Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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出会いがあれば別れもあるのが旅。これは、別れという名の旅の終わり。


幕間
薙ぎ払い、凍てつかす極海の獰竜


「…本当に、いいのですね」

 

「はい。そういう理由なんで」

 

「であれば、仕方ないですね…」

 

「それと、一つだけお願いがありまして————」

 

「…それならば、どうぞご自由に。あのお方も喜ぶでしょうね」

 

 

 

***

 

 

 

アルトゥーラが消滅し、凶光化事件が幕を閉じて数ヶ月後。俺——オーウェン・クラウディスは色々あってユベルブ公国に来ていた。最も今は用はもう済んでおり、アルカラ大陸へ帰還すべくミナガルデへ向かおうとしているところだが。

 

相棒のブルーに乗り、人気のある場所を離れて草原地帯を進んでいる途中、馬車とすれ違う。凶暴な外見の竜に乗る子供なんて見たことないと言わんばかりに御者は目を丸くしていたが、既に見飽きた光景だ、どうでもいい。

しかし暫くした後に、背後からドンッと鈍い音とともに何かが壊れる音が聴こえた。振り返ってみれば、デカい体躯のイノシシ…ドスファンゴが疾走しており、そいつにぶつかったせいか近くには先ほど荷車を引いていた馬車がちょっとした崖下で大破していた。

 

やっべ、こっちと目が合っちまった。

 

「ブモウッ!!」

 

まぁブルーというデカブツがいれば当然反応するよなぁー。

案の定繰り出してくる突進をサイドステップで躱し、お返しにブルーのアイスブレードをお見舞いしてやるがあまり手応えは良くない。

 

「よく見ると牙も普通の個体より大振りだし…上位相当ってところかね?」

 

一応あれからハコロ島にてドスファンゴの上位個体を狩ったことはあるけれど、今は崖が近いから正直相手したくない。というか近くで怯えてる御者のオッサンが正直邪魔。

後ででもいけるよう、うまくいけば他の連中に丸投げ出来るようペイントボールとこやし玉を当てて追い払わせた。

 

「大丈夫っすか?」

 

「あ、ああ…。なんとか…。それでも後ろが…ヒイッ⁉」

 

御者は問題なかったらしいが、落下した荷車の方を見ると彼は顔面蒼白になっていた。何せそこには地獄絵図が広がっていたんだから。

 

「ヒッ…来るなっ…来るなっ…く、来るなああああああっ!」

 

「あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”⁉お、俺の足があ“あ”あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” あ”あ”あ“あ!!!」

 

「た、助けてくれ!許してくれえ!俺達が悪かっだがら“あ”あ”あ“っ”!」

 

「いだいいだいいいいいいいいい!!助けてくれええええええええ!」

 

3頭のランポスが壊れて横転した荷車の中に入っている。注意して観察していると、肉のちぎれる音と共に男たちの絶叫が聴こえ、壊れた荷車からも血が流れ出てくる。

 

荷車の派手な落下音に反応して、周囲の茂みからランポス達が出てきたのだろう。そいつらは衝撃で負傷した乗員が流す血の匂いでも嗅ぎ付けて、襲っているのかな。

 

あ、一匹が血塗れの肉塊を咥えてる。多分負傷者の1人が内臓やられたな。つーか匂いが広がって群れが増えてきたわ、こりゃもう俺達には何もできないね。

 

「そこから離れたらどうです?あそこは崖下とはいえ気づかれたくないでしょアンタも」

 

「わ、わかった!とりあえず街中に入るまで、私に付き添ってくれないか…⁉」

 

チッ、めんどくせえ。とりあえず申し訳程度の営業スマイルでやり過ごすか。

 

 

 

***

 

 

 

御者曰く、馬車は犯罪者の護送をしていたとのこと。

ここから距離のあるド田舎の村でハンターと奴隷商が結託して悪事を働いていたが、犯罪行為が発覚してギルドナイトに摘発された。本来はハンターズギルドの方で処罰を行うつもりだったが、被害者の中にユベルブ公国の姫君がいた事で、ハンター達はギルドの方で、ハンターではない奴隷商達は公国の方で裁判・処罰をする事になったそうだ。そして先ほどランポスの餌食となった犠牲者は後者、つまり違法な人身売買をしていた連中だったのだ。

 

ん?姫…?

