Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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色々とフォントに挑戦中です。特に前から挿入してきたサンブレとライズの登場ムービーに力を入れてますが、おすすめなフォントがあったら気兼ねなくDMとかで教えてください


グリムリーパーは溶岩洞に潜む

「氷属性に弱いモンスターを狩りたい?」

 

ハロウィンが終わり、商店がブラックフライデーセールを開き始めたある日。耀真は総合クエスト受付窓口にてガイド娘のユニスに行きたいクエストの相談をしていた。

 

「はい。思いつく限りではドスランポスとかイャンクックとかがいますけど、もうちょっと強い感じのモンスターのクエストが欲しいんですが…」

 

「下位で受けられるクエストだと、これしか今は届いていないわ。ショウグンギザミ」

 

「へぇ、じゃあそれを…」

 

「けれど、これは少し特殊。よく読んで」

 

ユニスから渡された依頼書に記載されていた内容には、確かにショウグンギザミ1体の狩猟と書かれてある。だが狩場についての内容が少し特別だった。

 

「行先は…『溶岩洞』?こんなとこありましたっけ」

 

「知らなくて当然だと思う。ここは最近発見された場所で、まだどういう場所なのか分かっていない。

どんな環境なのか。どこのハンターズギルドが管轄するか。そういった理由のために、各地のギルドで調査依頼が出された」

 

「じゃあこの依頼では調査のためにショウグンギザミを狩ってほしい、って所ですかね」

 

「そう。受ける?」

 

「勿論!」

 

「分かったわ。ところでなぜ、氷属性に弱いモンスターを?」

 

「ああ、それはですね…。今日、工房に立ち寄った時に武器のテストに協力してほしいって言われたんですよ」

 

「?工房で何かあるのかしら?」

 

「はい、近いうちに各地の職人が集まって、各々の武具を見せ合う交流会が開催されるそうなんです。メゼポルタではクリスマスっぽいのを出すんだけど、テストが済んでなくて…」

 

「そう。テストをする武器が氷属性だから、という事だったのね」

 

「そういう事です。じゃ、行きますね!」

 

 

 

***

 

 

 

船で海を渡った距離にあるフィールド、溶岩洞。火山からの噴煙の影響か、空は黒っぽく染まっており、何となく不吉な印象を持つ。

 

「火山島、っていうもんなのかねぇ」

 

「名前に『溶岩』ってあるしな。まぁショウグンギザミを探す傍ら色々見て回るか」

 

支給品ボックスを確認してみると、応急薬などの定番ラインナップに加えてサシミウオが幾らか。メゼポルタでも裂傷の概念は認知されているのだろう。

 

「裂傷対策アイテムが2個しかねぇなー…。肉焼いとくか」

 

「生肉を剥ぎ取れるモンスターがいるといいんですけど、そんな都合よくいますでしょうか?」

 

「いーや、いるはずだね。基本的に肉食モンスターは草食種を食べるんだ、ここで大型モンスターの出現情報があるってんなら草食種もいるに違いない。ってなわけで、小型モンスターもどんなんがいるか調べながら進もうぜ」

 

 

 

***

 

 

 

ベースキャンプを出てすぐ先にあるエリア1ではズワロポスが幾らか草を食んでおり、それらを狩ってこんがり肉を作ってから耀真達は本格的に動き出す。

 

右側はマグマが冷え固まった黒い岩場で、典型的な火山地帯らしい。そして真正面の壁にはツタが伸びており、登って調べてみる事にした。

 

「うわぁ、こいつぁ以外な景観だぜ」

 

そこには石造りの段差が至る所にあった。かつてここにも人が住んでいたのだろう。

 

「んで、ここにもサブキャンプか」

 

耀真が指さす先には真新しい簡素なテント。ドンドルマかどこかのギルドが建てたのだろう。いざという時は頼りになるだろうが、如何せん立地が立地な故に翔蟲か何かがないと使いづらそうだ。

しかし、環境が複雑に変わった密林が今でもメゼポルタの管轄内に収まっているのを考えるとこちらも管轄内になる可能性もなくはないだろう。

 

「さて、寄り道はここまで。ショウグンギザミを探しに行こうか」

 

