仮面ライダーギーツ外伝 一歩IF:片脚の男   作:みなかみ

19 / 44
18話 交差Ⅴ:破滅の門と地獄の塔

 

「皆様は、本当に勝てるのでしょうか…?」

 ツムリは、俯きながら呟いた。デザイアグランプリのサロン内には、常に戦いの様子が映されている。一つの映像は、シーカーと死闘を繰り広げるギーツ。そしてもう一つは、グレア3に苦戦を強いられるダパーン。どちらも優勢とは言い難く、敵方の攻撃に押されている。

「このまま、負けてしまったら…デザイアグランプリは…」

「"今が最悪の状態"と言える間は、 まだ最悪の状態ではない。」

 プレイヤーの身を案ずるツムリにそっと声をかけたのは、神山飛羽真だった。

「えっ…?」

「かの劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの言葉だよ。まだ誰も諦めていない。信じなきゃ、道は開けない」

 飛羽真はそう言うと、サロンを去ろうと振り返る。その背中を、ツムリが呼び止めた。

「待ってください…!あなたは一体…何者なんですか?」

「…ただの小説家だよ。ちょっぴり、お節介なだけのね」

 飛羽真がもう振り返ることは無かった。追求もできず立ち尽くしたツムリは、画面に向かって祈った。

(お願いです…どうか皆さん…勝って…)

 その時ダパーンが、失われたはずのパイレーツの力を引き当てた。

 

 

 スタジアムの戦いは、巨大な立体駐車場に移っていた。シーカー、イザンギ、バリデロはギフの力で強化され、三人は苦戦を強いられるも、果敢に立ち向かう。

「ギフの力を失ったお前は私に勝てない!」

「そんなの…やってみなきゃわからないだろ!」

『TACTICAL SANDER!』

 ビートアックスから枝分かれした電撃を放つも、イザンギは腕を高速移動させて全て掌で防ぎ、白煙が舞う。その白煙の中を、リバイがビートアックスを突き出しながら突撃し、刺股のようにビートアックスでイザンギの胸部を柱に固定した。さらに刃から氷を生じさせ、イザンギを釘付けにする。タッピングで弾かれた音色はさらに氷結の力を高めた。

『TACTICAL BLIZZARD!』

「面白い攻撃だ…だがぬるい!」

 イザンギが体から紫色の衝撃波を放ち、拘束から逃れる。今度は炎の属性を選択し、斬りかかるリバイ。その後方で、バイスがバリデロと戦っていた。

「下等生物の仲間に成り下がるとは…何とも滑稽な悪魔だな」

「うるせぇな!下等だの、上等だの!知ったこっちゃねぇよ!」

 バリデロが杖から放つ火炎を、仰け反りながら避けるバイス。右手を軸にブレイクダンスの様に足を回しながら、リボルブオンしてモンスターバックルを二度押した。

『REVOLVE ON』『MONSTER STRIKE!』

 低姿勢から、右足を掬うように振り抜いての蹴り。距離こそ離れていたものの、モンスターの四肢を伸縮させる能力でバリデロの腰にキックを見事に当てる。だがその攻撃も、バリデロは二の腕でガードして見せた。

「弱い」

「まだだ!」

『REVOLVE ON』

 バイスはリボルブオンすると同時に腕を急激に縮め、バリデロに接近。右足が左腕に変わり、スピードと勢いの付いた右腕のパンチが腹部に命中した。

 一方、ギーツvsシーカー。レイジングソードを装備したギーツと、ギガントソードを所持したシーカーの、機動力と破壊力がぶつかる斬り合いは、どちらも全く譲らない。レイジングソードとギガントソードがぶつかり、火花が散って鍔迫り合いとなる。

「諦めろ浮世英寿!この星はもう終わりだ!」

「終わる?」

 シーカーの腕力が上回り、ギーツの姿勢を低くさせる。

「そうだ。これから宇宙中の侵略者を呼び寄せる。貴様が願いを叶える世界は訪れない!」

「終わらせるかよ。自分の世界を破壊してまで、叶えたい願いはなんだ!」

 レイジングソードを横向きに持ち替えたギーツは、ギガントソードを左に流し、回し蹴りで中に弾いた。すかさずレイジングソードによる刺突をシーカーに向けて行う。

「俺に…叶えたい願いなど無い!」

 シーカーは胸のアームを展開し、弾かれたギガントソードをキャッチ。到底人間にはできない挙動でギーツを斬り返す。そして、ギガントコンテナからバックルを付け替え、ギガントハンマーを装備した。

