Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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「何故、人は目の前にある絶望に目をつむるのだ?」
—絶望の魔黒ジャックバイパー





禍群(かむら)に抗い、生きる

「ん、う…ここは…?」

 

未知のモンスターの襲撃に遭い、ヴァルバラドライバーを紛失した耀真は畳張りの一室で意識を取り戻す。

負傷したであろう体の部分には包帯が巻かれ、更にご丁寧に敷布団と掛布団までセットされていた。

 

「誰かが俺の事、助けてくれたんだ…」

 

ざっと見まわしたところ、囲炉裏に竈と和風…というか昔の日本のような趣の造りが為されている部屋であり、ユクモ村に近い雰囲気を感じる。

 

「村の近くにある3Gやクロスの渓流はあんなんじゃなかったし…。ここは別の村かも?」

 

そして当然、現代の建築物以上に音が筒抜けな家屋ではくるまっていた布団から起きたりした時の物音などでも外に響いたりするので…

 

「おや?目が覚めましたか」

 

玄関から、目を覚ましたであろう耀真の様子を見に、村人らしき人が入ってきた。

顔を大きな御札で隠し、袖を余らせた着物の上にウグイス色の羽織を着た白髪の男性。横に長い二等辺三角形状の耳をしていることから、竜人族であることが分かる。

最もスレ民のバンホーや、スレに垂れ流された映像に映っていた彼の妹であるエナとは耳の形状が大きく異なっていることから、少なくとも彼はルトゥ村の出身ではないようだが。

 

「あなたが…助けてくれたんですか?」

 

「いえ。この村のハンター殿と、教官ですよ。残念ながら今は里の皆さまと共に出ておりますので…戻ってきた時に礼を言ってください」

 

「そうだったんですね…ん?」

 

「どうかなされましたか?」

 

「ああいや…村、じゃなくて里?ですかね…。ここに住む人たちが多く村の外に出て、んでハンターしている人も同様に出て…何をやってるんですか?」

 

「ふむ…『百竜夜行』をご存じないようですな。押し寄せてきているモンスターの大群を迎撃しているのです」

 

「ハァ⁉…いってえっ!」

 

昔モンハンをやっていたから、ハンターが受注するクエストならわかる。でもモンスターの大群を捌き切るという話なんて聞いた事がない。それに、大群に対してハンターだけでなく村人も出るという事は、子分を引き連れるドスジャギィやドスランポスとかの比じゃなく色んなモンスターが里の方へやってくると考えていいだろう。

とんでもない事を聞かされた耀真は驚きのあまり立ち上がってしまうが傷が痛んでしまい、竜人に介抱されてもらいながら続きを聞く羽目になった。

 

「いけない。ラージャンとヨツミワドウに負わされた傷がまだ治っておりませんな。

…この地、『カムラの里』は50年前にもそれに襲われて大きな痛手を受けたのです。里長は二度と同じ悲劇を繰り返さない為に、ハンターだけでなく特別な訓練を受けた里の住民———『里守』を揃え、災禍から里を守ることにしたのです」

 

「すみません、手を煩わせてしまって。しかし、ここではそんなことがあったんですね…」

 

「はい。ところで…貴方の名を聞いていませんな。遅れましたが自己紹介といきましょう。

それがしは『カゲロウ』と申します。この村にて商いをしている者です」

 

「俺、耀真っていいます。よろしくお願いします、カゲロウさん」

 

「こちらこそ宜しくお願い致します、ヨウマ殿」

 

 

 

***

 

 

 

カムラの里にて意識を取り戻してから1か月ほど。耀真はじっとしている気にもなれず、住人達の手伝いをする事を決め、初めて家の外に出た。

とりあえず住人達に挨拶をしようとするが…人っ子一人いない。

 

「まさか…百竜夜行は一回程度で済まない案件なのかよ⁉」

 

それしか思いつかないが、わざわざ昼間から里をカラッポにするなんてよほどの事だ。そしてカムラの里でありえるそういう案件は、百竜夜行を置いて他に真っ先に思いつくものはない。

 

「みんな、里の防衛戦に赴いたんだろう。子供とかの戦えない人達は避難しているのかな」

 

里の皆が一丸となって災禍に抗うなか、五体満足で普通に動ける自分だけ何もしていないのはバツが悪い。どうにか出来る事を探さなければ。

 