 

公国の姫君つったらアイツ(クサンテ)じゃん。犯罪に引っかかるようなチョロいタイプだったっけ?周りから猪突猛進なタイプと言われてたらしいけど、俺らと行動してた時はそんなんあったかな?

 

まぁそんなことはどうでもいい、俺も美少女化したブルーとずっぷりヤりまくってるけど、お互い嫌がってないんだわ。でも連中は、どうせアイツを騙したりして一方的に汚ねえ真似をしやがったんだろ?俺はアイツに対してはそれなりに仲間意識がある、だから苦しみながら死んでもかける情けはないね。

 

まぁ、そこらへんは置いといてだ。

俺は御者のオッサンから面倒ごと————ドスファンゴの討伐をいきなり押し付けられた。

他のハンターにでも回せやと言いたかったが、こっちも船に乗るまで港町でダラダラ何日も暇を潰すだけだから断る言い訳を考えにくかった事、オッサンが相当な表情で迫って来た事を考えて受ける事にした。

 

そういえばずっと前に立てられたスレでは先輩ハンター曰く、森丘ではアルトゥーラの影響で姿を消したリオレウスの立ち位置に他のモンスターが入っていったんだっけ。

討伐するだけじゃなく、周囲の環境も少し調べておく必要があるな。

 

 

 

***

 

 

 

ペイントの匂いによれば、ドスファンゴは以外にも結構遠くまで移動していた。遠くから隠れて双眼鏡を見ると、草むらに顔を突っ込んで餌を掘り起こして食べているのが分かった。

 

ドスファンゴは群れの雌を独り占めする…わかりやすく言えばハーレムを形成する生態がある。上位個体となればリーダーの力も強くなるからか、結構な数のブルファンゴが周囲にたむろしていた。

 

俺もブルーもさ、船が来るまで港でダラダラしたかったんだよ。なのに依頼押し付けられてさ、しかもこんなに多くの群れを束ねてるなんて余計にムカッ腹が立つ。

あぁ本当にめんどくせえな、こっちに気付く前に削っておくか。

 

「ブルー、あそこに冷気を吹きつけろ」

 

「ヴシャアッ!」

 

身を隠しながらブルーがブルファンゴの群れのところへ吹雪の如き激しい冷気を吹き付け、周囲の足場をカチカチに凍らせる。突然の出来事に群れはパニックになるが、足場がツルツルになれば蹄ではまともに立ち歩けず、ブルファンゴ達は転倒してしまう。

 

「尻尾をぶん回せ!先にこいつらを片付けんぞ!」

 

「ンヴガアアアアアアッ!」

 

群れの弱体化を確信した俺はもうコソコソ隠れる必要はないと判断。ブルーが凶暴な咆哮を轟かせて群れの中に割り込み、氷塊を纏った尻尾をフルスイングする。

 

「ギピィッ⁈」

 

「ブヘェッ⁈」

 

ブルファンゴの群れはたちまち総崩れになった。ある者は顔面を、ある者は背中を、ある者は腹をブルーの一撃で殴打され、ひしゃげられて絶命していく。

巨大な氷の戦鎚(メイス)を、オトモンというハンターの比じゃないパワーの持ち主が振り回してるんだ。そりゃ屍山血河の光景が即席で出来上がるよなぁ。

さぁ、残ったドスファンゴよ。お前なんぞ凶光化モンスターと渡り合ってきた俺達の敵じゃない。

 

「おうおうどうした?群れをやられて怖気ついてるのか?ブルー、お前も煽ってみろ」

 

「フシュウッ…フッ…」

 

俺の指示でブルーは鼻を鳴らしたが、更に彼女はおちょくるように何度も尻尾を振り動かし、眼を細め、口角を上げて挑発する。

 

お前、意外とノリノリじゃんかよ…。

 

「ブモオオオオオオッ!」

 

こうして煽られれば群れを奪われたドスファンゴは当然怒り、突進してくる。

 

距離を取っていれば避ける事はどうってことないが、最初の時と違い一度外しても軌道修正してくるのでまぁ油断はできない。それに足場が凍っていても、ブルファンゴよりも優れた膂力を持って力強く走っているのか全然滑っている様子がないまま、こちらに突撃してくる。