『HYBRID!GIGANT HAMMER!』

「ぬあああああ!」

 シーカーがギガントハンマーを地面に打ち付けると、スタジアム中から足場が建設され、一つの建物と集結し、上空に向けて組み上がっていく。その足場に、シーカーだけでなく、イザンギ、バリデロも乗り込み、上へと自動的に押し上がってゆく。やがて"地獄の塔"は赤い壁の天井を突き抜け、空の裂け目へ向かって伸びていった。ギーツらもそれを追おうとしたが、ゾンビ、ニンジャ、ビート、モンスターのデッドマンが彼らの前に現れ、行く先を阻む。

「せいぜいそいつらと遊んでいろ!下等生物よ!」

「くそっ…まずはこいつらを倒すしか無いか…!」

 リバイがニンジャデッドマンにビートアックスを振りかざすが、刃が命中するよりも速く、連射された黄色の銃弾がデッドマンたちを退けた。ギーツが振り向くと、赤い壁の一部が青白く歪み、数多の仮面ライダーがそこから突入していた。デッドマンを一度退けたライブは、ライブガンを斜めに構えて三人の前に立つ。

「兄ちゃん!こいつらは俺たちに任せろ!」

「一輝さん!」

 次いでオーバーデモンズもリバイに近付き、アタッシュケースを手渡した。リバイがそれを開くと、かつて自らが使用していたバイスタンプの数々が収められている。

「大二、玉置、ありがとう!」

 突入の完了したライダー達は、二人ずつに別れてデッドマンと戦闘を開始する。ライブとタイクーンはニンジャデッドマン、ジャンヌとナーゴはビートデッドマン。アギレラとオーバーデモンズはモンスターデッドマンを、デストリームとバッファはゾンビデッドマンを駐車場から追いやった。

「ダパーン様が、ヴィジョンドライバーを取り返しました」

 ツムリも三人の元へ現れる。彼女の出番となったということは、デザイアグランプリの再開を表す。

「ダパーンが…フッ、やるな」

「運営権はこちらに移りました。これよりデザイアグランプリ緊急ミッション・シカゲームを開始します!」

 ツムリの持つタブレットには、シーカーが建設中の地獄の塔の地図が記されている。黄色のマーカーはシーカー、赤と青のマーカーはイザンギとバリデロを現してて、塔は膨張を続ける。

「仮面ライダーシーカーは今、空の裂け目が閉じないように、破滅の門と地獄の塔を建設しています。このミッションは、それの阻止。見事達成したデザ神は、理想の世界を叶えられます!」

「それがコラスの本当の目的か」

「ようし…やってやろうじゃねぇの!」

 地獄の塔を見上げたバイスは、力強く右腕を振り上げる。しかし、それも限界が近づいていた。再び青いノイズがバイスを覆い、デザイアドライバーによる変身も解除されてしまう。

「あぁ…もう限界か…」

「そんな…消えるなバイス…!まだお前を忘れたくない…!」

「…それがお前の願いか…まだ終わりじゃない…お前が拾ったバックルがあるはずだ」

 ギーツは、リバイに宝箱を開くように促す。宝箱とは、元々幸四郎用に支給されたバックルが入っていたはずのものである。リバイは、背中から宝箱を取り出すと、蓋を取り払う。入っていたのは、リバイスドライバーバックル。しあわせ湯でしかドロップしないレアアイテムであり、かつて浮世英寿が使用したバックルでもある。

 リバイがビートバックルとリバイスドライバーバックルを付け替え、叩くように起動すると、バイスのデザイアドライバーにもエネルギーが流入した。

『REVICE DRIVER!バディアップ!オーイング!ショー二ング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!』

 デザイアドライバーがリバイスドライバーに変化し、二人は仮面ライダーリバイス・レックスゲノムへ変身を遂げた。

「よし、一気に飛ぶぞ」

『FULL CHARGE』『TWIN SET』

 レイジングソードからバックルを取り外すと、ジェットとキャノンの鎧が左右に発現する。リバイは、一気に空へ飛び立つべく、アッシュケースから、緑と紫のバイスタンプを起動した。

『イーグル!』

「よおっし、久しぶりだな!ちょーアガってきたぜ!」

 リバイがイーグルバイスタンプをリバイスドライバーに押印すると、バイスの体も一度リバイの元へ戻り、バイスの思念体が巨大なバイスタンプを持ち上げる。そして、バイスタンプを傾けると同時に巨大なバイスタンプがリバイに降り注ぎ、仮面ライダーリバイス・イーグルゲノムへと再度変身した。

