Monster Hunter Reincarnation 作:scp-114514
かの地は そのものが密やかに
同化し 深く漂う場所
気付くことなく 安住に障りしものあれば
やがて知ることになろう
それが命で贖わねばならぬ過ちということを
***
節分もバレンタインデーも特にこれと言ったものが起こらずに過ぎ去ったある日。俺達は万全の準備を整えて、エスピナスが潜むバデュバトム樹海に来ていた。
さて、今回担いできた武器についてだが…俺は
とりあえず、千里眼の薬を飲んで、と…。
「ん、むむ…。エリア7に大型モンスターがいるな。エスピナスが寝てると考えていいだろう」
「他のハンター達が言ってた通りだな。ちなみに他のモンスターの気配はどうよ?」
「いや、まったく気配がない。モンスターはその1匹だけだ。今回のターゲットであるエスピナスがいるだろうな」
「なんだ、そうなのか。お前の鉄蟲糸で操竜が出来たらそれはそれでよかったんだけど」
大抵のハンターはモンスターの乱入に対して対処法をほとんど持ってないから、もし他のモンスターがうろついてたらたまったもんじゃない。こういう試験の場ではギルドが徹底的に管理して乱入を防いでいるのかもな。
そもそも、このメゼポルタでは翔蟲を使ってる連中は全くいない。俺だけが操竜で乱入モンスターを自分の力に出来るんだよ。
「さて、野良モンスターのいない今回のクエストだが…一直線でエスピナスの方に向かうんじゃなくて寄り道していこうかなと思ってる」
「ほう?そいつぁやっぱり、環境生物がお目当てか?」
「そうだ。実際に採取して使うだけじゃなく、どこにどういうのが棲息しているのかを把握しておけば今後の狩りが有利になるぜ。
ただ…今回のエスピナスに限っては気を付けておくべき事がある」
「あ?どういう事だ?」
「メゼポルタで情報収集してた時、他のハンターが口を揃えて言ってたんだ。
“エスピナスは眠ってるときは攻撃が全く通らない、だから睡眠属性武器は絶対に使うな”と。
ウツシ教官から『ネムリガスガエル』っていう睡眠ガスを撒く環境生物を教えてもらったんだが、コイツは拾うだけ無駄だ」
「成程な。それで、他には?エスピナスそのものに対する注意について色々あるだろ。俺もそれなりに情報仕入れたけどよ」
「キレた時が本番で身体能力が高まり、毒火炎ブレスを使う。しかも体表のトゲからも毒が分泌されるから肉弾攻撃に巻き込まれると毒にもなる…。とにかく毒関連の情報が多かった」
「俺もそんなんだ。でも麻痺になった時に追撃を受ける方がヤバいと思ったんでな、今回はブレスを受け切れるためにもガード性能を高めている。それと残ったスロットで毒は無効化してあるが…麻痺は無効化出来なかった」
「こっちは回避性能を1から2にしたぐらいだ。スロットと耐性を考えたらこうする方が得策だろう。搦め手に対する対策があまりできてないが、当たらなければどうってことはない。
でも念のために…毒対策が完璧なお前にこれを渡しておく」
そう言って俺がポーチから出して祭我に渡したのは、袋に入った粉。生命の粉塵じゃねーぞ?
「お、おう…。ありがたく受け取っとくが、なんだこれ?」
「『漢方の粉塵』っつーアイテムだ。不死虫と漢方薬を調合して作れるもんでな、里にいた時にカゲロウさんから教えてもらったんだよ。これがあると簡単にパーティ全体の毒状態を解除できる」
「そうか、お前の解毒が間に合わない時はコイツを使ってくれ、ってハナシね。了解したぜ」
ま、打ち合わせはこんなんかな。とりあえず各エリアを巡りに行こうか。
***
樹海ってのはよ、川とか湖といった水場が多い。だからそこを好むような環境生物がいた。両生類のガスガエルと泥玉コロガシ、それにミズタマリゴケがあったが、それだけじゃない。
「こいつは…いいものを拾ったぜ」
そう言って俺が猟具生物カゴに入れて覗き込んでいるのは、緑色の大きなカタツムリと、頭部が大きく発達した蛇。どちらも教官からとても便利な猟具生物と教わったんだ。
「そいつらは何だ?」
「まぁ、必要になった時に説明する。帰ったらこいつらがいたってこともギルドに報告しておくか…」
「メゼポルタのハンター達は環境生物をあまり使わないと聞くし、これでもっと樹海の狩りが便利になるんじゃないか?」
まーそうやって探索をひとしきり済ませ、エスピナスが寝てるであろうエリア7に入っていくが…
「ハッハッハッハ!これでお前とも—————」
「ブゥゥゥゥ…ブゥゥ…」
エリア7にいたのは、緑色の外殻と全身に生えた硬く鋭く毒々しい赤い棘、鼻先に角のようにそびえる特に大きな棘が特徴の飛竜、
「うーむ、随分と気が長い奴だぜ。いや、これが圧倒的強者の余裕ってものか」
頑強な甲殻とトゲで守りを固める事で、外敵が諦めるのを待つってのがコイツの基本的な生存戦略だしな。
「じゃ、アレいくか?」
「おう。最初からクライマックスだぜ!ハッハッハ!」
そう言って俺がこのエリアに持ってきた大タル爆弾Gをエスピナスの頭に設置したのを確認した祭我が、カドマツガンランスの砲口をエスピナスに向け、竜撃砲の準備をする。が、それだけではない。
チャリン。
銃身を横に軽く振って砲弾を装填すると、砲口に先程以上の熱量が急速に集約されていく。
「さぁ、『爆竜轟砲』を受けてみやがれ!」
ズガァアアアン!
