仮面ライダーギーツ外伝 一歩IF:片脚の男   作:みなかみ

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活動報告でちょっとした質問をしています。
機会があれば、回答して頂きたいです。


38話 空白Ⅱ:ギーツの行く末

 

 仮面ライダーをぶっ潰す力を手に入れたバッファが叶えた、理想の新世界。デザイアグランプリの存続を巡る戦いの中で、消滅したはずのギーツが奇跡の復活を遂げた。でも……

「ええーっ!?」

 ギーツが銃口を向けたのは、バッファではなくグレア2だった。

「ギーツ、なんのまねよ…!?」

「俺はデザグラを許さない」

 復活したばかりのギーツは、まだ創世の女神とミツメを巡る怒りに燃えていた。静かに、されど感情を滲ませながら語る。

「お前らは苦しむ母さんを利用し続けた」

「人聞きの悪いこと言わないで!女神の力は、人間の願いをかなえ続けてきたのよっ!」

「それは母さんの意志じゃない!お前らが…無理やりやらせたんだ!」

 ギーツが銃を構えて走り出し、応戦してグレア2もビットをフル稼働して戦いが始まる。

「だったらなんだって言うのよっ!ショーの駒の分際でぇっ!」

 またしても逆ギレするグレア2は、ビットからレーザーを乱射して、ギーツを攻め立てる。跳び上がったギーツが、アーマードガンからの銃撃で一体のビットの動きを怯ませると、加速したキックで地面に叩きつけて拘束。足で押さえ込んだままマグナムシューターで撃ち抜き、稼働停止にした。

 地面に横になっていたギーツを、レーザーが襲うが、マフラーからの火炎放射で勢いをつけて脱し、立ち上がりながらの銃撃でまた一つ破壊する。

『RIFLE』

 遠距離に存在したビット二つはライフルモードで狙撃し、残るは一つ。

『HANDGUN』

 ギーツは最後の一つも見事撃ち抜き、グレア2に接近。防御の術を失ったグレア2は、ギーツの飛び蹴りを正面から受けることになる。それでも諦めず、ギーツに向かっていくグレア2。しかし、激突の寸前にバッファが割って入り、グレア2の頭を掴んで引き摺った。

「こいつは…俺の獲物だ」

 バッファはグレア2を掴んでいたクローでそのまま切り裂き、追い討ちで背中も切りつけた。

「うっ………なかなか面白いこと、してくれるじゃない……」

 グレア2はバッファの連撃を受け、虹色のホログラムとなって消滅した。ゲームマスターのチラミも、いのいよお役御免である。最後に、ヴィジョンドライバーのみが地面に落ちた。

「……ジャマ神になっても、相変わらず暴れ牛なんだな、バッファ」

「ギーツ…!どうやってこの世界に戻ってきやがった…!」

「さぁな。知りたいのはこっちのほうだ……」

 会話を続けながらも、変身を解かずに、一触触発の二人。いざ戦いとなった束の間、拍手が場を制した。拍手の先にいたのは、赤のローブに、仮面をつけた、実体のない存在。デザイアグランプリ上層部のスエルだった。

「素晴らしいショーをありがとう。諸君。その健闘をたたえ、諸君を次なるステージへ招待しよう」

 スエルがもう一度手を叩くと、ギーツにバッファ、ついでに須井も別の空間に転送されてしまった。取り残されたジーンは、英寿の身を案じる。

 その裏で、人のモデルとなったケケラが残されたヴィジョンドライバーを回収していた。

 

             *

 

 スエルの私室とも言える、運営専用のオーディエンスルーム。私室と言っても、そこには家具どころか、壁も床も存在しない。ただ広大な宇宙空間のようなものが広がり、英寿、道長、須井の三人は等間隔に、暗闇の中で立たされていた。その中央に現れたのが、当のスエルだ。

「我が名はスエル。デザイアグランプリの創始者。君たちの求める者はなんだ?求めるものがあるなら、ゲームを始めよう」

 スエルが宣言すると、足元の暗黒が晴れ、夜景の地上が見えた。地上の町に、流れ星のように光が降り注いでいく。その光はデザイアグランプリの宝箱を形成し、資格を持つ仮面ライダー達の元へ飛んで行った。

「ルールはただ一つ。最後まで生き残った者に、この世界を決める権利を与える。デザイアグランプリが存在する世界か、存在しない世界か」

 ルールの説明を終え、三人を現世に戻そうとするスエル。しかし、その前に須井が食い下がった。

「ちょっと待ってくれ。教えてくれ。ソソグって、何者なんだ…?」

 ソソグの名を知らなかった英寿と道長は怪訝そうな顔を浮かべる。多少疑われてもしょうがない。運営の権力者と話ができるのは、滅多にない機会なのだから。意外にもスエルは、門前払いすることなく答えた。

