Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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ジュリアス
武器:双聖剣ギルドナイト(双剣)→ハイランドグリーズ(スラッシュアックス)
防具:NPC固有装備


羽衣を纏いし奔流

ジャングルの奥地を探索する令和ライダーなんかいなくね?俺こと暗宮耀真は相方(祭我)+ジュリアスさんと共に水没林の陸地を探索中だ。マップによると今はエリア13…最奥まで行ったぞ。

 

ええと、ここは…小型の鳥竜と牙竜の群れがいるな。結構倒木もある。

 

「…中々に異常事態の証だな」

 

ジュリアスさんが腕を組みながら神妙な表情でそんな事を口にする。

 

「どういう事ですか?俺達は水没林に来るのは初めてなんであんましわかんないんですけど…」

 

「この地をよく知らない、か。そういう話ではない。あそこにいるのはフロギィとジャグラス。お互いに別種の肉食モンスターだ。その群れが鉢合わせしたらどうなると思う?」

 

「「あ…!!」」

 

俺達はようやくその意味が分かった。そういう話かよ…。

 

「察せたようだな。普通、このような状況下では奴らの間で縄張り争いが起きるはずなんだが、どちらの群れもぐっすりと眠っていたり、力なく横たわるものばかりだ。お互いに争う気力すら失っているのが分かる」

 

「じゃ、じゃあ…コイツら命からがら逃げてきたってハナシとかっスかね…?」

 

「その可能性が高い。現にこの倒木。これは南側のエリアでもよく見かけただろう。こんなものが何本もあれば、小型モンスターの縄張りなど簡単に狭くなる。倒壊に巻き込まれた個体やタマゴは無事でいられない。何者かが暴れた立派な証拠だ」

 

「なら、それに加えて水中で大型モンスターがいないってのは…」

 

「どういう過程を経たのかは報告を聞かねばわからんが、その影響がそちらにも及んでいるんだろう」

 

水中でも陸地でもトンデモねー爪痕とか、古龍以外あり得ないじゃねーか…。

 

「まぁとりあえず、アキ達にひとしきり陸地エリアを見た結果を報告に行きましょーや。細かい事はそれからってモンで…」

 

パァン!

 

「「…えっ?」」

 

軽々しい口調で話す祭我を遮るように、何かエアガンか何かみたいな乾いた音がした。それに、なんか色のついた煙が遠くに見えるぞ?

 

「信号弾⁉」

 

「ん?彼らになんかあったんでしょうか、ジュリアスさん」

 

「確実にな。あれは方角的に、洞窟の天井から発せられたものだ」

 

「オイオイオイ!元凶が近くに潜んでたってのか⁉さっさと合流しねーと!」

 

急いで洞窟エリアに向かおうとする祭我だが、こいつをジュリアスさんが呼び止める。

 

「待て。こういう時こそ落ち着かなければならん。

水中で何かあったのならば、そこでの戦闘に長けた私が助太刀に向かうべきだ。だが、双剣では水中での立ち回りが厳しい。そこでヨウマ君とサイガ君に頼みたいことがある」

 

「俺らに出来る事…?」

 

「まず、翔蟲を扱うヨウマ君はベースキャンプに向かってほしい。そこに『ハイランドグリーズ』…私の持ってきたリオレイアのスラッシュアックスがある。洞窟にいる私に届けてきてくれないか」

 

ファストトラベル…翔蟲を使う者が重宝する手段だ。元々、キャンプ内では特殊な香炉が炊かれており、それに対して『香料玉』という手投げ玉がある。各キャンプに対応したそれらを割って翔蟲を放てば、翔蟲は香料玉と同じ香りのする香炉の元…即ち目的のキャンプまでひとっとびで行けちゃうんだよね。

 

「分かりました。リオレイアの武器っていったら緑色のスラッシュアックスですね、取りに行きます」

 

「そして次にサイガ君。君は…武具が水中戦を意識して設計されていないから、救援に向かうのは厳しい」

 

「グサアッ!いやまぁ事実だけど!」

 

…スリンガーも便利だけど、こいつ場所によっちゃ結構不便な思いをするな。日頃から水中戦とかも考えておけばよかったかな?

