Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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Q.節分もバレンタインももう終わってんだよ!
A.ビジュアルが何となく気に入ってる武器を出したかっただけです


節分と言えば…

遺群嶺でのグラビモス亜種の狩猟を終えた耀真達は、龍識船内の研究所で報告を済ませた後、報酬と素材を持ってメゼポルタに空路で帰還した。

 

「火炎袋に黒鎧竜の甲殻…。うむ、確かに。これだけあれば破龍砲が作れるだろう」

 

「また何かあったら言ってください」

 

そう言って工房を後にした耀真と祭我の元に、クルトアイズがやってくる。

 

「どうやら、防衛設備の為の素材は足りたらしいな」

 

「ええ。クエストがあまりない中で急ぎの依頼でしたので、本当に良かったです。

…どうかしたんですか、クルトアイズさん?」

 

「俺はこれからドンドルマに戻るんだが…ギルドマスター方が君達の事を呼んでいたんだ。用がないなら早く行ってみるといい。じゃあな」

 

 

 

***

 

 

 

「クルトアイズさんから言われて来ましたぜ、マスター!」

 

「うむ…サイガとヨウマか。グラビモス亜種の狩猟、聞いておるぞ」

 

「ありがとうございます。それで、話って…」

 

「特に複雑なものではない。そなたらの昇格試験が決まったのじゃ」

 

「昇格試験って…上位への⁉」

 

「うむ。ここメゼポルタでは、『棘竜』(いばらりゅう)エスピナスの狩猟が上位昇格の為の緊急クエストとなっておる。これを達成できれば、晴れてHR3…上位への昇格となるのじゃ」

 

「エスピナス、ですか…」

 

それは新参者の耀真達もその名を知っているほど、メゼポルタでは知名度の高いモンスターだ。

『樹海の主』という異名の通り樹海に生息するモンスターの中でもとりわけ高い戦闘能力を持つ飛竜。麻痺毒と出血毒を含んだ火炎ブレスを吐く…と。

 

「まぁ発見から随分と経つモンスターだし、情報も豊富だから大丈夫だろ」

 

「それでも、太古の樹海で古龍との生存競争に打ち勝ったともいわれる種じゃからな。試験はいつでも行える、万全を期してから狩猟に向かうのじゃぞ」

 

 

 

***

 

 

 

「「昇格試験かぁ…」」

 

マイハウスに戻った二人は、エスピナスの狩猟にあたっての対策について話しながら夕飯の為に食材屋で買い物をしている。

 

「なぁ耀真、エスピナスの弱点属性って何だったっけ?」

 

「氷、次点で龍、水と言われてる。ちょうど、俺らは正月のクエストに行った時の報酬で作ったものが氷属性を持つからそれでいいかもな」

 

「なんだ、特に大きな準備は必要なさそうだぜ」

 

「まぁ、毒と麻痺と火を一気に使うだけじゃなく、防御面も防御面だから過信は禁物だが…」

 

耀真の言う事は間違いではない。エスピナスの硬い甲殻は生半可な切れ味の武器を弾き、属性攻撃も通りが悪いからだ。攻撃を通りやすくさせるには、怒らせて血流を増加させる事で甲殻の強度を低下させるしかない。

 

「まぁ、今日はクエストから帰ったばっかだし、飛行船での移動も疲れたし。暫くは休まないと」

 

 

 

***

 

 

 

龍識船でメゼポルタに帰還した翌日。遅い朝食を食べた後にクエストを探すべくメゼポルタ広場に出てみると、いくつか屋台が出ており、何やら賑やかな雰囲気を醸し出している。

 

「何だ?何かイベントでもあるのか…?」

 

「とりあえず近くに行ってみようぜ。…お、アキじゃねえか!」

 

「あ、お久しぶりですヨウマさん、サイガさん。今は節分にちなんだイベントが開かれてるんです」

 

それは2人が元居た日本で馴染みのあるイベントだ。確かに正月の後にくるから、こないだ正月を迎えたのならば次は節分が来るというのも納得がいく。

 