『バディアップ!荒ぶる!高ぶる!空駆け巡る!イーグル!』

 二人は地面を強く蹴ると、風を切るように飛び上がる。それを追うようにして、ギーツもコマンドフォーム・ジェットモードに変身。バーニアを点火して地面から飛び立った。

『TAKE OFF COMPLETE!JET&CANNON!』

 三人のライダーは、一斉に地獄の塔の頂点を目指す。

 既に、破滅の門の建造は進んでいた。

 

             *

 

 ニンジャデッドマンが、壁の影からタイクーンとライブを虎視眈々と狙う。影から影へ、姿を見せずに潜行し、嘲るように時折顔を見せる。次に顔を出したのは、ビルから迫り出した天井だった。

「いた!」

 タイクーンがニンジャデュアラーの片側を投げるも、ニンジャデッドマンは直ぐにまた戻り、姿をくらます。天井に注意が向いていたタイクーンの背後に伸びる、外灯の影。そこからニンジャデッドマンが飛び出し、タイクーンの背後に真剣を突き刺さんとする。

「そこだ!」

 それを間一髪で止めたのは、ライブの射撃だった。ライブガンから放たれたエネルギー弾は、ニンジャデッドマンの真剣を弾き返す。ニンジャデッドマンはライブに対し分が悪いと察知し、外灯の影に戻ろうとする。

「逃がすか!」

『ジャッカル!』

『バーサスアップ!Overdrive!Power dive!仮面ライダーライブ!ジャッカル!』

 ジャッカルバイスタンプを使用、ゲノムチェンジしたライブ・ジャッカルゲノムが、空中を駆けるように高速移動。外灯の影に回り込み、正確無比な射撃で潜行を阻止する。

 その動きにタイクーンもダッシュで追い付き、振り向いたニンジャデッドマンに残った片側のニンジャデュアラーで横向きに斬り込む。しかし、ニンジャデッドマンは、直前でタイクーンの姿が作る影に潜行して回避。真剣も移動途中で回収し、行方を追えなくした。

「くそっ、またか…!」

 タイクーンは額に汗を滲ませながら、辺りに集中する。

「はぁ〜まどろっこしいぜ、おい」

 ライブは突然、愚痴と共に変身を解除した。何時ものきっちりとした性格の大二から一転、爪をカリカリといじりながらタイクーンを覗き込む。正に、人が変わったかのように。

「えっ、な、何してるんですか…?」

「知ってっか?人ってのは、誰しも心に悪魔を飼っている。それはそいつの本当の自分ってやつだ」

 タイクーンと話しているのは、大二であって大二ではない。彼の悪魔・カゲロウである。本来は大二の兄に対する妬みの心から生まれた存在だったが、大二はすっかりそれを乗り越え、カゲロウもほとんどただの口うるさい性格に変わっている。

「さぁ、お前の悪魔はどんなやつかなぁ…?」

 カゲロウはピンと伸ばした人差し指で、タイクーンの額に触れた。カゲロウは、景和の深層心理の内側に入り込んでゆく。

 そこでカゲロウが見たのは、想像を絶する光景だった。

 世界平和を掲げる、人畜無害なはずの男の心中は、どす黒い闇に包まれていた。闇の中には、緑の鬱蒼とした煙が立ち込め、その最深部に一人悪魔が立っている。その悪魔は、カゲロウの存在に気づくと、気だるそうに口に出した。

「俺が誰か……?別に…世界平和を願う、ただの一般人だよ…」

 カゲロウの意識は、現実の世界へ戻る。眼の前に立っている男は、心の中にカゲロウが入り込んでいたとも気付かずに、ただ首を傾げるのみ。彼の根幹をなす者は、善か悪か。カゲロウは、景和という人間を理解し、天を仰ぐように笑った。

「ふっはははっ!おもしれぇ」

『バット!』

 カゲロウはツーサイドライバーを変形させ、バットバイスタンプをドライバーに押印。黒い蝙蝠を身に纏う。

「変身」

『バーサスアップ!Madness!Hopeless!Darkness!バット!仮面ライダーエビル!』

 ツーサイドライバーは裏返り、エビルブレードが展開する。仮面ライダーエビル・バットゲノム。表と裏、これを使い分ける事こそ、ツーサイドライバーの真価を発揮するタイミングである。

「いいか、一回しか聞かないから覚えとけ。ちゃんと見なきゃ、守れるもんも守れねぇぞ」

 エビルはタイクーンにそう言い残すと、いつニンジャデッドマンに襲われるかもわからない巨大なビルの影に踊り立つ。ニンジャデッドマンは、これを好機と判断し、エビルの死角から地面にせり出る。