 

「だから、陸上からアイテムやスリンガーで支援してくれないか。ペイントはしておくから、水場近くから爆弾を投げ入れたりしてほしい」

 

「お、おう!了解ですぜ!」

 

こういう事ぐらいしか手助けできる手段がろくにないとしか聞こえないが…ないものねだりをしても意味無いしな…。

 

無事でいてくれよ、アキ君…!

 

「あ、待ってくださいジュリアスさん!」

 

各々が目的の為にエリア13を後にしようとするが、祭我が不意に何かを考えたように足を止め、俺達を呼び止めた。

 

「なぁ!ちょっと思いついたことが…!」

 

「あ⁉何だよ、俺とお前に出来る事なんてもうほとんどねーぞ!」

 

「…そう言うな。何か気づいた事があるのか?」

 

「この狩場で、安全に釣りができる所ってどこッスか?」

 

「ベースキャンプだが…他に何か」

 

「いい事思いついたんですけどね…」

 

「——————————!」

 

「—————⁉」

 

「———!———————!」

 

「お前、よくそんなアイデア思いついたな…」

 

「…まぁ危険ではない範囲内で試してくれ」

 

「っしゃあ!話は纏まったな!」

 

成功するかはさておき、そんなんありかよ…⁉

 

 

 

***

 

 

 

一方、洞窟エリアにてウズ・トゥナと交戦するファビウス達は、これまでに得られた数少ない情報を元に、手探りで戦っている。

 

「くっ…水流が…」

 

「自由に動けないよぉ…」

 

突進、ボディプレス、引っ掻き。ウズ・トゥナはとにかく物理攻撃をやってくるのだが、それに付随する水流が行動を妨害してくるのだ。

 

「ヴェールだ!ヤツのヴェールが水流を作っているんだ!」

 

「じゃあ、あのひらひらを狙えば…!」

 

ヴェールを重点的に攻撃する事にしたアキは飛雷重弩ハゼカガチからLv2拡散弾を発射する。

 

「何枚も展開されており、かつ的が薄いヴェールにそれは有効だが…」

 

拡散弾は着弾時に複数の爆弾を拡散・爆発させる強力な弾丸だ。ファビウスにとってこの支援はありがたい。しかしこれは反動と装填速度に難を抱えており、気安く扱える代物ではないのだ。にもかかわらず、アキは何度もそれを撃ちこんでいる。

 

「モンスターの背中に跨る事で反動の衝撃を減らし、ヘビィボウガン自体の低い機動力も埋め合わせようとしているのか。いいアイデアだ」

 

ただ拡散弾は持ち込める弾数が非常に少ないので、すぐに弾切れになってしまう。やむを得ず電撃弾に切り替えて再び射撃していく。

 

「ヴゥゥッ!ヴアアウッッ!」

 

アキを乗せたエリアスも、雷球を何度も放ってヴェールを破ろうとする。水中での活動に適応したエリアスはウズ・トゥナの水流も平気だ。しかし、水棲モンスターに有効な傾向があるはずの雷属性攻撃を与えてもヴェールは健在だ。

 

「なんで⁉水の使い手の海竜なら、僕らの攻撃は痛いはずなのに…」

 

「諦めるな!!」

 

「⁉」

 

「あのヴェールは単に水流を発生させるだけではないんだろう。本体へのダメージの軽減…つまり頑丈な防壁、鎧の役割がある」

 

「本体を、守る…」

 

「だから、その守りを崩すにはとりわけ強いダメージを与える必要がある。このまま攻め続ければ道は必ず開く、諦めるな!」

 

「ごめんなさい!頑張ります!」

 

ウズ・トゥナが滑るような動きで後ろに回り込み、そこから突進してくる。どうやら水流に乗る事で、陸上でもスムーズに動けるらしい。

 

「ヴゥエゥッ!!」

 

狙うはファビウス。頭突きで大きく吹き飛ばそうとしてきた。

 

「ッ⁉…負けてなるものかぁっ!」

 

「嘘⁉防いでる…」

 

その勢いに思わずファビウスは一瞬退かされるが、負けじと盾に握る力を強め、押し出すようにして構える。鍔迫り合いが始まった。

 

「僕らも、負けないぞぉ!」

 

「ヴォオオオッ!」

 

更にエリアスも真っ向から彼女の頭をぶつけ、押し合いに加勢する。

 

「これはありがたいな。渾身の一撃、喰らうがいい!」

 

