Monster Hunter Reincarnation 作:scp-114514
武器:ヒュプノクラリネット(狩猟笛)
防具:ククボFシリーズ
ドラコ
武器:里守用堅守盾斧(チャージアックス)
防具:ゴシャSシリーズ
カムラの里からいくつかの山を越えた先にある狩場、『大社跡』。カムラの里の文化圏、生活圏に含まれており、里の人々にとって生活と切り離せない場所でもある。
山全体が鉄鉱石と大地の結晶の塊と言っても過言ではないほどに鉄鉱石が広く、深く、大規模に採掘できる場所でもあり、カムラの里の秘伝であるたたら製鉄の秘訣の一端はこの豊富な鉱床にあるのだろう。
日の沈んだ夜、ベースキャンプに到着した耀真はドラコと会話しながら最終確認を進めている。
「そのチャージアックス、鉱石武器にしては緑がかってるな。なんだそれ」
「ハモンさんが開発している里守用武器の試作品さ。上位個体だと火力不足は否めないが…」
「俺を見るのがメインなんだろ?」
「そう。手助けは程々に、な。それはそれとして、いつでも行けるか?」
「アイテム各種、問題なし。武器の調子も上々。…ただアケノシルムについてよく知らないんだが」
「そっか、メゼポルタじゃ狩猟対象にされてないんだっけ。
アイツは『傘鳥』と呼ばれる鳥竜種だ。別名の通り傘のようなデカいトサカがある」
「へぇ。んでハモンさんとのやり取りを聞いた限りでは、火属性の攻撃をしてくるみたいだな。イャンクックとかクルペッコみたいに」
「大まかな体型はそいつらに似ていると思うぜ。実際、ブレスを飛ばしてくるという点でもイャンクックと共通しているな。けど色々とトリッキーな動きがあるから舐めてかかると痛い目に遭うから気をつけろよ」
「わかってるさ。伊達に上位に昇格してねーっての。
さて、どこにいるのやら…」
「居場所を割り当てたいんならこうすればいい」
そう言ってドラコが腕からフクロウのような鳥を飛び立たせた。どうやらその鳥がペイントボールの役割を持つらしい。
「…なんだ、アイツは」
「コイツは『フクズク』。カムラで飼われてる猛禽類だ。想像はついてると思うが、優れた視力と飛行能力を活かしてモンスターに位置を常に教えてくれる。
…里にいたのに知らなかったのかよ」
「ここでそこまで経験を重ねないまま去ったんだ。そっからはあまり顔を出してない」
「えぇ…。とりあえず、アケノシルムはエリア8にいるみたいだ。ファストトラベルでエリア10近くのサブキャンプに行くっていう手があるがどうする?」
「そっちの方が手早くエリア8に行けるからそうするかな…」
そうしてドラコと耀真は香料玉を割って翔蟲を放ち、サブキャンプへショートカット。そこからエリア8へと向かうのだった。
***
暮夜の竹林おどろおどろと
番傘もどきのお化け鳥
佳麗妖美とご油断めさるな
平紙ひらけば血の雨ざぁざぁ
***
この狩場は『大社跡』と呼ばれるだけあって朽ちた建造物がそこかしこにあるが、特にエリア8はその内側に廃屋を構えている長い塀が特徴的である。その反対側にある岩壁の隙間から、オルタロスが数匹這い出てきた。
—————ドスッ、ドスッ。
その群れが、頭上の捕食者に襲撃される。
白い羽毛のような鱗と末端に近付くにつれて赤みを帯びる翼、口紅を引いたかのように赤く縁取られた細長い嘴、先端部が鉤状に曲がった尻尾、そして後頭部に備わった、傘のように展開する巨大なトサカが特徴的な大型の鳥竜種。
「こいつがアケノシルム…」
「キョォォォ…?ファホホホホホホホッ!」
オルタロスを捕食していたアケノシルムは、エリア8に踏み入れた2人を見るや否やトサカを開いて咆哮し、外敵と判断する。ククボFシリーズは耳栓が発動するので問題はないが、耀真の記憶の限りではイャンクックほどの体躯で、咆哮するモンスターは心当たりがないので普通に驚いた。
「キョオウッ!」
短く嘶いたアケノシルムは、バックステップで耀真に軸を合わせて嘴で突いてくる。
「クチバシ攻撃はイャンクックで見慣れ…痛ってえ!」
啄みを回避したと思った耀真だったが、直後に地面に叩きつけられた。アケノシルムが頭を動かしたことで、巨大なトサカが振りかざされたのだ。
