Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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コウタロウとタカトラに限った話ではありませんが、メゼポルタのG級ハンターのコンセプトは『伝説世代、宝玉世代を超える存在』で書きました。


穿龍棍って何だよ(哲学)

後年、公国の執政のために一線を退いたアダルバート・ユベルブ大公とグランディーノ・クラウディス伯爵はこう書き記し、言い伝えている。

 

伝説と謳われず、英雄と呼ばれることもなく。しかし終ぞ自分達の辿り着けなかった最前線(フロンティア)にていまだ戦い続ける強者たちがいる、と。

 

 

 

***

 

 

 

疲れから爆睡していたコウタロウ達が起きたのを確認し、一行は労いながら龍識船の船長も混じって質問していく。

 

「先日はお疲れさまでした。そういえば狩りでお二人とも全然回復薬を飲んでませんでしたけど大丈夫だったんですか?」

 

ミーナのこの質問にはセントが答える。

 

「俺が『吸血』という特殊な加工を施したんだよ」

 

「どういう効果なんですか、それ?」

 

「刀身に特殊な薬剤を塗りつけた。攻撃した際に傷口から噴き出た血液はその薬剤と反応して、回復薬と同じ効果を発揮するんだ。本当の意味での『吸血』ではないけれど、イメージ的に近い理由で俺達はそう呼んでいるのさ」

 

「そういう加工もやっているんですね…。あと一番聞きたいんですが、穿龍棍、でしたっけ?あれって一体どういう武器なんですか?」

 

次はアテンス。穿龍棍については他の地域で流通してないだけあって、この質問は全員が食い入るように聞いている。

 

「見てた通り二本の棍を両手に持ち、蹴りなどの体術も駆使してモンスターを攻撃する打撃武器だ。ハンマーや狩猟笛ほど一撃は重くないが、頭を殴ればモンスターをスタンさせられる。パイル機構を利用して空に跳び上がり、空中で回避したり攻撃もできるな」

 

「それはそうでしたけど…なんか殴った後に爆発しませんでした?加工屋さんは、なんか特殊なエネルギーを蓄積させるとか言ってましたが」

 

「『龍気』というエネルギーが備わっているんだ。モンスターに蓄積される普通の龍気と、回避や突きの推進力に使うEX龍気。そして普通の龍気を穿極拳舞の動作で変質させる穿極龍気の3つがある。後述するが、これらのうち『龍気穿撃』をトリガーとして開放させるのが普通の龍気だ」

 

そのエネルギーの名に心当たりがあるアルターは、船長に質問する。

 

「龍気…?バルファルクでしたっけ?龍歴院がこの船で遺群嶺を訪れた時に生息が確認された古龍の持つそれと同じでしょうか、船長」

 

「いいえ。こちらでバルファルクの研究が本格的に行われたのは最近の話なんです。これに対して穿龍棍は研究が行われるより前に開発されたらしいんですが、当時メゼポルタと龍歴院に交流はありませんでした。つまり偶然名前が被ったんですよ。それにこちらでは穿龍棍について詳しくないですね」

 

「…話を戻すが、龍気穿撃を放ってモンスターに当てると、溜めた部位の龍気が一斉に炸裂し、特殊な状態異常が発生する。これは炸裂した部位によって異なるんだ」

 

「と言うと?」

 

「頭に蓄積させた龍気なら、脳髄の成分に反応してめまいを起こしやすくなる。尻尾のような末端部位なら龍気が体内から蝕んで出血だ。重ねると切断にまで至る。それ以外なら龍気放出により、切れ味回復や武器を強化する。加えて、解放・炸裂した龍気と穿龍棍に内蔵された龍気が共鳴することで武器の性能を一時的に最大限まで引き上げることが出来る。これを『龍気共鳴』と言う」

 

下位ハンター達は双剣の打撃版と思っていたが、予想以上に複雑な武器だった。そんな中、クサンテが特に強い興味を抱く。

 

「私でも使えますかね、コウタロウさん?」

 

「G級から解禁される武器だから、まずはこっちでG級にまで上がってからの話だな。それと特別な訓練も必要だ。見ていただろうが、狩猟には蹴りも組み込む。だから脚力を鍛えるために、まずは蹴りで岩を叩き割ることから始まるよ。俺も素でこれはやらないといけなかったなぁ」

 

「えぇ!?ディノもデンホルムもそんなこと出来てないんですけど!?」

 

「あとG級武器限定という理由だが、内部機構が複雑で材料の鉱石も希少で加工が困難、しかもそれに耐えうる素材はG級レベルのものに限られるからだ。メゼポルタぐらいでしか製造が出来ないくらいにコストが高すぎて、量産が利かない。上位や凄腕ランクでは到底手が届かないのさ」

 

そして、コウタロウは少しばかりメゼポルタの事情について話したことのあるバンホーやディノ達と事情を深掘りしていく。

 

「メゼポルタでは素材加工のしにくさや強い武具の扱いのためにその辺のコストが段違いに高すぎるんでしたよね?例を挙げるならば、タカトラさんが持ってる猛振剣斧ギガバースト…ウラガンキンのスラッシュアックスも確か生産と強化金額を合わせて200万ゼニ―はかかったんでしたっけ?ガンキンGXシリーズや、ミドガロンの時に担いだ…名前何だったっけ?あの氷属性太刀みたいに他の武器、防具、武器種も扱うことも考えれば、クラウディス家(俺の実家)の金庫が吹き飛んでもおかしくなさそうですね」

 

「あれは『ルグレ・テュレイラ』だ。…多くの武器の扱いを極め、その上で色々な武具を持ってないとここではやってられないからな。おかげで相当金は消えていくね」

 