祭我が撃ったのは、チャージ中に砲弾を追加する事で威力を強めた竜撃砲。その名も『爆竜轟砲』だ。追加した砲弾の数が多いほど切れ味を大きく消費するが、勿論その分ダメージは増える。爆弾と併せての大爆発は流石にエスピナスにも効くだろう。
「ブゥゥゥ…」
が、これでもエスピナスは起きない。まだそこまで痛くないのかな?
「おかしーなー、痛手だと思ったのに…」
「まぁ、もっと攻撃与えなきゃならないのは確実だな。お前は爆竜轟砲で切れ味結構消費したからこの隙に研いでおけ。俺がやる。あ、ペイントボールも…」
そう言って尻尾に回り込んだ俺が練気の為にも桜花鉄蟲気刃斬を当て、斬撃が全てヒットするとようやくエスピナスが起きた。
「ワッハッハハッハ!今俺を見たな?これでお前とも縁が出来た!」
起きたばかりで頭が働いてないのか、立ち上がったエスピナスはあまり動かない。とりあえず引き続き攻撃していく。
「バアアア———オオオオ———ンッ!」
咆哮したエスピナスは甲殻と翼膜の一部が赤く染まり、口から毒素の混じった吐息を漏らし始める。意外と早くキレた…のかな?というかガチでうるせー、咆哮【大】じゃないか!
「音圧で土煙が上がる程だとはな…。あでっ!う、受け身…」
咆哮で動けない所に尻尾のスイングかよ。こすいまねをしてくるぜ…!
「でも、攻撃が通ってる証拠だ。こっからが本番だぜ!」
「おおともよ!」
俺達を明確に外敵と認めたエスピナスは、縄張りを荒らした不届きもの目掛けて猛進。高速で迫りくる巨体は、さながらフルスピードで走る大型トラックだ。この重量と膂力に巻き込まれれば常人は跳ね飛ばされて即死してもおかしくない。
「だが、回避すれば…」「ガードできりゃあ!」
「「どうってこたぁねーっての!」」
俺は横に回避し、祭我はガードでエスピナスの突進をやり過ごすが、エスピナスも壁際まで突進を終えると再び2人の方向へクイックターン。ガードならまだしも、巨体故に半端な回避では巻き込まれてしまうだろう。
というかまた続けて突進⁉いやまぁ毒と麻痺にさせるブレスよりマシだけど…。
「振り向きざまに攻撃して横に回避するっていう戦法が通じにくいな。リオレイアとかよりもやりづらい」
「おい耀真、さっきから突進ばっかしてくるけど大丈夫か?」
「回避性能を1から2にしてるから問題はないけど…まー動き回られたら攻撃しづらいよな。
…おし、じゃあ閃光玉使ってみますかねぇ!」
突進を終えて俺達の方に顔を向けた瞬間、俺の投げた閃光玉が炸裂してエスピナスの視界を奪う。さて、暴れなければいいんだが…
「ヒュアア!ヒュアア!」
…前方へタックルをしたり、噛みついている。見る限り後方が比較的安定かな?
あっ、でも回転攻撃はしてくると厄介かも…。まぁ攻撃しないわけにはいかないな!