「で、今食ってる飯もそれにちなんだもんか」

 

「そうなんです。縁起がいいからって、イワシとか豆の料理が出てるんですよ。ちなみに僕ははじけイワシのフライと、ミックスビーンズのスープを買いました」

 

「へー、じゃあ折角だから後で俺らも何か買うかな」

 

「それと、お正月の時みたいになんかクエストが期間限定で貼り出されてましたね」

 

「節分にまつわるクエストねぇ…。見るだけ見てみるか。じゃあな」

 

 

 

***

 

 

 

「『雪鬼獣(せっきじゅう)』ゴシャハギ?」

 

「そう。メゼポルタでは狩れないモンスターよ」

 

クエストカウンターにて今回の期間限定クエストを確認しに行った耀真と祭我は、ガイド娘のユニスから知らないモンスターの狩猟クエストを紹介された。

 

「節分は鬼に豆をぶつける事で邪気を追い払い、無病息災を願う行事と言われているわ。鬼らしい外見を持つゴシャハギの狩猟クエストはうってつけ」

 

「成程ねぇ。で、ゴシャハギってどういうモンスターなんすか?」

 

「氷結袋を持つモンスターなのだけれど、単純にブレスをするだけじゃなくて両腕に氷塊を纏わせて武器として使う事も出来るそうなの」

 

「…ん?その口ぶりからするに、元々メゼポルタでは狩られてなかったモンスターですかね?」

 

「ええ。『寒冷群島』というメゼポルタの管轄外である遠方の狩場に生息しているモンスターだから、ゴシャハギを知るハンターさん達はほとんどいなかった。でも今回は節分にちなんで、捕獲された個体を闘技場で狩猟するのを特別に許可されたの」

 

「へぇ…折角だし受けてみるか、耀真?」

 

「いや待てよ。確かにここじゃ珍しいモンスターだけどさ、仮にこいつの素材から武器を作ったとして、それの強化に必要な素材を集めるのが今後大変になるんじゃないのか?そもそもここで狩る事のないモンスターなんだから素材を扱ってすらくれないかもしれないし」

 

「あっ…」

 

「それなら心配に及ばない。ヨウマさんの言う通り、確かにここではゴシャハギの素材を扱わないけれど、ギルドは寒冷地の拠点の設置・改装を行う予定があるの。ゴシャハギの素材はそれにうってつけだから、今回は特別に素材を相場より高めに買い取ったり、他の素材と交換してくれる。これはハンターにとってもギルドにとっても利のある話よ。

まぁ、任意だから交換をせずにそのまま持っているコレクターのハンターさんもいたわね」

 

「おお、そいつぁありがてぇな!受けない理由は無いんじゃねぇのか?」

 

「まぁ、そこまでしてくれるなら確かにそうだな…。一応、武器を揃えてから改めて受注しよう」

 

「そうと決まりゃあ武具工房に直行だぜ!」

 

 

 

***

 

 

 

「ふーん、ゴシャハギ、ねぇ…」

 

武具工房に向かった耀真と祭我は、セントから渡されたカタログを見てどの武器を注文するかを考えている。

 

「体験クエストみたいなもんらしいですよ。ギルドから弱点属性を聞かされてるんで、火属性武器を作ろうと思ってるんスがねぇ…」

 

「リオレウスはギルドから指定されてないから狩ってないし、ヴォルガノスもHR2の緊急クエストで狩ったアビオルグも、素材はあんまし集まんなかったんですよ…」

 

「まぁ、グラビモス亜種の素材があるんだろ。それで作ってやるよ。えーと、確かここら辺のページにあったっけ…」

 

そう言ってカタログを取ったセントが見せたのは、ハンマーとランス。それぞれ『黒鎧鎚』『黒槍グラビモス』という名前のものだった。

特に目を惹いたのは黒鎧鎚の方。何せこれは普通のハンマーよりも途轍もなく柄が長い。

 