「…えっ?」

 

格安キャンペーンと称して細々と稼いでいるディードは、回っている金額のデカさに卒倒しかけるがディノに介抱される。

 

「えっ。ドンドルマやミナガルデでは対処できないレベルで強すぎるモンスターを対処するんなら相応に報酬金も弾む。大金を払えて当然だろ、ディード?」

 

「あ、ああ…。そうだよな…。しかしこの調子でいくと、装飾品もかなりの金食い虫になってそうですね…」

 

これについては、バンホ―はメフィラスから説明を受けたことがあるので多少は覚えている。

 

「G級防具を精錬した装飾品ってのを聞いたことがあるな。アコヤガイに真珠が出来るように、強化していくと防具の中枢を成す珠が出来っから、防具を精錬してそれを取り出し他の武具へ取り付けることで、普通の装飾品よりもスキルがうまい具合に発動する…と」

 

「ああ。君の言う通り、珠を生成できるレベルまでG級防具を強化している、という事が前提だからな。ここでも相当な金が必要なんだ」

 

「そうそう。いくら稼いでも大金が消えていくもんだから、差し引きの計算がとんでもないものになっている。おかげで、俺達は金持ちとは言い難いよ」

 

「…とにかく、双剣を使う今のままでいいかしら…」

 

「そうでしょうね、姫様。…しかし、10種類以上の武器種があって、それらが独自の位置を獲得しているから無理に他の地域に持ち出さなくても十分だと俺は思うんですが」

 

「君の言う通りだよ、ディノ君。武器種を新たに開発するには独自性はもちろん、ハンターの身を守る適性、強大なモンスターを狩れる実用性をギルドが審査する。穿龍棍に限った話ではないが、チャージアックスや操虫棍、その他多様な狩猟スタイルがある他地域において、流通させた上でこれ以上新武器種が独自路線を走るのは相当難しいだろう」

 

「この武器種が進出できたとしての話ですが…手数の打撃武器という点はハンマーにも狩猟笛にもない素晴らしい点ですけど、製造・強化難易度と使いこなす訓練についていけないでしょうね」

 

「ああ。駆け出しでも使えるよう取り回しの難易度があまり高くない…つまり、凡庸な下位ハンターでも使える、というのもメゼポルタ以外の地域では審査しているに違いない。普通、上位以降のハンターは数がかなり少ないんだからな。全体的に見て、ハンター生活を下位で終える傾向の強い一般的なハンターの方を重視してその辺の審査規格を作っているんだろう」

 

「下位ハンターが一般的、ですか…。成績優秀で1年で卒業した俺が言うのもなんですが、1年目のハンターはその未熟さもあって半年も経たず落命する傾向が強く、運と才能に恵まれても3年目まではドス鳥竜や中型牙獣あたりの狩猟が精一杯って言われます。そちらのG級どころか秘伝書を渡される凄腕ランクに至るのも普通に考えてキツイとかっていう話じゃありませんから、穿龍棍に限らずとも武器の扱いに相当詳しいくらい実力のあるハンターなんているかどうか怪しいと思いますよ」

 

「そもそも訓練所を卒業してハンターになるだけでも十分並の人間には出来ねー事だしな。更にイャンクックの討伐が一人前か否かの分水嶺、下位の飛竜を狩れる実力なら相当の者と言われるし。狩場からの生還が第一、大型モンスターの討伐が第二。上手くモンスターを狩ったりする技術なんぞ夢のまた夢だよねぇ…」

 

そして、スラッシュアックス使いのディードは持ち直したあと、タカトラのスラッシュアックスF…ウィルofソウルに目が行った。

 

「そちらのスラッシュアックス特有の機構もこちらに付けるのが難しいですかね?」

 

「ああ。更なる機能性の追求のために、もともとある複雑な機構に新しい機能を追加したんだが、これに耐えれる素材も限られてくるからな。機構をつけるのもコストが高いし」

 

「…つまりまとめると、既存武器との差別化・独自の位置、武器のメンテナンス・生産・強化のコストの圧倒的な高さ、秘伝書?その…ギルドから信頼されるレベルで武器の取り回しに詳しいという、取り扱いの難易度諸々を考えてそちらのスラッシュアックスも穿龍棍も並の者が使っていいものではないんですね」

 

「そうだね。メゼポルタ自体強すぎるモンスターへの対処を目的に存在してるからね、使用者が金のある玄人前提で開発したようなもんさ。

まぁとにかく俺達はメゼポルタへ戻る。じゃあな皆、健闘を祈るぜ!」

 

…「「「はい!」」」…

 

そう言い残してG級ハンターたちはメゼポルタへ帰還すべく飛行酒場へと消えていった。

 

リュドラキアにて迎撃参加者達を降ろした龍識船が向かう先は、アルカラ大陸のハンターズギルド、ルルシオン。未知へ備え、教官は若きハンターたちの再教育へ。セントはメゼポルタで作った武具の生産・強化・調整と、一行及び別地方の加工屋に宛てるメンテナンスのマニュアル等必要書類をまとめるために残り少ない時間を費やしていく。

 




Fで書きたい所は書いたからストーリーズ2の方にいきます。

しっかし、設定を書いて話を進めている中、マグネットスパイクも書きたかったよ。アレは基本辿異武器だから後付けで出すの現状無理なんだよなぁ…。

ストーリーズ関連のプレイ経験は

  • MHST
  • MHST2
  • オトモンドロップ
  • ライダーズ
  • 2作品以上
  • ないです
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