転生したらロイミュードだった件   作:仮面大佐

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第13話 全てを喰らう者

 俺たちが、豚頭帝(オークロード)と戦おうとすると、後ろから飛行音が聞こえてくる。

 

リムル「ん?」

ゴルド「何だ?」

 

 俺とリムルが後ろを向くと、赤い何かがこちらに向かっていた。

 あまりの早い速度に、俺たちはすぐに躱す。

 地面に激突した赤い星は、人だった。

 丁度、豚頭帝と紅丸達の間に着地したようだ。

 全員が警戒する中、そこに居たのは、シルクハットを被り、鳥の様な仮面をつけた男だった。

 

リムル「魔人か?」

ゴルド「かもな。」

 

 リムルの呟きに、俺はそう答える。

 すると、その男が叫ぶ。

 

ゲルミュッド「どういう事だ!?このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって!」

ゴルド「ゲルミュッド?」

 

 俺がそう呟くと、悪之知識が反応する。

 

悪之知識『ゲルミュッドとは………。』

ゴルド『リグルドの長男に名前をつけた奴だったな。』

悪之知識『で………です。』

 

 アイツがゲルミュッドか。

 すると、当のゲルミュッドは喚き散らかす。

 

ゲルミュッド「もう少しで俺の手足となって動く、新しい魔王が誕生したというのに!」

リムル「あ…………?」

ゴルド「新しい………?」

紅丸「魔王?」

ゲルミュッド「そうだ!だから、名付けをしまくった!種を蒔きまくったんだ!最強の駒を生み出す為にな!」

 

 ゲルミュッドは、そう叫んだ。

 それを聞いた鬼人勢は。

 

白老「その為に………。」

蒼影「我らの村にも………!」

紫苑「来たという事か………!」

 

 ゲルミュッドの言葉に、鬼人達は怒りを燃やしていた。

 それもそうだ。

 里を滅ぼした豚頭族を嗾けた元凶なのだから。

 すると、ガビルが叫ぶ。

 

ガビル「おおっ!これは、ゲルミュッド様!」

部下「あれが、ガビル様の名付け親の……。」

ガビル「どうして、ここに?もしかして、我輩達を助けに………。」

ゲルミュッド「役立たずの鈍間が!」

ガビル達「へ?」

 

 ガビルは、ゲルミュッドが助けに来たと思ったのか、そう声をかけるが、ゲルミュッドから突然罵られて、呆然とする。

 

ゲルミュッド「貴様もさっさと豚頭帝の糧となれ!」

ガビル「はっ!?」

部下「あの人、何を言ってるの?」

ゲルミュッド「役に立たない無能の分際で、いつまでも目障りな奴よ!豚頭帝に食われ、力となれ!俺の役に立って死ねるのだぞ。光栄に思うが良いぞ。」

ガビル「うげっ………げろ………ゲ………ゲル………!」

 

 ゲルミュッドのその言葉に、ガビルは動揺していた。

 ゲルミュッドは、豚頭帝に命令する。

 

ゲルミュッド「やれ!豚頭帝!」

 

 だが、豚頭帝は動かなかった。

 

豚頭帝「…………。」

ゲルミュッド「どうした?」

豚頭帝「…………魔王に進化とは、どういう事か?」

ゲルミュッド「チッ!本当に愚鈍な奴よ。」

 

 ゲルミュッドは、豚頭帝の言葉にそう毒づくと、口を開く。

 

ゲルミュッド「貴様が魔王、豚頭魔王(オークディザスター)になって、このジュラの森を支配するのだ!それこそが、私と、あのお方の望みだ!」

 

 ゲルミュッドのその言葉に、俺たちは。

 

リムル「あのお方?」

ゴルド「どうやら、ゲルミュッドを動かしてる黒幕が居るみたいだな。」

リムル「みたいだな。」

 

 なるほど。

 俺たちがそう話している中でも、豚頭帝は動かなかった。

 それを見たゲルミュッドは、苛立ちを見せていた。

 

ゲルミュッド「何をボケっとしている!豚が!!はぁ…………時間がない。手出しは厳禁だが、俺がやるしかないか………。」

 

 そう言ったゲルミュッドは、手に魔力を集める。

 それを見たガビルは動揺する。

 

ガビル「うわっ!ゲ………ゲル………!」

部下「ガビル様!」

部下「お逃げくだされ!」

ゲルミュッド「死ねぇ!!」

部下達「ガビル様!!」

 