「私の友人だ。君はモーンと関りがあるのだったな。私から助言しておこう。彼女と新井紅美は違う。もう関わらないのが君のためだ」

「はぁ…どういう意味それ…!」

 須井が掴みかかろうとしたところで、スエルは三人を現世へ帰還させた。須井の戻されたところは、かつて新井紅美と約束をした公園であった。もう錆びてボロボロになってしまったブランコが、夜風に揺られて軋んでいる。須井は、自らの手に招待状が握られていたことに気付いた。表面に返すと、赤文字で『DR』と描かれていた。脳内に、スエルの声が響いてくる。

『改めて宣言しよう。己の胸に沸き立つ欲望の火をつけ、戦え。そのゲームの名は、デザイアロワイヤル』

 デザイアロワイヤル、かつて謀反を起こしたゲームマスター・コラスが開催したゲーム。願いのため、生き残るため、仮面ライダー同士が戦う。須井は招待状がぐしゃぐしゃになってしまうほどに、手を強く握りしめていた。

「僕が一番わかってる。モーンは紅美ちゃんじゃない。わかってる。わかってるんだよ……」

 

          DRルール

 

        ゲームに敗北した者は、

 

     二度と仮面ライダーにはなれない。

 

      つまり、永遠に理想の世界が

 

         叶うことは無い。

 

─────────────────────────

 

 家の玄関前に、それが落ちてきていた事に気付いたのはすぐだった。玄関の扉から、黄色い光が見えた。見に行くと、門の前に宝箱が落ちていたのだ。宝箱の上には、招待状が乗せられている。

「半田城玖様…デザイアロワイヤルにご招待……」

 舌打ちをして招待状をその辺に置く。今は宝箱の中身が何かのほうが重要だった。蓋を雑に除けると、やはり。奏斗の使っていたものと同じであろうドライバー。そして、俺専用のIDコア。黄色をベースに、黒でモグラの顔がデザインされたそれは、仮面ライダードリューとやらに変身を許可するらしい。

 俺は、ポケットから割れた二つのIDコアを取り出す。詳細は分からないけど、奏斗が持っていた。多分、玲と朋希のものだ。奏斗も玲も死んじまった。朋希も戦えない。なら…俺がやるしかない。

「俺が奏斗を取り返す…!」

 デザイアロワイヤルで全員ぶっ倒して……みんなを……奏斗を……俺が。

 

 

 桜井沙羅が目覚めると、死んだはずの弟・景和が朝食を作っていた。同じ兄妹なのに、ここまで家庭力に力の差が生まれるのはなぜなのか。景和は手際よく大根を短冊切りにして、鍋へと入れていた。

「あ、姉ちゃん。おはよう」

 沙羅は自らの頬をつねって、現実であることを確認すると、いよいよ感極まる。

「景和〜っ!」

「うわっ!?」

 復活の際に記憶を失い、自分が死んだことや、仮面ライダーであったことすらも忘れていた景和。突然、涙声抱きついてくる姉に困惑する。

「無事でよかったぁ……!」

「ちょっ…何言ってんの!?」

 朝っぱらから出された感動的な雰囲気についていけない景和は、半ば強引に引きはがす。その温度差に、沙羅は景和に悟られてはいけないと気を引き締めた。

「ああっ…ううん。何でもないよ」

「ってか、そのカエルの置物どうしたの?」

「えっ!?」

 そう言って景和が指差したのは、かつてのサポーターであったケケラであった。景和が復活したのは、彼のおかげなのである。沙羅は何とか誤魔化そうと嘘を見繕う。

「あぁ…えっと……あの…骨董品屋で見つけたの!ほら、可愛くて……つい買っちゃった!」

 記憶を失った景和はすんなりと沙羅の嘘を信じ込んだが、これまたさっぱりと切り捨てる。

「えっ気持ち悪くない?」

「なっ!?きも!?」

「シッ!」

 推しにあっさりと蔑まれ、動揺するケケラ。沙羅は必死に喋るなと人差し指を立ててアピールした。

「なんでもない…なんでもない…」

 沙羅が首筋に冷や汗を流し始めた頃、ゴミ収集車のバックアラームが聞こえて、景和はハッとした。足元のゴミ袋を手早く結んで、大急ぎで扉に向かう。

「やっべ……ゴミ出し行ってくる!」

 景和は外へ出ていった。しかしケケラはまだ罵倒を受け入れられないようで、魂が抜けたように言葉を反復する。

「きも……きも……?」

「景和の前では喋らないで!もしあなたのことを思い出したらどうするの?」

 沙羅の問いかけで、ケケラは我に返る。

「あぁ…そうだな。もし思い出せば…また世界平和のために戦うと言い出すだろう。今度こそ、助からないかもしれない……」

「これ以上景和を苦しめないで!」

「弟思いのねーちゃんだな。なら、約束を守ってもらうぜ?」

 ケケラがそう言うと、独りでにテレビ台の棚が開く。そこには、沙羅専用の装備一式に、デザイアロワイヤルの招待状が入っていた。弟の代わりに戦え。そうすれば、弟を蘇られされる。それが、ケケラが沙羅に持ち出した交渉だった。