「このハンマーは極長の特殊リーチ武器だ。高い位置にある頭や部位破壊を狙えるのは魅力的だぜ?どっちも強さは保証するが、どうする?」

 

「うーん…今後他にも使うかもしれないし、今のうちにいろんな特殊リーチ武器に慣れておいて損はないんで、それ作ってください」

 

「俺も火属性武器欲しいんで黒槍グラビモスをお願いしまーす!」

 

「了解!」

 

そうして素材と金をセントに渡した後、2人は工房の奥からやって来たハモンと目が合う。

背中に荷物を背負っており、これからカムラの里に帰るという事が伺える。

 

「あ、ハモンさん。俺達、今度はゴシャハギの狩猟に行くんですよ」

 

「ほう。ゴシャハギを狩りに、か」

 

「こっちじゃ狩る事のないモンスターなんで、ぶっつけ本番みたいなもんですがね」

 

「ふむ。情報があまりない別地域のモンスター、か…」

 

耀真の言葉を聞いたハモンは、何かを思い出したかのように2人に向き直って口を開く。

 

「ワシが経験したのではなく、里のハンターから聞いた話なのだがな。ゴシャハギは前脚を使った重い一撃が得意だったそうだ」

 

「前脚…ユニスさんの言ってた通り、腕に氷塊を纏って戦う時は要注意だな」

 

「む、そこは聞いたのだな。かのハンターの話によればそれには続きがある」

 

「「マジで⁉」」

 

「腕に氷塊を鈍器や刃物のような形状にして纏った時、攻撃を受けて気絶してしまうとゴシャハギは重い一撃を繰り出してこようとしてきたそうだ。だが、腕の氷塊を壊すと体勢を大きく崩したとも言っていた。つまり腕に纏う氷塊はヤツの武器であり、弱点でもある」

 

「モンスターの情報ありがとうございます、ハモンさん」

 

「うむ。ワシはこれから里に帰るが…余裕があればいつでも来い。『猛き炎』達にもよろしくな」

 

やはり、直に狩猟したことのある経験者からの情報と言うのは有益である。それが見知った間柄の者ならばとりわけだ。

 

 

 

***

 

 

 

()げろ

 遁げろや鬼が来る

 

 

深雪(みゆき)が奥より

 鬼が来る

 

 

息衝き(いきづき)

 包丁こしらえて

 

 

どこじゃ

 どこじゃと

 獲物を探す

 

 

あなや

 迂闊

 雪鬼暴戻(せっきぼうれい)

 

 

《荒切りの凶猛》

 

 

 

***

 

 

 

後日。注文して出来た武器を担いで、2人はメゼポルタから少し離れた闘技場に向かった。手始めにアイテムボックスの中身を見渡した後、軽く今回の立ち回りについて話していく。

 

「おい見ろよ耀真。応急薬とか砥石とかはともかく、爆弾に粉塵、罠もたくさんあるぜ。火炎弾も4人分くらい入ってる」

 

「ここのハンターにとっちゃ、ゴシャハギは初見のモンスターなんだ。狩り慣れてないヤツが相手のイベントクエストなら、体験程度の難易度にするのが妥当と思うがね」

 

「それもそうか。とりあえず支給用のシビレ罠と落とし穴、生命の粉塵は山分けしようぜ」

 

「支給用だから持ってきた分と被らないのはありがたいな。さて、ゴシャハギについてだが…」

 

「情報があまりないんだろ?通常時と怒り時、それぞれどういう動きをするか様子見をしてから本格的に戦闘をするしかないか?」

 

「大まかなスタイルは確かにそうなるんだが…」

 

「あ?他に何かあるのか?」

 

「色々言われてた『重い一撃』ってのが気にかかったもんでな。恐らくそれが攻略のカギとなり得る。だから様子見は特にその点にフォーカスするべきだな。

それと、俺は今回持ってきた武器の取り回しは初めてだ。いつもの通りで振るっても、長すぎるリーチが仇になるかもしれない。しくじったらすまん」

 

