補習授業部で”エルズ・コール”   作:泥狼俯瞰

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本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
サークル『こり☆かん』様制作『エルズ・コール』のネタバレが含まれます。


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■7月21日 夜パート

 

では、帰り道。ハナコ。

 

背後から、

 

???「タスケテ」

???「タスケテ」

???「タスケテ」

???「タスケテ」

???「タスケテ」

???「タスケテ」

 

タスケテ、タスケテ、という声が聞こえる。

 

先 生「振り向きますか?」

ハナコ「振り向きません」

先 生「はい」

 

ヒフミの家の前あたりまで来ました。

 

ヒフミ「アズサちゃん、ありがとうございます。また明日」

アズサ「また明日。六花も、また明日。おやすみ」

六 花「ありがとうございました。おやすみなさい」

 

アズサは二人が家に入るのを見送ってからその場をあとにした。

 

ヒフミ「まずは、汚れを落としましょうか。一緒にお風呂に入ります」

 

ハナコ「ガタッ」

コハル「健全なやつだから座ってなさい!!」

 

ヒフミ「パジャマは私物のペロロ様グッズからサイズの合うものを選んで着せます」

先 生「わかりました。少女の服は用意出来たことにしましょう」

先 生「それではここで、三人のシーンにします」

 

解散し、それぞれの家に帰る三人。

六丁目の死体、三丁目の謎の少女。連続したこれらの事件は、この街で何かが起こっていることを予感させるだろう。

虫の知らせか、静かな夜がより一層不気味に感じる。

 

……ヒフミたちと別れたアズサは何事もなく家に帰ることができた。

 

アズサ「はい」

 

……コハルも問題なく家に帰れるだろう。

 

コハル「ふう。よかった」

 

それでは、ハナコ。

 

ハナコ「ペットプレイ中の横乳風紀委員でも、露出プレイ中の平行世界の私でもバッチコイです!!」

先 生「<聞き耳>で振ってください」

 

<聞き耳>

ハナコ(65)→05

 

ある曲がり角に差し掛かろうとした、その時。

ずるずると重い何かを引き摺る音がこちらに近づいてきていることに気づく。

音に気づき、足を止めた瞬間。

目の前に、それは姿を現した。

巨大な蛇のように見えた。

ロープのように長い体は絶え間なく捻じれ、くねり、脈動している。

恐ろしく大きい、コウモリのような二枚の翼を持っており、その全長は10メートルをゆうに超えていた。

 

先 生「正気度ロールです」

 

<正気度ロール>0/1D10

ハナコ(59)→25

 

ひげのような器官が動き、異形の黒い蛇の頭部がハナコの方を向く。

そして、跳ねるように襲い掛かってくるだろう。

 

ハナコ「逃げるための準備はしてあります。マグネシウムの粉末が入った袋に火を点けて投げます」

 

<投擲>

ハナコ(25)→19

 

ハナコ「感覚器官から!!」

 

ハナコが投げた袋はひげのような器官に命中し、激しく燃焼した。

 

ハナコ「屋根のある建物に向かって逃げます」

 

しかし、逃げようと思い背を向け走り出そうとするが、上手く走れない。まるで水の中にいるような、夢の中にいるような体が思うように動かないのだ。

 

先 生「1D100でロールしてください」

 

<??>

ハナコ(??)→05

 

振り切るように動かしたハナコの体が、ふと軽くなった。

 

先 生「逃げるのであればDEX対抗ロールです。目標値は非公開です」

 

<DEX対抗>

ハナコ(??)→99

 

ハナコ「きゃー。振れ幅が、振れ幅が……」

ハナコ「いえ、待って下さい。DEX対抗前の1D100ロールと<聞き耳>がクリティカルだったのでこのファンブルはなしで逃げ切ったことに」

 

このままでは間違いなく追いつかれる。

逃げ切れない。ハナコがそう思った時、声が聞こえてくる。

 

???「こっち!!こっち!!」

 

それは建物と建物の隙間から聞こえてきた。

その方を見ると、隙間から腕がのびている。

 

???「こっち!!こっち!!」

 

ハナコ「(罠8、善意2ってところですかね)」

ハナコ「声の方に向かいます」

 

ハナコがそこに向かおうとした瞬間、体が軽くなる。

 