脳筋のくせに小細工が通じないとはな。いや、雨だれ石を穿つとあるように脳筋も突き詰めればこんな事も出来る、と言うべきか。

 

「だったらプラン変更だ。アイスウォール!」

 

こちらに突進するドスファンゴに対し、ブルーが冷気を吐いて眼前に巨大な氷塊を出現させる。

 

「ブモッ⁉モ“ッ、オオオオッ⁉」

 

よし、作戦通りだ。壁代わりの氷塊に牙が刺さり、ドスファンゴが動けなくなっている。

 

「引き抜けないか?なら手伝ってやるよ。体の無事は保証しないがな」

 

俺を乗せたブルーがタックルで氷塊を砕いてドスファンゴに激しくぶつける。ドスファンゴの牙は抜かれてしまうが衝撃で怯み、大粒の礫となって降りそそぐ氷塊もヤツの視界を奪う。

 

「そこだ」

 

怯み、ターゲットを見失ったこの隙にブルーが真正面からドスファンゴに噛みつくと、傷ついた自慢の牙の片方が煙を上げながら壊れていく。こいつのヨダレは酸性だから硬い部位を壊すのには便利なんだよね。

 

「ブモ、ブモオオオオオオォ…」

 

牙を溶かされ、全身を氷塊で打ち据えられた激痛に苦しむドスファンゴ。これは相当手痛いのか、傷を癒すべくドタドタ歩いてこの場から去っていった。

 

さて、後をついていくか。

 

 

 

***

 

 

 

真新しい蹄の足跡が示したのは、聳え立つ丘のふもとにある洞窟。ファンゴの好物は湿気あるところに生えるキノコ類だから、こういう場所を住処にしているのも納得がいくな。

洞窟は一方通行になっており、すぐに眠っているドスファンゴに出会えた。木の枝がうず高く積もっているので、おそらく他の生物の古巣にお邪魔していると思われる。

 

さて…この場所は空気の通り道が一本しかなく、狭い空間だ。

ハンターみたいに寝込みを襲って斬りかかる手もあるが、この環境条件ならばもっと確実に息の根を止める方法がある。

 

「ブルー、アブソリュートゼロ!」

 

それはブルーが圧縮した冷気を解き放つことで生まれる絶対零度の空間。逃げ場のない冷気は洞窟に充満し続け、洞窟全体を氷漬けにしてしまえるのだ。

 

「ブ、モォ…?」

 

絶対零度でも生存できるのはクマムシぐらいしかいない。顔に霜が張り付いたことに気が付いたドスファンゴは目を覚ますが時すでに遅し。起き上がる前に全身が瞬く間に凍りついていき、終いには真っ白な氷塊へと変り果てた。

このまま帰ってもいいけれど、依頼を受けた以上証拠をとして素材をはぎ取っておく必要がある。

 

「これで終わりだ。やれ!」

 

「ヴジャアアアアアーッ!」

 

処刑執行だ、と言わんばかりに残忍な咆哮を轟かせたブルーが跳躍、極大のアイスブレードを纏った尻尾を上から叩きつける。氷漬けにされたドスファンゴは顔面をガラスのように粉砕され、断末魔を上げることすら許されず沈黙した。

さて、散らばった破片は無理だから一撃が当たらなかった部位から剥ぎ取らないとな。

 

…おっと、これはもしかしたら…。




クサンテ&アダイト&デンホルム→鍛え上げた武器と防具だけでなく爆弾や罠など、お馴染みのアイテムもフルに使い、激闘の末に討伐。

オーウェン&ブルー→鍛え上げたライダーの技量とオトモンの力でドスファンゴを群れごと攻め立て、最終的に絶対零度で氷漬けにしてからとどめ。

因みにネタバレですが、このドスファンゴは上位個体ではありますがこちらで独自に登場させた個体でしてねぇ。クサンテの仇敵ではないんですよ。少なくともこの作品ではロノム村周囲の環境がそれなりに複雑でして…。

ストーリーズ関連のプレイ経験は

  • MHST
  • MHST2
  • オトモンドロップ
  • ライダーズ
  • 2作品以上
  • ないです
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