 沙羅は飲むしか無かった。大切な家族のために。その裏に、ベロバと結託したケケラの作為があるとは知らず。

 

 

 祢音は、キューンに自分のところへ来た招待状を見せた。キューンはそれを見ると、また深くため息をつく。

「やっぱり、君にも届いていたか……やめとけよ。どうせ参加したって、君が生き残れるわけがない」

「ご心配どうもぉ」

 ベンチに座るキューンから、離れた位置に腰掛ける祢音。それでも、キューンからの心配の裏返しだと言うことは伝わっていた。ジャマ神バッファの、仮面ライダーからの攻撃を無効化する力。参加しても、痛めつけられるだけだというキューンの思考も理解できる。それを天秤にかけても、祢音にとっては重いものがあった。

「……ありがとう、キューン。私、未来に行くとか…まだ先のことは考えられない」

「どうして?」

「鞍馬家に未練は無いんだけど……祢音TVのファンだけは裏切りたくないから……デザグラがなくなってほしくない。私、叶えたい世界があるの」

 祢音は立ち上がると、くるりとターンして、キューンに寂しげに笑いかけた。

「世界中が、鞍馬祢音を忘れた世界。そうすれば、ファンに心配かけさせること、ないから」

「君は……寂しくないのか?」

「……これでいい」

 祢音は春の、少し暖かい空を見上げて、思い出した。まだ生きている仲間、死んでしまった仲間。彼らとの楽しかった思い出。一緒にコスプレもした、ボードゲームもした、カフェで楽しく笑い合った。自分の求めていた愛とは違ったが、楽しかった。その思い出が心にあれば、どこに行っても、誰に忘れられても、寂しくない。

「いなくなっても、大丈夫なの。元々いなかった人間だから…私……」

 

 

 モーンを拘束した専用のデザイア神殿にて、ソソグは黄金のベルト・ジリオンドライバーを装着した。その様子を、仮面ライダーカローガンの変身者・青山優が真顔で見つめていた。

「それで浮世さんを神にするんだ?」

 彼女の瞳はピンク色に染まり、喋る言葉にも抑々はない。まるで、感情のない傀儡のようだ。彼女の隣に立つ、仮面ライダーシーカーの変身者・轟戒真も、ピンクの瞳でソソグに語りかけた。

「そろそろ教えてくれても良いだろう。どうやってギーツを神にするつもりなのか」

 二人の問いに、ソソグは満足そうに答えた。

「いいだろう。英寿は創世の女神の息子だ。つまり、彼にもその素質がある。この幾数年、適度に刺激を与えつつ、彼の感情を煽ってきた。母に会いたいという慕情をだよ。二千年蓄積した彼の思いが爆発した時、創世の力が覚醒する」

 ソソグはデザイア神殿に、360°を埋め尽くす程大量の映像を映し出した。それが、英寿に与えてきた刺激の量なのだろう。「二千年前の初参加、母に会いたいという願いを却下された」「何度転生しても手元に戻る金貨」「チラミの口から創世の女神の存在を知る」「五十鈴大智からの、自分と女神の関係性の開示」それだけではない。ライダーやオーディエンスとの交流すべてが、英寿の心からの願いを助長させる形となっていた。

「今の創世の女神も、願いの叶えすぎでガタが来ていてな。その時に備えて、新しい女神を作る計画が挙がった。が……その時にスエルと揉めてしまって。新たなナビゲーターか、参加者。どちらを覚醒させるか」

 ソソグは映像を手で払って消すと、目を覚まさないモーンに向き直る。青山は、数歩前に出て、また問いかける。

「それで……今も争ってる?」

「ああ。だがどちらにせよ、新たな女神は完成する。どちらが早いか、ゲームのようなものだ」

「なぜ…モーンを捕らえる必要が?あなたの後継者なんでしょ?」

 モーンの胸元には、まだ虹色の光が灯っている。以前に増して、その光は強まっていた。まるで、モーンの中から出てくるような。

「後継者?」

 ソソグは鼻で笑った。

「それは建前だ。スエルに計画を悟られないためのな。私は存在し続ける。後になど託さない。彼女は……道具だ」

『CROSS FADE!』

 ソソグがジリオンドライバーの認証ボタンをタップすると、ドライバーより黄金の光がモーンの光を突き刺す。モーンは気絶したままうめき声をあげていたが、ソソグは意に介さない。むしろ感情が昂り、饒舌になる。

「彼女に感情を学ばせたのは……英寿を意思なき神にするためのアイテムを手に入れるためだ。新井紅美から哀を、デザイアグランプリから楽を、広実須井から怒を、墨田奏斗から喜を吸収させた。この感情の力を得たカードを使えば……人間の心を……打ち消すことが……!」