「…まぁスリンガーがあるから何とか埋め合わせてやるよ。じゃ、行こうぜ!」

 

 

 

***

 

 

 

「ほぅ、これは確かに鬼らしい…」

 

「いやぁ、あの毛むくじゃらな上半身…どっちかっていうとなまはげじゃね?」

 

ベースキャンプを出発し、逃げ場のないメインエリアにて耀真と祭我を出迎えたのは、巨躯の牙獣だった。

威圧的な強面、鋭い鉤爪、丸太のように太く強靭そうな四肢。それらの要素がそのモンスターから、『鬼』を彷彿とさせる。

 

「ゴギョォォォォ—————ウ!」

 

野太い咆哮をした牙獣…ゴシャハギが頭突きをするかのように少し屈んで突進してきた。これはジャブ程度の攻撃なのか、やり過ごすのはとても簡単だった。

 

「二足歩行で突進、か。そんなことしてくる牙獣種なんて記憶にないな…」

 

今度は、両手で間髪入れずに2連続で引っ掻いてきた。ゴシャハギにとってはこれも軽い攻撃なのだろうが、鋭い鉤爪の生えた剛腕でこんなものを受ければ常人の命はないだろう。

 

「ああいう風に連続で引っ掻き攻撃をするのも他にはなかったな。アオアシラとかは体を捻った時の勢いでやってるし、ババコンガは連続で繰り出したら転倒してしまうし…」

 

「足腰がしっかりしてるのかね?」

 

「かもな。両腕に氷塊を纏うと上半身はその分重くなる。それを支えるために下半身も屈強になるんじゃねーの?とりあえずこっちも攻撃するぞ!」

 

「おう!いくぜ、黒槍グラビモス!」

 

そしてゴシャハギは足元に張り付いて本格的に攻撃を始めた耀真と祭我を明確な敵と認識、2人にその剛腕を振るいながら襲い掛かる。

 

「ゴヴォアッ!」

 

ドォン!

 

「うぉ、地面を叩くように拳で殴ってきた…。こんな牙獣はいなかったな」

 

「やっぱり…なんつーの、こいつは既存の在り方にとらわれないタイプだぜ」

 

アオアシラに近い体型であるが、より発達したその前脚は行動の幅を広げている。この独自性が生み出した戦闘能力が、現地の頂点捕食者になる事を可能にしたのかもしれない。

 

「さて…罠を仕掛けるとするか」

 

「あ?初っ端からやるのか?」

 

「極長リーチの扱いを直に掴みたいんでね。そら、こっちへ来いよ!」

 

耀真は設置したシビレ罠にゴシャハギがかかるのを見て、黒鎧鎚を抜刀。頭を狙ってスタンプを繰り出したが…鎚頭が当たったのは背中だった。

 

「長蒼刀【鎌将軍】の時もそうだったけど…普通のリーチの武器と同じ感覚で振るうにはコツが要るな!」

 

「だな。しかも【鎌将軍】よりも長いからより一層、っつうハナシだぜ」

 

「うーん、大体このくらいの距離を取って殴れば当たるみたいだな。後は翔蟲を使わない状態でどのくらいの高さの部位を狙えるかを…あっ、距離を取っておこう」

 

「そうだな。もっかい様子見に徹しとこ」

 

「ガグゥアアアアアッ!」

 

シビレ罠の拘束から抜け出したゴシャハギが2人へ飛びかかってくる。大方ボディプレスでもやってくるんだろうと踏んで散開したが、直後の行動は彼等の想像の斜め上だった。

 

「あれ…?」

 

「こんなに高く長くジャンプする必要あるか…?なっ!」

 

ドガガガガンッ!