「つっても下手に突っ込んだら迷惑だし…。何か出来そうな事を聞くしかない」

 

耀真はあれから里のハンターに初めて出会って礼を言った時、窓越しに彼らがどの方面から里に帰って来たかを見ている。人やモンスターの気配、里の外から見える煙、聞こえる音を頼りにして砦を探しに出かけるのだった。

 

 

 

***

 

 

 

勘を頼りに進んだ先にあったのは、両脇を高い崖に挟まれた谷底。

そこに大きなベースキャンプが設営されており、耀真が進んできた向きとは反対方向にある出入口からは人やモンスターの声が飛び交っているのが聞こえる。

 

そして巨大な炉のようなもので何かの作業をしている老人と目が合い、挨拶をした。

 

「あ、あの~スイマセン、何か手伝える事はありませ…んか…?」

 

「おぬしは確か…カゲロウが言っていた、ヨウマだったか。

ワシは『ハモン』、この里の加工屋だ」

 

「は、はい!ハモンさんですね!俺、傷もだいぶ治ってきたので…」

 

「では…見張りをやってもらえぬか。カゲロウから、百竜夜行についてはよく知らようだと聞いている。今のおぬしにはこの戦場での働きは荷が重かろう」

 

「…わかりました!」

 

ベースキャンプの中で裏方に徹する他の里守に会釈をしながら出入口から恐る恐る顔を覗かせると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。

 

丸太の柵をよじ登って入ってくる、無数のモンスター達。アオアシラやラングロトラのような中型モンスターもいれば、強力な雷属性攻撃をしてくるフルフルや一流ハンターの登竜門となるリオレイア…結構高い危険度のモンスターまで群れに混じっている。はっきり言ってごちゃ混ぜだ。百鬼夜行ならぬ百竜夜行という名前が付くわけだ。

 

「バリスタ隊、大砲隊!一斉射撃でゲコ!」

 

そのようなモンスターの群れをバリスタや大砲、あるいは武器で迎え撃つ里守達。

司令役の者の一声で無数の砲口が火を噴き、空を舞う飛竜や鳥竜が撃墜されていく。

 

「我が一刀の元にひれ伏せ!いいいいいいいいやあああああッ!」

 

覇気に満ちた老爺の声が響き、遠くに見えるモンスターの群れが一瞬で吹き飛んだ。長きにわたり鍛え上げた力が、里を護るために振るわれているのだろう。

 

「安寧の焔は絶対に絶やさない!」

 

「俺達が里を…皆を守って見せる!」

 

「気焔、万ンン丈ゥッ!」

 

もちろん、数は少ないがハンター達もこの地に馳せ参じ、最前線で奮戦している。

 

だが耀真にとって最も印象的だったのは、この力と力の応酬ではない。倒れ伏す里守達だった。

 

ある者は頭から流血をし、ある者は手や足、あるいはその両方が吹き飛んでいる。誰だったのかが判別できないほど損壊した遺体もある。

 

「これが…戦場で散った人達なのかよ…」

 

そしてまた一人、耀真が見ている目の前で里守が倒れてしまう。

 

「がああっ⁉」

 

アオアシラに大剣を振るう里守が、背後からドスフロギィの体当たりを受けて、武器ごと弾き飛ばされてしまう。よほどの痛手だったのかうまく立つことが出来ず、このままでは餌食になってしまう。

 

「うっ…。はぁぁぁぁ…はぁぁぁぁ…」

 

目の前で失われようとしている命があるのに、手が震える。足がすくむ。歯がガチガチ鳴る。動悸が止まらない。

 

この世界にくる前は自分は剛力や俊敏性、あるいは様々な特殊能力を誇る様々な仮面ライダーに変身し、戦ってきた。

しかしそこで普通にいられたのは、自分が変身するライダー達の力が敵の怪人をゆうに上回るほど強く、また仲間たちは使命を持って戦う選ばれし者達だったから。故に彼女たちは強く、また戦いの後は爪痕は消え去るから。

 

だが、この世界はそんな御伽噺のようなご都合主義の罷り通らない世界。

正邪善悪、あらゆる主義信条の通じない剝き出しの野生と本能の世界。

大自然と人間が、お互いの生存のために戦う世界。

故に、目の前に広がる「元に戻らない命」を見るのに慣れていない。

 

