Monster Hunter Reincarnation 作:scp-114514
高原をうろつくドスジャギィやアオアシラ相手に双剣組が片手剣を練習している中、オーウェンは農場で収穫をしているディノへ手伝いと連絡をしに来た。
「いつの間にか実が成ってるな。手伝うよ」
「ありがとう。ポッケ農場もこういうのがあったんだが、公国の農地では全く見れない光景だ。どうしてこうも成長に差があるのか不思議と思わないか?」
「生体エネルギーがなにかしてるんじゃないか?古龍の力が大地に還元されるってのは読んだことがある。新大陸にある瘴気の谷を調査してた人達がそういう記事を書いてたっけな」
「あー、メゼポルタの猟団部屋に置いてあった『狩りに生きる』新刊にそんなのがあった気が。ダラ・アマデュラの亡骸で出来た環境だなんて想像も出来なかったな。
メゼポルタで思いだしたが、あそこで狩猟が許可される古龍…『雅翁龍』イナガミも竹を急成長させる力があると聞いたよ」
「決戦場でも生体エネルギーに関係する事例は見られてたらしい。昔その地で討伐された超巨大飛竜アカムトルムの生体エネルギーが還元されたんだが、しかしそこに生えるのは特殊なサボテンと少しの火薬草だけ。それらが膨大なエネルギーを独占して急成長できているそうだ。そのサボテンも生体エネルギーのおかげで栄養が豊富というのを狙い、『炎角竜』ヴァルサブロスが主食としているとな」
「ヴァルサブロスはミーナからゴゴモアの狩猟後に聞いたぞ。烈種と呼ばれるモンスターの一つだと。コウタロウさんがグァンゾルム討伐に担いだ穿龍棍の素材に使われたメラギナスもそれに分類されると。
…話がそれたが、決戦場にて数が少ない植物が独占しているのを考えれば、ポッケ村など動植物の少ない小規模の村ではエネルギーの恩恵を集中的に受けられるからかもしれないが、どうだろうか?」
「言われてみればそうだよな。村と違い、国であるならば耕地面積も大規模になるし、そこに生える農作物も多い。生体エネルギーはまんべんなく行き届いたとしてもその量は少なかったりしてな」
「…よし、トウガラシも全部収穫した。これの加工だけでいいんだな?」
「ああ。クアン村周辺は極寒の地だ。オトモンはドリンクを飲むのを嫌がるから、トウガラシをホットミストにして体に纏うのがこっちでのセオリーなんだよ。調合をとりあえず見といてくれ」
***
片手剣の最終チェックが終わった翌日。大型竜の度重なる出現により、警備を離れられないアルマは、村長とゼラードに代わって一行を見送ろうとしている中、エナがその中に遅れて加わった。
「ごめんなさい、支度が長引いたわ」
「あっ、バンホーから貰った服だね!すごく似合ってるよ、カムラの受付嬢の制服」
「ありがとう、ミーナ。普段着は防寒対策がないから、そういう意味でもお兄様のプレゼントは嬉しい」
「…あれ、その矢じりみたいなペンダントみたいなものは何?」
「ああ、これはお爺様から渡されたの。一族に伝わるお守りとして、無事を祈ってって」
「へー、とにかく早く行こう、クアン村へ!ナビルー、オーウェン。案内お願いね!」
「待て。土産を持っていけ、ナビルー」
アルマが手渡した紙袋の中を開けると、3つの穴が開いたドーナツっぽいものがあった。
「おお!これはドーナツじゃないか———っ!!」
「お前やバンホー様から聞いた情報を元に、村の料理人が作ったんだ。実物になっているかはわからないが…」
「モグモグ…うまいっ!これは正真正銘本物のドーナツだ!ほっぺが落ちそうだゼ!ありがとな、アルマ!」
そう言ってナビルーはアルマに飛びついてお礼を言う。
「うわっ⁉…ん?くしゃみが起こらない…アイルーに触れたのに、どうして?」
前にも記載したが、彼はアイルーアレルギーで触れるとくしゃみが止まらないのだ。
「だから言ったろ?オレはそこらのアイルーじゃないって!オレは伝説の———うん?」
拒絶反応が起こらなかったので、今度はアルマはナビルーの腕や頬を触っている。
「柔らかくて、暖かい…。まさか、アイルーに触れられる日が来ようとは…」
「お、おう…。それは良かったな、ハハハ!」
しかし長居は無用。クアン村へ行かなければならない。
「さぁ、そろそろ発たないと。行こう」
「おう、またな、アルマ!」
「ああ。…どうかご無事で、バンホー様、エナ様、ダイゴ」
「心配すんな。俺達には頼れる仲間がいるからな」