「そこか」

 上半身だけしかまだ出ていないニンジャデッドマンを、エビルが掴んだ。そして一気に持ち上げて引っこ抜き、二回ほど斬り裂くと、手を離して蹴り飛ばした。

「俺様はなぁ…汚ぇ戦い方が大嫌いなんだよ…」

 近場の影に逃げ込もうと手を伸ばしたしたニンジャデッドマンの首を、エビルが掴んで地面に叩きつけた。

「ただし、俺様がやる場合は別だけどなぁ…!」

「えぇ…」

 ドン引きするタイクーンを他所に、エビルは逃げる影もない広場に、ニンジャデッドマンをぶっ飛ばした。

「どうした?お前もやらねぇのか…って、おい!」

 エビルの変身が、勝手に解除される。そこにカゲロウの時のやさぐれた仕草は無く、ただ気まずそうに頭を掻いていた。

「全く…さっきのはカゲロウなりの激励だ。しっかり受け取ってやってくれ」

(おい!俺はそんなつもりじゃねぇぞ!)

『バーサスアップ!仮面ライダーライブ!』

 ライブに変身した大二は、戦闘に戻る。

「俺も戦う…最後まで…!」

 タイクーンは決意を硬め、戦闘へ復帰した。

 

 

 仮面ライダーナーゴ・ビートフォームは、ビートアックスに火炎の属性を付与し、ビートデッドマンに斬りかかる。自身に一体化したギターを掻き鳴らしたビートデッドマンは、全身から超低音の音波を発し、ナーゴの足を強制的に止めた。

「あぁ〜!うるさ〜い!」

 聞くに堪えない禍々しいメロディーに、ナーゴは両耳を抑える。

「しゃがんで!」

『リバディアップ!タートル!』

 ナーゴがしゃがんだ瞬間、タートルバイスタンプを使用したことにより発動したバズーカ、タートルゲノムから緑の砲弾が発射され、音圧のフィールドを突破、ビートデッドマンの胸部に炸裂した。

「すごっ!かっこいいね!」

『ラブ!コブ!』

「え、喋った?」

 ナーゴがじっとタートルゲノムを凝視すると、タートルゲノムには黄色い目が二つ付いているのを発見した。そう、ジャンヌの悪魔ラブコフは、指定のバイスタンプを使用することで、ゲノムチェンジで武器に変身できるのである。

「そ。ラブちゃん、かわいいでしょ?よ〜く見ててね!」

『ハシビロコウ!』

『リバディアップ!ハシビロコウ!』

 空中でジャンヌの手を離れたタートルゲノムは、一度ラブコフの二頭身スタイルを介して、鎌形のハシビロコウゲノムに変身。ラブコフの愛らしい姿を一目みたナーゴは、キャッキャしながら鎌にハグした。

「ラブちゃんかわいい〜!」

「先ずは、あの音をなんとかしないとね!」

 紫色の炎が鎌に灯される。ジャンヌが鎌を一振りすると、紫色の炎を宿した斬撃が飛ばされる。ビートデッドマンは音圧のフィールドで対抗したが、フィールドに斬撃が突撃すると、斬撃そのものが音波を放ち、相殺してフィールドを無効化した。

「よしっ!さくっと倒すよ!」

『キングコブラ!』

『ハイパーリベラルアップ!We are!We are!仮面ライダー!インビンシブル!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!ジャンヌ!』

「うん!」

『REVOLVE ON!』『SET FEVER!』

『HIT!FEVER BEAT!』

 ジャンヌは、コブラバイスタンプを進化させた、キングコブラバイスタンプを使用。ラブコフと一体化、最強のインビンシブルジャンヌへ変身。ナーゴはフィーバースロットバックルより、ビートを引き当て、上下両方に音の鎧を纏った、フィーバービートフォームに変身した。

「この世界は、もっともっと幸せになれる!」

「…だから、私達が守る!」

 最初にナーゴが突撃し、ビートアックスを二つ持つと、それを重ねて同時に演奏。一手に二つの必殺技を発動する。

『TACTICAL BLIZZARD!』『TACTICAL FIRE!』

 先に冷気がビートデッドマンを凍結させ、炎が急激に氷を溶かす。これにより発生した水が、ビートデッドマンの体内に浸透し、体内の機械をショートさせた。そして畳み掛けるように、上空からインビンシブルジャンヌの必殺キックが放たれる。

『キングコブラ!スタンピングスマッシュ!』

『「はぁぁぁぁぁぁあ!」』

 インビンシブルジャンヌのキックは、ビートデッドマンの後頭部に落下。その状態のまま空中に留まり、ナーゴがさらに必殺技を重ねる。

『HYPER BEAT!VICTORY!』

 二本のビートアックスを、ビートデッドマンの胸部に交差させて突き刺すと、蹴りで押し込む。このナーゴとジャンヌの必殺技の連携により、ビートデッドマンは粉々に爆散した。