「ショウグンギザミって、別名に『蟹』の文字があるんですよね?水場にいそうですが…」

 

「ところがそうでもないんだよ。こいつは環境適応能力が高いのか、火山地帯にも出てくるんだ。それもアツアツの場所にもね」

 

「じゃあこのフィールド全般を探さないといけないですね…」

 

「そういう事になるね。しかも未知のエリアだ、絶対に別行動は禁止だかんね。特に祭我!」

 

「わ、わーってるって!」

 

 

 

***

 

 

 

密林、砂漠、沼地、森丘、潮島…今まで色々な狩場を巡ってきたが、溶岩洞はあまりにも複雑な立地をしている。今さっき、ツタを登った所にある最上部のエリアは、左側は廃墟なだけまだしも、右側はガブラスがちらほらいる程度で大型の餌となり得る小型モンスターは全くいないどころか草木もない。冷え切ってない溶岩が流れ続けており、いまだ火山活動が続いている証拠である。

 

「いくら適応力があるモンスターでも、肝心の餌がいない所に長居する理由はない。ここは外れだ」

 

崖下の方をよく見ると、広く開けたエリアが地続きで繋がっており、ウロコトルやリノプロスなど、火山地帯にいるような小型モンスターがよく見られた。

 

「ズワロポス、ウロコトル、リノプロス…。生息するモンスターはどれもドンドルマやタンジア、ロックラックの管轄域で見られるものばかりだ。メゼポルタでは専門外になるかもな」

 

「しかしまぁ、あそこに小型が生息してるってことは下の方が大型にとっても生息環境は良さそうか…。下のほうが複雑な道だろうが、道なりに進んで探し当てるしかない」

 

先に翔蟲を使って降下した耀真に続き、アキと一緒にロアに乗せてもらった祭我がエリア5に降り立つ。そして彼らを外敵と見なしたリノプロス達が一気に色めき立って襲い掛かってきた。

 

「元々テスト目的で来たんだし、一度試し斬りしてみっかね。こいつらは生肉も剝ぎ取れるしな」

 

「それもそうか」

 

そうして3人が抜刀した各々の武器というのは…何とも風変りなものだった。

先ず、祭我の方は先端が回転するクリスマスツリーを模したランス『メリクリート』。

耀真の方はガウシカの頭が靴下から顔を出したかのようなデザインのハンマー『ガウシカ・ウッド』。

そしてアキはソリを模した刀身と、それに乗ったガウシカの模型を付けた大剣『ガウシカラデン』を貸してもらった。

 

「ちゃんと武器として使える…んですよね?」

 

「ガチの武器職人が作ったんだ、心配すんなって」

 

早速3人はリノプロスの群れに突っ込んでいくが、中々に驚くべき事があった。

耀真のガウシカ・ウッドで打ち据えられた個体は突如、糸が切れたように目をつむって倒れ伏し、いびきをかき始めた。

祭我のメリクリートがある個体に突き刺さると、硬い甲殻を持つリノプロスなのに何やらその個体は苦しむように血を吐き始めた。

アキがガウシカラデンで一気に薙ぎ払うと、攻撃が当たった個体たちは体が痙攣して動けない。

 

「すげぇ、全部氷属性の他にも状態異常があるのか!」

 

「俺とアキ君の武器にはどこに麻痺とか睡眠のギミックが含まれてんのかわからんが、お前のランス、もしかしたらリオレイアとか…エスピナス?とかいう毒属性を持つ飛竜の甲殻をツリーに見立ててんじゃないのか?」

 

「あのおじさん、デザインにもこだわってるんですね」

 

「『おじさん』って君…いや、あの人子供から見たら十分おじさんか」

 

「何にせよ、氷に弱いショウグンギザミなら弱点と色んな状態異常のダブルパンチでボコボコにし放題だぜ!」

 

「どうかな。俺が調べた限り、状態異常の効き具合はそこまで良くないらしいぜ。お前のランスならまだしも、今回俺らが担いできた武器は手数自体がそこまであるわけじゃないし、罹ったらラッキー程度に考えておこうか」

 

「むぅ…」

 

 

 

***

 