ファビウスは鍔迫り合いに助太刀が来た事で余裕が生まれた。右手に盾を構えたまま、左手に力を溜めて前方に突きを放つ。それは『スクリュースラスト』。突きと共に螺旋状の衝撃波を放つ強力な狩技だ。

 

「ヴゥエエエエッ⁉」

 

「すごい!ひらひらが無くなった!」

 

鍔迫り合いで押し返されたウズ・トゥナが、態勢を崩された隙にヴェールを剥がされた。堪らず衝撃でダウンし、隙が生まれる。触手を体に張り付けた控えめな姿は、勢いを失ったようにも見える。

 

「この瞬間を逃すわけにはいかないな!」

 

「討伐するつもりで叩かないと!」

 

倒れたウズ・トゥナにロストバベルの突き、飛雷重弩ハゼカガチの雨の如き貫通弾の連射、そしてエリアスの雷球ブレスが襲い掛かる。ヴェールが本体を防護するのなら、ヴェールの無い今の状態は有効打を与える絶好のチャンスだ。

 

「助けに来たぞ!…と、こいつは…!」

 

救難信号を受け取ったジュリアスが洞窟に合流するも、残念ながらこのタイミングでウズ・トゥナは水中に潜り、洞窟の外へ移動してしまう。

 

「…波衣竜か。水中にも中々なものがいたとはな」

 

「その口ぶりから察するに、陸上でも異変が?」

 

「各エリアで樹木の倒壊が確認された。小型モンスターが縄張りを追われているようで、それなりの影響がみられている」

 

「大型モンスターの痕跡は?」

 

「全く。何かが陸上で暴れていたわけではないだろう」

 

「そうなると倒壊の原因は風などの類か。モンスターの生活に大打撃を与えられるならば…『嵐龍』(らんりゅう)か?いや、それにしては過去の報告ほどの規模ではない。何より、ヤツがいたとすれば今以上の降雨が起きているはず…」

 

「らんりゅう…?」

 

「ああ、すまない。こちらの話だ。それと、2人の姿が見えないが…」

 

「水中戦になる事を見越して、スラッシュアックスの取り寄せとサポートをお願いした。合流するまでここに留まらせてもらう」

 

「そうか。ペイントによればヤツはエリア4に向かっている。濁度のある水場だ、気を付けてくれ」

 

 

 

***

 

 

 

「耀真、ジュリアスさんの武器は見つかったかー?」

 

「おう。そっちはどうだ?」

 

「うーん、もうちょっと待ってくれ!今良い所だから!」

 

「…洞窟に行っとくからな。きりの良い所で終わらせろよ?」

 

「わ、わかってるって…」

 

 

 

***

 

 

 

耀真がハイランドグリーズをジュリアスに渡すべく洞窟にやってきた後、筆頭リーダーたる彼を先頭にして、再びアキ達はウズ・トゥナのいるエリア4に向かう。

 

「ではこれから我々は水中に潜る。ペイントの効果はまだ残っている、『アレ』をやりたいのなら君達も早く近場の陸地に回り込んでくれ」

 

「ええ、わかりました。…アキ君は水中戦が初めてだったよね、気をつけてな」

 

「…はい。出来るだけ邪魔にならないように、でも手助けできるように頑張ります」

 

そしてエリア4にいるウズ・トゥナはと言うと…ヴェールを再び展開していた。ヴェールを張るために必要な水が豊富にある水中では、簡単に展開が出来るのかもしれない。

 

早速、ウズ・トゥナはその巨体を活かし、転がるようにジュリアス達に突っ込んでくる。

ガード出来るファビウス、海竜種故に水中での行動が得意なエリアスと彼女に乗るアキと比べると、ジュリアスはガード手段がなく水中で回避もしづらいので不利な方だ。加えて巨体故に真横に避けるのも難しく、被弾して吹き飛ばされてしまう。

 

「(くっ…案の定水中で水流も生まれている。本当にやりづらいな。リーチがある分双剣よりはマシだが、ガードできる大剣を持ってくるべきだったか)」

 

ジュリアスはやむを得ずファビウスに最前線を任せ、斧モードのハイランドグリーズを横から本体目掛けて振るう。だが、本体を防護するヴェールがあまりにも広く、攻撃が吸われてしまうせいで有効打に欠けていた。

 

今度は、ウズ・トゥナは激しく水面に向かって泳いだ後にその勢いで跳躍、上からボディプレスを仕掛けてきた。

 