 ジャンヌはひらりと着地すると、ナーゴと景気よくハイタッチした。

「よし!」「やったね!」

 

 

 モンスターデッドマンが超巨大な拳を伸縮させ、アギレラに向けて放つ。そのアギレラの前にオーバーデモンズが割って入り、アノマロカリスバイスタンプを使用した、

『Dominate up!アノマロカリス! ゲノミクス!』

 両腕にデモンズブラディオールをゲノミクスしたオーバーデモンズは、二の腕を合わせてガードした。オーバーデモンズとモンスターデッドマンの距離は幾分か離れており、デモンズブラディオールで十分防御できる威力であった。オーバーデモンズが防御に徹している合間に、アギレラが頭上から跳び上がる。

『リバディアップ!Year!バッファロー!』

 円形の刃が搭載された乾坤圏を二度投擲し、伸縮した右腕を切断。残った左腕は、オーバーデモンズが弾き返した。

「もう一押し、行くわよ!」「はい!」

『ヘッジホッグ!』『カジキ!』

『リバディアップ!Year!ヘッジホッグ!』

『Dominate up!カジキ! ゲノミクス!』

 アギレラは彼女の腰丈程のメイス型の武器・ニードルメイスを装備。ニードルメイスは、打撃部から太くも鋭い棘が何本もあしらわれていて、破壊力は絶大。そしてオーバーデモンズは、右腕を赤く染まった大剣・デモンズブレードにゲノミクス。これも地面に届くほどの丈があり、地面と擦れ火花が散る。

 モンスターデッドマンは残った左拳を、二人に向けて巨大化して伸ばす。

「ワンパターンなのよ、あんたの攻撃」

 アギレラがしゃがんで拳を避けると、ニードルメイスで上へ叩き上げる。そして、オーバーデモンズのデモンズブレードが腕を一刀両断。モンスターデッドマンの攻撃の手を完全に奪った。

 最後の抵抗で、モンスターデッドマンは斬られた腕を鞭のように振り回す。オーバーデモンズは難なくそれを斬り伏せ、アギレラは踏み潰してニードルメイスを振り落として叩き斬った。

「トドメだ!」「行くわよ!」

『ギラファ!』『ダーク・クイーンビー!』

『Delete up!Unknown!Unlest!Unlimited!仮面ライダーゲット!オーバーデモンズ!』

『Subvert up!Faith beyond malice!仮面ライダーアギレラ!ダーク!』

 オーバーデモンズは、専用のギラファバイスタンプにより、さらに全能力を強化されたゲットオーバーデモンズに変身。アギレラが変身したのは、自身の悪意を受け入れて進化、悪魔と融合した最終形態・ダークアギレラである。

 ゲットオーバーデモンズが地面を駆け、ダークアギレラは空中で飛び蹴りの構えをとる。

『ギラファ!デモンズフィニッシュ!』

『ダーク・クイーンビー!スタンピングブレイク!』

 ゲットオーバーデモンズの腕のアーマーが、ギラファの顎に変化。モンスターデッドマンを挟み込む。そして、ダークアギレラの闇の波動を纏った蹴りが頭部に直撃、モンスターデッドマンは撃破された。

 

 

「たとえこの身が朽ち果てようと…俺は戦う!」

 ゾンビブレイカーの一撃を、不定形のゾンビデッドマンが溶けるように避けた。またしても避けられた攻撃に、バッファは舌打ちをする。腕と一体化したチェーンソーを振るってバッファに攻撃を仕掛けるゾンビデッドマン。

『クロコダイル!ネオバースト!』

 それを弾き返したのは、クロコウィザーローリングを右手に装備したデストリームだった。クロコウィザーローリングを地面に押し当てると、それ自体が回転し、地面の舗装が剥がれる。それをゾンビデッドマンに浴びせることで一時動きを止めたデストリームは、左腕にコモドドラゴニックヒートを装備する。

「ここはおじさんに任せなさいっ!」

『コモドドラゴン!ネオバースト!』

 コモドドラゴニックヒートの火炎放射を受けたゾンビデッドマンは、不定形のその姿も保てなくなり、不器用な形で固まってしまう。デストリームはそのままとどめを刺そうとしたが、バッファがその肩を掴んで止めた。