 

 

東部の海岸沿いのエリアを道なりに歩いてもショウグンギザミは見つからず、一行は溶岩地帯へ進む。耀真と祭我はクーラードリンクを飲むが、アキの方はオトモン達と一緒に何かの粉を頭から振りかけている。

 

「おい、暑さは大丈夫なのか?クーラーを渡してもいいけど…」

 

「大丈夫ですよ、サイガさん。これは『クーラーミスト』って言うアイテムです。ヒンヤリダケを砕くだけで作れるので、素材さえ見つけれれば簡単に教えれますよ」

 

「そういう暑さ対策もあるのか。羨ましいな」

 

そうして吹き抜けの天井から溶岩が流れ落ちる北東部のエリア14まで行ったところ、耀真は黒く光り輝く何かを発見する。

 

「これは…ダイミョウザザミを狩った時に見たことあるぞ。ヤド真珠だ…!」

 

「ホントだな。つまりヤツがここに立ち寄った痕跡ってことか?でも入れ違いかもしれねーし、そもそもこのフィールドが複雑だからどこまで参考に出来んのかね…っと?」

 

腕を組んで考え込む祭我だが、隣でフゴフゴと鼻をひくつかせるモエに気がつく。彼女はそのまま辺りを見回した後、一つの方向を凝視して佇む。

 

「おいお前ら!こいつ、何かに気づいたかも知れないぜ?」

 

「…まぁ、手がかり無しよりはマシか。そっちの方面へ行くとしよう」

 

そうしてアキを乗せ、本能のままに歩くモエに導かれた先にあったのは、滝のように流れ落ちる溶岩と、どこからともなく湧き出でて流れる多量の水が対照的なエリア。水場に関係のあるモンスターが出てきてもおかしくなさそうな所で、耀真達はある物を見つけた。

 

「あ、あれ見てください皆さん!モエはこれを感じ取ったんですよ!」

 

アキが指差した先にはロアルドロスの死骸があった。背後からやられたかのようにタテガミの後部にある刺し傷にも似たような傷痕は、竜種の持つ一般的な爪や牙とは違う物でやられたというのを想起させる。死骸は出来て真新しいのか分解が進んでおらず、腐肉食者のウロコトルが群がって屍肉に嘴を突っ込み、大きなご馳走にありついている。

 

「クンクン…ブゴッ」

 

「だ、ダメだよ!これは手がかりになるんだから!」

 

死骸を間近にして鼻をひくつかせるモエも加わろうとするが、アキに制止されてしまう。

 

「悪いねモエちゃん。ここにどんなモンスターが居たかっていうのをギルドに言わないといけないんだ、素材を剥ぎ取らせておくれよ。

しかし…深々と突き刺さったこの刺し傷。十中八九、ショウグンギザミとの争いに負けたんだろう。地図によれば、このエリアは今まで歩いてきた溶岩地帯と水場の境目にある。溶岩地帯は俺達が見た限りいなかった、つまり水場にいる可能性が高い」

 

「見失わない内に探し当てないとな。モンスターは待ってくれないぜ!」

 

そうして適当に鱗や海綿質の皮を剥ぎ取った一行は、豊富な水を湛えた洞窟へ進むのだった。

 

 

 

***

 

 

 

仕留めた先に あるはずのもの

 

それは打ち負かしたものの骸ではなく

 

変わり身となって 捨て去られし鎧

 

ふたたび 新たなる的を見つけたならば

 

捨ておくことなど 考え及ぶはずもなく

 

纏う鎧を変え 繰られる刃は苛烈さを増す

 

対峙すれば命で贖う以外 術はない

 

《一閃必死》

 

 

 

***

 

 

 

ロアルドロスの死骸があったエリア11から始まる水場は、道が2つに分かれているのでいずれの道も巡回しなければならない分手間がかかる。しかし、モエがエリア8に続く右側の道を迷わず選んで進み始めた。死骸を嗅いだ時に何かを感じ取り、それを頼りにして歩いているのだろう。その先にはショウグンギザミがいると確信した耀真達はモエについていく形で進み、洞窟地帯を抜けた先にあったエリア6。大きく吹き抜け天井で上層と繋がる水場にそれはいた。

