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皆様方、ごきげんよう。
次期ティーパーティー候補兼、ナギサ様の付添人兼、ベアトリーチェお姉様の犬。桐藤ナズサです。
いやぁ上手く事が運べた~。
ミカとは裏切るタイミングをずらす理想のシチュを実現する為には、古聖堂の襲撃に参加しなければならない。その計画に組み込んでもらうには、洗脳教育を施されたアリウス生徒の様に、絶対に逆らわず一方的に仕える忠実な駒となる必要があった。
しかし俺は外部の人間。そんな人間が得体の知れない相手に理由もなく、一方的に仕えるなど不可解極まりない……そう、理由さえ作れば良いのだ。
そこで原作知識の出番。
これから起こること全てを悟り、絶望の末に慈悲を乞い、自ら人質という名の頑丈な手綱を主に握らせる。
結果、晴れてベアトリーチェお姉様に絶対逆らう事ができない忠犬となれた。
まぁ……こんなにもとんとん拍子で進めたのは、ベアトリーチェお姉様の嗜好――性根と言いましょうか。アリウス分校の生徒はもちろん、恐らくゲマトリアでさえも対等に見てはいない。
先生だけは別かもしれないが……お前モテモテだな。
そして、個人的ベアトリーチェお姉様の名言「子供は大人に搾取されるべき存在」そんな事を言う人間?の前に、哀れな存在が仕える代わりに、大切な人だけでも見逃してくれと懇願してきたら、嬉々として利用するのは目に見えていた。実際、俺が泣いてる時嗤ってたし。
……少しだけ気が合いそう。まぁ俺はハッピーエンドを望んでいるので、どう転んでも相容れることはないが。
とにかく、首尾は上々。無事に鬼門であったビジネスパートナーを確保出来たことだし、次の計画に移ろうと思う。
原作の名シーンを生で見る。
その中でもやはり、補習授業部は絶対に見逃せない。
エデン条約編を語るにあたって補習授業部は外せないだろう。
陰謀に巻き込まれ、退学に追い込まれる4人。全員何かしらの問題を抱えていて最初はバラバラだったけれど、やがて距離が縮まっていきみんなで1つの目標に向かって、ひたむきに走る姿は心揺さぶられること間違いなし。王道には王道と呼ばれる所以があるのだと再確認した。
……そんなの転生したら間近で見るほかないよなぁ!?
そこで俺はナギサ様に立案して、補習授業部の監督に任命してもらった。
先生やヒフミ元帥よりも、贔屓目なしで厳しく監察できる。と、それっぽい理由を添えて熱弁したら渋々ではあったが納得してもらえた。
因みにヒフミの元帥の意味は「ナギサ様の脳を破壊し隊」最高権力者である為俺が勝手に付けた。
隊長がハナコ。副隊長がアズサ。
俺はただの一般歩兵。
閑話休題。
ただし、付添人としての業務も疎かにしない。危険な行為は決してしない。という約束で俺は監督になった。
……えぇ。もちろん
こうして俺の肩書きは次期ティーパーティー候補兼、ナギサ様の付添人兼、ベアトリーチェお姉様の犬兼、補習授業部の監督となった。……過労死不可避だろこれ。まともに寝れなさそう。
……果たして最後まで残るのは一体どの肩書きなんでしょうかね?
***
何でも屋になりつつあるシャーレに、トリニティ総合学園の生徒会であるティーパーティーからの依頼がきた。
詳細は直接会って説明したいとの内容だった為、学園へ訪れた先生だったが、そこへ1人の少女が出迎えてきた。
「初めまして、先生。桐藤ナギサ様の付添人をさせて頂いております。トリニティ総合学園高等部1年生、桐藤ナズサと申します」
ティーパーティーの関係者の証、純白の制服を羽織った少女。
ナズサは――清浄な羽を律儀にピッタリと折りたたみ、長いブロンドヘアを纏めた高い位置にあるお団子とハーフアップを揺らしつつ、90度ピッタリの礼はそのまま額縁に飾れてしまえるほどに鮮やかだった。
今までも沢山の依頼を受けてきたが、ここまで丁重にもてなされるのは初めての経験であったため新鮮で、思わず見惚れてしまう。
「初めまして。まさかお出迎えを用意してもらえるとは……ありがとう。……出来たらでいいけど、もう少し楽になっていいよ」
しかし、常にこの所作では毎回気後れしてしまう。もちろん、様々な事情を抱えた生徒がいるので、あくまでもナズサのスタイルを否定せずに「出来たら」と付け足したのだが……。
「いやぁそういってもらえると助かります~。お姉ちゃん、失礼の無いようにしろーだのうるさくて……」
……全くの杞憂だった。重厚がありつつも、羽毛のような柔らかさを孕んだ厳然とした振る舞いは霧散した。そこに居たのは至って普通の女の子だった。