「おい、コイツを倒すのは俺だ…!」

『REVOLVE ON!』『SET FEVER!』

『HIT!FEVER ZOMBIE!』

 今度こそ、バッファは一発でゾンビを的中させた。ゾンビの鎧が上下に合体し、金色のマントが左腰に発生する。仮面ライダーバッファ・フィーバーゾンビは、二本のゾンビブレイカーをゾンビデッドマンに叩きつけた。そして、火炎による固定が終わらぬ内に、足の爪で突き刺し、空中へ蹴り上げた。

「かぁ〜若いっていいなぁ〜!よし、俺も!」

『ヘラクレス!』

『Charge!デストリームフィニッシュ!』

 必殺技の発動と同時に、胸部のアーマーからエネルギーを流動させ、高速移動を開始。スタジアムの壁を駆け上がると、空中から落下していたゾンビデッドマンに左足を振り下ろした。

『GOLDEN FEVER VICTORY!』

 それを待ち構えていたバッファは、叩き落されたゾンビデッドマンを二本のゾンビブレイカーで捕える。そして、デストリームも再び地上に舞い戻り、左フックを追加で放つ。そして二人は攻撃をゾンビデッドマンに食らわせたまま壁に叩き付け、ゾンビデッドマンを爆散させた。

 

 

『DUAL ON!GREAT!NINJA!』

 レイジングソードとニンジャデュアラー・シングルブレードの二刀流で、ニンジャデッドマンの真剣を抑えると、すかさずライブが銃撃でダメージを与える。さらに、下半身のニンジャの装甲が風を発し、回し蹴りで真剣の腹を捉え、真っ二つにへし折った。

 タイクーンはチャージが完了したレイジングソードからバックルを取り外し、ニンジャバックルと付け替える。

『TWIN SET』

『パーフェクトウィング!』

 ライブもまた、大きな羽を模したパーフェクトウィングバイスタンプを起動。ツーサイドライバーに押印、装填した。

『TAKE OFF COMPLETE!JET&CANNON!』

『FlyHigh!パーフェクトアップ!仮面ライダー!エビリティライブ!』

「人々の幸せを、勝手に奪わせたりはしない!」

「みんなの幸せが、俺の幸せだからな!」

 仮面ライダータイクーン・ジェットモード。そして、大二とカゲロウの融合により完成するエビリティライブへ。二人はバーニアと翼で空中に飛翔すると、同時に必殺技を発動。ニンジャデッドマン一直線に蹴りを放つ。

『COMMAND TWIN VICTORY!』

『エビルライブチャージ!Wings for the Future!エビリティパーフェクトフィナーレ!』

 二人のキックは、ニンジャデッドマンに命中。地面にめり込むように叩き付け、完全に撃破した。

「やった…!」

「兄ちゃん、後は頼んだぞ…」

 変身を解いて、地獄の塔を見上げる大二。彼には、一つ心残りがあった。神山飛羽真に聖剣を渡すことである。エリア内に入った後も、彼の姿はどこにもなかった。大二が懐から火炎剣烈火が納刀された聖剣ソードライバーを取り出すと、突如火炎剣烈火が光を放ち、大二の手を離れて塔の天辺へ向けて飛んで行ってしまった。

「もう来てたんですね、飛羽真さん」

 火炎剣烈火は、まっすぐに主の元へ。

 

             *

 

 塔を建設するシーカーを追うギーツとリバイス。

『TACTICAL RAISING!』

 ギーツのレイジングソードが、塔の外壁を破壊し、リバイスもその後へ続く。外壁の向こう側には、ギガントハンマーにより建設を続けるシーカーの姿が。三人は鉄骨の森を潜り抜け、シーカーを掴んで塔の中央から突き放す。空中でギーツは軽口を叩きながら、バーニアの出力を上げた。

「よう、ラスボス」

「裂け目には行かせない!」

「俺に勝てる人間はいない…!」

 リバイスはゲノムチェンジをしつつ、塔の中腹に着地、それにギーツも続いた。

『バディアップ!アームストロング!戦いのゴング!鳴らせ!コング!』

 リバイス・コングゲノム。ゴリラの剛健な腕力を加えた拳で、ギガントハンマーに挑む。ギガントハンマーの側面による突くような打撃と、バイスのストレートが激突する。シーカーはそれを横に逸らすと、その間にリバイが地面に拳を振り下ろす。そして衝撃波がシーカーにまで達し、足元を鈍らせる。

 それを受けてギーツはリバイの攻撃に合わせて、レイジングソードで飛びながら斬りかかる。それを半歩ステップしてスレスレで避けるシーカー。アーマーに掴ませたままのギガントソードをギーツに向け、回避行動を取らせて時間を稼いだ。シーカーはギガントハンマーにより壁を建設し、三人の行く手を阻む。

