寡黙・ざ・ろっく 作:喜多ちゃんの脳を焼きたい症候群
ぼざろロスを自力で埋めるのも時間の問題になりそうだ…(危篤)
「さっ!き、気持ちを切り替えてアー写撮影行くよー!」
おー!と結束を促すも、マイペースなリョウ先輩、私を気遣うひとりちゃんと這い蹲り涙を流す私。
ぐすぐす、と鼻を啜りながら立ち上がれば、虹夏先輩が肩を支えてくれる。
「喜多ちゃん…持たざるモノ同士気持ちはよく分かる…。でも、私らはまだ成長期だから…いつかは並べるはずだから…」
「先輩…」
やさしい…すき…
思わず抱きついた私を許してほしい。
「ひとり。顔立ち整ってるからなんでも似合うね。今度フルコーディネートさせて」
コクコク、と持ちうるモノ同士も何か繋がりを感じているらしい…おのれ…!
「さぁ!場所探しするよー!」
『外で撮るんですね』
「撮影スタジオとかは高いし無理。STARRYもバンドらしさはあるけど、他所とも被りがちだから、オンリーワンの写真を撮りに行こー!」
「えぇ…」
テンションマックスの虹夏先輩と正反対のリョウ先輩。
確かに今日は日差しが強く、夏の風も感じさせている。
長袖のオーバーサイズパーカーじゃ暑すぎたかしら…。
ひとりちゃんを覗き見れば、やや汗ばんでいて両袖を捲り上げている。
常に下ろしたままだった髪も頭頂部で結い上げて少しでも涼を取ろうとしているよう…だ…。
「…うなじがエロいね」
「ひゃうっ!?」
耳元でしたリョウ先輩の低めの声に飛び上がる私。
確かにひとりちゃんをガン見してたけど、そんな意図はない!断じて!!
「郁代はえっちだね」
「心外です!!」
ニヤつく先輩へ渾身の抗議を伝えるもどこ吹く風。
虹夏先輩から催促されるまで続けたが堪える気のない笑いを漏らす先輩には伝わっていなさそうだった。
***
「階段、公園の遊具、フェンス越し、シャッター前…低予算バンドマンのアー写らしいのは撮れたけど、ウチらしさって感じはないよねー…」
『どれもバンドらしいけど、私たちらしさって中々表現しづらい』
「そーだよねー…。でも、喜多ちゃんはどの写真もかわいいねー、なんと言うか撮られ慣れてるって言うか!」
「そうですね、私イソスタでしょっちゅうあげてますし!」
ほら、と私のアカウントを見せれば
「おぉ…有名人でもないのにこんなにフォロワーが…」
「ひとりと郁代の二大広告塔で結束バンドは売り出そう」
「そうですね…その時は大臣やりま…す?」
ん?今聞き慣れない単語が?
『結束バンド?』
「結束バンドって…コードとか束ねてるアレですか?」
「いや、それこの間冗談で言ったやつじゃん…ってまさかリョウ!?」
「うん。店長にはもう言ってある」
ぴしり、と固まる音が聞こえた。
動きを止めた虹夏先輩はすぐさま頭を抱えてうがー!っと喚く。
「ジョーク寒いし絶対変える!『結束バンド』なんてふざけた名前は今回限りなんだからーッッ!?」
綺麗に結われたサイドテールを掻き乱し、叫ぶ先輩。
「え、かわいいよね?」
『まぁ、そう言う感じのコミックバンドも有りますし』
「私は嫌いじゃないですよ!」
3対1で可決、と成りました。
「嘘でしょ!?冗談で言ったのに〜!」
「弱ってる虹夏…傑作」
ぷぷ、と笑いを漏らすリョウ先輩は意地が悪い。
でも、乱れ髪の虹夏先輩も…かわいい…
『あの』
とひとりちゃん。
全員の注目を集めてから続きを打った。
『あっちの駐車場の中、広そうだし行ってみません?』
そう言って先ほど通り過ぎた駐車場へと指を差す。
「行ってみましょう、虹夏先輩!リョウ先輩も!」
「着いたら撮る前に休憩しよ。虹夏、飲み物買って」
「リョウの分は買ってやらない!!」
怒り心頭のままの虹夏先輩はリョウ先輩へ牙を剥く。
リョウ先輩はそれを受けて、「イジるべきは今じゃなかったか…!」と随分なショックを受けている様子だ。
***
「おお!いいねぇ!こんな壁面アートがあるなんて表通りからじゃ見えないし知らなかったよ!」
日差しがやや
これ以上は西日になって赤みを増すので、ここで最後にしよう、と言うことになった。
「とりあえず三脚立てるから並んでー」
そう言いながら虹夏先輩は少し距離を取って撮影準備に入る。