「大きなトサカは武器にもなる。それを活かした頭突きは痛手だぞ!」
ドパン、ドパン、ドパン。
今度は3方向に火球を放った。
「おい、一旦疾駆けで様子見しとけ!」
「あ?ああ!」
ドラコの指示で鉄蟲糸を飛ばして宙吊りになり、下を見渡すと彼の意図がよく分かった。アケノシルムの火球はリオレイア等と違い、ゴムボールのように跳ねまわっている。予測しにくいこの挙動だと、何も考えずに回避行動を取っても被弾してしまうだろう。
「コイツが吐くのは火炎『液』。リオレウスほどの威力は流石にねーが、ちょっとやそっとじゃ消えねーのさ」
「アンタよく知ってんな…」
「寒冷群島にも姿を現すからな!」
「てことは、氷にも強いって事か?」
「いや、あそこは他の寒冷地ほど寒くないから色んなのが来やすいってだけの話だ」
跳ねまわる火球が消えたのを確認し、耀真は回避行動で鉄蟲糸を斬り、その勢いで空中からヒュプノクラリネットを叩きつける。
「自分強化して…まずはこれ!」
鉄蟲糸を上に伸ばし、ヒュプノクラリネットをカチあげながら軽やかに跳び上がって武器に糸を纏う。『鉄蟲糸響打』、狩猟笛に鉄蟲糸を巻き付かせることで、攻撃を当てると鉄蟲糸から衝撃波が発生し、追撃を行う技だ。この鉄蟲糸技によって、狩猟笛は手数を大きく稼ぐことが出来る。
「キョコココ…」
軽く跳躍したアケノシルムが翼を地面に這わせるように薙ぎ払う。繰り出した後、片足でポーズを取った後、もう一回。
「チッ、これ全然慣れねーんだよなぁ!」
狙うはドラコ、回避しようにも範囲が広すぎて無理と判断した彼は急いで里守用堅守盾斧を抜刀し、剣と合体した盾を鉄蟲糸で地面に固定してガードをする。『カウンターフルチャージ』と言う鉄蟲糸技だ。
「これ一発でビンにエネルギー溜まったからヨシとすっか」
「え?ガードだけでそんなにビンに…?」
「この技は単なる強固なガードじゃねぇ。ガード時に鉄蟲糸と剣が共振して強い衝撃が発生してビンにエネルギーが蓄積し、衝撃は糸を介して地面に逃げてくっつう仕組みなのさ。まーこれ全部ウツシ教官から聞いた事なんだけどな!」
「最後の一言で台無しになってない?」
「うるせー、攻撃に専念せんかい!」
耀真はとりあえずスタンを狙いたいと思い、しらべ打ちでアケノシルムの頭を殴打していく。横から2連撃で殴りつつ音撃を発生させるこの技は気絶を狙いやすい。
「さっさと新機能を使ってみたいんだからよ、スタンしてくれよ」
「じゃ、俺も少し手助けしてやっか」
ドラコも里守用堅守盾斧を剣モードから斧モードに切り替え、属性解放斬りを繰り出した。横に斬りつける都合上巻き込まれそうなことを考えた耀真は振り下ろしや叩きつけに切り替えて攻撃を続けていく。
「キョォォォッ⁉」
手数のある打撃と榴弾ビンの炸裂により、アケノシルムは気絶。その隙にドラコが剣モードに変形して消費した剣撃エネルギーを溜め直す一方で、耀真はヒュプノクラリネットの柄を地面に突き立て、横に回転させてアケノシルムを殴打する。
新大陸で使われている『響音攻撃』という機能だ。隙は大きいが威力は非常に高く、加えて『響音符』という音色が発生し、これを既存の音色と併せて演奏する事が出来る。
本来ならば演奏すると『響玉』という旋律を発生させるものを複数設置してその周辺に踏み入ったハンターを強化したり、追撃の手数を増やすものだが、セントは汎用性を考慮に入れた結果、『響音旋律の質を下げる代わりに響玉を不要にさせ、通常の演奏と同じ感覚で扱える』と言う方針で製造した。
…さて、話を元に戻して戦況を見ると、響音符を揃えた耀真が演奏を行っている。ヒュプノクラリネットの先端から衝撃波…『響周波』が発生し、気絶しているアケノシルムが呻いている。質は下がれどそれなりに実用性がある証拠だ。
「ンヒョフォオオオオオゥッ!」
スタンから回復したアケノシルムはトサカを大きく開いて咆哮。口からは火がこぼれており、怒っている。
「ここからが本番か…」
「隙が減ってくるぜ。旋律効果を絶やすなよ」