ハナコ「(ああ、やっぱり。マッチポンプじゃないですか!!)」

 

間一髪で、建物の間に体を滑り込ませる。

目の前を怪物が通り過ぎ、重い体を引き摺る音はほどなくして聞こえなくなった。

 

???「いやいや、危ないところだったね」

???「私が助けていなければ、どうなっていたことやら」

???「……君、大丈夫かい?」

 

すぐそこには、長い黒髪の少女が立っていた。

 

ハナコ「そうですねー。邪魔がなければ大丈夫だったと思いますよ」

???「へー。それはそれは随分な強がりだね」

 

彼女は服を着崩し、キャップをかぶっている。

並外れた美貌のせいか、年齢はそこまで離れていないはずなのに、存在自体がとても遠くに感じる。

 

ハナコ「……(廃屋の獣。平行世界人。いえ、これが()()のドッペルさんですか)」

ハナコ「わざわざ蛇に後を追わせて、こんな所に連れ込んで、何の御用ですか?」

???「察しが良くて助かるよ」

 

楽しそうに笑う。

 

???「……そうだね」

???「私はアル。探偵をやっててね。今、街で起こっている事件を調べているんだ」

ア ル「……君たちもそうなんじゃないかな?」

ハナコ「(新聞部の活動も知っていると……。)」

ハナコ「おっしゃる通り。新聞部で調査してます」

ア ル「新聞部、ね」

 

アルが近づいてくる。

 

ア ル「情報交換しようよ。ただし、お互いここで話した内容は口外しないこと、いいかな?」

ハナコ「(蛇の使役。新聞部の動きを知ってるあたり(M)世界の月羽雨さんとも関りがある)」

ハナコ「(となると私たちが知りたい平行世界間での入れ替わり現象の止め方も知ってそうではあるんですよね)」

ハナコ「私たちにさせたいことがあるなら、聞いたことを私から新聞部の部員たちに伝えるべきでは」

ア ル「……この街には何かが潜んでいる。そいつに察されたくない」

ハナコ「(まだ何か……あぁ、才門さんが言ってた占い師ですか)」

ハナコ「私に拒否権はないでしょうし、それでかまいません」

ア ル「ありがとう」

ア ル「じゃあ、指切りをしよう」

 

アルは手を差し出し、小指を立てる。

ハナコはアルと指切りをした。

 

ア ル「……嘘ついたら針千本のます」

ア ル「はい、切った」

 

指を離す。そして、アルは手を伸ばし、ハナコの首に指先が触れる。

一瞬、そこがちくりと痛み、熱くなる。僅かに肉の焦げる臭いがした。

 

ハナコ「長い黒髪の少女に淫紋つけられちゃいました!!サキュバスプレイですね!!」

コハル「淫紋だなんて……ゴクリっ」

ヒフミ「シリアスです。まだ、シリアスですよ、ハナコちゃん!!」

 

ア ル「それじゃあ、聞かせてくれるかな?」

 

先 生「では、ここからのハナコとアルの会話は他のPLに聞こえないように行います」

 

ハナコ「さっさと家に帰ってミカコハ先生の3P本でオ〇ニーの予定があるので一つだけ」

ハナコ「平行世界の八切六花ちゃんは私たちが保護しました」

ア ル「ふふふふ。なるほど、それか」

ア ル「君にお願いしたいことができた。聞いてくれるね?」

ハナコ「そのかわりにこの現象の止め方を教えてくれるなら」

ア ル「もちろん。情報交換だからね。教えてあげよう」

ア ル「ただ、そのためにも、その子のモノが何か持ってきてほしい」

ア ル「なんでもいいんだ、服でも、髪でも。そこに残滓さえあればいいからね」

ア ル「君がそれを持ってきてくれれば、その子の正体、そしてこの連続怪死失踪事件を解決する方法がわかるかもしれない」

ハナコ「下手な予防線の貼り方ですね」

ア ル「連続怪死失踪なんて色んな方法でできるからね」

ア ル「私からの情報提供はそれを持ってきてくれた時にするよ」

 

そう言って、アルはニャインをハナコに教える。

 