「(チャナガブルやガノトトスに似ている動きが多い。加えてこの大きさ…まるで膨張状態のザボアザギルを相手にしているようだ。

…ん?もしかすると…)」

 

ふと、膨張すると最大の弱点が露出するザボアザギルを連想したジュリアスは、ウズ・トゥナの腹部を狙う事にした。ここならばヴェールに邪魔されにくいという事に気付いたのだ。

 

「(お願い!エリアス、プラズマプレッシャー!)」

 

「ヴォォォォォッ!!」

 

電撃を纏ったエリアスの突撃でウズ・トゥナが感電・麻痺する。この隙にジュリアスがハイランドグリーズを剣モードに切り替えて腹を斬りつけていく。

 

「???…!!」

 

突如、ウズ・トゥナは何かに気付いたのかピラミッド型遺跡のあるエリア2へ泳ぎ始めた。

 

「(かなり攻め立てたハズだ、逃げるとしたら洞窟だが…)」

 

「(まぁ待てファビウス。彼らの策にかかるかもしれない)」

 

ジュリアスが残りのメンバーを率いてエリア2の方へ行く。そこは水深が浅くて泳ぐ必要が無く、必然的に陸上に上がる事になる。

 

「…こいつが水中で見つけたモンスターか。見たことない外見だ、まるで羽衣を纏ったウツボだな」

 

「ワーッハッハッハッハ!今俺を見たな?これでお前とも縁が出来た!」

 

エリア2で待機していた耀真と祭我。彼らはウズ・トゥナを前にしてとんでもない事をしようとしている。

 

「釣り竿⁉まさかウズ・トゥナを釣り上げるというのか⁉」

 

「勿論!それに、脂の乗ったサシミウオは格好の餌っしょ⁉」

 

そう。祭我の考えた策と言うのは、ウズ・トゥナの釣り上げ。メゼポルタにてガノトトスを狩猟した経験を元にしてこの奇策を思いついたのだ。餌も水中でよく動く魚にすることでより食いつきやすくするために、事前に釣りポイントで採取していたのである。

 

「おーし!モンスターが食いついたぜぇ!!」

 

「ウツシ教官に認められた俺の釣り、舐めんなや!」

 

釣り針に引っ掛けたサシミウオが沈むのを見た2人は、力強く踏ん張って釣り竿を引っ張る。

 

「ファイトオオオ!」「イッパアァァァーツッッ!」

 

耀真と祭我の全力で陸上に引きずり出されたウズ・トゥナは、衝撃で動けず仰向けになってジタバタしている。ファビウスとジュリアスはこの隙を見逃さなかった。

 

「はっ、やっ!せぇいっ!」

 

「ふっ!はっ!」

 

刺突と斬撃の嵐に襲われるウズ・トゥナ。ダウンから復帰するや否や怒り状態に移行するも、蓄積したダメージが大きすぎたせいか、水流に乗ってその場から滑るように逃げようとする。

 

が、しかし…

 

「⁉ガ、ヴアアッ⁉」

 

水面に浸かり、進もうとしたウズ・トゥナは異変に気付いた。いつの間にか水面も、ヴェールに展開してあるはずの水膜もカチカチに凍っていた。これでは水流を生み出せない。

 

「もう、自由に動かせないからね」

 

「ファアアアッ!」

 

エリアスとの交代で前線に出たシオンが、冷気のブレスを周辺に放った。近くの水場も、ヴェール上の水も凍ってしまう。

 

「成程な。水そのものを封じれば水流など操れない…と言った所か」

 

「…皆さん、氷の上で戦うのってできますか?」

 

「そんな経験、何度もしてきたさ」

 

凍った水面の上で自由に動けないウズ・トゥナ。ジュリアスは慣れているかのように氷上を走って詰め寄り、剣モードにしたハイランドグリーズを突き刺すように構えた。

 

「あれ?なんか刀身が変に光ってんな」

 

「属性解放突きでもやるんでしょうか…?」

 

「いや、少し違うな。まぁ見ておきなさい」

 

ハイランドグリーズから圧倒的なエネルギーの奔流が噴き出した後、解放されたエネルギーが刃となる。ジュリアスはウズ・トゥナを飛び上がりながら斬りつけ、空中で回転してもう一度斬りつけた。

 

「すっ…げぇ…」

 

「まるで爆炎を纏っているみたいだ…」

 