***
そして、一行の姿を見ている者はアルマだけではない。木々の茂みから一部始終を見ている者が2人。
一人は弓使いのハンターの少年。ダイゴ達と年齢は変わらない。もう一人は彼のオトモアイルー。と言っても、ニャンターや現大陸のオトモと違い、どちらかと言うと忍者っぽい。
「あれが破滅の力を持つレウスか、ツキノ。タマゴの孵化の際の話といい、とてもそうには思えないが」
「早かったですね、カイル」
「一刻を争うからな」
「クアン村に向かう途中を狙う?」
「いや、レウスの力を見ていない。破滅の力を見極めるのが俺達の任務だ」
「事が起きては手遅れになりますよ?」
「任務は絶対だ。あいつらとの衝突も避けたい。それに父さんなら…」
「『父さんならそうする』でしょう?」
「…引き続き、監視を行うぞ」
***
アルカラ高原を進んだ先にあったのは銀世界。一年を通して雪が覆うロロスカ地方だ。洞窟エリアや雪が積もったエリアは寒冷対策が必要だが、低地や森林はそうでもない。このため寒冷地域と言えどもフラヒヤ山脈やそこまで寒くない寒冷群島に比べ、全体的に見て様々なモンスターが生息している。
「あ“あ”あ“―…クッソ寒いぜオイ!防寒対策のあるインナーを着ときゃよかったわ」
グレンゼブルを模したゴツイ印象の防具『グレンシリーズ』を着ているバンホーは、ホットミストを使用しても寒さに震えている。
「ホットドリンクもホットミストも、低体温症の防止が役目だしな。寒さを予防するには防寒着を厚く着るしか方法はない」
「その点を考えれば俺達は耐寒スキルがあるザボアシリーズやウルクシリーズを着ていて良かったな、クサンテ」
「ええ。それにしてもディノ、ミーナ。リオソウルシリーズやザザミシリーズは大丈夫かしら?」
「俺達は元の素材が氷にも弱くはないですが、ミーナの方は露出があったりで結構寒いようです。フルフルシリーズを着るのも考えてはいましたが、スキルはこっちが良いですしね。それにポッケ村にいたおかげで寒さは何とかなりますよ。でもダイゴは…」
「すすすっごい寒い…うわっ!?」
歩いていたダイゴがいきなり転んだ。雪に足を取られたのだ。
「ああ、ライダーさんの出身は雪と無関係だったからなぁ。雪道ってのは…うにゃあああああっ!?」
坂道を歩いていたナビルーがダイゴの方へ向かうが彼も転んでゴロゴロ転がり、やがて目を回す雪だるまになる。
「こ、こういう危険もあるからぁ~き、気をつけろぉ~」
「お兄様、2人とも何を遊んでるのかしら?」
「図らずとも身をもって雪道の危険を教えてんだろ。…俺が行った城塞高地はまだしも、お前は寒冷地域に行ったことはなかったよな」
「ふふ…そうだったわね」
そしてナビルーとダイゴは雪をはらい、気を取り直して出発する。
「さぁ、もう少しの辛抱だゼライダーさん!」
しかし、レウスが突如上の方向を見て唸りだす。
「ど、どうかしたレウス!?」
その方向には、ピンク色の光が立ち昇っていた。
「リオレイアの時と同じだ!」
嫌な予感がしたダイゴ達は、クアン村行きのルートから外れて光の登る方向へ足を進めていく。
「ハルツガイ山の話の通り、もしかしたら…!」
しかし、その道を阻む邪魔者がいる。ドスバギィやウルクスス、ボルボロス亜種など、とにかく大型モンスターの数が多い。おそらくこの異変でパニックになっている中、彼らと偶然鉢合わせたのだろう。
「先に行け、ダイゴ!」
「うん、助かる!」
***
「ここからか…」
大型モンスターの群れをバンホ―達に任せてダイゴとナビルーが道なりに進んだ先にあったのは、凍った湖の水面らしき地点。そこから穴が開き、赤い光が立ち昇っていた。
コポ、コポポ…
「泡…?何か出て来る!」
ザッパアアアアン!
水面から出てきたのはザボアザギル。しかしその眼は赤く輝いており、正気を失っているのは明らかである。
「やるしかない。いくよ!」
「オオウ!」
ザボアザギルはレウスに標的を絞り、噛みつこうと襲い掛かる。
が、ダイゴはレウスと息を合わせて同時攻撃。頭めがけてレウスが毒爪でキック、ダイゴがボーントマホークで斬りかかり、直ちに離脱する。
「ライダーさん、ナイスコンビネーションだゼ!」
今度は超低温の体液をダイゴに吐き出してきた。まともに当たれば氷まみれになって動きが封じられるだろう。
「レウス!ブレスならこっちもブレスだ!」
ゴウッ!