更に「死」をもたらすモンスター達に対しても、耀真は恐怖が募る。

蘇るのはラージャンに手も足も出ずボコボコにされた時の記憶。コンティニューによる残機があるから死にはしないが、痛みは感じるし死ぬときの恐怖はなくなるわけではない。

そもそもドスランポスですら北海道の猛獣ヒグマなど話にならないほどの体格と凶暴性を誇るのに、同格かそれ以上のモンスター達が群れを成して押し寄せているのを見て、腰を抜かさない方がおかしい。

 

「…怖い」

 

けれど。

 

「救える命を…見捨てていいのかよ…⁉」

 

震える口で必死に紡ぎだす言葉で己を奮い立たせ、意を決した。

 

“ここで逃げたら、その後の自分は何者なんだ?”

 

「ハモンさん!ちょっと出ます!」

 

「何じゃと⁉」

 

「あああああああああああっ!」

 

耀真は恐怖をかき消すかのように絶叫し、負傷者の元を目指して駆け出す。

 

『HEN-SHIN』

 

『CHANGE KICK-HOPPER』

 

走りながらホッパーゼクターとゼクトバックルを取り出し起動させ、緑色の装甲を纏う戦士、仮面ライダーキックホッパーへと変身を遂げる。

 

「急げ!犠牲者が増える前に!」

 

床に臥すうちにブランクが開いた状態では体がいつもより重く、今まで通りに動きにくい。

 

『CLOCK UP』

 

「これ、借りますよ!」

 

すぐにクロックアップを発動。高速移動でアオアシラとドスフロギィに辿り着き、里守の落とした大剣を拾って、停止に近い時間の中で力の限り振るう。

 

「うおおおっ!この!このおっ!オラアッ!」

 

大剣並みに大きく重いライダーウェポンはあまりなく、取り回しに慣れないがそれでもパンチやキックと比べて対大型モンスター用としては適している。というか敵が怪人以上にデカい図体の2頭なら、ステゴロははっきり言って効率が悪い。でも溜め斬りなんてやった事ないからコツも掴めないので、ただ力任せに薙ぎ払いと斬り上げを繰り返すだけだ。

 

『CLOCK OVER』

 

「嘘!終わるの早すぎんだろっ⁉」

 

最も、ただでさえ変身を維持するのにもエネルギーが必要であるのに、そこからクロックアップも行うとなれば肉体には多大な負荷がかかる。戦闘のブランクがあれば尚更の話。

故にクロックアップが使える時間は短く、怯ませは出来たがその短時間で2頭を仕留めるのは無理だった。

 

「あ、あんたハンターか⁉でも里にそんな装備を着たのは…」

 

「んなこと後でいいですから!動けないんでしょ⁉拠点に連れてきます!」

 

「…すまん!」

 

アオアシラとドスフロギィの相手は無理と判断した耀真は、里守を背負ってベースキャンプへ走りだす。バリスタや大砲で迎撃する里守達は見知らぬ緑の鎧に驚愕するが、爪牙と弾丸や火薬、刃が飛び交う戦場で怪我人を運ぶその姿を見て救援を確信し、彼らに流れ弾が当たらないように援護を行う。

 

だが、百竜夜行はそんな甘い戦ではない。

 

援護射撃でどうにかアオアシラとドスフロギィは退けられたが、今度は前方から襲撃を受けてしまう。

 

「うおあっちい⁉」

 

目の前が頭上からの炎で燃え上がる。上を見れば、傘のような大きなトサカを持つ、鶴のような鳥竜がイャンクックのように火の玉を飛ばしていた。

 

「もういい、あんた十分よくやったよ!オレを降ろして逃げてくれ!このままじゃ共倒れしちまう!」

 

「嫌だ!手の届くところの命を—————

 

『RIDER JUMP』

 

諦めたくない!」

 

クロックアップは使えないが、まだ打つ手はある。

耀真は脚部のアンカージャッキを起動させ、怪我人を背負ったまま燃え上がる逃げ道を大ジャンプする。

 

「お、うおおおおおおっ⁉」

 

ひとっとびで元来た出入口に辿り着き、そのままハモン達の元に怪我人を連れていく事が出来た。

 