「グ、ギュアァァァァ…」

 

見たことのない技だが、その派手さから大技であるのは想像に難くない。

案の定ウズ・トゥナはこの攻撃で息絶えた。

 

 

 

***

 

 

 

剥ぎ取りをする前に陸上にウズ・トゥナの死骸を引き揚げ、全員はその姿をまじまじと見つめる。

 

「…海竜種、でいいんですよねコイツは」

 

「なんつーか、不思議な外見してんな。でっけーヒレみたいなのが幾つも…」

 

「大河の水底に潜むとされている新種の海竜だ。それに適した進化なのかもしれない」

 

「しかし、目撃がほとんどないモンスターがなぜ狩場へ…一体何が…」

 

「まー何にせよ、研究が進んでない新種のモンスターっしょ?それを倒したってんだから、俺らギルドから良い評価を貰えるんじゃないんすか?」

 

「バカ。俺達はそこまで戦闘に参加してなかっただろ。

…しっかし、スラッシュアックスってあんな事出来ましたっけ?」

 

「先程のか。…私の知り合いに工房を営む者がいてな。本人が新しい機能を作ったから試してほしい、と言われたので持ってきたのだ。試作品と言ってはいたが中々に強いな。…他に何か」

 

「あ、じゃあ最後の攻撃について…」

 

「高出力状態でのみ繰り出す事の出来る大技だそうだ。何でも『フルリリースラッシュ』と言うらしい」

 

「『高出力状態』?」

 

「そこからか。元々、スラッシュアックスは内蔵ビンのエネルギー暴発が課題となっていた。

それを逆手にとって開発されたのが高出力状態…剣モードで使い続ける事でビンのエネルギーを高出力化させるものだ。斬撃の後にエネルギーの爆発を起こし、更なる追撃を与える事が出来る。勿論、暴発しないようエネルギーはセーブされているぞ」

 

「メゼポルタの方ではそれを完全に制御して光の剣にする事で強化状態としている。内蔵機構が高価なため、現時点ではG級にならないと扱えない代物だが…もしそこまで昇格したのならば使ってみてもいいのではないか?」

 

「いいねぇ。その時は機会があったら触れてみますよ」

 

「とっても凄かったです!僕、スラッシュアックスやチャージアックスが大好きで…僕らも使えますかね?」

 

「どうだろう。まだ試作段階だから量産・流通は先の話だな。それにこれは既存のスラッシュアックス以上に取り回しが難しい。

まずは斧モードで攻撃する事でビンのエネルギーを溜め、次に溜めたエネルギーを利用して高出力状態に移行すべく剣モードで攻撃する。フルリリースラッシュはそうしないと使えず、使うとビンのエネルギーが減るから再び斧モードで攻撃をする…。

この過程を踏んだうえで立ち回る必要がある以上、実力のある玄人でないと厳しいだろう」

 

「うへぇ~順番があるっつうか、強化状態を維持しなきゃダメなのか…。使いたいんならお前はまず、柔軟に取り回せる普通のスラッシュアックスの達人にならないとな」

 

「そうですね…」

 

そうして雑談を交えながらの剥ぎ取りがひと段落付き、一行は休息を取るべくベースキャンプに戻っていく。調査を締めくくるにはまだ推測の域を出ない点があるから、引き続き水没林に居残る必要があるのだ。

 

しかしその帰路の途中、彼ら彼女らは途轍もない光景を目の当たりにする。

 

 

 

***

 

 

 

対は何処(いずこ) 対は何処

 

我は狂飆 並べて薙ぎ

 

楽度が辻の淵とならん

 

 

《禍群の息吹》

 

 

 

***

 

 

 

「「「…ッッ⁉」」」

 

「ヴヴヴッ…ゴオ“オ”オ“オ”オ“————ッ!」

 

突如、アキのオトモン達の様子がおかしくなった。その場で屹立し何もない遠くの風景を見つめた直後、モエ達古龍種ではない3匹は怯えたように大きくたじろぎ、唯一シオンはその先にある何かを威嚇するように唸り、雄叫びを上げた。

 

「え…え?何かモンスターが出たの?」

 

「いや…彼女たちが見つめている方角は狩場の外だ、それはない。だとすれば何だ…」

 

全員が困惑する中、狩場の外にある遠くの空から、何か龍属性エネルギーの塊のような赤いものが、その下に広がる森へと落下した。

 

「じゅ、樹木が…」

 

「空に巻き上げられてる…!」

 

直後、着弾地点を中心として竜巻が発生し、遠目で見ている耀真達でも目に見えてわかる程、大量の木々がなぎ倒され、空に巻き上げられていく。

 

ビュゴオオオオオ!