早速アケノシルムはトサカを前方に突き出しながら姿勢を取り、耀真に向かって突進。ふらつくような軌道で走ってくる。
「あの広い傘にあたらないように…って、2連続か」
序盤でトサカを叩きつけられたからこそわかる、怒り状態であの鈍重な攻撃に巻き込まれるのはまずい。耀真とドラコは翔蟲を塀に飛ばして駆け上がり、背後からの突進を避けた。
「アケノシルムはトサカの開き具合で挙動が若干変わる。よく見極めないとな」
「へー…。とりあえず高台にいるハンターはブレスで狙われやすいって聞くし、この隙に殴るか。アンタは?」
「暫く様子見させてもらうぜ。火に弱い防具だけど、ガード出来るから問題はねえ」
スタンを狙うのが打撃武器の役割とはいえ怒り状態の初見モンスターが相手では慎重に行くべき。そう判断して耀真は翼や尻尾を狙ってヒュプノクラリネットをぶん回して手数で攻撃していくが、途中から武器の手応えが悪くなった。
「やべ、切れ味落ちた…。でも研ぐ前に…」
アケノシルムから距離を取った耀真は、シビレ罠を設置して武器を研いでいく。今回、ウツシに代わって評価をするために来ているドラコに助太刀はまず期待できない。それを考えると動けない隙を自分でカバーしないとならないのだ。
「無防備な隙を晒している時の対策か。確実にヤツの動きを止めれるけど、マキムシが近くにいるのに気づかなかったのは残念だな」
「そういえば教わってたわ、そんな環境生物がいるのを。てか大社跡の詳しい立地覚えてねぇわ、エリア移動した時に軽く見渡しておくか」
耀真は手短にアケノシルムを狙えばいいと思っていたが、フクズクのおかげで常に位置が割れている。労力はかかっても大社跡の環境を頭に入れ直しておけば、もっとスムーズにいけたのかもしれない。
「ンキョオウッ!…キョアアッ⁉」
トリッキーな跳躍を繰り返して頭突きを繰り出してくるアケノシルムだが、シビレ罠にかかって動けなくなった。
「同じ轍は踏まない。さっきのお返しだ!」
耀真が自由を奪われたアケノシルムをぶん殴りつつクナイを刺し、更に音波を発生させた。
鉄蟲糸を繋いだクナイをモンスターに突き刺した後、糸を通して音の衝撃波を叩きこむ鉄蟲糸技、
「隙のデカいそれを使えたんなら、罠をケチらなくて正解だったかもな」
罠から脱出したアケノシルムはそのまま空を飛んでエリア8を去る。移動先はエリア9、泥沼と神社の拝殿のような建築遺構群がある場所だ。
「さて、今度はどうする。エリア9は目と鼻の距離だが?」
「少し回り道していく。サブキャンプで道具の補充もできるしな」
「そうか。いい判断だ。旋律もかけなおしておかないとな」
***
塀の内側からエリア10の沼沢を経由してエリア9に着いた耀真は、さっそくエリア10で拾った泥玉コロガシの団子を投げつけて水属性やられにし、鉄蟲糸を巻き付けたヒュプノクラリネットのしらべ打ちで何度も殴っていく。
「ん?あれは…雷毛コロガシか。隙を見て拾いたいな」
ヒュプノクラリネットは睡眠属性、攻撃を続けていけばそのうち眠らすことができるはず。その間に色々と態勢を整えることを考えるが、相手が上位個体となればそんな気長に先のことを考える余裕を与えてくれない。
————ボウッ、ボウッ、ボウッ…
「おいおい、火竜ですらやってこねえぞ!?」
アケノシルムが四方八方に火炎液を放ち、辺り一面に火球が跳ね回る。幸いなことに水場ではすぐに消火されるのでまだ陸地にいるよりまだましなほうではあるが、こんな乱れ撃ちをされては近寄れない。
「お?ブレスが切れて羽ばたいたな…って、また!?」
アケノシルムはその場から羽ばたいて耀真を引き剥がすが、更に空中で舞うような挙動を取りながら火炎液を吐き出して攻撃。こうも奇天烈にして手数の多い攻撃をされては避けるのは難しく、ブレスの餌食になってしまう。
「あっ、つぅ…!」
吹き飛ばされた耀真は急いで翔蟲受け身を取ろうとするが、それよりも早くアケノシルムが突進で追撃を与えてきた。まるで刺すような速度で、ストレートに突っ込んでくるので被弾が免れなかった。
「がっはッ!?」
よく見ると、アケノシルムのトサカが閉じている。傘状のトサカに受ける空気の抵抗が違ってくると、挙動にも差異が生まれるのかもしれない。
