Monster Hunter Reincarnation 作:scp-114514
俺こと耀真と祭我は沼地…もといクルプティオス湿地帯に赴き、バサルモスの狩猟を行っている。まぁ俺は一旦離脱しているんだけどね。
んで、何をしてるのかと言うと…
「せいっ!」
沼地の別エリアにいたリオレイアに向かって翔蟲を飛ばし、胴体を踏み台にして跳ぶ鉄蟲糸技『飛翔蹴り』、そこから派生する練気を使っての上段斬り『気刃兜割』を繰り出した。
「グゥアアアゥッ⁉」
俺は鉄蟲糸が体に絡みついて動けないリオレイアに糸を手繰り寄せて飛び乗り、ペイントの臭気がするエリア4に向かう。
「待たせたな!」
「おう、こっちは腹が破壊出来たぜ!体も赤熱化してる、攻撃のチャンスだ!」
好都合だ。俺はリオレイアを操ってブレスを連発させ、バサルモスを火だるまにする。腹が破壊されている状態では、コイツは火属性も有効になるのだ。
「毒ガス出してくるんだよな。ならサマーソルトをさせるより確実に攻撃を当てる方がいいか」
それからは突進や噛みつきで追撃を当て、バサルモスが大きく体勢を崩して転倒した隙に操竜大技を繰り出していく。
「ゴアアアッ!」
リオレイアが二連続でサマーソルトを繰り出した。毒状態はオマケだろうが、これでかなり削れたはずだ。
「っしゃ!これで決める!」
リオレイアの背中から降りた俺よりも先に、祭我がイニティキャノンの砲口をバサルモスの腹に向けていた。その先端からは青白い火が発生し始めている。
バァン!
最大の弱点である部位破壊された腹に竜撃砲が炸裂し、バサルモスは力尽きた。
「討伐成功。倒せる飛竜種も順当に増えていってるな」
「HRも2に上がったし、上位のHR3も遠くないぜ!」
「さ、そっちに転がってる尻尾を剥ぎ取ったら帰るぞ。リオレイアも徘徊しているんだしな」
***
沼地からメゼポルタに帰還して1週間が過ぎた日。工房に注文していたレイアシリーズを受け取る祭我に同行する。俺も太刀をこないだ注文していたのだ。
鉄火場で武具の生産・強化をしているのはいつもの事だが、離れた場所にある机で一部の職人が何やら紙に書きながら色々と話し合っている。遠くて良く見えないが…。
「「すいませーん、武具を受け取りに来ましたー」」
「ん?ああ、お前らか。丁度いいや。武具は後で渡すからさ、ちょっと話がある」
祭我の声に反応して来たセントさんに机のところまで連れられた俺達は、意外な面々に出会った。
「あれ、そこにいるのって…ハモンさんですか?」
「…うむ、久しいな」
メゼポルタ武具工房の職人やギルド職員のメフィラス氏に加え、カムラの里の武具職人、ハモンさん。ついでにアキ君もいるけど…隣に座ってる人達は知らないな。一体何のことやら。
「お、今俺を見たな!これでアンタらとも縁が出来た!」
「ん…?」
「ひょひょひょ、久々に活きの良い若人が来たのう」
「む?う、うむ…」
「で、耀真。この人知ってんのか?」
「カムラの里の職人さんだよ。隣にいる人達は知らんけど…。ハモンさん、遠路はるばるどうしてここに来たんですか?」
「『破龍砲』という迎撃設備を設計しているのだ。ドンドルマには『巨龍砲』というものがあるのを知っているか。あれほどの火力を誇るものがあれば、百竜夜行にて大物に痛手を与えられる。里の防衛において大きな戦力となるだろう。できるだけ火力をそのままに、大きさを翡葉の砦に設置出来るような程度に縮小したものを開発すべく外の者達と話し合っているのだ」
「うぉぉ、すげー便利そうだぜ!」
「でも、俺達が話に呼ばれたってことは少し問題みたいなのが出てきたんでしょうかね?」
「察しが良いな、ヨウマ。開発について話を進めた所、里の依頼では必要な素材が全て集まらぬ事が判明した。遠方にいる里の縁者の伝手でどうにかなるものもあったが、一部はそうもいかぬのでな。そこで白羽の矢が立ったおぬしらに依頼するのも兼ねて、この地で話し合う機会を設けたのだ」
「そうだったんですね。それでその素材ってのは…」
「『鎧竜』グラビモスの素材だ。火炎袋は熱エネルギーを『溜め込む』性質が強く、リオレウスやアケノシルムなどが持つ、熱エネルギーを『生み出す』性質の火炎袋と併用させる事で、砲撃は従来の迎撃設備を凌駕する威力を実現できる。そして甲殻は堅牢にして高い耐熱性を誇るが故、破龍砲が放つ膨大な熱量の砲撃にも砲身が耐えきれるのだ」
バサルモスの素材ではこれが不可能だったのでな、とハモンさんが付け加えて説明を済ませる。確かに幼体であるアイツは甲殻の発達が未熟なのが想像つくし、ブレスが不発に終わったりもするから火炎袋の質もイマイチ信用できないと思うね。
「なら、グラビモスを狩ればいいですかね?リオレイアとかバサルモスとかショウグンギザミとかが狩れた俺らなら何とかなりますよ」