 ゲルミュッドの攻撃に、ガビルの部下達が庇い、攻撃を受ける。

 ガビルは無事だったが、部下達は倒れていた。

 それを見たガビルは。

 

ガビル「…………ハッ!?お前達?」

部下「…………ガビル様が無事で………。」

部下「良かった…………。」

 

 そう言って、部下達は気絶した。

 それを見たガビルは、震えていた。

 

ガビル「お………おおっ………!おお…………おおおっ…………!ゲルミュッド様!!」

ゲルミュッド「豚頭帝の養分となり、俺の役に立つが良い!」

 

 それを見ていた俺たちは。

 

リムル「あっ!」

ゴルド「助けるぞ!」

リムル「おう!」

 

 俺たちは、急降下する。

 そして、俺はバンノドライバーのイグニッションキーを捻る。

 

ゴルド「変身!」

 

 俺は、ゴルドドライブに変身する。

 俺とリムルが、ガビルの前に向かっていると。

 

ゲルミュッド「フハハハハハ!上位魔人の強さを教えてやる!死ね!死者之行進演舞(デスマーチダンス)!」

ガビル「ゲルミュッド様〜!!」

 

 ガビルがそう叫ぶ中、俺とリムルは間に入り、リムルは捕食者でゲルミュッドの攻撃を取り込み、俺はドア銃のエネルギーシールドで受け止める。

 ちなみに、俺用のハンドル剣とドア銃は作っておいた。

 取り込み終わると、ゲルミュッドとガビルが驚いた様な声を出す。

 

ゲルミュッド「はあ?」

ガビル「ああっ………!」

リムル「なあ、これが全力か?」

ゴルド「この程度じゃあ、死なないだろ。」

ゲルミュッド「き………貴様ら………!」

ガビル「あなた方は………あなた様方は………!」

「「ほれ!」」

 

 そう言うガビルに、俺たちは回復薬を渡す。

 ガビルは、慌ててそれを全部抱きしめる。

 

ガビル「わわっ!」

リムル「回復薬だ。」

ゴルド「部下達に使ってやれ。大事な部下なんだろう?」

ガビル「は………はい!…………しっかりしろ!我輩の為に、こんな………!」

 

 ガビルは、部下達に、回復薬を使っていく。

 

リムル「………さて。」

 

 そう言うと、リムルは粘糸を発動して、ゲルミュッドを拘束する。

 

ゲルミュッド「ああっ!?なんなんだ、これは!?」

 

 ゲルミュッドは、動けなくなる。

 俺は、リムルに話しかける。

 

ゴルド「さて。こいつが黒幕の様だな。」

リムル「だな。」

 

 俺とリムルは、前に出る。

 俺は、ガビルの事を気に入った。

 最初こそ、次期蜥蜴人族の首領だからという理由で持ち上げられていたと思っていたが、部下達が、本当に心の底から、ガビルの事を慕っているのが分かった。

 なら、助けるのには十分な理由だ。

 すると、ゲルミュッドが叫ぶ。

 

ゲルミュッド「き………貴様ら!この上位魔人にこんな事………!グハァッ!」

 

 ゲルミュッドの言葉が、途中で途切れたのは、リムルが腹パンしたからだ。

 

ゲルミュッド「ぐはあ………。貴様!この俺に…………!」

ゴルド「うるさい。」

ゲルミュッド「ぐはっ!」

 

 ゲルミュッドの喚きに、俺はそう言って、ちょっと強めのパンチを叩き込む。

 そのパンチで、糸が切れて、ゲルミュッドは腹を抱える。

 

ゲルミュッド「ああっ………ううっ!」

リムル「上位魔人とか言って、偉そうにしてても、大した事無いんだな。」

ゴルド「単なる小物だろ。」

ゲルミュッド「わ、分かった!仲間にしてやろう!俺はいずれ………グハッ!」

 

 そう言うゲルミュッドの言葉が再び途切れたのは、俺とリムルのキックが炸裂したからだ。

 倒れたゲルミュッドは、喚く子供みたいに手足を暴れさせる。

 

ゲルミュッド「ああっ!はあっ………!キィィィィィ!貴様ら、終わるぞ!あのお方がお前達を許さんぞ!!」

リムル「そのお方の事、詳しく聞かせてくれよ。誰が糸を引いてるのか。」

ゴルド「なぁに。お前が喋るのを拒否しても、死なない程度にはやるから。」

ゲルミュッド「ヒィッ!やめろ!来るなァァァ!!」

 