 

背負ったグラビモスの頭骨、長く細い両腕と鋭角な形状の頭部、そして青黒い体色。いずれもダイミョウザザミとは何かと対照的な特徴を持つ甲殻種。これが『鎌蟹』ショウグンギザミである。

 

「ワッハッハ!今俺を見たな?これでお前とも縁が出来た!」

 

爪や触角の手入れをしていたショウグンギザミは祭我の声で背後を振り向く。元来攻撃的な外見に対して大人しい性格の為のんびりと様子を窺っていたが、メリクリートでの突きを喰らった事で一行を明確に敵と認識。両腕を振り上げて攻撃の意思を示した。

 

「あれ?そこまで鋭い爪…じゃなさそうですが」

 

「キレたら爪を展開するんだよ。それも裂傷を起こすほど鋭いものをね」

 

ショウグンギザミは最初に上から右腕を振り下ろしてくる。大振りの攻撃なので避けれたが、腕は地面に深々と突き刺さった。平常時でこれ程までの鋭利さを持つ腕ならば悠長に様子見をしていられない。

 

「狙いやすく、部位破壊するとアドが大きく稼げるヤドを狙うか」

 

そうして耀真はインパクトバーストでガウシカ・ウッドに鉄蟲糸を巻きつかせてから殴り、アキも彼に追従する形でヤドをガウシカラデンで攻撃する。耀真が横目でアキの様子を見るが、斬撃は打撃程攻撃が通ってないように見える。

 

「弾かれるほどじゃないが、打撃じゃないと手応えは良くなさそうだな」

 

「じゃあ僕はサイガさんと一緒に正面に立った方がいいでしょうか?」

 

「いや、君は基本的に後ろに張り付いておいてほしい。ガード出来る武器種とはいえ正面だと攻撃が集中しやすくなる。君はオトモン達への指示もしなくちゃいけないからたいへんになるぜ。

…ああそれと、先発のオトモンもエリアスちゃんに変えておこうか。コイツは水属性の攻撃が出来るし、操る雷属性は第一弱点だ。彼女を選ばない理由はないよ」

 

「…そういえばそうですね!お願い、エリアス!」

 

モエと交代して前線に出たエリアスは、早速雷ブレスを飛ばす。フルフルと違って麻痺は狙えないがそれでもダメージは期待できるだろう。

実際、これは氷属性のクリスマス武器よりも中々に堪えたらしく、ショウグンギザミは蟹特有の横歩きで急速に距離を詰めて右腕で刈り取るように引っ掻いてきた。

 

「あ、待てコラ」

 

「隙が出来ましたね!」

 

自分達への注意が削がれると、隙が生まれる。ショウグンギザミがエリアスに攻撃を仕掛ける間に3人がヤドへ集中砲火を行い、表面にヒビが入り始めた。

 

「ジャアアアアアア—————ッ!!!」

 

ヤドが壊れては最大の弱点を晒しかねない。身の危険を感じて怒ったショウグンギザミは口から泡を噴き出し、両腕を振り上げて威嚇する。その先端は折り畳まれていた爪が展開されていた。

 

「ギャガガガギギィッ!」

 

ショウグンギザミが両腕を広げ、周辺を回転しながら薙ぎ払う。祭我とアキは何とかギリギリでガードしたが、ガード手段を持たない耀真は勢いで吹き飛ばされ、エリアスの胴体には裂傷がついてしまう。

 

「傷を治さないと!えーと、こんがり肉!」

 

エリアスの裂傷状態を治すため、一旦ショウグンギザミから離れたアキがポーチを探ってこんがり肉をエリアスの口に投げたが、それを咀嚼しても彼女の裂傷が塞がらなかった。同じく裂傷に効果のあるサシミウオ、何なら動物が好む生肉を与えても何も変化がない。

 

「ど、どうしよう…。これじゃ傷が塞がらないよ…」

 

「だったらこいつでどうだ!オラアッ!」

 