 

「「遠距離から岩盤砕き⁉」」

 

跳躍したゴシャハギの着地点は耀真達の遥か後ろ。そして着地時に両腕を勢いよく地面へ叩きつけ、砕かれた岩盤と共に衝撃が一直線に襲い掛かった。ゴシャハギは確かに2人を狙って跳躍したが、それはボディプレスを繰り出すためではなかったのだ。

 

「おわあっ⁉こいつは中々に…!」

 

回避行動を取った直後に背後からの急襲を受けて宙に吹き飛んだ耀真は、大急ぎで翔蟲受け身を取り、戦線にいち早く復帰する。

 

「うわ、俺の吹き飛んだところ目掛けて殴ってた…。翔蟲様様だ」

 

「それを持ってない俺はガードを崩されないようにしないと…ん?」

 

携帯食料でスタミナを増やしてからガードの姿勢を取り続ける祭我は、ゴシャハギの動きから何かに気付いたようだ。

 

「どうかしたか祭我?」

 

「ああいや、何回か攻撃を見てきたんだがよ…ゴシャハギって、攻撃を繰り出す前は大振りの動きをするし、直後には大きな隙を見せる気がしてな」

 

「行動の前には明確な前兆が見られる、か…」

 

重い一撃とその前後にある大きな隙。大体の動きのコンセプトは理解できた、後は被弾を減らす立ち回りだ。

 

「…そういえば今の今までこいつ、氷塊を腕に纏ってないな」

 

「キレた時の行動だったりしてな。どういう動きをするかを見定めるためにも、もうちょい積極的に攻撃していくか!」

 

動向に注意しながら、隙を突いて攻撃をしていく2人。グラビモス亜種から作られた武器による攻撃はそれなりに効果的なのか、力を溜めて振るう攻撃を与えればゴシャハギは時折苦しんでいるような声を漏らす。

 

「ゴヴォオオオッ!」

 

そして耀真が右打ちの一本足打法で黒鎧鎚を振りぬいて殴りつけると、ゴシャハギは怒りの咆哮を轟かせる。

 

「頭や腕が赤くなった?まるで赤鬼だな!」

 

「本気を出してくるぞ、動きが違うかもしれないから気をつけろよ祭我!」

 

「おう!」

 

ゴシャハギは距離を取ってから縦横に太い冷気のブレスを吐いた後、本気と言える行動を繰り出していく。

 

「おい、今さっきの行動…!」

 

「ああ、腕に冷気を吹き付けて氷塊を纏わせた!」

 

刃状の氷塊を腕に纏ったゴシャハギが高速で耀真と祭我に詰め寄り、両腕の刃を叩きつけてきた。

 

「うぐっ…!」

 

「おい祭我、大丈夫か!」

 

「何とか…。でも結構ガードを削られる!」

 

「なら、一先ず納刀して様子見するぞ!幸い、コイツの動きは今も大振りみたいだから避けやすいはずだ!」

 

その場から納刀し、急いで耀真の所に合流した祭我。応急薬で削られた体力を回復して怒り状態のゴシャハギを様子見しているが、叩きつけた氷塊は鋭くて逆に地面に食い込んでしまっている。

 

「引き抜くのに手間がかかってるな。その点からしてもあの氷塊は弱点か」

 

「でも隙を生み出すのが攻撃の直後だからなぁ。やっぱ俺はガード主体でアイツに張り付いて攻撃するしかねーよ」

 

「となると、削り分は俺がケアする必要があるな。生命の粉塵を使う、必要と感じた時はいつでも言ってくれ」

 

「おう、そん時は頼むぜ!って、これは…!」

 

今度は、ゴシャハギは両腕を振り上げて氷塊の破片を飛ばしてきた。見る限りではそれほどダメージは大きくなさそうだが、数が多すぎて近寄りたくても妨害されてしまう。

 

「でも、俺にはこれがあるんだぜっと!」

 

力を溜めた耀真がダッシュブレイカーで勢いをつけて一気に詰め寄り、腕の氷塊を殴りつける。より自由に動くことを可能にする翔蟲ならば、モンスターから距離を取っていても攻撃を掻い潜って逆にこちらが攻撃をする事も不可能ではないのだ。

 

「さ、ら、にぃっ!」

 

