Monster Hunter Reincarnation   作:scp-114514

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真気楼と誠偽感の決断(パーフェクト・ペテンシー)を許すな


更なる高み、あるいは備えのために

 

峡谷の調査を終えてメゼポルタに帰還したんだけど、他の色んな狩場の調査に向かったハンター達も同様に本来生息してないモンスター達の目撃情報が相次いでいたらしい。

 

どれも狩猟された、あるいは峡谷でのベルキュロスのような頂点(あるいは高次)捕食者との生存競争に負けて斃れていたので、大事に至らなかったようだ。まぁ精鋭が集まるメゼポルタだからこそ、と言える話かもな。実際ここは新大陸に限らず様々な未踏の地の調査隊を多く輩出しているし。

 

だがメゼポルタ以外のギルドだったらそうもいかない。流石にドンドルマとかの規模の大きいところは例外だが…。

 

「不幸にも程がある話だな。いや、こういうのがあってもおかしくないのがこの世界か」

 

「備えあれば憂いなし、で済んだ話でもないぜ…」

 

俺こと耀真と祭我が見てるのは、広場の掲示板にある貼り紙の一つ。そこに記されてるのは、『各地の狩猟環境が概して不安定になっているので注意せよ』との実例を交えての注意喚起情報。そしてその実例が実例なもので…小規模のハンターズギルドからの、乱入モンスターによる下位ハンターの犠牲報告だ。派遣されたギルドナイトが討伐してくれたおかげで事後処理は出来たみたいだが…。

 

「数年前に起きたアルカラ大陸での一件、バンホーに同行してたハンター達も凶光化バゼルギウスに突如襲撃されたんだっけ」

 

「運良く偶然通りすがったライダーに助けられたがな。俺たちも俺たちで何かしら対策を立てておかないと」

 

仮に今後こういう羽目に遭わなくても、メゼポルタじゃ不測の事態にも対処出来る力というのを鑑みて昇格試験を課す。更なる高みを目指すならば避けては通れない道だ。

今更の話だが、俺らがこの世界に暫くお邪魔するっていうのもこういった力を培うためにあるしな。

 

「で、ハンターとして今できる事の範囲としては何が挙げられる?装備を揃えるのは言うまでも無いが」

 

「…技術の見直しが第一、あとは色んな武器に慣れておく事とか、かな。ここじゃそういうハンターが多いし。使える武器種が2つってのは心許ないかもしれない」

 

「なるほどな、修行ってところか。でも別の武器に慣れるっつっても何に?」

 

「そこはまぁ…各々の興味があるものでいいだろ。そこから訓練所行くなりノブヒコさんみたいな腕の立つハンターに打診するなりで扱いを学べばいい」

 

そんな訳で俺たちは暫く、修行のために独自に行動することが決定した。時には回り道も必要ってもんよ。

 

 

 

***

 

 

 

「へー、それで別の武器種ねぇ…」

 

ひとまず俺の方は工房の方に出向き、セントさんに相談している。手持ちの素材でそれなりのものが作ればいいんだが。

 

「まず第一にボウガンを使おうかと考えてまして…その他には、鉄蟲糸技が有用な武器種が使えたらなと。それでカムラの方に行って扱いを学んできます」

 

「あっちに行くのか?じゃあ少し頼みたいことがあるんだが」

 

「え?」

 

そう言って奥からセントさんが取り出してきたのは、狩猟笛。しかしそれは『ボーンホルン』と『メタルパグパイプ』。多くの地域で店売りもされている廉価な骨製、鉱石製のものだ。

 

「いきなり何かと思えば…そこらの既製品じゃないですか」

 

「いや、どちらも新大陸の技術を使って作成したもので、独自の機能も追加されてる。色んなハンターにこの試作品を使ってもらい、レビューを基にして改良したものを色んな地域に流通させてみたいんだ」

 

以前水没林に行った時、同行したジュリアスさんのスラッシュアックスみたいなカンジかな?