『REVOLVE ON』

 ギーツはリボルブオンによって、ジェットモードからキャノンモードへ。リバイも両手を前に突き出し、両腕のアーマーを射出。ギーツは二連式のキャノン砲からエネルギー弾を放ち、二人の攻撃は壁を粉々に破壊した。壁を通り抜け、シーカーとの戦いがまた始まる。

 コングによる攻撃の手はもう読まれてしまうとリバイは判断、次はライオンへゲノムチェンジ。さらに四つん這いになったバイスをリバイが足で掴みリミックス、リバイスライオンとなりシーカーに噛み付く。

『必殺!チャンピオン!爆音!ライオン!』

 シーカーは尖った牙による噛みつき攻撃を、ギガントハンマーを縦に持つことで何とか防いだ。が、ギーツが防御が手薄になった右側からレイジングソードで斬り上げ、シーカーはギガントハンマーを手放しながらダメージを受けてしまう。それでも悠々と着地し、アーマーに握らせたままだったギガントソードを手に取った。

 ここでリバイスはさらにゲノムチェンジ。咥えたギガントハンマーを離れに放り出すと、今度はマンモスゲノムに変わった。

『バディアップ!巨大なキバ持つ!陸のボス!マンモス!』

 リバイはマンモスガッシャーを一本投擲し、シーカーがギガントソードでそれを弾いたタイミングで、残ったもう一本で斬りかかる。ギガントソードを逆手持ちし、それを防いだシーカーは、リバイに問いかけた。

「やるな…!そこまでして願う世界は何だ…?」

「家族が幸せに暮らせれば、他に願いなんて無い!」

 リバイはギガントソードを抱えこんで抑える。そこでバイスが拳を振り上げてシーカーの守りを破ろうとしたが、アームにガードされ、またしても拮抗した状態になる。

「わっかんないね!それで他人の不幸を願うんなんて!」

「はあっ!」

 ギガントソードとアームを抑えられ、いよいよガードが手薄になったシーカーに、ギーツのレイジングソードによる突きが炸裂する。遂に大きなダメージを受けたシーカーは、後ずさって膝をついた。

「黙れ!戦いには、必ず勝者と敗者がいる。俺が勝った数だけ、不幸になる奴がいる」

 シーカーはギガントソードを杖にして立ち上がり、三人にそれを向けた。

「戦いとは…そういうものだ!」

 そこで、シーカーのギガントソードが弾かれた。後方から、最初にリバイが投擲したマンモスガッシャーが帰ってきたのである。ここぞとばかりにギーツがレイジングソードを上げ迫るが、シーカーは横に転がってギガントハンマーを拾い、斜めにそれを振って三人を退けた。

 あくまで勝利に執着するシーカーに、ギーツは自身の経験談からの教示を述べた。

「フッ…かの劇作家、シェイクスピアも言っていた。"人は泣きながら生まれる。こんな世界に生まれてしまった事が悲しくてな"…って」

 シーカーはギーツの言葉を無視し、攻撃を再開した。バイスのグレイシャシールドをハンマーの薙ぎ払いで振り払い、リバイとギーツは蹴りで吹き飛ばした。

 

 そこで、三人に火炎と電撃の雨が降り注いだ。

 

 この攻撃で三人は絶大なダメージを受け、変身が解かれてしまう。シーカーは後ろを見上げ、不機嫌そうに吐き捨てた。

「余計なマネを…」

 シーカーが建設していた塔の階段から、イザンギとバリデロ。そして、偽ヒロミと偽ツムリが降りてきていた。

「邪魔はさせんぞ…」

「はいっ、残念でした〜!」

 偽ツムリと偽ヒロミは、その体を醜い姿の怪人態に変貌させた。偽ツムリは、ゴスロリのドレスはそのままに、全身が刃物のように尖り、目が歯車の怪人態。偽ヒロミは、英国紳士の様な正装とマントを着用したまま、体のいたるところから蜘蛛の糸が垂れ下がり、表情は蜘蛛の巣に包まれて伺い知れない。

「こいつらは、私達がギフの力の実験体としてデザインした駒。差詰、ネオ・ギフデモスと呼んだ所か…!」

 偽ツムリと偽ヒロミの怪人態をネオ・ギフデモスと呼称したイザンギは、幸四郎の肉体が宿っているネオ・ギフスタンプをちらつかせる。新たに現れた四体は、シーカーの両サイドに並び立つ。シーカーはため息をつくと、アームでイザンギのネオ・ギフスタンプを掠め取った。

「何を!」

「最強は俺だ。力こそが俺の全て…俺が頂点となるのだ!」

「やめろ!」

 倒れたままの一輝の静止も聞かず、シーカーは自身の体にネオ・ギフスタンプを押印。紫のオーラを放ちながら取り込んだ。

「ふんっ…まぁいい。これで終わりだ。下等生物ども」

 バリデロは、倒れた三人を終わらせようと杖を向ける。

 

『頭上に注意してください。』

 

 突如として、辺りに警告音が鳴り響いた。場にいる全員が、警告に従って上を向く。しかし、もう"彼"は迫っていた。

『イニシャライズ!リアライジングホッパー!

