Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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回想も含まれるので、『』で区別しながら書いていきます。


レドという男

翌朝、疲れをとった一行は食事をした後にレウスやリルス達オトモンがいる厩舎で作業をしている。

 

「よし、敷き藁の交換終わり。手伝いに来てくれてありがとな」

 

「彼女たちも私達と一緒に旅をする仲間だもの。できる事はあまり無いけど、こうして手伝わないとね」

 

「そうか。今日はどうする?」

 

「ここに来るまでで狩ったモンスターの素材で武具でも生産しに行かない?流石にメゼポルタ固有のモンスターは無理だけど」

 

「いいんじゃないか、ミーナ?俺は昨日村人の農場の一部を貸してもらえたのでそちらへ行くが」

 

「ん?お前は新しい武器とか欲しくねーの、ディノ?」

 

「持ってる素材ではめぼしい大剣や太刀が作れんし、当分はリオソウル装備にブルーウィングと怒髪大剣だけで十分だ。まぁ、ドボルベルクからは太刀が作れるが、潜在する氷属性を解放しないと真価を発揮しない。覚醒スキルを持つ装備が出来たら考えるかもだが…今は要らん」

 

「早いところなんか良さそうなのを作れる機会ができたらいいな」

 

「そうだな。当面はリオソウル装備の弱点属性がカバー出来るのがいいな。…あと思ったんだが今回は普通の狩猟とは別物だから、素材とか武具を共用した方がいいんじゃないか?」

 

「使う武器が異なるし、女性陣は体格が違うから装備についてはうまくはいかないかもだが…まぁそれがいいかもな。つーか、土いじりもやんのね、お前」

 

「ポッケ村にいた時に農場を村長に貸してもらったんだよ。そこで他のハンターと一緒に、キノコや植物の栽培をしたり、養蜂や魚釣り、虫取りもしてたんだ」

 

「なるほどな。んじゃ、行ってみるか。ドボルベルクの素材、ありがとよ」

 

 

 

***

 

 

 

「えっ、双剣を扱ってないんですか?」

 

ミーナとクサンテは驚愕する。扱っている武器種がたった6種、その中に双剣が存在していなかったのだ。

 

「いやぁ、すまないねハンターさんたち。武器として知ってはいるけれど、そもそもライダーの皆さんが使っていないんだ。加工レシピが無いこともあって、出来ないことはないが時間がかかる」

 

「どうして使わないんですかね?」

 

「双剣は鬼人化という守りを捨てて突っ込む自己強化をするんだろう?オトモンへの指示が出来なくなるから好まれていないんだ。双剣に限った話じゃないが、攻撃はオトモンの方が強い。だからライダー側が派手な攻撃を求められることはない。もちろん強力なモンスターを討伐するには防具も武器も基本的な性能が優秀なものにするべきだけどね」

 

「言われてみれば確かに…」

 

「それに、こういう辺境の小さな村では用意できる工房の規模も小さくなる。オトモンのサポートをしたり、モンスターの部位を肉質相性のいい武器で部位破壊できる事を想定して、取り扱う武器種を最低限に絞っているんだ」

 

「規模のことで逆に言えば、ライダーの文化が都市レベルで繁栄しているフェルジア大陸では太刀や双剣やボウガンとかを扱うライダーもいると聞いているな」

 

「でも、それはあくまでも人が多いから使える話でしょうね。ガンナーにしても、ここではモンスターの出現する範囲が広すぎて弾の消耗がかなり響いてくるわ…」

 

「とりあえず、人が多い都市部なら扱っているかもしれないので、作りたい双剣や太刀があるなら売らずにとっておく方がいいんじゃないですか?」

 

「俺の故郷のクアン村でもハンターは居ないから、ルルシオンで作るべきだろうな」

 

「我々加工屋がやるような、砥石で研磨する以外のメンテナンスが必要だというのを考えれば暫く扱う武器も考えないといけませんね。何か当てがあればいいんですが…」

 

「ディノは太刀がなくても大剣があるから問題はねーけど、お前らは普通に考えたら取り回しが似てる片手剣じゃね?」

 

「他の武器を選ぶというなら、真っ先に挙がるのは訓練所で最初に学ぶ基本的な武器だからそうなるわよね」 

 