 ゲルミュッドはそう喚いて、豚頭帝の方へと向かう。

 

ゲルミュッド「おい、豚頭帝!俺を助けろ!」

豚頭帝「…………腹が減った。」

 

 ゲルミュッドの助けにも、豚頭帝はそう呟いただけだった。

 

ゲルミュッド「クソが!俺を助けろ、豚頭帝!いや、ゲルドよ!!」

ゲルド「…………はっ!」

 

 豚頭帝改め、ゲルドは、ゲルミュッドの言葉に、何かを思い出すかの様な動きを見せる。

 

ゲルド「ん…………。」

ゲルミュッド「貴様がさっさと魔王に進化しておれば………!」

 

 ゲルミュッドがそう言う中、ゲルドは動き出す。

 ゲルドが動いた事に、他の鬼人達やシズさんにロイミュード達も身構える。

 

ゲルミュッド「この屑が。漸く動いたか。ハハハハハッ!こいつの強さを思い知るが良い!やれ、ゲルド!この俺に歯向かった事を後悔させ………!」

 

 ゲルミュッドの言葉は、最後まで続かなかった。

 なぜなら、ゲルドは、手に持つ巨大な包丁で、ゲルミュッドの首を刎ねたのだ。

 それには、その場にいる全員が驚く。

 悪之知識が報告をする。

 

悪之知識『ゲルミュッド、生命反応を停止しました。』

ゴルド『見れば分かる。』

 

 俺が悪之知識にそう答えると、ゲルドが動いた。

 ゲルドは、そのゲルミュッドの死体を食べ始めたのだ。

 ゲルミュッドとしては、ガビルを生贄にするつもりだったのだろうが、ある意味、因果応報の結末となったな。

 すると、ゲルドからヤバそうな気配が出てくる。

 

ゴルド「リムル………これ、やばくね?」

リムル「ああ。」

 

 俺の呟きに、リムルがそう答えると、知恵之実が報告する。

 

悪之知識『報告しました。豚頭帝、個体名ゲルドの魔素が増大しました。魔王種への進化を開始します。』

ゴルド『マジかよ………!』

 

 そうか、一応、俺たち相手には手も足も出なかったが、ゲルミュッドは上位魔人だ。

 それを食ったのならば、魔王種へと進化してもおかしく無い。

 俺たちが身構えると、ゲルドは進化した。

 

悪之知識『成功しました。個体名ゲルドは、豚頭魔王へと進化完了しました。』

 

 俺は、その報告を聞く。

 

リムル「豚頭魔王………。」

ゴルド「魔王、ゲルド………。」

リムル「ゴルド。放置する訳には行かないよな。」

ゴルド「だな。」

 

 俺たちがそう話してると、ゲルドは咆哮を上げる。

 

ゲルド「ウオオオオ!俺は、豚頭魔王!この世の全てを食らう者なり!名をゲルド。魔王、ゲルドである!!」

 

 こいつを放置してたら、本当の災厄が、このジュラの大森林を襲うだろうな。

 すると。

 

紅丸「紫苑!」

紫苑「はっ!お任せを!」

シズ「行くわよ!」

クリム「OK!」

ハート「ハァァァァ!!」

チェイス「ふっ!」

 

 紅丸の指示を受けた紫苑がゲルドに向かって走り出す。

 シズさん、ハート、チェイスも。

 

リムル「おい?」

ゴルド「大丈夫か?」

紅丸「ここは、俺たちにお任せを。」

 

 俺とリムルの呟きに、紅丸はそう答える。

 紫苑は、駆け出していた。

 

紫苑「薄汚い豚が!魔王だと?思い上がるなァァ!!」

シズ「貴方はここで倒す!」

ハート「相手をしてもらおう!」

チェイス「貴様を倒す!」

 

 紫苑、シズさん、ハート、チェイスの攻撃に、ゲルドは手に持っていた包丁で受け止める。

 

紫苑「うっ………!」

シズ「ふっ!」

ハート「ふんっ!」

チェイス「ハアッ!」

 

 四人の攻撃をゲルドは弾き、ゲルドは四人に攻撃しようとするが、紫苑は剛力丸で、シズさん、ハート、チェイスは回避して、距離を取る。

 四人は、再びゲルドに向かって駆け出し、ゲルドは、四人に攻撃しようとする。

 