A riderkick to the sky turns to take off toward a dream.』

 敵と味方を分断するように、バイクに乗った仮面ライダーが落下してきた。黒いスーツに、黄色い装甲。誰も見たことが無い仮面ライダーに、全員が驚愕する。その中でも、バリデロは臆さずに、謎の仮面ライダーに語り掛けた。

「貴様…何者だ…!」

「俺か?」

 謎の仮面ライダーは、颯爽とバイクから降りると、両手を組んで見せた。

「ゼロワン!それが俺の名だ」

 仮面ライダーゼロワン。そう、彼こそが、超大企業・飛電インテリジェンスの社長、飛電或人が変身した姿であり、紛う事なき英寿達の味方である。ゼロワンはバイクを携帯のサイズに折り畳んで収納すると、間髪入れずに高速移動を開始した。

 最初にバリデロの杖を蹴上げ、流れるような裏拳。退けた後に、並び立っていたシーカー、バリデロ、ネオ・ギフデモスの二人に、それぞれ一発ずつ蹴りと拳をお見舞いし、一気に後退させた。五人は、ゼロワン・リアライジングホッパーの演算速度について行けず、急に与えられたダメージに驚きながらも膝を付く。

 その間に、ゼロワンは変身を解除。倒れた英寿達を立ち上がらせた。

「間に合って良かったよ。宇宙から戻るの、めっちゃ大変だったんだから」

「くそっ…なぜこうも都合良く…!」

 イザンギは、拳を強く握る。

「もう君たちの思い通りにはならないよ」

 塔の中腹に、もう一人現れた男がいた。階段をゆっくりと登り、飛電或人の横に立った神山飛羽真は、倒すべき相手を強く見つめる。

「飛羽真さん、変身は?」

 立ち上がった一輝は、飛羽真に問いかける。飛羽真は一輝を一度見ると、一歩前に出て呟いた。

「ありがとう。俺はもう大丈夫…!」

 地上から、彼の元へやって来た聖剣を、飛羽真は掴む。

 いよいよこれで、役者は揃った。

 バイス、一輝、英寿、或人、飛羽真と並び、四人はドライバーを装着する。

「覚えとけ。俺達は生まれた瞬間から、運命を背負わされている。生きるために戦わなければならない運命をな」

 英寿の言葉を、或人が繋いだ。

「だから俺たちは諦めない。たとえ、どんな強敵が、現れようとも!」

『Jump!Authorize!』

『Brave Dragon!』『レックス!』『SET』

 或人は、ライジングホッパープログライズキーを飛電ゼロワンドライバーに翳して承認を得、キーを展開。飛羽真は、ブレイブドラゴンワンダーライドブックの最初のページを開くと、聖剣ソードライバーの右のスロットに装填。一輝はレックスバイスタンプを起動、リバイスドライバーに押印し、バイスと拳を突き合わせる。そして英寿はマグナムバックルとブーストバックルをデザイアドライバーに装填。狐の形を模した右手を前に向け、一斉に掛け声を言い放った。

「「「「「変身!」」」」」

 或人はプログライズキーをドライバーに装填。飛羽真は火炎剣烈火を抜刀し、それを二回振り、炎の斬撃を形成。一輝はリバイスドライバーに装填したレックスバイスタンプを傾け、英寿はマグナムバックルのリボルバーを回し、トリガーを引いて、ブーストバックルのハンドルを捻った。

『Progrise!飛び上がライズ!ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.』

『烈火抜刀!wow…Brave Dragon!烈火、一冊。勇気の龍と、火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

『バディアップ!オーイング!ショー二ング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!』

『DUAL ON!GET READY FOR!BOOST & MAGNUM!』

『Ready?』

「お前を止められるのはただ一人、俺だ!」

「物語の結末は、俺が決める!」

「この世界は、俺たちが整える!」

「うっしゃぁ!沸騰してきたぜ!」

「さぁ、ここからが、ハイライトだ!」

『Fight!』

 

           DGPルール

 

   世界を守るためならば、戦士はそこに現れる。

 




次回:ギーツ×リバイス

「こいつら、全員仮面ライダーか…!」

19話 交差Ⅵ:最強の座
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。