「そうと決まれば片手剣の生産ですね。私はドスイーオスのがありますけど、何が作れますかねおじさん?」

 

「昨日狩ったモンスターからは、ドボルベルクの素材で『バウムシュニット』を作れますよ?無属性武器ですが無難でしょう」

 

「じゃあ、それを注文するわ。片手剣の使い方を復習しておかないとね」

 

「俺、確か渡航する前にハンターカリンガを家に置いてったから、それを練習に使わないか?」

 

「ありがとう。じゃあ私はそれをしばらく担いで近くにでも行こうかしら」

 

「足並みを揃えるためにダイゴ同伴で行く方がいいな。あと、どうせ村の外に出るんなら行った方がいい場所がある。準備出来たらついてきてくれ」

 

 

 

***

 

 

 

バンホーに連れられてきたのは、アルカラ高原を長く歩いた先にあるハルツガイ山。山と言われるが実際に上まで登れない。強いていえば、複雑に狭い道が入り組んだ天然の迷路だ。通常の大型モンスターよりも体躯の小さなオトモンなら通れる道が多い。

 

「僕はちょっと前にここに来たんだけど…バサルモスやイャンガルルガがいるから気をつけてね。それ以外にしてもモンスターが多いんだ」

 

「イャンガルルガは俺が行こう。水属性の怒髪大剣と相性がいいしな」

 

「バサルモスは閃光玉で目をくらませてから退散しようぜ。双剣じゃきついからね」

 

「あと、奥にはアイルー部屋があるんだ。オレたちが行った時はネコタクアイルーがいたから、用が済んだらそこから帰れるぞ!」

 

「そうなのねナビルー。じゃあ、バンホーも一緒にダイゴのお爺様について色々聞いてもいいかしら?」

 

「自由でおおらかで、空の王者リオレウスのライダーに相応しいライダーだったみたいだぜ。ルトゥ村には竜人しかいない。人間が入ってくるのをよく思わない人もいたんだ。けれどもライダーさんの爺ちゃんは、護りレウスと一緒に村に来て、村人たちと仲良く遊んでいたんだよ」

 

「その流れでバンホーも仲良くなって、今があるという訳ね」

 

「ああ。人懐っこくて村人にも好かれ、いつも周りに誰かがいた。俺の方にも興味を示して、俺の事を『このままじゃいけない』って色々話しかけてきたんだよ。それから関わっていく内に俺も変わっていったんだ」

 

「子供のころから凄い人だったのね、レドさん」

 

「うん。それにアイツはモンスターの声を聞けれた。迷子の森に村のアイルーが迷ったんだが…。その時、アオアシラに遭遇したんだ。そいつは子供を守るために気が立っているのに気づいて、敵意はないことを示して立ち去らせたんだよ。このように遭遇したモンスターと徒に戦わないことで、無駄に血を流さないというのもアイツの凄い点だった」

 

「モンスターの声を聞く?そんなことが出来たの!?」

 

「出身であるマハナ村に限った話ではないが、ライダーの文化があるからじゃないか?大自然と共に生きてきたからこそ、ライダーはモンスターと上手くやっていくことが出来ると思うぜ?その中でもレドは天賦の才能に恵まれ、直感でモンスターの意図を察することに長けていたんだと思うがな」

 

「へえ…。ところで、どうして村は閉鎖的だったの?」

 

「人間と歳を重ねる速さが違うからだってさ。生きている時間が違えば、同じ時を過ごせない。歳を重ねるにつれ、大人としてやらないといけない事だって出てくる。一緒にいられる時間が少ないから、人間が入ってくることをよく思わない人もいたんだって」

 

「でも、それは間違いだった。俺たちがレドと初めて出会ったのは50年前。アイツは今のダイゴと変わんねートシの子供だったけどさ、再開した時は俺もエナもまだ子供だったのにアイツは家庭を持って孫もいるジーさんになってた。けれども昔と相変わらず俺たちに接してくれていたんだ。村人にとって、アイツは出会った時の昔も、会えなくなった今も大切な友達なんだよ」

 

そして、バンホーはダイゴの方を向く。

 