 モーンの光が、プレビデンスカード型に切り砕かれていた途中、光がモーンの体内に戻っていき、消えてしまった。

「ふむ……まだ学習が不順分だったか。よし、プラン変更だ」

 ソソグは手元にデザイアロワイヤルの招待状を生成すると、青山と戒真に投げた。二人はそれを何の気なしにキャッチする。

「広実須井を連れてこい。それと…半田城玖の始末も忘れるな。あいつは墨田奏斗に近い存在。放っておけば厄介になる」

 二人は頷くと、現世に転送された。

 

 

 朝方、ビルの屋上。ツムリと英寿は、朝の風に揺れる街並みを眺めていた。

「浮世英寿様。あなたはなぜ復活を?」

 ツムリはまだ、自分に覚醒した創世の力に気づいていない様子だった。それは英寿にも同じことで、憶測を話すことしかできない。

「さぁな。女神の力か……運営の陰謀か……案外、姉さんが祈ってくれたりしてな?」

「私にその力はありません。ただのナビゲーターですから……確かに願いはしましたけど」 

 英寿は手元の金貨をポケットに戻して、フェンスに肘をつく。

「何を願った?」

 英寿の問いに、ツムリは深く息を吐いて、フェンスに背中を預けた。

「わからなくなってしまったんです。デザグラってなんなのか。私が今までやってきたことは正しかったのか。正直……どうしたらいいのか……」

 悲しげな顔をするツムリに、英寿は笑いかけた。

「そんな顔するな。俺の姉さんには、笑顔が似合う」

 いつもの英寿の軽口。でもそこにある優しさを、ツムリはいつも以上に感じ取り、ようやくほほ笑んだ。

「だから、姉さんじゃありませんっ」

 和やかな雰囲気に変わった二人は、再び街に目を戻す。

「……デザイアロワイヤルに、参戦するんですね?」

「ああ。俺が望んでるのは……母さんの自由と幸せだ。そのために…デザグラを終わらせる」

 ついに、開催の時刻となり、スエルのアナウンスが響いた。

『デザイアロワイヤル、スタートだ』

 気を引き締めて、デザイアドライバーを装着する英寿。戦地へと転送される彼の背中に、ツムリは一言残した。

「願いが、叶うといいですね」

 仮面ライダーたちの進退は決まった。

 

             *

 

 須井の転送されたポイントは、森の中、川の上をまたがる大橋であった。着用していた服も、自動的にデザグラの戦闘服に変わっている。

「やれやれ、この服を着るのも久しぶりだな……さて、戦わなきゃいけないのか…」

 げんなりして猫背になりながら、須井は橋の上を歩く。すると、進む道の先から、同じくデザグラの戦闘服を着た男が歩いてくるのが見えた。

「まじか……初手であいつ……」

 長年デザグラを見守って来たものとして、存在は知っていた。デザグラ不敗の男として名高い、元プロボクサー。轟戒真だった。そして、すぐに異変にも気づく。目がピンク色だったことだ。須井は直感で理解した。ソソグの刺し向けで、奴は洗脳されている。戦いは避けられないと。無言で、べストからマグナムとブーストバックルを取り出して構える須井。

「話が早いな。それでいい」

 戒真はにやりと笑うと、デザイアドライバーの右側にパワードビルダーバックルを、左側に三つの小型バックルを備えたギガントコンテナバックルを装填した。

『SET WARNING!』

 戒真の背後に鉄骨やアームのホログラムが出現し、仮面ライダーの鎧を建造する。その間、戒真はビルダーバックルをレバーをワンクリック弾いて、さらに深く押し込んだ。

「変身…!」

『WOULD YOU LIKE A CUSTOM SELECTION…!』

 仮面ライダーシーカー・パワードビルダーフォームに変身。それを見届けた須井も、二つのバックルを併用して、人差し指で二度頭を掻いた。

「変身」

『DUAL ON!GET READY FOR!BOOST & MAGNUM!』

『Ready?Fight!』

 須井が仮面ライダークルウス・マグナムブーストフォームとなると、二人の仮面ライダーは同時に駆け出す。クルウスは肘打ちを、シーカーはストレートパンチを放ち、互いに空いた片手でガードし組み合う形となった。

「ソソグに操られてるな…!」

「勝てたら教えてやろう…!」

 クルウスが一歩引いて、腰のホルダーからマグナムシューターを引き抜いて早撃ちする。シーカーもそれに対応し、二、三歩後退しながら、真紅の大剣・ギガントソードを装備した。

『GIGANT SWORD!』

 巨大な刃を巧みに振りぬき、一度に弾丸を弾く。シーカはギガントソードを盾代わりにゆっくりと前進し、発砲を続けるクルウスに肉薄。そのままマグナムシューターで殴り掛かって来たのを、柄で殴り返し、武器を弾き落とす。一瞬、マグナムシューターに目が逸れたクルウスに、振り上げたギガントソードで大ダメージを与える。クルウスは吹っ飛ばされながらも、アーマードガンを展開。地面に落ちながら身体を捻り、隙をついた銃撃でシーカーの肩と腕に命中させ、ギガントソードを弾いた。