 

「で、カムラの里にはどうして?なんかハモンさんにお願いしたい事があるんすか?」

 

「ハモンさんは狩猟笛に独自の要素を組み込んでいるらしくてな。それも入れたヤツを作りたいと思ってる。本来なら俺が行けばいいんだが注文が立て込んでてるし、そもそも里の人と縁がある知人もお前以外にろくにいなくてな。だから、里に修行しに行くんならこれを持っていってほしい」

 

「そうなんですか。でも俺は上位だし、流石に序盤武器をそのままは…」

 

「そこは問題ない。これは他所の加工屋に行って強化させても機能は無くならない設計だ。

…やってくれるか?」

 

新大陸やカムラ独自の要素をつぎ込んだ武器の実現か。これは面白そうなハナシ、乗って損はないね。

 

「はい、やります!」

 

まぁ、機能が多くてもそれを使いこなせないと意味がないのも事実だが。気を引き締めて指導を受けないとな。

 

 

 

***

 

 

 

ふと思ったんだが。以前立ち寄った時は、ウツシ教官は例のモンスターを探るべく里を留守にしてるんだったよな。完全に忘れてた。

 

「不在の状況で行くのも何だしなぁ…」

 

里に手紙送って、返事来るまでは基礎的な扱いを学ぶなりメゼポルタの方で出来る事に専念するか。

 

よし、じゃあ訓練所に…あヤベ、ぶつかった。

 

「あっすいません、失礼しました…」

 

「いや、こちらこそ…ん?」

 

おお、偶然じゃないか…

 

「ヨウマ君じゃないか!久しぶりだね!」

 

「え、ええ…お久しぶりですね。どうしてここまで?」

 

「里長から聞いているかな。前に百竜夜行を迎撃した時、空高く飛行する謎のモンスターを目撃したと」

 

「はい、その調査のために教官が各地を回っていたと…」

 

「そう。そしてようやく正体が掴めてね。『風神龍』イブシマキヒコという名の新種の古龍として認定、報告のために各地のギルドを転々としているんだ。ちょうどここが最後になる、今から一旦カムラの方に帰還するつもりだよ」

 

イブシマキヒコ…。それがヤツの正体か。早く何とかしないと各地の生態系が今以上にとんでもない事になる…。でも、世界各地を飛行しているんなら追っかけるの大変だろ。

あれ?今この人、『一旦』って言わなかった?

 

「一旦戻るということは…再び調査か何かの必要性が?」

 

「…鋭いね。実は里のみんなが風神龍を初めて目撃した時、ヒノエさんがかの龍と精神が同調してしまって…」

 

は?そんなんあり???

 

「え…え?」

 

「あぁすまない、ヨウマ君は知らなかったか。ヒノエさんとミノトさんって、どういうわけかは知らないんだけど先天的に共鳴能力を持っていてね。それによるものなんだ。

…話が逸れたんだけど、その時ヒノエさんは『対は何処、対は何処』と言っていて…俺は風神龍の思念を代弁したものと思っている。イブシマキヒコの『対』となる存在を探すために、再び調査に出る必要があるんだ』

 

対となる存在…雌雄みたいなものか?

 

 

「あの人、以前俺が来たときは寝込んでいましたが…体調は大丈夫ですかね?」

 

「ああ。もう大丈夫だよ!もう食欲も元通りさ!

…ちなみにヨウマ君の方は、これからどうするんだい?」

 

「俺ですか。上位に昇格した後、別の武器種にも触れておきたいと思いまして。それらの鉄蟲糸技も身につけたく、里に行こうと思ってたんですが…」

 

「そうなのか!俺の熱血指導を受けたいのか!うおお、こうしちゃいられない、いざ行かん我が故郷へ!」

 

 

 

***

 

 

 

さー戻ってきましたカムラの里、到着の翌日から修練所にて教官からの指導を受けてます。

 

内容としては…

 

「メゼポルタのモンスターはスタミナが切れにくいから、ダメージは低いけど叩きつけよりもしらべ打ちの方がいいと思うよ!」

 

基礎的な攻撃と、状況に応じた独自の使い方…

 