ハナコ「……」

ア ル「じゃ、用意できたら連絡して」

ア ル「ああ、そうだ。気を付けて帰る必要はないよ、もうアレはどこかにいったからね」

 

そう言い残し、アルは狭い路地裏から出て行く。

 

ハナコ「はぁあ」

 

その後、異形の黒い蛇と遭遇することなく、家に戻ることができた。

 

先 生「これで全員帰宅したかな」

コハル「寝る前に拾ったスマホを調べたいです」

先 生「わかりました」

コハル「たしか、私のスマホに似てて、液晶部分が割れているのよね」

コハル「電源は入りますか?」

 

コハルが電源ボタンに触れた瞬間、スマホから声が聞こえてくる。

 

???「はっ!?意識がある!?成功した!?」

???「……ちっ、カメラが死んでるか……。これじゃ何も見えない……」

???「マイクとスピーカーは……よかった、生きてる」

???「……で、そこにいるのは誰?誰でもいいけど今が何年のいつか教えてくれないかしら?」

 

それは聞き覚えのない女性の声だった。

 

コハル「30年の7月21日よ。もう1時間もしたら22日になるわ」

コハル「それで、あなたは……このスマホのAIでいいの?」

???「……その声、まさか……」

???「コハル……?」

コハル「そうだけど、私名乗ってないわよね」

???「てゆうか、30年の7月!?なんで!?そんなはずは……そんなはずない!!」

???「だって……7月ならあんたたちはもう」

???「死んでいるはず……」

コハル「えっ?」

???「なんで生きて……?」

???「まさか……」

???「あーーー……そっか、そういうことか。たはは……参ったなー……」

???「こういうこともあるんだねー……うん」

???「……なら、私の望みはもう叶ったようなものか……?なんか、拍子抜けだけど、いいや」

コハル「ちょっと、あんた一人で納得してないで話を」

???「生きてくれてさえいれば、それでいい……」

 

最後の方は自問自答、独り言のように聞こえた。声の主は一気にそう言うと、途端に静かになる。

 

コハル「あれ、充電なくなったの?これ、私のスマホと同じ機種なら充電器も一緒よね」

 

コハルは持っているひび割れたスマホを充電器に繋いだ。

 

コハル「これで、聞こえる?」

???「聞こえてるけど……今、心の整理してるから話しかけないで」

 

コハル「そう言われると、話しかけづらいわね。う~ん」

コハル「時間も時間だし、スマホにおやすみと伝えて寝ます」

先 生「わかりました。他に何かしたいことある人はいますか?」

ヒフミ「六花ちゃんの傷の手当をします」

ヒフミ「それと、消化にいいおうどんと野菜ジュースを夕食というか夜食にあげます」

 

六 花「あ、ありがとう……」

 

少女は例を言うと、飢えていたのだろう、勢いよく麺をすする。

あっという間にうどんはなくなり、野菜ジュースも飲みほした。

やっと少女の顔に生気が戻ってきたように思える。

 

六 花「ごちそうさまでした」

ヒフミ「お粗末様です」

 

ヒフミ「ストックしてある新品の歯ブラシを開封して六花ちゃんの歯を磨きます。その後、来客者用の布団を私の布団の隣にひいて一緒に寝ます」

ハナコ「おねロリ歯磨きなんて!!流石ヒフミちゃんですね」

 

ヒフミ「六花ちゃんの分も布団をひいたのでここで寝てください。それと、これペロロ様抱き枕(夏仕様)です!!お腹の部分が冷感素材になっているので抱いて寝ると気持ちいんですよ!!」

六 花「……うん、ありがとう」

 

ハナコ「いつものヒフミちゃんですね……」

コハル「だから、さっきも健全なやつだって言ったでしょ」

 

先 生「アズサはやりたいことあるかな?」

アズサ「夏休みの宿題を眠気がくるまですすめる」

先 生「わかりました」

 

アズサは夏休みの宿題を進めた!!

 

先 生「それでは、全員就寝ということで」」

 

死んでいるはずの八切六花を名乗る少女。

死んでいるはずと告げた端末越しの声。

背後にいる何か。

夜の街に救う巨大な蛇。

狂っていく夏休みは、君たちを不安にするかもしれない。

好奇心で胸が躍るかもしれない。

四人は様々な思いを抱き、眠りにつくだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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