「やっぱり……殴り合いのほうが向いてるかな…!」

 クルウスは地面に倒れ込むと、そのままブーストの噴射で飛び出し、空中で一回転して踵落としを繰り出す。それを当然のように上腕でガードしたシーカー。だがクルウスがそこでリボルブオンして畳みかけた。

『REVOLVE ON』

 上半身と下半身が入れ替わり、落とした踵は拳に変わる。さらに炎を噴射して加速させ、腕のガードを弾いてシーカーの顔面を殴りつけた。顔に手痛い一撃を受けたシーカーは数歩下がる。

「やはり強いな。最年少デザ神……!」

「そりゃどうも…不敗のデザ神様…!」

 クルウスが攻撃の手を緩めることはなく、シーカーに掴みかかって加速。橋の手すりに衝突させ、手すりすらぶち抜いて橋の外に突き落とした。

『GIGANT BLASTER!』

 シーカーも咄嗟にギガントブラスターを召喚。橋の側面を撃ち抜くと、瞬時に鉄骨の足場を作って空中に着地した。その細い足場の上で、さらにギガントハンマーも召喚、装備する。

『HYBRID!GIGANT HAMMER!』

 胸部のアームにギガントブラスターを持たせると、ギガントハンマーを両手に構える。そして足元の鉄骨を叩き、増築。クルウスの背後に壁を建造して退路を断った。

「まじか…!」

「遅い!」

『GIGANT VICTORY!』

 シーカーがクルウスめがけて、ハンマーの衝撃波とブラスターの高圧射撃を同時に行う。クルウスは足元に転がっていたマグナムシューターを大急ぎに転がりながら拾うと、マグナムバックルを装填して、射撃で応戦した。

『MAGNUM!TACTICAL BLAST!』

 放った弾丸は、ブラスターのレーザーを相殺することはできたものの、衝撃波は撃ち返す暇がなかった。クルウスは空気を振動させて迫る衝撃波をまともに受け、建造された壁に叩きつけられた。

 シーカーが橋の上に戻ると、建造物は自動的に消去された。クルウスはダメージを受けながらもしっかり立つ。

「広実須井。お前は、デザロワの先に何を願う?」

「……終わらせる……!」

 クルウスは改めてマグナムシューターを持ち、シーカーに構えた。

 

 

 デザイアロワイヤル開幕時、祢音は枯れ葉の積もる森林の中にいた。自分が最初に倒すことになる相手はどんな人なのだろうと、手に汗をにじませながら辺りを見渡す。

「あっ!」

 急に、背後から声がして、反射的に振り返りながらバックルを取り出す祢音。しかし、背後に立っていたのは、祢音も良く知る人物だった。

「祢音ちゃんだ…!」

「確かあなたは……景和のお姉さん!?」

「えっ!?景和のこと知ってるの!?」

 桜井沙羅、景和からよく聞いていた、唯一の肉親が立っていた。この物語では、初対面となる二人。それでも、見知った顔の登場に、お互い安堵の息を吐いた。

─────────────────────────

「祢音ちゃん、景和とはライダー仲間だったんだね。なんか意外だなぁ」

 景和という共通の人物がいることもあって二人はすぐに打ち解けた。沙羅の方は完全に気を抜いて、信じ切っているようだ。だがまだ祢音には不安が残る。参加しているのは、なぜ景和ではなくて、沙羅なのか。

「沙羅さんこそ……どうして?景和は…?」

 沙羅が思い返していたのは、ケケラとの秘密の交渉だった。しかし、そのまま正直に伝えるわけにもいかない。本人なりに、精いっぱい言葉を選んで語った。

「景和は今回ライダーには選ばれなかったの。だから何も覚えてない。かわりに、お姉ちゃんががんばろ〜!みたいな?」

 それが、景和を取り戻すために沙羅が選んだ道だった。奏斗君のお友達は大丈夫かな、ちゃんと戦えるかな……と不安な気持ちも滲ませながらも、明るい声色で取り繕う。

「でもなぁ〜!祢音ちゃんとは戦えないよぉ〜!」

「私だって……そうだよぉ!」

「なら、二人まとめて……僕が相手をしようか」

 和やかな二人に、声を掛ける男が一人。四角い眼鏡がトレードマーク。ジャマトに寝返って、参謀を果たしていた男・五十鈴大智だった。

「大智くん!?」

 驚愕する祢音との温度差を感じたのか、沙羅は小声で耳打ちする。

「知り合い……?」

「君はぁ…桜井景和君の身内かな?よく似てるね」

 僅かな仕草だけで、大智は沙羅の素性を暴く。大智お得意の推理に感心して、沙羅は馬鹿正直にはしゃぐ。

「すっご〜い!なんでわかったの!?はじめましてっ、景和の姉ですっ。いつも弟がお世話になって…、」

「ちょちょ、いやいやいや!あの人、前に景和のこと騙そうとした、悪い奴だからね!?」

 祢音は大智の手前かしこまる沙羅を、焦りながら止める。さりげなくカミングアウトされた大智の情報を、これまた沙羅は馬鹿正直に受け取る。

「ええっ!?マジっ!?」

 沙羅の二転三転する表情に、大智は満足そうにニヤリとした。

「フフッ……そういうところ、ホントよく似ている……!」

『SET』

 現在の大智は、ジャマト陣営ではなくデザイアロワイヤルに招待された身だ。ならば当然、やることは一つ、戦いである。モンスターバックルをドライバーに差し、眼鏡に手を当てる仕草をする。