私たちは壁に背を預けながら、そのままパシャリ。
「うーん…キャラクター性は分かりやすいけど、なんか足りなくない…?」
「それなら、バンドマンのお手本たる私やひとりを真似すれば良い」
「どこからその自信が来るんだ…」
『お手本かは分かりませんが、私の真似はやめた方がいい』
「どうせなら、どちらも試してみましょう!!」
私が乗り気になってそう言えば虹夏先輩が「イエスマンだねぇ、喜多ちゃん」と呆れを口にする。
リョウさんの真似をした写真は…
「お通夜みたい」
クールではなく、悪い方向にそれが伸びてしまったのでボツに。
ひとりちゃんの真似は…
「うーん…なんだろ、見下してる感ない…?」
『そんなバカな』
虹夏先輩のコメントはひとりちゃんには失礼だけど…的を射ていた。
「そしたら、ジャンプなんてどうですか?青春!って感じがしません?」
私が閃いたそれは皆にそれなりに好評を博した。
「良いんじゃない?暗さを払拭できるし、鉄面皮だってコミカルさを帯びるでしょ」
『え、鉄面皮…?』
「聞いたことがある。オープニングでジャンプするアニメは神アニメ。つまり、アー写で飛んでれば神バンドになれる」
「だから、なんなの。そのよく分かんない自信は」
虹夏先輩の言った鉄面皮って誰のことだろうって考えながら、もしや自分か!?と驚愕を露わにしているひとりちゃん。
大丈夫、しっかり表情あること私は知ってるわ!
背を撫でながら大丈夫、大丈夫と私は声を掛けた。
…こ、コレは…!?
「ひ、ひとりちゃん…あとでちょぉっとお話良いかしら…?」
努めて冷静に声を掛ける私へ涙目のまま一歩引くのはどうしてかしら、ひとりちゃん。
『喜多さん、なんか怖いんですが…』
そう…しらばっくれるのね…
「うぇーん…ニジナツ先輩ぃ〜!!」
「ちょーちょー!どうした、喜多ちゃん!あとニジナツ言うな!!」
ガバっと抱きつきに行けば、瞬時に右手を頭を撫でる位置へやってくれるニジナツ先輩好きぃ〜…。
「ひとりちゃんのホック、私が知るのより太いぃ〜!!」
「こらーっ!喜多ちゃんイジメんなーっ!」
うがーっとひとりちゃんへ威嚇してくれる…優しい…。
「郁代、大丈夫。私もホックは二つだ」
「リョウ先輩はそれでも敵だー!!」
そーだそーだ!と同調してくれるニジナツ先輩はやはり仲間…っ!!
『あのー?撮りません…?』
状況を俯瞰するひとりちゃんが合成音声でそう言うも原因は貴女だからね!!
***
パシャリ。
結局、その後夕日になる前に撮影を終えた。
ジャンプの撮影は…ジャンプの勢いで上がるモノのせいでひとりちゃんの顔が隠され、二度取り直す羽目になった。
ひとりちゃん…なんて大きいの…?
「よーし、それじゃあコレで提出しておくね!みんなにも今日の写真データ送っておくねー!」
そんじゃお疲れー!と下北沢の改札で解散となった。
今日もそのままひとりちゃんの家まで行く。
たった9日しか無いし、頑張らないと…!
『楽しかったね』
電車内で繋がったイヤホンからそう聞こえる。
運良く座れたひとりちゃんの前に立つ私は下を向いたままで表情の見えない彼女の言葉を聞く。
『私、友達いなかったから。写真なんて学校の集合写真しか取ったことがない。今日は友達と写真を撮る、そんな夢が叶った』
そう再生された彼女の
『最近は毎日が夢や妄想の
そんな。
私だってこんなにも心動かされるなんて、思っていなかったもの…!
『喜多さんと出会えて私は良かった、なんて。出会って数日なのに何を言ってるんだろうね』
「私だってそう思ってるわよ、ひとりちゃん…っ!」
私は緩む涙腺を必死に抑えつけて、笑みを形作る。
その声音はやや涙色で濡れていた。
『喜多さんにはもらってばかり』
いいえ、私もしっかりもらってるわ!
『これからも』
ええ。
「…よろしくね…」
揺れる車内には2人だけの世界が出来ていた。
最後のよろしくって言った美少女は誰なんだ…!?(すっとぼけ)
話は変わりますがみなさん、pixivでぼざろ絵を見ましょう…。
私は毎日見てます!!!(圧)
投稿してない間は、「てぇてぇ死」してる率がおおよそ95%超。
「喜多ちゃんに染まったぼっち」は天才かと思ったので、見つけた人は握手しよう!!!