「鉄蟲糸と旋律の効果を切らさない事が重要だ!忘れたまま攻撃していては意味が無いし、かといって吹く事に徹していてはダメージを期待できなくなってしまうよ!」

 

旋律を切らさない事を意識した立ち回り…

 

「その攻撃は威力は十分みたいだけど、隙が大きいね。余裕を持って攻撃に備えよう!」

 

独自機能を使うタイミング…

 

「これらの鉄蟲糸技は翔蟲2匹分の力が必要なんだ。使いどころを見極めてくれ!」

 

狩猟笛独自の鉄蟲糸技…

 

「慣れないうちは、攻撃力強化の旋律が吹ける無属性武器がいいんじゃないかな。自分や味方の支援が簡単だからね。俺のおすすめはカムラノ鉄笛さ!」

 

武器チョイスの参考…

 

まーとにかく指導内容は色々あった。当然短期間で習得できるほど生易しいものではなかった。

そこら辺の詳細な説明は省くが…こういう感じで意識している。

 

狩猟笛というのは演奏による強化がある。旋律とそれが齎す恩恵も千差万別であり、同じ属性でも旋律が違う、というのもザラ。弱点属性とデバフ対策を両立してターゲットをピンポイントでメタれる事も可能だ。

 

が、その分考えなくてはいけない事もある。

打撃武器で比較すると、狩猟笛はスタン性能がハンマーより劣り、手数で穿龍棍に劣る。つまり打撃武器の中ではどっちつかずの位置にいる攻撃性能だ(穿龍棍はG級から使えるので現状は言い過ぎだが…)。

 

そして演奏での支援だけがメインかというとそうではなく、殴ってスタンを狙ったり、罠や粉塵とかのアイテムを使ったりと忙しい(逆もまた然りだが、旋律にはアイテムの役割をカバー出来ない、或いは劣るものがある)。だから単純な武器の物理性能だけでなく、旋律効果も吟味する必要がある。

 

よって狩猟笛は準備の段階から支援と自己強化、攻撃の3つを意識しなければならず、総じて柔軟な運用で初めて真価が発揮される武器と言えるだろう。

 

え?新大陸由来の独自機能と鉄蟲糸技?そこはまたおいおい、ね。

 

 

 

***

 

 

 

狩猟笛に加え、ライトボウガンの扱いも身に着けるために引き続きカムラに滞在して3カ月。俺は修行の傍ら、今回も里の一員として店とかの手伝いもしている。

 

「ぜぇー…ぜぇー…あ“―今日も疲れたー…」

 

今日は魚屋を営むアイルー、カジカの手伝いで朝から晩まで釣りでした。船上での釣りは疲れる…。

 

「おー、今日も一日お疲れさまだなオイ」

 

そんな俺を出会い頭に労ってきたのは、俺と年齢がほぼ変わらない青年。名をドラコといい、寒冷群島という狩場に近い小規模の村出身の上位ハンターだ。事情があって一時的にこっちに来ている。里に滞在する俺と違い、彼は基本的に大社跡に出向いて狩猟をしている。

 

「漁師に足向けて眠れねーよ。…あっ、ハモンさん。こないだの武器出来ました?」

 

「…む、ヨウマか。今持ってくるぞ、暫し待て」

 

んであの後セントさんからの依頼で狩猟笛の新機能の追加をハモンさんに頼んだところ、すんなり実現。そして今度は、ハモンさんの方もハモンさんの方で里で狩猟対象にしていないモンスターの素材も扱う事にしたのだ。当然、ボーンホルンとメタルパグパイプ同様に新機能がある。因みに、少し前にはバージョンアップしたカムラノ鉄笛を作ってもらった。

 

「…よし、これを使ってみろ」

 

例えばハモンさんが作ってくれたこの狩猟笛。『ヒュプノクラリネット』というこのヒプノック系統の武器は攻撃力強化とスタミナ減少無効を併せ持ち、睡眠属性とスタンにより敵の行動を徹底的に縛るというメゼポルタではかなり重宝される一品である。

 