ゲルド「ふんっ!」

 

 だが、白老がすぐそばに来ていて、首を斬り飛ばす。

 

リムル「やった!」

ゴルド「いや、まだだ!」

白老「ん?」

 

 リムルがそう言うが、俺はそう叫ぶ。

 なぜなら、白老が斬り飛ばした筈の首を、ゲルドが抱えていて、首の方から触手みたいなのが伸びてきて、すぐに再生する。

 

白老「なっ………!?」

リムル「凄まじい回復能力だな………!」

ゴルド「奴を倒すには、超火力で吹き飛ばすしか無い!」

 

 これは、ある意味では、風都探偵に登場したドーパント、トラッシュ・ドーパントと似た能力だな。

 まあ、あっちとは違って、回復力が環境に影響されないみたいだが。

 すると、蒼影とブレンがいつの間にかゲルドの後ろにいて、地面から糸が伸び、ブレンの手から毒が放出され、ゲルドを包み込む。

 

蒼影「操糸妖縛陣!」

ブレン「私の毒には、この様な使い方もあるのです。」

ゲルド「うう………。」

蒼影「やれ、紅丸!」

紅丸「これでも、食らってな!」

 

 紅丸は黒炎獄(ヘルフレア)を発動して、ゲルドを炎に閉じ込める。

 

嵐牙「ワォーーーーーン!!」

 

 嵐牙の咆哮と共に、糸が燃え、現れたゲルドに、雷が落ちる。

 嵐牙は唸っていて、リムルが話しかける。

 

リムル「魔素切れか?」

嵐牙「面目ありません………。」

リムル「俺の影に潜ってろ。」

嵐牙「はっ!」

 

 魔素切れを起こした嵐牙を、リムルは自分の影に潜らせた。

 俺が目を凝らすと、ゲルドはそこに居た。

 

紅丸「何っ!?」

「「「「あっ!?」」」」

リムル「まさか………!?」

シズ「そんな……………!?」

ゴルド「無事かよ………!?」

 

 俺たちは、驚いた。

 蒼影、ブレン、紅丸、嵐牙の攻撃で、あちこちが焦げているものの、無事であるゲルドに。

 

ゲルド「これが………痛みか。」

リムル「嘘だろ………!?」

ゴルド「致死級の連続攻撃を食らっておきながら、存命かよ………!」

 

 俺とリムルがそう驚いていると、二人の豚頭将軍(オークジェネラル)のうち、1人が跪く。

 

豚頭将軍「王よ。この身を御身とともに。」

ゲルド「…………うむ。」

 

 豚頭将軍がそう言って、ゲルドが頷くと、その豚頭将軍を食べる。

 すると、黄緑色のオーラがゲルドを包み、回復していく。

 

リムル「…………自己再生と回復魔法か。」

ゴルド「厄介だな………。」

ゲルド「足りぬ。もっとだ!もっと大量に食わせろ!!」

 

 俺とリムルがそう言うと、ゲルドは手から魔力弾を発射する。

 それは、紅丸達の上空に行くと、幾つもの大量に分かれる。

 あれは、先程ゲルミュッドが使ったスキル、死者之行進演舞だろう。

 俺とリムルは、再び各々のスキルを使い、死者之行進演舞を無効化する。

 

紅丸「リムル様、ゴルド様。」

リムル「大丈夫だ。」

ゴルド「俺たちに任せろ。」

 

 俺とリムルは、ゲルドに向かって歩いていく。

 

ゴルド「行けるか、リムル?」

リムル「ああ。………出番だぞ、大賢者。お前に託す!さっさと敵を打ち倒せ!」

 

 リムルがそう言うと、リムルの金色の目が赤くなっていく。

 俺は、ハンドル剣とドア銃を構える。

 すると、ゲルドは、豚頭将軍が使っていたスキルを使う。

 

ゲルド「喰らい尽くせ!混沌喰(カオスイーター)!」

 

 そう叫ぶと、俺たちに四つの顔が飛んでくる。

 リムルはそれを躱す。

 あれは、リムルから一度聞いていて、ユニークスキル、大賢者のオートバトルモードだと。

 リムルは、黒い炎を纏った刀とバナスピアーで、ゲルドの左腕を吹き飛ばす。

 あの黒い炎は、ゲルドの左腕の上の部分にまで纏わり付き、再生を妨害している様だな。

 