「だからダイゴ、お前を守る。お前に何かあればアイツに合わせる顔がねーからな」

 

そんな中、ミーナはバンホーの言動を思い返し、気になった事があった。

 

「…レドさん、もしかして亡くなったの?」 

 

「遺体も見つかっていないが、そう結論づけるしかなかったんだよ。とにかく、お前らも知っておくべき事だから奥にきてほしい」

 

 

 

***

 

 

 

跳ね橋を渡ってハルツガイ山を進む一行。そこで遭遇したモンスターは、ドスジャギィやアオアシラ、テツカブラ、クルペッコ、パオウルムーなど非常に多い。もちろん消耗もネックなので全てと交戦したわけではない。

 

そんな中、奥地に進む中で一部のメンバーは戦闘に入っている。

 

ゴウッ!

 

飛べなくてもそこは空の王者に相応しい強さを誇る飛竜。レウスの豪火球にさらされるロアルドロスに、クサンテとミーナのさらなる追撃が襲いかかった。

 

「ギョアアアッ…」

 

討伐したロアルドロスの剥ぎ取りをしている一方、ディノはオーウェンと組んでイャンガルルガと交戦している。

 

「ハアッ!」

 

不動で毒属性サマーソルトを耐え抜き、カウンターとばかりに怒髪大剣の溜め斬りを尻尾に浴びせ、切断。その衝撃で吹っ飛んだイャンガルルガに、ブルーがアイスブレードを叩きつけるとそのまま起き上がらず倒れた。

 

「これで2体目のイャンガルルガ討伐か。こっちも剥ぎ取りをしたら早く奥へ行かないとな」

 

「場所が狭いからなのか知らんが…ここに出現するモンスターの体躯が小さかったのは良かったよ。振り切るのがきついし、イャンガルルガ相手だとなかなか諦めてくれなかったし。あと早く解毒薬飲まないと」

 

「目的地はもうすぐだ。危険なところだから少し見たら引き返すぞ」

 

奥に進むと、飛竜の遺骸があった。分解が進みほぼ骨だけになっているが、かろうじて残っている緑色の甲殻や鱗には心当たりがある。

 

「これは…リオレイアのやつだな?」

 

「おう!レウスがまだ生まれてくる前に、ライダーさんとアルマが倒したんだゼ!」

 

「そうか。そこまで強くなったんだな。そして問題は…もしかするとな…」

 

バンホーが目を向けた先。そこにはありえない光景が広がっていた。

 

「こ、こんなのが現実にあるの…⁉」

 

「大規模な井戸の掘削工事をした跡としか思えないじゃねーか…!」

 

「一体、どこまで続くんだ⁉」

 

「誰が一体、何のためにこれを⁉」

 

オーウェンとハンター3人が驚いたもの。それは…

 

「「「「こんな大きすぎる穴、見た事ない!」」」」

 

 

 

***

 

 

 

ここからは俺…バンホーが少し昔の話をしよう。それは俺がライダーとして活動するずっと前、今から50年前に遡る。

 

かつて地盤沈下が起きてこの穴が出来た。奇妙な光が漏れ出し、あたり一面を不気味な色に染め上げた。何が起こっているのか詳しく見て対処するべく、俺とエナ、爺ちゃん。そしてゼラードさんは大穴に向かったんだ。

 

『一体、これは…?近くで見てみないとわかりませんな』

 

『落ちないでくれよ、ゼラードさん』

 

『大丈夫です』

 

漏れ出す光が何を示すのか。崖っぷちで見て推測している中、トンデモな奴が現れやがった。

 

『ガアアアアアアアアッ!』

 

『ッ⁉』

 

そこにいたのはティガレックス。だがそいつはピンクがかった赤色の怪しい光に包まれた見た目で眼も赤々と輝いていな。爛々とした狂気に侵されてしまったような状態だったんだ。

 

『何だ…何が起きている…?』

 

立て続けな異常事態に思考を巡らせるゼラードさんの元にアルマがシハクに乗って参戦した。

 

『ゼラード様!お乗りください!』

 

その声で我に返るが時すでに遅し。ティガレックスがアルマ達に襲い掛かった。

 

『ぐああっ⁉』

 

『だ、大丈夫、アルマ⁉』

 

『大丈夫です…。エナ様達はここから逃げてください…!』

 

『で、でも…!』

 

かろうじて大穴に落ちることはなかったが、今戦える者はここにはいなかった。体勢を立て直そうとするアルマへティガレックスが追撃しようとしたその時だった。

 

『うおおおおっ!行くぞ、レウス!』

 

『オオウッ!』

 

上空から、護りレウスに乗った少年…レドがティガレックスに不意打ちをかけたんだ。

 

『お前の相手は僕たちだ!レウス!