まぁ、楽になってくれと言ったのは確かに自分ではあるが……まさかの落差に拍子抜けしてしまう。
……少しだけ損をしたのかもしれない。
「それじゃ、案内をしてもら――」
気を取り直し、ナズサに付いて行こうと踏み出す。
瞬間、瞬きにも満たない速さでナズサが駆け出した。そのスピードに一般人である先生は反応など出来るわけがなく、気付いた時には文字通り、目と鼻の先にその端正な顔が覗き込んでいた。
「っ!? ナズサ?」
「…………先生って
身長差の関係上こちらが見下ろしている構図のせいか、琥珀色の見開かれた眦は、昏く深い谷の底を彷彿させ引き込まれる――そんな錯覚を覚えた。
その眼は先程の荘厳さと敬い、好意の調和が取れた眼ではなく……腹を探るような、敵愾心に近いなにかが見え隠れしていた。
そして反芻するナズサの言葉。
ハッキリ言うと意味が分からない。ただ、脈絡が全く無いこの問いは決して安易に返してもいいものではない、これは彼女の根幹の何かに関わるもの。そう直感した。
「あ。すみません」
どうしたものかと頭を捻っていると、あっさりとナズサは引き下がった。
「先生を困らせるだけでした。忘れてください」
そして何事もなかったかのように笑う。その裏の潜む陰を無理矢理隠すように。
「ナズサ、今のは……」
「いえ、ホント、気にしないでください。それよりお姉ちゃんが待っています。案内しますので着いてきてください、先生」
……ならば今は無理に詮索するのは止めよう。
生徒には様々な事情を抱えていて、それぞれの距離がある。いつか、その心の裡を話せるようになるまでは、静かに寄り添い待つのも大人の役目。それが先生の信念だった。
ナズサと世間話をしながら案内されたのは、ティーパーティーと従者、そして招待された人間のみが足を踏み入れられる、本校のとある一角に在るバルコニーだった。
「こんにちは、先生。こうしてお会いするのは初めまして、ですね。ティーパーティーのホスト、トリニティ総合学園高等部3年生、桐藤ナギサと申します」
清浄な羽、腰まで下したブロンドヘア、気品のある所作でティーカップを口に運ぶ、絵画から飛び出してきたと勘違いしてしまうほど絵になっている。
桐藤ナズサの姉、桐藤ナギサ。トリニティの生徒会長であり、今回の依頼人。
……デジャブを感じる。
「えっと……。もう少し楽になってもいいよ……なんて、あはは……」
「? ラク……とは?」
言葉の意味がイマイチ掴めないのか、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になるナギサ。
……ナズサと瓜二つの顔が優雅にティーカップを口に運ぶ姿の違和感は半端じゃなく、出会って間もないのに脳がバグるくらいには、ナズサ……”桐藤”のインパクトに浸食されていた先生は気を使ってしまった。
それが大間違いだとすぐに知ることとなる。
「ぷっ……せ、先生、お姉ちゃんはコレがデフォルトだから……くくっ……」
「えっ……? あ、ごめん。ナギサ、決して悪気があったわけでは」
「……いえ、先生大丈夫です。……それよりナズサ? 私、あれだけ失礼の無いようにと言いましたよね? 今日はあなたが初めて迎えるお客様であり、初めてこのティーパーティーに、トリニティの外の方が招待される事の意味を――」
「いやいやいや、先生が楽にしていいって」
「それは本音と建前と言ってですね――」
「あーはいはい、すみませんでしたー。以後気を付けますー」
「……っ! だいたい――」
「ほらほらストッープ。もう、ナギちゃん? 先生の前でお説教なんてやめよ?」
徐々にヒートアップしてきたお茶会は、1つの明るく弾んだ声音によって落ち着きを取り戻した。
「こんにちは☆ 先生。私はティーパーティーの聖園ミカ! よろしくね」
「……こちらこそ、よろしく」
まだ始まってもいない茶会の幸先の悪さに、一抹の不安を覚える先生だった。
「……コホン、失礼いたしました。それでですね、今日先生をご招待したのは少々お願いしたいことがありまして……」
軽く咳払いをし、すぐさま切り替え余裕を持って話を進める姿は、流石トリニティの生徒会長といったところか……。
「おぉ! ナギちゃんいきなり本題に入っちゃう!?」
「お姉ちゃん。まずは、少し小粋な雑談で緊張を解くのがホストとして相応しいのでは?」
「そうそう! せっかくこうして紅茶とお菓子も用意したんだしさ!」
「それともお姉ちゃん。まさか紅茶の一杯すらも先生に飲ませず帰すつもり? ……実はこのお茶とお菓子を独り占めしたいとか?」