ゴルド「俺も負けてらんねぇな!」

 

 俺はそう言って、ドア銃から弾丸を発射する。

 ゲルドは、俺に肉切り包丁で攻撃してくるが、ハンドル剣とドア銃で受け止める。

 そこにすかさずリムルが刀に黒炎を纏った状態で攻撃する。

 

ゲルド「バカな!?」

 

 ゲルドが驚いたのは、リムルの攻撃で、包丁が溶け始めた事だ。

 ゲルドは、すぐにそれを放す。

 すると、包丁はリムルの攻撃による炎で、あっという間に溶けて、形が無くなった。

 

ゲルド「うう………。」

 

 ゲルドはそう唸って、未だに燃えている左腕を千切る。

 

豚頭将軍「マイロード!ううっ!」

 

 残りの豚頭将軍が、ゲルドに向かって叫ぶ。

 すると、再びあの黄緑色のオーラがゲルドを包む。

 

ゲルド「おおおおおおっ!」

 

 すると、千切った左腕があっという間に再生する。

 しかも、更にパワーを増した気がする。

 ゲルドの方も、本気になったか。

 

ゲルド「今こそ、お前達を食ってやろうぞ!はっ!」

 

 ゲルドがそう叫ぶと、再び死者之行進演舞を発動する。

 俺とリムルは、それぞれのスキルで、死者之行進演舞を無力化する。

 すると、ゲルドは異常なほどの速さで、俺とリムルの背後に立つ。

 俺は、何とか躱せたが、リムルがゲルドに捕まってしまった。

 

ゲルド「ワハハハハ!まずは貴様をこのまま食らってくれるわ!」

ゴルド「リムル!」

 

 すると、ゲルドの足元に、魔法陣が出現する。

 その魔法陣から出た炎は、ゲルドをリムルごと包み込む。

 

ゲルド「うわぁぁぁ!!」

ゴルド「あれは!?」

悪之知識『解。個体名リムル=テンペストがイフリートを取り込んだ際に手に入れたスキル、炎化爆獄陣(フレアサークル)です。』

ゴルド「なるほど。」

 

 そんなスキルもあったのか。

 だが…………。

 

ゲルド「うわぁぁぁ…………ハハハハハ!」

 

 ゲルドは、無事だった。

 どうやら、炎耐性を獲得してしまった様だな。

 このままじゃ、リムルが食べられる!

 ゲルドは、勝利の宣言をする。

 

ゲルド「う〜ん………。俺には炎は通じぬ様だぞ。」

リムル「そうかよ。炎で焼け死んだ方が幸せだったかもしれないぜ。」

ゲルド「フン!」

リムル「俺は、お前を敵として認めた。今こそ、本気でお前の相手をしてやるよ。」

ゲルド「ワッハハハハ!笑止!今までは本気でなかったとでも?最早、貴様には何もできぬ!このまま俺に食われるが良い!」

 

 ゲルドがそう言うと、リムルの周囲から、煙が出てくる。

 だが、ゲルドの手の下から、リムルのスライムとしての一部が出てくる。

 なるほど、そういう事か!

 

リムル「お前に食われる前に、俺がお前を食ってやるよ。俺は………スライムだ!」

ゲルド「なっ!?おお………!?」

 

 リムルは、擬態を解除して、ゲルドに纏わりつく。

 ゲルドがリムルを掴もうとする中、俺はすぐにイグニッションキーを捻り、ゴルドゴンバージョンを発動して、ゲルドの動きを止める。

 

ゲルド「き…………貴様ら………!」

ゴルド「リムルを甘く見たな。そいつ、スライムなんだよ!」

リムル「ああ!食うのは、お前の専売特許じゃねえんだよ。………お前が俺を食うのが先か、俺がお前を食うのが先か。相手を食い尽くした方が勝ちだ!」

ゲルド「うおおおっ!」

 

 ゲルドは、何とかリムルを剥がそうとするが、左腕を失っている事が影響して、中々上手く行かない。

 リムルは、次第にゲルドを包み込んでいく。

 すると、いきなり俺の視界がスパークする。

 目を塞いで、しばらくして、目を開けると、そこには、枯れ果てた大地が。

 