「変身…!」

『MONSTER!』

 仮面ライダーナッジスパロウ・モンスターフォーム。戦闘準備を終えた大智を目にして、覚悟を決める祢音と沙羅。

「やるしかない……沙羅さん、気を付けて」

『SET』

「うんっ……」

『SET』

 祢音はビートバックルを、沙羅はクローバックルを使用し。同じく動物の仕草を真似たポーズをとる。

「へ〜ん、しんっ!」

「変身!」

『BEAT!』

『ARMED CLAW!』

『Ready?Fight!』

 仮面ライダーナーゴ・ビートフォームと、仮面ライダーハクビ・アームドクローが並び立つ。

 先んじて、戦闘慣れしているナーゴが仕掛けて、ナッジスパロウと激突する。猛者同士の激しい戦いに、ハクビは戸惑い気味だ。

「あぁ…えっと……と、トリャー!」

 しばらく棒立ちしていたが、いよいよ気を決めて走り出すハクビ。だが、ただ振り回すだけの直線的な攻撃は、ナッジスパロウに片手であしらわれてしまった。

 ずっこけるハクビに、追撃を入れようと拳を振り下ろすナッジスパロウ。ナーゴが咄嗟にフォローに回った。ビートアックスの尖端を向けて突撃し、木の幹まで追いやったところで、さすまたのようにアックスを突き立てて、片腕を固定した。

 ナッジスパロウがもう片方の手でビートアックスを抜こうとするも、逆にアックスを立てて、長い持ち手でもう片腕も押さえ込む。そして、ナーゴは指先に備えられた爪でナッジスパロウの顔を引っ掻いた。ナッジスパロウは冷静に足首を蹴ってバランスを崩させると、ストレートパンチでナーゴを退けた。

「おりゃ〜っ!」

 そこでハクビがジャンプしながらクローを振りかざしてきたが、身を捻って避け、カウンターを無防備な脇腹にくらわせる。

 ハクビはダメージが大きく、すぐ立ち上がることができない。ナーゴのほうが幾分か復帰が早く、再びハクビを庇うように立ち、ビートアックスで防御の姿勢を取る。

 だが、ナッジスパロウが振りかぶった拳はフェイントで、寸前で止まった。不意打ちのアッパーカット出防御を崩し、一本の木に対して、膝でハクビを、拳で空中のナーゴを押さえ込んだ。

「フハハッ……!ナーゴ、君も相手してやるから待ってな」

『MONSTER STRIKE!』

 ナッジスパロウはそのままの姿勢で必殺技を発動。巨大化したグローブで、木をへし折りながらナーゴをぶっ飛ばした。

「祢音ちゃん!うあっ!」

 これで邪魔者はいなくなったと言うように、ナッジスパロウがハクビを攻め立てる。ナッジスパロウの連続攻撃を受けて、ハクビは変身解除に追い込まれる。そして、変身の解けた沙羅は気絶してしまった。

「君の弟から受けた借りは……返すよ」

「うわぁーっ!」

 沙羅に叩き込まれる拳を、直前で飛び込んできた景和が逸らした。景和は生身ながらも、ナッジスパロウに掴みかかる。が、流石に変身している方が力は上で、木に叩きつけられた。

「タイクーン……なぜこここに……!」

「姉ちゃんに……触るなぁ゙っ!」

『NINJA!』

 景和は自らのドライバーに装填済みだったニンジャバックルで、仮面ライダータイクーンとなった。

「景和…なんで……」

 ナッジスパロウの攻撃から復帰したナーゴも、驚きが隠せない。

─────────────────────────

 数分前、桜井宅。景和はスクラッチに興じていた。願いを失った事による反動を、今回も受けていたのである。十円で銀のシールを剥がしていくも、一向に当たる気配はない。またしてもかすりもしない外れで、景和は落胆する。

「ぁぁ〜もうっ……次、次…!」

 次こそは当てるぞ!と顔を上げた矢先、机の上に、姉が衝動買いしたカエルの置物が現れた。

「お前に見せたいものがある」

「うわあっ!?」

 ケケラが喋った事に純粋に驚く景和。彼が何事かと問い正すよりも早く、テレビの画面にデザイアロワイヤルの映像が流れ始めた。当然、ケケラが見せたのは、ハクビ、ナーゴのコンビが、ナッジスパロウと戦う様である。