「…!!おぬし、何者⁉」

 

ハモンをはじめとする裏方の里守が色めき立ち、身構えるのを見て、耀真は開口一番に独断行動を謝罪する。

 

「勝手に出てごめんなさい!この人の治療お願いします!」

 

「なっ⁉その声…先程の!」

 

「ハモンさん、ナカゴさん!みんな構えを解いてくれ!この兄ちゃんのおかげで命拾いしたんだ!」

 

「う、うむ。承知した。救護班の元に連れていく!」

 

どうにか負傷者を一人助ける事は出来た。だがまだ百竜夜行は終わっておらず、それに対して今の自分ではクロックアップどころか変身の維持もそう長くない。助けられるのは、あと一人が限界か。

 

重い体を引きずり、砦の出入口を潜って戦局を見に行くが、モンスター達の様子がおかしい。

 

「逆方向に進んで…る?」

 

もしかしたら、と思った矢先に砦の奥から大きな声が聞こえてくる。

 

「大物を討伐したぞぉ!」

 

「里長!群れが逃げていきます!」

 

「よし!勝鬨をあげろ!」

 

…「「「「「「「鋭、鋭、応ッ!」」」」」」」…

 

勝鬨の掛け声が静寂を引き裂く。間違いない、百竜夜行の迎撃に成功したのだ。

 

「よ、よかった…。防衛は、成功したんだ…」

 

張り詰めた緊張の糸が解け、耀真は変身を解除してへたり込んだ。

全然戦った覚えはないのに、いつもよりも疲れがどっと来た感じがする。

 

 

 

***

 

 

 

里守達にしれっと紛れて里に帰還した翌朝。挨拶のために家から出ようとするが、重い空気を感じ取る。

 

「●●、■■、▲▲…。

 

此度の百竜夜行において奮戦し、命を落とされたアナタ方に謹んで惜別の言葉を述べます。

このような形で里に帰還することになり、哀しみが募るばかりです。

 

今日我々が享受している平穏が、里のため、家族のために殉じた方々の尊い犠牲の上に築かれたものであることを、我々は決して忘れません。

 

また、御遺族の皆様方には、決して癒える事なき深い悲しみに耐えながらも、炎の如く力強く生き抜かれ、里のために御尽力を賜りましたことに対し、深く敬意と感謝を表します。

 

残念ながら、里を守る戦いはまだ終わっておらず、平穏な日常が脅かされる状況が続いています。

 

アナタ方の分まで奮戦する事で、百竜夜行から里を守り抜き、次の世代に残さぬよう尽力し続ける事を御誓い申し上げます。

 

どうか安らかにお休みください。

 

里長フゲン」

 

フゲンと名乗る里のリーダーの元、今回の百竜夜行における戦没者達の合同葬が行われていた。

住民はかなりの数が集まっており、それだけこの里においてお互いの結束が強かったのだと認識させられる。

 

「…ッッ」

 

遠くからその様子を見ていた耀真は、ただただ顔を顰め、手を握り締める。

手を伸ばしても届かなかった命。愛するものを喪った、遺族の涙。

 

「人の死って…こんなに重いものだったんだ」

 

耀真は前世では、苦難や逆境に遭ってもめげずに戦う正義のヒーロー達の話を、創作上の英雄譚として楽しんでいた。

それからプリキュアの世界に転生して、あらゆる怪人とか怪人系ライダーとかの能力が使えるとかいうチート能力を手にして、色んなプリキュアと共に戦ってきたが…まぁスペックの暴力でほぼ死ぬような目には遭ってないし、激戦の末に使命を果たした者達は五体満足で普通の女の子としての日常に戻る事が出来た。

 

だが今、かつて見ていた「彼ら」に近い…いや、場合によってはそれ以上に過酷な立場に立っている。

 

「バンホー達と行動を共にしてた王国の姫様も…ある日突然あれみたいな目に遭ったらしいんだよな…」

 

過去スレで垂れ流された映像でも見たが…この世界の人々は、モンスターと人の熾烈な生存競争という理不尽な宿命を背負っている。脅威は、いつ、どこで襲ってくるかわからない。これが世界中で、ずっとずっと、ずうううっと続く。だから絶対的な安全地帯がない。

 