リムル「何だ、この光景?」

ゴルド「枯れ果てた大地………。」

リムル「えっ!?何でゴルドまで居んの!?」

ゴルド「分かんねぇ…………。」

 

 俺とリムルが戸惑っている中、悪之知識が答えてくれた。

 

悪之知識『解。ゴルドゴンバージョンにより、魔王ゲルドの精神に入ったと推測。』

ゴルド「なるほどな……………。」

 

 そういう事か。

 確かに、ゴルドゴンバージョンを発動してるしな。

 すると、子供の泣き声が聞こえてくる。

 

リムル「アレは………豚頭族の子供か?」

ゴルド「あんなに痩せ細って………。」

 

 すると、そこに大柄な豚頭族と、その従者の豚頭族がやって来る。

 

ゴルド「リムル、あれって………。」

リムル「多分、後のゲルドだ。恐らく、豚頭魔王、ゲルドの記憶の中………。」

ゴルド「ゲルドの記憶………。」

 

 俺たちがそう話す中、後のゲルドとなる豚頭族は。

 

ゲルド「腹が減ったのか。少し、待っていなさい。」

 

 そう言うと、ゲルドは自分の左腕を千切る。

 それには、後ろの豚頭族が目を背ける。

 ゲルドは、千切った左腕を、子供達の前に置く。

 

ゲルド「さあ、食べなさい。」

 

 子供達は、一瞬躊躇ったが、一心不乱にゲルドの左腕を食べる。

 それを見て、ゲルドは。

 

ゲルド「しっかり食べて、大きくなるのだぞ。」

 

 そう優しく語りかけた。

 その後、場所を移動したゲルドは、一人の豚頭族から懇願される。

 

豚頭族「王よ。もうお辞め下さい。この大飢饉の中、王である貴方まで失ってしまっては、我ら豚頭族には、もはや絶望しかありません………。」

 

 そんな痛切な願いを聞いたゲルドは、再生した左腕を見ながら。

 

ゲルド「…………一昨日生まれた子が、今朝死んだ。昨日生まれた子は、虫の息だ。この身はいかに切り刻もうと再生するのに………これが既に絶望でなくて、何だと言うのだ。」

豚頭族「王よ………。」

ゲルド「森に入り、食料を探す。」

豚頭族「あ………。王よ!ジュラの森は、暴風竜の加護を受けし場所………!」

ゲルド「その暴風竜は、封印されて久しい。………少しばかりの恵みを………。」

 

 ゲルドは、その豚頭族の静止を振り切って、ジュラの森へと向かっていく。

 しばらくして、ゲルドは倒れ、ゲルミュッドと出会った。

 すると、俺とリムルの背後に、豚頭魔王、ゲルドが現れる。

 

ゲルド「あの方は教えてくれた。豚頭帝となった俺が食えば、飢餓者(ウエルモノ)の支配下にある者は死なない。………邪悪な企みの駒にされていた様だが、賭けるしかなかった。だからオレは食わねばならない。………お前が何でも食うスライムだとしてもオレは食われるわけにはいかない。」

リムル「食い合いは、俺に分がある。お前は負ける。」

 

 現実世界では、リムルに取り込まれ、溶け始めているゲルドの姿があった。

 現実世界の俺は、それを見て、仮面の下で涙を流していた。

 

ゲルド「俺は、他の魔物を食い荒らした。ゲルミュッド様を食った。同胞すら食った。同胞は飢えている。俺は負ける訳にはいかない。」

リムル「………この世は弱肉強食。お前は負けたんだ。だから、お前は死ぬ。」

ゲルド「俺は…………負ける訳にはいかない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。俺は罪深くとも良い。皆が飢える事のない様に、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ。」

ゴルド「…………それでも、お前は負ける。だが、安心しろ。お前の罪や同胞の罪は、俺が背負ってやる。」

 

 ゲルドは、俺の言葉に驚いた。

 

ゲルド「………何だと?」

ゴルド「アンタは、良い奴だからな。」

リムル「なら俺は、お前達オークの罪を食ってやる。」

ゲルド「俺の罪を………背負う?食う?」

リムル「ああ。お前だけじゃなく、お前の同胞、全ての罪も食ってやるよ。」

ゲルド「同胞も含めて………罪を?フッ。お前達は欲張りだ。」

リムル「そうだなぁ。俺は欲張りだよ。」

ゴルド「でも、欲張りで何が悪いんだよ?」

 

