルちゃん、お菓子に釣られてホイホイ着いて行かないように、俺は君が危ない人に着いていかないか心配だよ。
そして更に気まずいことに二人が出て行ってしまったので部屋の中にいるのは俺とギンガだけになってしまった。
「「・・・・・・・・・・・・・」」
……………非常に気まずい!だが、やっぱとりあえず謝るのが先決だ!
「そ、その、さっきはゴメンな」
「うっ!………わ、私もゴメンね。お、驚いちゃって、つい…………。す、スバルには後でちゃんと叱っておくから」
スバルちゃんはもっと落ち着きを着けないとな……近い未来苦労をかけるパートナーができる気がする。
「い、いや、すぐに目を逸らさなかった俺も悪かったから………あ」
「う、うぅ~~~~~~!」
やべっ、藪蛇突いちまった。
「と、とりあえず俺は何も見てねぇ!何も無かった!そうだろ!!」
「そ、そうだね!今日は何も無かったんだよね!ヴェント君は、普通に!!お見舞いに来てくれただけなんだよね!!」
「「あ、アハハハハハハハハ!…………」」
無かった事にするんだよ!これ以上この話に関することをしゃべるな!!二人とも恥ずかしい思いをするだけだ、ここは一切合切忘れるんだよ!!
……………………しかしギンガの肌白かったな……………って、うごっ!?
「い、いいっ、今絶対思い出してたでしょ!!」
「ぎ、ギンガ、お、落ち着け……………く、首から、手をはな…………絞まって」
「忘れなさい、忘れなさい!!わ~す~れ~て~~~!」
「ぐふぅ…………」
本日二度目のブラックアウトを経験した俺だった。
◆
尚、俺たち四人の二週間の謹慎処分を受けた、訓練生の身分で凶悪犯罪者と戦闘を行うという危険行為をしたためだ。
だが謹慎が明け翌日に表彰された。管理局としては市民を守った若い訓練生たちをヒーローとして扱い、評判を上げたかったらしい。体の良いプロパガンダにされたってわけだ。
そのことについてはあまりいい感じではないが、教官は俺らを一発殴った後によくやったと褒めてくれた。訓練校の仲間も賞賛してくれ、そして助けた人たちから感謝状が届いた時に、俺は守れたんだと実感できたのだった。
◆
「お前の息子への広報は可能な限り回さないよう、手をつくした…………これでよかったのだな?」
「はい、ありがとうございます」
カグラ・インダストリー本社ビル最上階の応接間、そこで二人の人物が話し合っていた。一人はヴェント・カグラの母親でありカグラ・インダストリーの社長、シルフィーヌ・カグラ。そしてもう一人は……………。
「レジアス中将」
「ふんっ、お前には借りが幾つもあるからな。だがお前の息子は立派な局員になるだろうな」
レジアス・ゲイズ、時空管理局地上の実質的な指導者、その人だった。彼は面倒な仕事を押し付けられたことにシルフィーヌに文句を言うが彼は上機嫌だった。
将来有望な局員が育つことはミッドの法を守る戦力が増えるということであるから上に立つ者としても嬉しかったのだろう。
「ええ、私の自慢の息子ですから」
「フンッ。後は海に持ってかれなければいいのだがな。お前も陸に残るよう言ってはどうだ?」
「あの子の進路はあの子のものです。どの方向に進もうと、私は応援するだけです」
「そうか」
微笑みながら礼を言うシルフィーヌ、レジアスはまた紅茶を啜るのだった。
「ところで今回はどのようなご用件で?管理局中将様がアポ無しで来て息子の件を言いに来た、というわけではないのでしょう?」
その一言で部屋の中は先ほどの雰囲気とは変わり緊張感に包まれたものに変わる、シルフィーヌの表情は変わらないが醸し出す空気は会社の代表者の風格があった。
「……………カグラ・インダストリーに開発を依頼したい」
「開発依頼ですか?」
レジアスは懐から一枚の要望書を取り出しシルフィーヌに渡す。
「そうだミッドチルダの未来を守るための物をな…………」
この時の依頼が後世にレジアス・ゲイズを英雄とも犯罪者とも呼ばれる由縁を作ったのは誰も知らないのであった。