剣崎一真、火野映司、バイス、黒鋼スパナ…自分の貰った力の原典たちならば、こぼす事無く守り抜けたのかもしれない。

 

昨日変身したキックホッパーだって、矢車想ならもっと早く気付いて戦場に辿り着き、防衛戦で守り抜いたのかもしれない。

 

テレビで見ていた時には感じなかった、『憧れてた本物のヒーローみたいに出来るのか?』いや…違う。『自分には出来なかった』という思いがあった。

 

だが—————

 

「モンスターは怪人と違う。絶対的な悪じゃない」

 

モンスターは人と共にこの世界に生きる命であり、資源。故に非力な人間は自然と共に生きていかなくてはならず、当然その在り方を歪めてはならない。ましてやこの世界の理の外にある力(チート級と言ってもいい特典)を持つ自分なら尚更の話だ、そう易々と振るってはいい力じゃない。

 

「ダメだ…何もかもわかんねー…」

 

合同葬がお開きになって里の住民が商いや畑仕事などに戻る中、終わりなき下りのエスカレーターに乗るように、答えの出ない問いはどんどんマイナスな方へ進んでいく耀真。下を向いてずっと突っ立っている彼の姿を見れば、大丈夫かと不安に思う者も出てきた。

 

「おぉ、あんた—————」

 

「…ふぇ?」

 

「そこで立ってる、あんただよ兄ちゃん!」

 

前から、昨日助けた里守の男性が車いすに乗ってやってくる。隣には、ジンオウガやナルガクルガの素材で作られた、忍者のような軽装の防具を装備した男性。見たことのない外見なので、ギルドナイトみたいな特別なハンターなのだろうか。

 

砦からの撤収の際、男性のケガについて救護班から聞いた。彼はドスフロギィの攻撃で腰の脊椎を損傷、下半身の自由が奪われた。脊椎は一度ダメになると元に戻らない。一生モノのケガをしたという衝撃はとてつもないものなのは想像できる。だから如何なる誹りも覚悟していた。

 

だが—————

 

「助けてくれてありがとう!」

 

「…え?」

 

「聞いたよ。ドスフロギィに不意討ちされて、アオアシラにも挟まれてると思ったら、いつの間にかおぶってくれたって。アケノシルムの火球にもひるまず、ハモンさんのとこに連れてきてくれたって。こんなの普通の人にはできない事なんだよ。誇りを持っていい」

 

「でも、もう下半身が…他の里の人だって…」

 

「知ってる。でもモンスターにやられるのは仕方がない話だし、これが里に生まれた者の宿命。俺達は常に散る覚悟の上で防衛戦に臨んでいるのさ。

里長も言っていたろう?散った里守の皆さんのおかげで今があるのを忘れないって。これ以上引きずっちゃあ、その人たちも死んでも死にきれないんじゃないかな?」

 

「………」

 

「兄ちゃんよ。オレの命はあそこで終わるとこだった。でも、身体の自由を引き換えにこうして生きていられてる。

凶暴なモンスターに怖気ずに助けに来てくれた人をどうして責められる。感謝以外の言葉はないな」

 

「そうそう。俺の愛弟子達も君にありがとうって言ってたよ。すごいね、君!おそらく、いや絶対に—————」

 

「…すんません、これ以上はまた後日でいいですか」

 

視界がぼやけてきた。嗚咽を堪えながら話を遮る。

 

「わかった。今日はお休み」

 

察した2人に軽く会釈をし、踵を返して家に戻る。

 

その日、耀真は布団にくるまり、ひたすら泣いた。今までにないくらい涙を流した。

 

 

 

***

 

 

 

色んな感情を吐き出せるだけ吐き出して、いつの間にか泣き疲れて眠っていた耀真は、空腹を感じて起床する。しかし金もなければ食い物もない。

 

ダメ元で里の人に相談しようかと考えて早朝の外を練り歩く中、昨日出会った男性の一人が駆けつけてきた。

 

「やぁ、おはよう!昨日はよく眠れたかい?」

 

「あ、はい。気分もだいぶ落ち着いたかなと…」

 

「それはよかった。あ、まず自己紹介しなくちゃね。俺はウツシ。この里でハンター教官をしてるんだ。今日は君に昨日とは別件で用があってね」

 