「おし、今のうちに!」
「ああ!」
多少は暴れる以上尻尾の付け根辺りにいると狙いやすいと判断して、そこに陣取って上段斬りや突きを繰り出して地道に攻撃していく。閃光玉の効果が切れる頃になっても流石に切断は出来なかったが、部位破壊を大きく進められたはずだ。
「いつかそのぶっとい尻尾を斬り落としてやるぜ!…ってぇ、ウっ⁉ブオッフェッッ‼」
「おい、大丈夫!…カッ、ア“ッ、エ“エ”エ“ッ⁉」
視力が回復したエスピナスが早々にバックジャンプして、俺達のいるところに瞬時にブレスを放ってきた。まずいな…。深追いし過ぎてしまって対処が遅れた。麻痺状態での追撃はキツイって。
「ヴッ、グゴッ…早く何とかしねえと…!」
不幸中の幸いか、エスピナスはその場から飛翔し、洞窟の天井にある穴を潜って外に出ていった。エリア移動だ。
「ふぅ…。ようやく麻痺が解けたぜ。早速漢方の粉塵で…」
「待て。やる事がある」
俺が祭我を手で制し、顎で遠くを指す。そりゃあ俺の分を解毒してくれるのは嬉しいんだけどな…。
「ガァッ!」「ギャアッ!」
俺が指した先にいるのはイーオスの群れ。と言ってもエスピナスの突進やブレスに巻き込まれたことでここにいる群れの頭数は最初来た時よりか結構減ってるが、こいつらを片付けておかないと安心して立て直しが出来ない。
「まずは残党狩りが先じゃないかね?」
「あー…確かに」
それに、俺にとっちゃあ練気を溜めるチャンスでもあるしな。
***
あれからイーオスを掃討して立て直した後、エスピナスにつけたペイントの匂いを辿って俺達はエリア4に移動した。エリア7と違ってそれなりに開けた所だから壁にぶつかってそのままハメられる心配は無いんだが…怒り状態での突進はマジでキツイ。
「うわ、アプトノスを押しのけてこっちに突進してきたぜ。圧巻だなぁ」
「あぶねー攻撃してくるなー…。ディアブロスかよ」
「そいつに加えて状態異常のブレスをしてくるんだからなぁ…」
でも、こいつを倒さなけりゃ上位ハンターになれないんだ、へこたれてる場合じゃねーぜ!
「…よし、連続突進が終わった。今のうちに!」
俺はエスピナスの足元に駆け込み、猟具生物カゴの中から赤褐色のカエルを取り出して設置した。これでよし、と…「おい耀真、エスピナスエスピナス!」
え?
「おわっとおっ⁉」
いきなりエスピナスが後方へ退いた直後、頭を大きく振り上げて一際大きいトゲで俺をぶっ飛ばしやがった。
「やっべ、受け身を取らないと…あれ?なんか調子悪いな。ブレスを受けたわけでもないのに…」
「さっきのトゲだろ!エスピナスはトゲにも毒を持つって自分で言ってたじゃないか!」
「しまった!とりあえず、解毒をしとかないと。くっそぉ、ボムガスガエルの効果が出たのに…」
設置した『ボムガスガエル』の吐いた爆発性のガスに巻き込まれてエスピナスが転倒したが、こっちもこっちで回復をしないといけない。折角作れたチャンスなのに攻撃できないのはヤダなぁ…。
「まぁいいさ。俺にはこれがあるんだからな!」
そう言って猟具生物カゴから取り出したのは、2匹の環境生物。カタツムリの『アメフリツブリ』と、蛇の『ロクロッヘビ』。前者は回復作用のある液体を霧状に散布させ、後者はあらゆる毒に対応する解毒液を放出する。しかも予防効果付きでな。
え?ならもっと前にロクロッヘビを使っとけよって?効き目には制限時間があるから使いどころを慎重に選んでたんだよ…。
「お?なんか霧みたいのが…?」
「説明は後でやる!そいつを浴びとくと色々いい事があるぞ!あとこいつも使っとくか!」
更に泥玉コロガシの団子を投げつけてエスピナスを水属性やられにし、肉質を軟化させる。
「オラアッ!フルバーストォ!」
先に攻撃していた祭我がエスピナスの頭部にカドマツガンランスを叩きつけ、そこからフルバーストをかまして角のように大きなトゲを破壊してみせた。
「部位破壊ってのは体力をある程度削った証左だ。イケるイケる!」
「この調子でさっき攻撃してた尻尾も…っておい、またブレスが!」
うわやべ、俺達2人とも3方向のブレスに当たっちゃった!こんなんするのはリオレイアだけにしてくれよ!