足元にいる獲物を叩き切ろうとするゴシャハギ。耀真は今度は鉄蟲回転攻撃で斜め上へその場から脱出し、黒鎧鎚の極長リーチを活かして頭を殴りつけた。

 

「隙と事前動作が把握できてる。回避性能と翔蟲もあるから、何の問題もねぇのさ!!」

 

優勢を確信した耀真は一旦離れて力を溜めて隙を伺うが、ゴシャハギは驚くべき行動を取った。

 

「ああ⁉双剣の真似でもやってるつもりかオイ⁉」

 

遠心力を活かした連続の引っ掻き攻撃は他の牙獣でも行う事がある。だが今のゴシャハギは刃によって重さとリーチが増加しているため、それをされると回避が難しい。回避性能が発動するククボシリーズを着ている耀真は回避に自信があったが、連続の斬撃を避けきれずに吹き飛んでしまった。

 

「ま、まずい…。翔蟲受け身で…ガアッ⁉」

 

鉄蟲糸を飛ばしてその場から離脱しようとするも、ゴシャハギが叩きつけてきた氷の刃の餌食になってしまう。

 

ズッ…ズッ…

 

連続で被弾したことで気絶してしまった耀真の元へ、氷の刃を引き摺りながらジリジリと歩いて距離を縮めてくるゴシャハギ。それは哀れ動けぬ獲物に死を想像させる時間を与えてくるようだ。

 

「ヴゥオォゥッ!」

 

そしてゴシャハギが耀真めがけて思い切り氷の刃を振りかぶったとき—————

 

「させるかぁっ!でぇいっ!」

 

祭我がクラッチクローでゴシャハギの顔面にしがみつき、スリンガー装填弾を全弾発射。ゴシャハギはショックで闘技場の壁にぶつかる。

 

「生命の粉塵も撒いといたぞ、まだやれるか⁉」

 

「す、すまん…。こっちはまだいけるぞ!」

 

「気にすんな!そうと決まりゃ今のうちに追い打ちをかけようぜ!」

 

ぶつかった壁までの道のりが遠く、すでに起き上がってしまったところだったがどうにか追いつき、氷の刃を攻撃する2人。右腕を集中して狙うことで氷が剥がれ落ち、その反動でゴシャハギがダウンした。

 

「こんなチャンス、2度とねえぞ!」

 

「ああ、ここで討伐するつもりで削りきる!」

 

狙うは殆どのモンスターが弱点とする頭部。黒鎧鎚を振るう耀真が繰り出したインパクトクレーターがゴシャハギの角を叩き割り—————

 

「だらぁぁぁぁぁっ!」

 

祭我が渾身の力で黒槍グラビモスを眉間に突き立てたとき、のたうち回るゴシャハギは嘘のように動かなくなった。

 

「ハーッハッハッハ!ぁ鬼、討ち取ったりぃ~!てな」

 

「極長リーチの体感は…うーん何とも言えん。もっと色々狩らないといけないか」

 

「しかしこいつ、割と早めの幕切れだったな?ティガレックスやディアブロスと同格の危険度と聞いてたんだが」

 

「捕獲した個体だから多少は弱体化してたんじゃねえのか?そもそも下位とは言え強いモンスターをお楽しみ感覚で出すのは…いやメゼポルタならあり得るかも」

 

「まぁなんにせよ、これで報酬金もゲットだな!素材もギルドで高く買ってくれるし、これで財布が潤うぜ!」

 

「…そうだな。上位装備を整えていくには今以上に金がかかるし、今のうちに金を貯めとかねえと」




ドラコはゴシャハギにまつわるエピソードのあるのにここじゃ影がクッソ薄かったからこれを機に出そうかなと思ったんですが、執筆進めても彼を出す理由が見つからなくてそのまんまでした。彼はメゼポルタで活動してない身だし、逆に耀真と祭我も余程の理由がない限りメゼポルタの管轄外である寒冷群島にわざわざ行く理由がないし…。

ノベル版モンハンって知ってる?

  • そうだよ(肯定)
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