「ナギちゃん、こだわり強いもんね~」
「…………そういったことはお二方がホストになった際行ってください。今回は私がホストとしてこの場を設けたので、それに従ってくださいな」
「それと憶測でものを語るのはやめましょうね? あらぬ誤解が生まれるので」
「「……………………」」
笑顔でお喋りな2人を黙らす威圧感は、流石トリニティの生徒会長といったところか……。
……何となくだが、3人のパワーバランスが垣間見えるやり取りだった。
「まぁ、お客様の前でこのような論争を広げるのもまた、望ましい姿ではないのは確かですね……そうですね。ここは少し話の方向性を変えましょうか…………紅茶もぜひ飲んでください」
独り占め――地味にその言葉が引っかかったのか、本来の役割である付添人のナズサにではなく、自分で紅茶を淹れ「どうぞ」とやけに圧を感じる笑みを浮かべながら差し出してきた。
……断ったら、どんな目に合うか分からないので素直に受け取る。
「ありがとう。……あなたたちが、トリニティの生徒会なんだよね?」
そういえば、と1つ疑問に思っている事があったので質問したのだが……。
この茶会に、ナズサとミカ。2人が揃っていたのが先生の運の尽きだった。
「先生の方から空気を読んでくれた!」
「流石です、先生。お姉ちゃんも見習うべき」
明らかに悪戯っ子気質な2人が、ナギサと先生で雑談を始めたらどうなるのか、それは火を見るより明らかだった。
「……はい。私たちがトリニティの生徒会長たちです……『生徒会長たち』というのは聞きなれないかもしれませんね」
「あれ? ナギちゃん? 無視? 無視なの? 無視かな? おーい」
「お姉ちゃん。都合の悪いことから目を逸らすのは良くないよ……」
「昔……「トリニティ総合学園」が生まれる前――――」
「ぐすん……本当に無視した。ナズちゃ~ん。ナギちゃんが無視するよ~」
「ミカちゃん。可哀想に」
「パテル、フィリウス、サンクトゥス、それらの――――」
「私たち、一応10年来の幼馴染だよ? それを完全無視なんて……今までも結構あったけど……」
「これだからお姉ちゃんは……何気ないものが如何に大切なものなのか、忘れてしまったのかい?」
「その後から、トリニティの生徒会は『ティーパーティー』という通称で――――」
プツンと、何かが切れる音がした。
「ああもう五月蠅いですね!!??」
「ひぇっ……」
「きた」
「それとナズサ!!」
「えっ!?はい!」
「公の場での『お姉ちゃん』は禁止と何度言ったら分かるんですか!? あくまでも今は主と従者。それを忘れてはいけません!」
「…………ごめんなさい」
静寂に包まれる茶会。先生が紅茶を啜る音が響く。
淹れたての筈の紅茶はやけに冷たく感じた。
***
聞きましたか?皆さん!
「ロールケーキをぶち込みますよっ!?」
いやぁ、遂に始まったんだなーと実感しますね!
改めて思ったけど確かにアレはうるさい。やられてる側からしたらクソうざいだろうね。
確実にぶち込み宣言を引き出したくて援護射撃したら、俺まで一緒に怒られるとは思ってなくてガチビビりしたが。唐突に詰められると普通に怖いです。ナギサ様。
そして遂に先生登場。
ブルーアーカイブ最大の謎の1つである
ただ一つ確かに言えることがある。彼がいる限りキヴォトスと生徒は安泰ということ。先生の存在のお陰で、俺も安心して好き勝手にできているから感謝しかない。
それに、先生と会うのは結構楽しみだったんですよね。
メタ的な話だが、先生の性別や容姿はプレイヤーの数だけ存在している。しかし、今この世界はゲームであってゲームではない(某SAO並感) 皆が肉体を持って生きている。
つまり、俺はこの世界に転生した者として確認する責務があった。
それはこの世界の先生の性別を暴くという禁忌。
……結論から先に言わせて貰うと。
先生の性別は分かりませんでした。
はい。そうです。ただただ、本当に
容姿は……何というか筆舌に尽くしがたい程絶妙で、眉目秀麗の男性とも、麗人にも見える。
だったら直接聞けば良いと思ったのだが、ここで問題発生。
「先生の性別ってどっちですか?」
そう問おうとしたら、何か大きな力が働いて言葉が
結果分からずじまい。
もしや、先生を守るシッテムの箱の恩恵、それが性別の問いにも適用されたのか。おのれアロナ、一筋縄ではいかないか。
取り敢えずどうしようもないので今回は先送り。
大事なのは先生の存在が確認出来たこと。これでもう遠慮も憂慮も必要ありません。心置きなく破壊活動に専念出来ますね!