「ゴホッゴホッ。あれー?麻痺毒の混じったブレスを受けたのに麻痺しないぞ」
「ゲホゲホッ、ロクロッヘビの解毒液には効き目が短いけど状態異常の予防効果もあるんだよ。でもダメージまでは無効化出来ないから気をつけろよ」
「そーか、麻痺しなかっただけヨシってもんだ。今度は俺らが行動を縛る番だぜ!」
そう言って祭我が距離を取り、シビレ罠を設置してその上で盾を構える。
「ヴゥッ、ヴォォッ⁉」
祭我目掛けて突進したエスピナスが見事にシビレ罠を踏み、感電で動けなくなった。
「あるモノ使えるだけ使って、一気に削っていく!」
エスピナスの対策方法があるとはいえ、毒で体力を消耗させられるからな。長期戦になるのは避けたい。
「ぜえやあっ!」
「だあああっ!」
ロング羽子板の上段斬り、カドマツガンランスの上段突きと斬り上げの繰り返しで攻めるが、どうにも切断には至らない。上位昇格試験のモンスターなら、そう簡単に上手くいかないか。
「なら、エクストラターンを追加させてもらおう」
そこで俺はシビレ罠の効果が切れそうな頃合いだと見て、エスピナスの足元にシビレガスガエルを設置、吐き出した麻痺性のガスで更にエスピナスが拘束される。
「いい加減切断させてくれ…よっと!」
気合一閃、俺の気刃兜割りで尻尾がようやく切断できた。リーチが長いうえに振り回すだけで毒を付与させる大きいトゲがあるから、これで幾分か楽になる。
「ンヴォウアァァ!」
尻尾切断のはずみによる転倒から起き上がったエスピナスは咆哮を轟かせ、猛進してくる。何度も、何度も。絶対に俺たちを轢き殺そうとするかのように。
「普通、モンスターは怒り状態が一定時間続くと自然と解除されるはずなんだが…ぜんっぜん収まる気配がねーぞ」
「命の危険を感じ取って、マジになってるんじゃないかね」
樹海の奥にいるはずのエスピナスだが、この個体は縄張り争いに負けて浅いところに出てきたのだろう。だから敗北に敏感で、死に物狂いなんだろうな。
「だからこそ、速攻でケリをつけねえとな!これで大人しくなれ!」
祭我は、エスピナスがスタミナ切れで連続突進を中断したのを見逃さなかった。スリンガーで頭にしがみつき、クラッチクローで頭に傷をつけていく。
そうか、クラッチクローによる傷つけで更なる肉質の軟化を図っているのか。
「ヴゥアアッ⁉ヴァォッ!ヴォォッ!」
エスピナスは頭を振り回し、ブレスを吐いて必死に振り落とそうとするが、それでも祭我が落ちることはない。ロクロッヘビの効果がまだ持続しているのか。
「そんなに俺を落としたいならこうしてやるぜ!」
傷つけを十分出来たと判断した祭我がスリンガーの全弾発射で離脱し、エスピナスは衝撃で湖畔に転倒した。
「エスピナスは尻尾が切れると捕獲可能ラインだって聞いてる。そろそろ終わりが近いぞ!」
「デケーのをぶち込んでやるぜ!」
チャンスを無駄にはしない。これで終わらせる!
「気炎、万丈ゥッ!」
俺がロング羽子板での桜花鉄蟲気刃斬を繰り出し、斬撃が傷のついた頭に何度も時間差でヒットする。手応えは上々、討伐も間近だ。
「もっかい喰らいなぁ!」
そして祭我のカドマツガンランスの爆竜轟砲が腹に炸裂する。砲弾を装填分全部使ったのかエスピナスは湖まで転がされ、祭我も反動で大きく後退する。
「いくら隙があるからって、そこまですると手間増えるだろ…」
「ハッハッハ、悪い悪い」
爆竜轟砲を受けたエスピナスは、湖に身を浸からせるほど大きく吹き飛んでいる。だが、そのまま起き上がってこない。事切れている証だ。
「…まぁ、結果オーライか」
「っしゃ!上位昇格試験、これにて終了!」
***
「…というわけで、エスピナスは討伐できました」
「ふむ。ご苦労であったな、ヨウマ、サイガ」
エスピナスの素材をはぎ取って樹海を去り、メゼポルタに戻った俺たちは、ギルドマスターに結果を報告している。だが彼女の方はそこまでテンションが高いわけではなく、この試験を突破することぐらいわかりきっている、と言わんばかりの対応だ。
「…む?どうかしたかの、ヨウマ」
何かに気付いたかのように、ギルドマスターが俺に声をかけてきた。あんたエスパーか何か?いや竜人族ならそんなんあってもおかしくないか。
「いやまぁ、いつの間にかここまで来たんだなぁーって…。
並のハンターじゃリオレウスとかを倒せるのは結構難しいんですよね?そんな夢のまた夢な領域に至ったってものですから…」
「それはドンドルマやミナガルデ、タンジアのような地域の話じゃ。実力者がかなり集まるメゼポルタでは、大成するスピードは他所より早い。とんとん拍子でG級にのし上がる者も珍しくないのう」
だよなー。ここは
「…ともかく、そなたら2人を
「「ウッス!」」
そういや、里のハンターさんがこんなん言ってたな。
”狩猟の道に、終わりなし”
リースボルシャックって強いっすね
ノベル版モンハンって知ってる?
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そうだよ(肯定)
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知らねーよ、そんなの(辛辣)