「ハモンさんにいいものを作ってもらえてよかったな。後はウツシ教官の熱血指導の成果を実戦で出すのみだ」

 

「…であれば、アケノシルムはどうだ」

 

俺とドラコの会話を隣で聞いていたハモンさんが話に入って来た。何だろ、そのモンスター。

 

「成程!初心者卒業の指標となるアケノシルムならば、確かに腕試しとしてはいい所ですね!アドバイスありがとうございます、ハモンさん!」

 

「まぁ、ワシとしては工房のために火炎袋が欲しいのもあるが」

 

火炎袋…火を吐くモンスターか。話を聞く限りイャンクックのような存在なのかもしれない。

 

「つーかなんで俺の指導について色々知ってんだ、アンタ」

 

「教官から言われたんだ。『里守の皆さんと訓練をしないといけないから手伝って欲しい』…と。だから暫くの間、俺が任された」

 

「教官から任されたって…こんなん言うのも何だが、アンタ使ってる武器って、確か双剣とか大剣とかチャージアックスだろ。専門外の分野に詳しく言及出来るほど精通してんのか?」

 

「いや、そこら辺を突かれると痛いんだが…俺の知り合いに、何人か他武器種のハンターがいてな。当然そいつらとも何度も狩りに出た事があって、立ち回りはある程度知っている。最終的には教官に報告・相談して本人が判断する事になるが、それまでは大まかなカンジで暫く見させてもらう」

 

「ふーん。じゃあどういう風の吹き回しで、アンタが赤の他人に対して目をかける事に?」

 

「指導者としての研修だよ。俺の村は狩場に近いから依頼を介せば余所からハンターが来るからモンスターが出現しても何とかなる。だけどいつまでもそううまくいくとは限らないし、俺がいなくなれば村を守れる奴がいなくなる。そもそもウチの村自体が狩場…寒冷群島への中継地点ともなるからこそ、廃れたら交通面でも結構困る」

 

「あー成程ね…。万一に備えての後継者育成のためのノウハウってか。その装備だと上位でも中々といったところの実力…。これからだというのに、重圧もとんでもないな」

 

「揚げ足完璧に取られちゃったよ。まぁ手間が省けるから別にいいけどさ。

…ん?もしかしてお前、この防具知ってんのかよ!?」

 

「大方ゴシャハギの装備だろ。俺もそいつ狩った事あるよ。外見が似てる」

 

「でも、寒冷群島に行く途中でウチんとこに立ち寄った奴の中には見覚えないツラだな…」

 

「あーそれ?闘技場でのイベントさ。メゼポルタで開催された、な」

 

「どーりでお前のこと知らないわけだ…。

…あれ?どこまで話してたっけ?」

 

「後継者云々のとこ」

 

「あー、サンキュ。

…上位っつーのはさ、それだけで一目置かれるほどの実力者の証だろ。だから、村としては地元出身の上位ハンターが色々教えてくれるってのはすげー心強いんだよ。

一応、定住促進のために村興しもやってるんだが…こんな世の中だ、戦力が第一だ。でも訓練所じみた場所もないし、教えれる人がまともにいない。結構急いでるんだよね」

 

「いつの時代も地方自治体の地域振興課って大変なんだな」

 

「…なんかよくわかんねー言葉が湧き出してきたんだけど」

 

「別に気にしなくていい、とりあえずアケノシルムのクエストがないか探してくる」

 

「お、おぅ…。暫くよろしくな」

 

「ああ、こちらこそ」




本編募集キャラのドラコって『~剛腕巨躯の狩人令嬢~』ではほぼレギュラー枠、引継ぎ投稿されてる『~寒冷群島の紅き鬼狩り~』では主人公…とそれなりに活躍はしてるんですが、この作品では『迫る破滅の時』でモブ同然の扱いで登場させたっきりという扱いです。

最近の同三次創作作品と比較するとこの待遇は流石に酷くね?と思って出すことにしました。

本作では彼はウツシとは同期ではなく、下に当たります。

レ・ダウとギラファアンデッドの顔は

  • そっくりよね。
  • ⚠まったく似ていません!⚠
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