「であればよかったのだがな。間の悪い事に、メゼポルタを含むこの辺り一帯のギルドでは今、グラビモスの依頼は亜種個体しかないそうだ。今のおぬしらなら受注自体は可能らしいのだがな…」
ハモンさんの歯切れが悪くなる。理由は分かる、グラビモスは通常種でも普通に強いからだ。特にその防御力は巨体故の生命力も相まって特筆すべきものだ。これが亜種になると甲殻の強度はとんでもないものになり、熱線も強化される。
俺はいざとなればタジャドルみたいな火に強そうなのとか、ポセイドンみたいな水っぽいライダーに変身するっていう手があるが…祭我は変身ツールを失ったためそういう手段が取れない。まぁ、並の怪人より体躯も膂力もありそうな奴らにナーフ食らったスペックでどんぐらい戦えるのかが信用できないから、本当はハンターという定石に従って戦う方が都合がいいと思うんだがな…。
そもそも、百竜夜行はいつ起きてもおかしくない。それに備えて早く帰らないといけないだろうから、ハモンさんにとっちゃ急ぎの用だ。割と失敗出来ないが、かといって通常種の依頼が出てくるのを待つのも如何なものだし…。
「そういうわけで、今回はギルドから助っ人を紹介させて頂きました。どうぞ」
メフィラス氏に促される形で、赤く鮮やかな服を纏う長身の男性が椅子から立ってこちらに向く。年齢は俺達よりも年上で30代辺りみたい。羽根飾りがあしらわれた鍔広帽。肩回りが膨らんだ八分丈の白いシャツ、その上に纏う真っ赤なベスト。黒い布のズボンに革の編み上げブーツ。洒落た格好が彼に似合っていた。
「クルトアイズだ。短い間だがよろしく頼む」
「はい、こちらこそ。しかし、もしかしてその恰好…ギルドナイトを務めてるんですか?」
「あのすいません、そもそもギルドナイトって何ですか?」
後ろからアキ君が話に入り込んでくる。そういえば本来、ライダーはハンターとは縁がないからギルドナイトについても知らなくてもおかしくないよな。
「一言で言うならば、俺達は『ギルドから一際高い信頼を受けたハンター』だ。ギルドから任務として狩りを任されたり、治安を守るために犯罪の取り締まりをすることもある」
「じゃあ…おじさん達はそれくらい強いハンターさん達なんですね」
「…………おじさん……」
「ただ狩りの実力が高いだけじゃないぞ。新種のモンスターの目撃情報が出たら、そいつがどんなヤツなのか、どんくらいの危険性なのか。予想も出来ない状況で狩場に調査へ赴くんだ。当然、弱点だって不確かな情報を頼りに探すんだぜ?こんなの、並のハンターでは出来ないよ」
「要するに、腕っぷしだけじゃなく人柄とか色んなものを見て、ギルドから『この人に任せれば安心!』って信頼されるほどの人なんだぜ!」
俺と祭我が補足説明をアキ君にする。ギルドナイトの存在を褒めちぎった内容に「聞いていられない」とばかりにクルトアイズさんは鍔広帽を深々と被り、顔を隠した。でも最初、彼のおじさん呼ばわりに若干動揺をしていたのは見なかったことにしよう。
「補足説明感謝しますよ2人とも。相手が下位個体とはいえグラビモス亜種、それも素材がカムラの里の防衛に必要となる以上時間はかけられません。本来はクルトアイズさんに任された話ではありましたが、私が掛け合った結果、彼を同行させる形でお二人に依頼を受けてもらう事にしました」
「ギルドナイトは任務としてクエストを受けて狩りに行くんだろ。そのクエストに一般のハンターを関与させるってコトは…」
「ギルドは俺達を評価してくれてるスか⁉」
「そう捉えてくれて構わん。君達は成長ペースこそメゼポルタでは並だが、フットワークの軽さに秀でている。そこのライダーの少年を交えての立ち回りも出来る。変則的なカタチの狩猟が普通に出来るというのは、防衛線など見ず知らずのハンターたちと組んでの戦闘の際には非常にありがたい。
有事の際にそつなく動ける見込みがあるか。他にも色々な評価もあるが…それらを今回の狩りを通して一考させてもらう」
「うわー、凄いです。僕らもいつかそれくらいになりたいなぁ…」
「ライダーの強さはハンターの強さと同じに語れないし、ライダーに詳しい者がギルドにいない。そもそもライダーに下位も上位もないそうだから難しいが…まぁ、考えておく。その時まで鍛えておくことだな」
「はい、鍛えておきます。
…今気づいたんですけど、そこのお爺さんってどなたですか?ドスフロギィっていうモンスターの防具に似てる服装なのでハンターさんだと思うんですけど…」
そういえば忘れてた。背丈の低いこのお爺さん、さっきまで話に入ってこなかったよな。
「ひょひょ、これはフロギィシリーズではなく『レザーライトSシリーズ』というものじゃ。レザーシリーズに取って代わられ、今は流通しておらんものでの。