《スカイハイフォール》!』

 

護りレウスは空高く飛び上がり、ティガレックスに向かって炎を纏って渾身の急降下キックをブチかましたら、デケぇ火柱が立ち上がり、喰らって力尽きたティガレックスが上空から落下してきた。

 

暴走したモンスターをレド達が止めてくれたんだ。あいつがいなけりゃ村はえらいことになってた、だからルトゥ村の恩人なんだよ。

 

 

 

***

 

 

 

バンホーからハルツガイ山で何があったのかを説明された一行は、アイルー部屋のネコタクで帰還して、マイハウスで話し合っている。

 

「マガラ系モンスターが撒き散らす狂竜ウイルスでもない何かのせいで暴走していたのか…」

 

しかし、これは昔の話として切り捨てるわけにもいかなかった。ダイゴの口から、驚くべき情報が流れてくる。

 

「光が発生してモンスターが暴走した、というのは僕たちも体験したんだ。そうだよね、ナビルー?」

 

「ああ。ここに来る前ライダーさんは故郷のハコロ島で先輩のライダーと一緒に、護りレウスの祀られている聖なる地に行ったんだけど、その時に同じような状態のアンジャナフと遭遇したんだ!」

 

「えっ…まさか、今も異常事態が⁉」

 

「うん。そしてリオレイアだったこの骨。レウスが生まれる前、僕とアルマは正気を失ったこのリオレイアと交戦したんだ。その時の状況は覚えているよ。大穴からあふれる光の中から目を赤々と煌めかせて襲撃してくるのをね」

 

「俺もオーウェンと出会うより少し前、レドがこの村に数十年ぶりにやってきて教えてくれた。世界中で地盤沈下と光の現象が多発していると。間違いなく、この大陸で大変なことが起こっているんだろうな。

…俺がリルスの事を知るためにここを離れてた間、村を守ってくれてありがとな、ダイゴ」

 

「うん。けど村に来た時、大人しいはずのパオウルムーが暴れていてさ、前代未聞の事例だったんだって。ドボルベルクの件もだけど、もしかしたらそれらの皺寄せかも?」

 

「そういえば、さっき狩ったロアルドロスも跳ね橋というか川に近いところにいたとはいえ、山地の奥にいたわよね。普段はいなさそうなところなのに…」

 

「なんにせよ、今回の異常事態は生態系にも影響を及ぼしているのは事実だろう。リオレウスが姿を消したのは、これに反応したからかもしれん。一刻も早く真相を突き止めんとな。幸い、お前のレウスは大移動にも耐えきれるところまで成長している。これからどうする?」

 

「これは長老やゼラードさんから提案されたんだけど、レウスが本当に破滅の力を持つか見極めようと思う。モンスターの力を目覚めさせ、制御する技を持つクアン村の竜人がいると聞いたんだ。その人のところに行く」

 

「それは確か、バンホーやオーウェンが言っていたことと同じだな。目的の一致で、俺達もそのクアン村というところを目指すことになるか。片手剣の取り回しの練習と支度を整え次第向かいましょう、姫様」

 

「ええ。この村は流れる時間がゆったりとして居心地がいいけど…行かなくちゃ」

 

次なる行先は一年を通して雪に包まれる地域、ロロスカ地方のクアン村。彼らには何が待ち受けるのか。




と言うわけで、ルルシオンに着くまでは双剣と太刀はお預け。片手と大剣で行きます。

ストーリーズ関連のプレイ経験は

  • MHST
  • MHST2
  • オトモンドロップ
  • ライダーズ
  • 2作品以上
  • ないです
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