祭我と共に引き続きショウグンギザミの相手をしている耀真が、何か黄色い液体の入った瓶を、エリアスの傷口目掛けて投げつける。当たった衝撃で瓶が割れ、中身が溢れ出て傷口を覆うと、そこから流れ続ける血が止まり、みるみるうちに裂傷が塞がっていく。

 

「…ふぅっ。活力剤を調合しておいてよかったぜ」

 

「えっ…一体どういう事でしょう?」

 

「そいつは自然治癒力を高める薬で、サシミウオや肉と同じく裂傷対策に使える。人間より体躯のデカいオトモンの裂傷を治す手段は小さい肉程度では無理かもと思って用意してたのさ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「だが過信しないでくれ。これは調合素材が結構貴重だからあまり持ってきていない。気を付けて立ち回るんだ!」

 

「すいません!」

 

オトモンは体躯が優れている分、攻撃に当たりやすい。それが堅牢な甲殻や鱗を持たない者であるならば尚更気を付けなければならない。部位破壊よりもパーティの損害を出来るだけ減らす方が重要であると認識した耀真は、ショウグンギザミの注意を惹く事を第一として回避の余裕が出来る程度に攻撃のペースを下げて引き続きヤドを殴っていく。

 

ショウグンギザミの目は当然前方についているので、一見すれば耀真は安全に攻撃していけるようだが、そうは問屋が卸さない。

 

—————バクン。

 

正面に立った祭我に集中して攻撃していたショウグンギザミの動きがいきなり止まったかと思えば、背中を耀真の方に向けたまま脚を踏ん張り、身体を持ち上げる事で頭骨の顎にあたる部分が開いた。

 

「あっ…これは確か!」

 

開いた頭骨の顎から高圧の水流が放たれた。朧気な記憶を頼りに危険を察知して取った回避行動が功を奏し、どうにか耀真は被弾しなかった。それでも広範囲の斬撃といい、背後へのブレスといい、このモンスターには死角がない。

 

「あ?いきなり後ろ歩きで距離を取ったと思えば…うわやっべ!」

 

「おぶえっ⁉ちょ、範囲広すぎ!てか最後にクロスするんかい!」

 

今度は、一度背中の耀真を後ろ歩きで強引に引き離してから、ラリアットのように両腕を横に大きく広げて突進してきた。しかも一度にたくさんの草木を刈り取るように、最後に両腕を交差して切り裂こうとした。頑強な盾がある祭我ならまだしも、回避するしかない耀真は突進を避けさえすればいいと思っていたので、緊急回避で跳んだ先で斬撃にあたってしまい、裂傷になってしまう。

 

「おめぇこの野郎!ぜやあっ!」

 

一方祭我は仲間が痛手を受けたことでより熱くなり、突進が終わった時に口に狙いを定めてカウンター突きをお見舞いする。前方は祭我、後方は耀真の挟撃には流石のショウグンギザミも怯んでしまい、隙が生まれた。

 

「お返しじゃい!鉄蟲糸がついたこいつは痛いぜ!」

 

「おらおらぁ!突き!突き!突き!」

 

僅かなチャンスを逃す理由はない。祭我が顔面に突きを繰り返す傍ら、活力剤で手短に裂傷を治した耀真は力を溜めてインパクトクレーターをヤドに当てた。この渾身の一撃でヤドは完全に破壊され、衝撃でショウグンギザミの体勢が大きく崩れ、最大の弱点である背中がむき出しになる。

 

「ジギギィッ!」

 

ジャカジャカジャカジャカッ!

 

だがそこから体勢を立て直したショウグンギザミは地面に爪を突き刺し、そこを軸に回転する事で2人を吹き飛ばして距離を取る。今度は両腕を広げる事も突進する事もない。その代わり、突如両腕の爪を研ぐように打ち鳴らしてきた。

 

「いてて…。あやべ、これ間に合うか…?」

 

耀真と祭我の記憶が正しければ、この次に大きく跳躍して爪を叩きつけ、大ダメージと共に裂傷も引き起こす筈。吹き飛ばされて体勢を崩された状態では、自分一人なら翔蟲受け身でどうにかなるが、祭我の方は流石に厳しい。

 

「急げ祭我!早く立ち上がってガードを!」

 

「クソ!間に合うか…なっ⁉」

 