「なんだ……?これ……」

 そうこうしている間にも、ハクビは追い詰められ、変身解除してしまう。そこで景和は、謎の仮面ライダーの正体を知ることになった。

「姉ちゃん…!?えっ姉ちゃん!?」

 倒れ込んだのは、実の姉の桜井沙羅だった。ケケラは満足そうに笑い始める。

「涙ぐましい姉弟愛だな。お前の幸せを願って、ゲームに参加するなんてよ。ふっふ〜ん!」

「どういう事か説明しろよ!」

「姉ちゃんを助けたきゃ、そいつを開けろ」

 いつの間にか、机に緑の宝箱が置かれていた。

─────────────────────────

「いいだろう……直接、借りを返すまでだ!」

 怒りのまま、猛攻を繰り出すタイクーンの斬撃を避けきると、ストーレートパンチを命中させるナッジスパロウ。タイクーンの執念もすさまじく、パンチを受けて仰け反ったかと思うと、直ぐ様姿勢を低くして、装甲の薄い腹部に肉薄。ニンジャデュアラーで斬りつける。さらに足払いで転倒させると、自らは跳び上がって回り蹴りを振り落とした。

 ナッジスパロウとタイクーンの戦いは互角かに思われた。しかし、思わぬ横槍が入る。

「まとめて消えろ!」

『TACTICAL BREAK!』

 ジャマ神バッファの放つ、毒の斬撃がライダーたちを襲う。不意打ちの技ながらも、ライダーにとっては必殺級。大爆発が起こり、一撃で膝を付けさせられた。

「ここで彼とやり合うのは…得策じゃないね」

 ナッジスパロウは一足先に撤退。残ったタイクーンとナーゴの二人は、まだ目を覚まさない沙羅の盾になるように、ダメージを引きずりながらも集まった。

「どいつもこいつも、忘れたままでいれば、倒されずに済んだってのに……!ここで全員ぶっ潰す!」

 バッファがゾンビブレイカーを振るう直前、ブーストフォームマークⅡとなり、超加速したギーツが三人を救出した。バッファの攻撃は空振りとなり、やみくもに地面が破壊されるのみとなる。ギーツは、沙羅を優しく地面へと寝かせた。

「なんでそいつらを助ける?情でも湧いたか?」

「まっ、一緒に蕎麦を食べた仲だからな。一人欠席だが」

「なにが蕎麦だ!ふざけんな…!」

 攻撃の通用しないバッファに、まともに取り合う訳もなく、ギーツは再び加速して三人を連れ、その場を去った。

「あの野郎…!」

 全ての獲物を取り逃がしてしまったバッファは、その場に立ち尽くした。

 

 

『BLAST STRIKE!』

 熾烈な戦いは、同じ森の川原でも起きていた。青い電撃を散らしながら、エントリーフォームの仮面ライダーが水辺に倒れる。

「話…聞けって」

「うるせぇ。このバックルは俺の物だ…!」

 変身解除した半田城玖は、ライダーから奪ったパイレーツバックルを誇示する。そして、ライダーのベルトからIDコアをはぎ取ると、岩に叩きつけ、踏みつぶして破壊した。ライダーも変身解除し、青いホログラムとなり脱落してしまう。先ずは一勝、と半田城玖は薄ら笑いを浮かべた。

「あんた、ほんと最低ね。相手の見分けもつかないの?」

 そんな城玖の元に、青山優が現れる。ピンク色の目をしていたが、憎たらしい煽り方は健在である。学校ですれ違う程度に面識はあった二人。紆余曲折を経て、今の印象は互いに最悪だ。

「青山か…お前も仮面ライダーなら、倒す」

『SET』

 城玖がブラストバックルを右側に装填し、右拳で片手を潰して関節を鳴らした。

「だから、あんたねぇ!」

「変身!」

 城玖は聞く耳を持たず、仮面ライダードリュー・ブラストフォームに変身する。上半身にブラストの装甲を備え、生身の青山に迫る。そして、容赦することなく殴り掛かった。

「ちょっと!?」

 青山は動揺しつつも、ひらりと反転しながら攻撃を避けると、自らもバックルを使用して変身した。

「へ、変身!」

『GREAT!』

 仮面ライダーカローガン・レイジングフォームとなり、剣を自らの周りを回転させて召喚し、ドリューを弾き返す。それでも果敢に向かってくるドリュー。その戦法で先程のライダーも倒したのだろう。ブラストのガス噴射で攻撃の勢いを増しながらも、前進し続けながらがむしゃらにパンチを繰り出し続ける。カローガンは後ろに下がりながら、レイジングソードでパンチをいなし続け、大ぶりのフックをしゃがみながらかわして、胴体を斬りつけた。

「がはっ…!」

 スタミナ切れが近づいてきていた所に手痛い攻撃を受け、ドリューは膝をつく。カローガンはその姿に情けをかけることなく、背中を二度斬りつけて地面に伏させる。さらに蹴り上げて空中に持ち上げると、レイジングソードで斬り上げて、ドリューにダメージを与えながら川の中に斬り飛ばした。