レウスの豪火球でそれを打ち消し、その隙に頭に引き続き斬撃を加える。
「アアアアーッ!」
しかし突如、ザボアザギルが咆哮する。それからしばらく注意が2人に絞られなくなったと思いきや、全身に氷の鎧をまとった。
「ライダーさん!ザボアザギルは形態変化で攻撃が変わるんだ。気をつけてくれ!」
「わかった!レウス、ロッキーに交代だ!」
氷まとい状態のザボアザギルは動作にキレがかかってきている。
全身に纏う氷の鎧は堅く、それだけで武器に転用できる。デンプシーロールをするようにザボアザギルは前足で交互にロッキーをひっかくが、堅牢な甲殻の持ち主には効果が薄い。そのまま耐え抜いたロッキーが尻尾で頭を打ち据える。
「あの鎧…片手剣じゃ効果が薄いかな?武器を変えよう!」
ダイゴはボーントマホークからヒドゥントーンに持ち替えて腕に殴りかかった。更にそこから演奏を行う。ヒドゥントーンの音色タイプは味方強化を行う『曲タイプ』。味方の全属性防御力を上げる『鉄壁の歌』を演奏してロッキーを更に頑丈にする。
一方、ザボアザギルは体をねじるような体勢にして力を溜める。何か大きい技を繰り出してくるつもりと判断、ダイゴは緊急回避をすべく走り出す。
ドバババババッ!
放たれたのは超低温の水の奔流。ザボアザギルは2人をまとめて薙ぎ払おうとするが、ダイゴは回避に成功し、ロッキーも頑強な肉体と演奏効果でやり過ごした。そして溜めていた隙を活かしてロッキーは火炎ガスを噴霧する。
「ロッキーのおかげで氷がだいぶ解けた!動きも鈍ってるよ!」
「…いや、また形態変化するぞ!追撃がくるかもだ、ライダーさん!」
身を屈ませたザボアザギル。体に力を込めていると思いきや、いきなり膨張した。
「あんなに腹が大きいと、その分弱点も大きくなってそうだな。レウス、キミに決めた!」
「オオウッ!」
再び前線に出たレウスはザボアザギルの膨張した腹部に豪火球を当てる。レウスとロッキーが得意とする火属性はよく効いているが、相手は狂暴化しているせいかこれでも弱る気配はない。
そんな中、ザボアザギルがその場で飛び跳ねて着地、周囲に震動を発生させて2人の動きを縛る。更に腹部から体液由来の凍結ガスを放出した。自身の膨張状態を解除させるくらいに大量かつ強力で、その勢いで2人とも吹っ飛ばされてしまった。
「うぅ…。寒い…」
それだけではない。2人とも膨大な冷気のせいでカチコチになり、全然動けない状態だ。
「まずいぞ…下のみんなが早く応援に来てくれないと大変だ…!」
指示を出すにもそれどころじゃないので、レウスを下がらせることすらできない。万策尽きたと思ったその瞬間———
「あなたたち、大丈夫!?」
声の主は狩猟笛使いの金髪の美少女。ナビルーは、ベリオロスに乗ってこの戦場に馳せ参じた彼女と面識がある。
「あっ!アユリアか!?アユリアだ‼」
「話はあとで!まずはモンスターを何とかしましょう!」
とにかく、このピンチに助太刀してきてくれたのはダイゴ達にとってすごくありがたい。彼女たちにザボアザギルの注意が向いている前に、急いでホットミストを散布して体を温めて仕切りなおす。
「いこう、ヒョウガ。放てっ!」
上空からザボアザギルとブレスの撃ち合いをしているアユリアは、絆石の力を解放させた。
『ヒョウガ』というベリオロスのオトモンは特大の氷属性ブレスをザボアザギルに照射した。このブレスによる寒暖差は気流を巻き起こし、巨大な竜巻が発生する。
「『グラウンドサイクロン』!」
そして竜巻に突入。竜巻に閉じ込められたターゲットめがけて、上空から突貫した。
そして持ち直したダイゴもロッキーへと先発を交代。絆技を発動している間に。口に熱エネルギーが集約する。
「このチャンスを無駄にはしない!
『アンブッシュレーザー』!」
ロッキーの口から放たれたのは、絆石の力でより熱量を強めた熱線。ザボアザギルの全身を焼き尽くした。
「エ“エ”オ“ヴッ…」
断末魔を上げたザボアザギルは仰向けになって絶命。その直後、目から赤い光も消失した。
その後、下の方で交戦していたメンバーも無事討伐をして上へ合流。モンスターの数が多くてなかなか加勢できなかったので、ダイゴの窮地を救ってくれた彼女達には本当に感謝していた。
本作の重要な参考資料であるホモンスターハンターシリーズを投稿している戦艦野獣兄貴から高評価をいただいたので、頑張って書き上げたいです
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