それはそうとして…ようやくじゃの~う、若人たちよ。元気にやっとるかね~」
イェーイ、と椅子から立ち上がりVサインをするお爺さん。
「え、あ、はい…」
と返すのが精一杯の俺とアキ君は反対に…
「イェーイ!」
とVサインで返す祭我。割と話合いそうだな、この二人。
「さて、自己紹介がまだじゃったな。ワシの事は謎のじいさんと呼んでくれて構わんぞい」
「謎の…ですか?」
「そうじゃ。ドンドルマに住んどる、ちょっと金持ちで親切でナイスな、のぅ。あちこちを飛び回っては村の支援をやっとるんじゃよ」
「事実、テロス密林に近いジャンボ村の拡張にもこの方は多大な貢献をしてきましたからね」
メフィラス氏の補足を含めた説明に感心していると「ワシ、偉いじゃろ?褒めろ褒めろ」と大げさに胸を反らす。開けっ広げで悪意がないのか、嫌味には感じられない。
「じゃが、勿論道楽の目的ではない。例えば今回、カムラの里にワシがなぜ目をつけたのか想像できるかの?」
「うーん…高度なたたら製鉄技術とかでしょうか?交易商人のロンディーネさんからとても有名だって聞いた事あります」
「後は、交通の要衝とかだったり?」
「2人とも正解じゃ!特にたたら製鉄のおかげで武具は更なる発展を遂げたと聞いておる。であるなら、百竜夜行が起きるかの地は何としてでも守らねば多大な損害がでるぞい。じゃからワシは、今回の破龍砲開発の件のように資金や資源その他諸々を融通する事で、百竜夜行の防衛と真相究明に力を貸す事にしたのじゃ」
「…すげぇ!一層、頑張らないとな!」
「ああ。そうだな!」
「…さて。こちら側の自己紹介はこれでいいだろう。相手は危険なモンスターだ、素材が必要だけなく周辺への被害も抑えたいから早めに狩っておきたい。すぐに出られるか?」
「もちろんです。でもその前に装備を整えておかないと。今回作ってもらった太刀にしようかな。水属性があるし」
「あ、俺も注文したレイアシリーズに装飾品入れないと!武器は…イニティキャノンでいいか」
祭我がわざと大仰に喋る。代表的な飛竜であるリオレイアを倒した証を、どれだけ楽しみにしていたのかを伝えたかったのだろう。
「じゃあ、詳しい事は後でだな。しっかり見させてもらうぜ」
クルトアイズさんはギルドナイトフェザーを被り直しながら涼し気にそう言って、一足先に工房を後にしたのだった。
登場人物
今回はノベル版からです
・クルトアイズ
氷上慧一氏の執筆したノベル版第二弾『魂を継ぐ者』に登場したヘビィボウガン使いのハンター。ジャンボ村にて、村長の計らいで主人公キオの師匠を務めた。元々は双剣を使っていたが、腕の筋を切るケガを負った事で一時は引退に追い込まれるも必死の努力によってガンナーに転向した過去を持つ。
性格は少々キザで皮肉屋。しかし実力やハンターとしての誇りは非常に高い。
始めはキオの弟子入りに乗り気ではなかったが、彼の抱える苦悩を理解した事で徐々に師弟関係は本格化。その後ドスガレオスの狩猟の際にキオを庇って負傷、療養の為にジャンボ村を離れた(この時キオに合格を言い渡した)。そしてリハビリをしている時にスカウトを受けてギルドナイトになり、以降はドンドルマを中心に活動している。
イャンクック砲などイャンクックの素材を使った装備を好むが相手に合わせて装備を切り替える柔軟さを持つ。
コミカライズ版を含めれば、その後の同氏による作品の第三弾『疾風の翼』、第四弾『閃光の狩人』、ショートストーリー『EPISODE novel』、および柄本和昭氏の執筆した第五弾『蒼天の証』にも登場という破格の待遇を受けている。
・謎のじいさん
クルトアイズ同様、『魂を継ぐ者』が初登場のキャラクター。ハンマーのテッケンにレザーSシリーズという非常に趣味性の強い装備に身を包み、自らを『謎のじいさん』と名乗る。イタズラ好きで掴みどころのない好々爺だが、実はかつてハンターをしていた頃に成した巨万の富を持つ、ドンドルマの資産家。現在はこれらを使って発展途上の村や各地のハンター達の支援を積極的に行っている。クルトアイズほどではないが以降のシリーズにも度々登場し、各作品のメインキャラクター達を強力にバックアップしてくれる心強い存在。さすがに年によりハンマーの腕前を見ることは出来なくなったが、今でも培った知識や経験を垣間見せることがある。
ノベル版モンハンって知ってる?
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そうだよ(肯定)
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知らねーよ、そんなの(辛辣)