祭我は急いでガードの構えに入るが、その時には既にショウグンギザミは高く跳躍していた。そこから急襲されると思ったが、ショウグンギザミの顔面に何かがぶつかり、そのせいで転倒したように落下してきた。

 

「いっけぇ!エレキブレス!」

 

「ゴガアアッ!」

 

転倒しているショウグンギザミをよく見ると、顔面から僅かな電気とともに煙が立ち昇っている。自分達の後ろからエリアスが雷ブレスを飛ばしてきていたのだ。弱点属性のこれを意識外から受ければダウンするのも納得できる。

 

「僕らも何もしないわけにはいかないんで!」

 

「ナイス!じゃあ俺ももっと頑張んねえとな!そらよ!」

 

耀真が猟具生物カゴの中から取り出したクモのような生物が吐き出した糸が、放物線を描いてショウグンギザミに当たり、瞬く間に糸まみれになってしまった。

 

「うぉ、マジか!教官の言ってた通り一発で操竜待機状態だ!」

 

「おお、こいつぁ寄り道してた甲斐があったな!」

 

その環境生物は『クグツチグモ』。獲物や外敵と遭遇した際は腹部から強い粘着性のある糸を吐き出し、動きを封じてしまうという。この糸は大型モンスターですら一時的に動けなくなるほどの強度を誇る点に着目したウツシは、回収したクグツチグモを大型モンスターに嗾けると操竜を狙えるということを他のハンター達に教えたのだ。

 

「言うことを聞きやがれ!」

 

ショウグンギザミの背中に飛び乗り、絡まった糸と鉄蟲糸を手繰り寄せた耀真がショウグンギザミを傀儡の如く操る。今回は他に大型モンスターがいないので壁にぶつかるしかない。

 

「続く限り痛手を負わせてやるぜ…っとぉっ⁉」

 

3度目の突進離脱で岩壁にぶつかった時、糸が限界だったのか背中から振り落とされた耀真は驚くべき光景を目の当たりにした。

 

ドパアッ!

 

ぶつかった場所から大量の水が噴き出してショウグンギザミがずぶ濡れになる。勢いも中々であり、突進離脱のダメージも相まって結構なダメージを稼げただろう。なぜならそれは突進離脱の衝撃で転倒したショウグンギザミが口から噴き出す青紫色の血、すなわち瀕死のサインが証明しているからだ。

 

「おうお前ら、ヤツが動けねぇ今のうちにぶちかましちまいな!」

 

「あの時の裂傷、ここで倍にして返してやるっ!ライドオン、ラギアクルス!」

 

アキを乗せたエリアスが自分のボディプレスで起こした津波の中に突っ込み、そのままショウグンギザミを中心として旋回するように泳ぎ始めた。

 

「ギギ、シギャアア…」

 

起き上がったショウグンギザミは体を傾け、ヤドを引きずるようにして逃げようとするがもう遅い。水場の底が露わになる程巨大で深き渦潮と化した津波に包囲され、逃げ場が無くなったからだ。そして渦潮の最上部から飛び出たエリアスはそれに狙いをつけ、空中で電力をチャージする。

 

「『キングストローム』!」

 

真上から帯電を極限まで増幅させたエリアスの、紺碧の雷ブレスが撃ち込まれた。着弾と同時に崩壊する渦潮。ショウグンギザミは雷撃の爆発と共に大量の水の中に沈み、時間が経って水が引いた時には、力が抜けたように崩れ落ちたショウグンギザミの姿があった。

 




ギザミの武具って昔から結構重宝されてたんじゃないですかね。グギグギグテンプレとかドヒキサキとか、カイザミとか。本編の募集キャラに2人もギザミシリーズ着用ハンターがいたのも、防具が当時優秀だったから使ってた思い出があったからかもしれません。何ならラノベでもめっちゃ使われてましたしね。
あ、流石にサンブレの最終環境には武器も防具も取り残されたと思います。

モンハン派生作品の関連曲で真っ先に思いつくのは?

  • 『ふぁいっ!』
  • 『パノラマ』
  • 『僕ら今日も生きている』
  • 『From Now!』
  • 『Make It Out Alive』
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