 

「こ、これほどの脅威…!」

 

「動けないよぉ…」

 

「全員、密になって集まれ!離れると吹き飛ばされるぞ!」

 

竜巻の規模はすさまじく、着弾地点から遠い水没林全域も及んだ。中心でもないのに吹き荒れる暴風の勢いは留まる事を知らず、眼をまともに開く事すら難しい。互いの身を寄せ合って固まるのが精々だ。

 

「ぐ、うぅぅぅ…。誰だ⁉誰がこんなにやべえことを…!」

 

そして顔を覆い隠す耀真は、両手の隙間から見渡した風景の中に、微か且つ一瞬、されどしっかりと『それ』を見つけた。

 

青と白の皮膚。翼の無い胴体。天地逆の体勢で海中を漂うかの如く、曇天の空を浮遊する謎の存在。

 

「アイツだ…アイツがやったにちげえねえ…!」

 

謎のモンスターが遥か彼方に去っていくと、竜巻も勢いを失い、すぐに普通に歩ける程度の風速に戻った。しかし暴風の影響はすさまじく、陸地ではあちらこちらで木が倒壊している。水場に流れ、沈んだものも多い。そのせいかは知らないが、浅瀬のズワロポスやルドロスがパニックになったかのように陸地へ上がっていっている。

 

「木々が倒れ、モンスターも変な様子…やっぱり、ここの異変はアイツが齎したんだな」

 

「『アイツ』?ヨウマ君。何か見たのかね?」

 

「えぇ。さっき見ましたよ、空に漂っていたのを」

 

「それは…全身が白かったか?」

 

「ん…?白っぽくはありましたが、どっちかと言うと青白い感じでしたね。あと、なんか上下逆さまになってるようにも…」

 

「やはり、嵐龍ではないか…。むしろ君の証言は、里の方々が言っていた未知のモンスターの特徴とも似ている」

 

「えっ⁉」

 

「話によれば、百竜夜行の後に偶然空を飛んでいたのを見かけたらしい。ここで不思議な点があるが、気づかないか?カムラに住んでいた君ならば思いつくはずだが」

 

ファビウス、ジュリアスと考察を進める耀真の頭の中で、様々な情報が点と戦で結びついていく。

 

「…百竜夜行は、色んなモンスターが押し寄せてくる現象です。元々の生息域が特定の場所に固定されず、本当にカオスなもので…」

 

「そして、ここ水没林を巡ったところ、多くのモンスター達が生活圏を追われていたのが見られた。

新種故に不明点の多いウズ・トゥナに関しても…恐らく本来の生息域を追われ、この地に逃げてきたのだろう。ここまで掘り下げれば言うまでもないな」

 

「…はい。あいつによって大規模の風害が発生し、広範囲の生態系が打撃を受けます。それで各地で生息域を失ったりしたモンスター達が自然と一つの群れとなって大移動を行う。これが百竜夜行のメカニズムだと思います」

 

「そうだ。まだ推測の域を出ないが、この調子だと確実に各地の生態系に影響が及ぶ。被害は深刻なものになるだろう。カムラは言うまでもなく、至急ギルドに知らせなければな」

 

「…とにかくだ。今回の君達の協力、感謝する。また機会があればよろしく頼む」

 

「おう!そん時ゃこちらこそ頼んますぜ、ハッハッハッハ!」

 

「本日はありがとうございます。色々勉強になりました」

 

「ぼ、僕達でお手伝い出来る事でなら…あ、いや、えと…ありがとうございました!」

 

陸上と水中の異変。それに翻弄されたモンスター達。そして異変を齎したとされる存在。それらが点と線で繋がった先にあったものは百竜夜行。かくして水没林の調査は一旦の幕を閉じた。

 




スラアクが過去作、それもワールドやライズとも違うものに出来上がってたのは意外でした。スラアクFに近い要素も追加というのはグッドポイントですね。

レ・ダウとギラファアンデッドの顔は

  • そっくりよね。
  • ⚠まったく似ていません!⚠
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