「へ?何でしょうか…?」

 

「君は、モンスターが目の前にいても怖気ずに頑張って助けようとしたのを見て確信したよ。

 

君にはハンターの素質がある!どうだい⁉やってみないかい⁉

 

「え…え⁉」

 

熱烈な勧誘をしてくるウツシ。彼はあの時の行動から素質を見出したのだが、耀真にとっては『悲しみに打ちひしがれていても何も進まない』と言っているようにも感じられた。

 




キャラクター紹介
カゲロウ
CV:梅原裕一郎
顔を大きなお札で隠した謎多き竜人族の男性。このお札は事情があって取るわけにはいかないらしい。
かつてはハンターだったが「大いなる災い」により故郷を失い、重傷を負った状態でカムラの里に流れ着いた。その後里のギルドマネージャーの勧めで商人の道を歩み、今に至る。
すべてを失った自分を救ってくれたカムラの里への想いは強く、「第二の故郷」と呼ぶほど。
この過去ゆえに、百竜夜行によって第二の故郷が失われようとしていること、そして何より里の人々にかつての自分と同じ悲劇が降りかかろうとすることに「自分のような思いはしてほしくない」と義憤し、里への支援を精力的に行うことになる。
ライズの段階では設定の掘り下げがあまり進まなかったが、サンブレイクの後半アップデートで追加されたストーリーや公式設定資料集などにて真実が判明した。

ハモン
CV:麦人
里の鍛冶屋を営む老人。オトモ雇用窓口で活動している『イオリ』は彼の孫にあたる。ハンターの武具を生産・加工するだけでなく百竜夜行の戦場『翡葉の砦』の防衛設備や特殊なカラクリの製作にも携わっている。
かつてはライトボウガンを使うハンターであり、50年前の百竜夜行に乱入したマガイマガドとたった一人で戦い抜いたほどの腕を持っていた。
無愛想な職人気質でとっつきにくい印象があるが、実際にはイオリや主人公を大事に起こっているのが言葉の端々に滲んでおり、もちろん里を守りたいという思いも強い。感情表現が下手なだけなのである。
実はガルクが苦手であり、現役時代もフゲンやゴコクがガルクに乗る中、彼だけが走ってあとを追っていたらしい。イオリへの表面的な態度が厳しいのはこのことも関係している。
ただしこれは単に幼い頃に野良のガルクに噛みつかれた経験があるためで、ガルクそのものを忌み嫌っているわけではない。

ウツシ
CV:谷山紀章
何ごとにもやりすぎなレベルに全身全霊で熱血な、カムラの里における教官。忍者っぽい外見の通り諜報にも携わっている。あらゆる武器の扱いに長けているだけでなくモンスターの行動や生態から着想を得て各種鉄蟲糸技を考案したりと、とにかく狩猟における様々な「技」に精通しており、主人公にとっては狩猟のすべてを教えてくれた恩師。当然身体能力もバカみたいに高く、アナザーストーリーでは臼を船に、杵を櫂にして海を渡ったりしている。歴代教官に比べると若く、近くを通ると手を振って挨拶をしてくれるそしてそのまま素通りされて気の抜けた声を上げるなど、教官職らしからぬとても気さくで爽やかな性格で、ストーリーでの出番もかなり多いと、従来の教官キャラとはかなり毛色が異なる。主人公を「愛弟子」と特に可愛がり、チュートリアル等でアドバイスを送るなど何かと目をかけてくれる。
ストーリーズの派生作品であるソシャゲ『モンスターハンターライダーズ』にもコラボイベントで登場。このゲームの舞台『フェルジア大陸』は既存の武器の常識を大きく外れるどころか並行世界への移動や別世界の存在による侵略といった未曽有の事態が発生していた(ライダーズは星のドラゴンクエストと期間限定コラボをしていた)。よって当小説では独自設定として、この情報を里と交流のある都市から聞いた事でマルチバースの存在を薄々ながらも認識していることにした。

カムラの里のハンターは俺らという事で、現状名前は決めていません。
あと弔辞は自分は書いた事なんて無いので色んな文章を参考にして書き上げました。

ストーリーズ関連のプレイ経験は

  • MHST
  • MHST2
  • オトモンドロップ
  • ライダーズ
  • 2作品以上
  • ないです
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