「おあっ、くそぉっ…」
耀真は立て続けに攻撃を受けたことで気絶してしまう。これでは更なる追撃で痛手は免れない。トサカを大きく開いたアケノシルムが、それを力一杯に叩きつけようと跳躍しながら迫り、頭突きを繰り出そうとする。
「らああっ!」
「ヒョハゥッ⁉」
が、そこに静観していたドラコが裂帛の気合とともに背後から不意打ち。鉄蟲糸を飛ばして垂直に飛び上がった。
目の前に斧をたたきつけ、その反動と鉄蟲糸で体ごと垂直に上昇する鉄蟲糸技、『アックスホッパー』。これはただ斧をモンスターに叩きつけて飛び上がるだけでなく、更に大技へ繋げることができるのだ。
「全ブッパしてやるぜ!」
それは空中超高出力属性開放斬り。属性圧縮を挟まないだけ発動までの隙が短く、更に通常の高出力属性開放斬りよりも火力が高いものだ。
アケノシルムは背中から受けた特大の急襲に怯み、しかも鉄蟲糸が絡みついて動けない。操竜のチャンスが生まれる。
「おい、大丈夫か⁉」
「あ…ああ、何とか。アンタ、できれば操竜をやってくれるか。立て直したい」
「おう、なら手っ取り早く戦線復帰しろよ!」
ドラコが鉄蟲糸を手繰り寄せてアケノシルムに乗り、廃屋や塀にぶつけている間に耀真は体力と切れ味の回復を図り、急いでアケノシルムの元へ駆けていく。ついでに雷毛コロガシも忘れずに拾っていく。
「よし、倒れてる!今がチャンスだ!」
塀にぶつかった衝撃で倒れているアケノシルムに狙いを定め、鉄蟲糸を伸ばして突進。ぶん回しから演奏攻撃に繋げていく。『スライドビート』という鉄蟲糸技だ。これでドラコと共に攻め立てていく。
「これで更に削るぞ!せぇいっ!」
更に、響音攻撃の時のように地面に柄を突き立て、回転させて演奏攻撃。衝撃波が響き渡り、アケノシルムを蝕む。
「『気炎の旋律』か!いいタイミングでやってくれるな!」
気炎の旋律は味方全体の攻撃力を大幅に上げる。しかし溜まった気力を解放して使う上に、効果が長続きしない。しかも発動時の動きが響音攻撃と似ているため隙がある。だからこそタイミングの見極めが重要なのだ。
そして一旦納刀した後に、雷毛コロガシの団子を投げつけてアケノシルムを雷属性やられに。手数のある武器で2人がかりで攻められてはすぐにアケノシルムもスタンしてしまう。
「今は味方を巻き込みかねないし、的が比較的小さいからな。こいつをかましてやるぜ!」
ビンにエネルギーを最大限蓄積したドラコがそれを刃に変換、エネルギーブレイドを繰り出してアケノシルムを切り裂いた。
「コァ、キョアゥッ…」
スタンで倒れていたアケノシルムは、何が起きているかわからないままその命の灯を消すのだった。
***
「お疲れさん。ついつい熱くなって手が出ちまったが、ぶっつけ本番の割にはうまくやれてたと思うぜ。ウツシ教官にもそう言っとくわ。場数を踏んで狩猟笛の機能と鉄蟲糸技を自分のモノにすればいいと思う」
「じゃ、もう暫くカムラに滞在して大社跡のクエストに行くかな…」
「そういえば響音攻撃の所感はどんなもんだった?」
「威力は申し分なかったけど、隙が大きいのと気炎の旋律と若干使い方が被るのが気にかかるな。翔蟲を使わないハンターならこれを使えばいいが…」
「そうなのか。引き出しは多くなれば、状況に応じて使いこなす柔軟さがもっと求められるな」
ゲームだと響音攻撃云々には響玉が存在しますが、鉄蟲糸技の共鳴音珠と被りそうな気がしたので理由をつけて消しました。
大体、新大陸や禁足地のハンターは最上級の実力者だから、彼らが使うものが一般ハンターに扱える代物じゃないでしょうし…。
響音と気炎の旋律を両立するのは振り返ってみると難しい話だったかもしれないですね。
あ、先月は中々筆が進まなかったな…。
レ・ダウとギラファアンデッドの顔は
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そっくりよね。
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⚠まったく似ていません!⚠