「ごめんね。私、あなたに情とか無いから」

『FULL CHARGE』『TWIN SET』

 カローガンはレイジングソードからバックルを取り外し、装填してコマンドフォーム・キャノンモードとなった。

『TAKE OFF COMPLETE!JET&CANNON!』

『Ready?Fight!』

 両肩のキャノンから水色のエネルギー弾を発射し、川底から立ち上がったドリューめがけて放つ。水面にも数発着弾し、水しぶきががる。当然ドリューにも命中して、さらに大きく上流の方向へ吹き飛んだ。水しぶきに紛れて、岩の陰に隠れると、倒したライダーから強奪したパイレーツバックルをホルダーから取り出す。

「くっそ…それならこれで…!」

 左側のスロットにそれを装填して、舵輪を回そうとする。しかし、起動するどころか、舵輪はがっちりと固まり、ビクともしてくれない。

「はぁ!?なんで動かねぇんだよ…!」

「もういい!?」

 隠れていた岩肌が、砲撃によって破壊され、またしてもぶっ飛ばされるドリュー。地面倒れ、何度も舵輪を回そうとしても、反発して動かない。

「くそっ、なんで…なんでだよ…!」

『REVOLVE ON』

 カローガンがリボルブオンし、ジェットモードとなると、ドリューに掴みかかり、空へと飛び立つ。空中機動をしながら木に何本も衝突し、ドリューの背中にダメージを与え続ける。その攻撃を続けながら、カローガンは問いかけた。

「このゲームの先に、あんたはどうするつもりなの…!?」

「決まってんだろ!?デザグラをして、そこでも俺は勝つ!勝って…全部取り戻すんだよっ!」

「…そう。それは叶わないわね!」

 カローガンは掴みかかったままさらに高く飛びあがると、近場にあった橋にドリューを叩き落とした。

「っ!?」

「なんだ!?」

 その橋は、シーカーとクルウスが激闘を繰り広げていた戦場であった。カローガンは、悪事が先生に見つかった小学生のような仕草をしながら、橋の上に着地する。

「あっちゃ……ごめん!戒真!」

 シーカーは呆れたとため息をつくと、ギガントブラスターを下ろした。

「フン……興が削がれた。クルウス、戦いは預けた。青山、今回は撤退だ」

 シーカーは変身を解くと、来た道を後戻りする。カローガンも変身を解きながらその後を追い、どこかに転送されていった。クルウスは須井に戻る。撤退していく彼らを追いかけるほどの余力が残っていなかったからだ。それに、墜落してきていた仮面ライダーが無事か心配でもあった。

「君…大丈夫かい?」

 ドリューは体に風を纏って攻撃を軽減していたようで、IDコアが砕かれていたわけではなかった。しかし、流石に気絶していて、変身も自動解除されてしまう。かつて勧誘のため、奏斗の身辺調査をしていた須井は、その顔に見覚えがあった。

「半田城玖…奏斗君の親友か。仕方がない」

 須井は城玖をおんぶすると、よたよたと歩きながらサロンに出向くことにした。

 

 

 一方、バッファから逃げおおせたギーツたち。戦闘の痕跡こそ残っていたが、手ごろな川辺を見つけた景和と祢音は、すぐに沙羅の看病に回った。

「助けてくれてありがとう」

 立ち去ろうとする英寿の背中に、顔を合わせずに呟く景和。ジャマトグランプリで仲違いしたものの、まだ感謝を述べる良識は残っていた。英寿も、それ以上言葉を返すことなく、顔も向けない。事情を知らない祢音だけが、英寿に心配そうな声をかけた。

「ねぇ英寿…!今度は何を願ったの…?」

「デザグラの無い世界だ」

 デザイアグランプリが存在する限り、幸運と不幸が循環し続ける世界は終わらない。そして、その中核にいる母も苦しみ続ける。英寿にとっては当然の考えだったが、二人の反応は芳しくなかった。

「消えたまま救えてない人たちがいるんだ。デザイアグランプリを無くすわけにはいかない」

「私も…やり残したことがあるから」

 かつての仲間たちと、道は違えた。英寿はその事実に寂しさを感じ、素直に口にした。

「……まさかお前たちがデザグラ支持派になるとはな」

「創世の女神がやって来たことを許したわけじゃない…!これまで犯してきた罪を、女神自身に…!償ってもらう必要がある…!」

 自らの母を敵対視する景和と、守りたい英寿。両者の間で、静かに火花が散っていた。

 一度行き違った仲間たちの心は、簡単には修復されなかった。

「母さんに罪はない。俺が…証明して見せる」

 

          DRルール

 

     最後まで生き残ったデザ神には、

 

    この世界の運命を決める権利が与えられる。

 

    デザイアグランプリが存在する世界か、否か。




次回:仮面ライダーギーツ外伝

─奏斗を─

「俺がやるしかないんだよ…!」

「本人が望んでるとは限らないよ」

─取り戻すためには…?─

「見せ物小屋の動物にもう餌は必要ない」

「私にも叶えたい世界があるんでねぇ!」

39話 空白Ⅲ:友の願い 俺の願い
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