 俺とリムルがそう言うと、俺たちの足元から枯れ果てた大地が、緑豊かな草原となっていき、ゲルドも、豚頭魔王から、普通の豚頭族としての姿に戻っていく。

 ゲルドが目を開けると、そこには。

 

ゲルド「お………!おおっ…………!」

 

 そこには、自然溢れる草原が広がり、鳥の鳴き声、子供達の笑い声、川のせせらぎが溢れていた。

 それを見て、ゲルドは、膝をつき、大粒の涙を流す。

 

ゲルド「…………強欲な者達よ………俺の罪を背負いし者よ………!俺の罪を食らう者よ………!感謝する。」

ゴルド「魔王ゲルド。」

 

 ゲルドがそう言う中、俺は話しかける。

 

ゲルド「何だ?」

ゴルド「魔王……………いや、民を思う豚頭族の王よ。貴方の覚悟の強さは本物だ。そんな貴方だからこそ……………豚頭族の皆が笑顔で暮らせる姿を見届けて欲しい。俺達が貴方との約束を果たすその光景を。」

リムル「ゴルド……………魔王ゲルドを助けるのか?」

ゴルド「ああ。やっぱり、アンタには、笑顔と希望で溢れる豚頭族達を、見守ってほしいからな。」

 

 そう。

 魔王ゲルドの決意は、俺の心に響いた。

 民を救う為に、己だけで罪を背負うとするその心が。

 

ゲルド「だが………………俺は、数え切れぬ罪を犯してきた。その俺が、助けられるなど、許されるのか……………?」

ゴルド「死ぬ事だけが、償いになる訳じゃないさ。」

ゲルド「………………っ!?」

ゴルド「確かに、アンタの罪は重いさ。でもな、それは同胞を救おうとしたからだろ?だからさ……………アンタが生まれ変わっても、許されない訳じゃないさ。」

 

 俺がそう言うと、魔王ゲルドは、涙をこぼしていく。

 

ゲルド「……………感謝する。」

 

 そう話すと、俺は魔王ゲルドの魂をバイラルコアに移す。

 悪之知識さん曰く、出来るそうだ。

 俺は、自分の意識が現実世界に戻った事を実感する。

 リムルは、スライムとしての姿から、人としての姿になる。

 

リムル「…………しばらく休むが良い。ゲルド。」

ゴルド「ああ。」

 

 俺とリムルは、そう呟く。

 豚頭帝が倒された事により、飢餓者の効果も消滅した。

 現時点を持って、豚頭族の侵攻は、終わったのだった。

 俺は変身解除して、リムルと共に振り返ると、皆が歓声を上げる。

 豚頭族達は、王を失った悲しみに暮れていた。

 そんな中、ゲルドのそばにいた豚頭将軍は呟いた。

 

豚頭将軍「王よ………。やっと………解放されたのですね。」

 

 そうして、戦いは終結した。

 その後、戦後処理の為に集まる事になって、蜥蜴人族達は、引き上げて行った。

 俺とリムルは、鬼人達に話しかける。

 

リムル「………終わったな。」

紅丸「はっ。」

ゴルド「豚頭帝を討ち滅ぼしたら、自由にしてもらって良いという約束だ。今までご苦労だったな。」

紅丸「リムル様、ゴルド様。お願いがございます。」

リムル「何だ?」

ゴルド「ん?」

 

 俺とリムルがそう言う中、紅丸は俺たちに話しかける。

 

紅丸「何卒、我らの忠誠をお受け取り下さい。我ら、これからもリムル様とゴルド様にお仕えいたします!」

ゴルド「え?」

リムル「…………良いのか?」

白老「異論はござらぬ。」

蒼影「あなた様方に会えて、自分達は幸運であります!」

 

 紅丸の言葉に、俺たちはそう聞いて、白老、蒼影が答える。

 すると、紫苑はリムルの方に来る。

 

紫苑「フフフフッ!」

リムル「うっ!ううっ………。」

紫苑「私は、リムル様の秘書兼護衛ですよ!絶対に離れませんからね!」

紅丸「我らの命、果てるまで!」

リムル「う………うん。」

ゴルド「そ、そうか。」

 

 こうして、紅丸達鬼人は、俺たちの仲間になったのだった。




今回はここまでです。
魔王ゲルドは、救われました。
バイラルコアに魂が入る事で。
もちろん、魔王ゲルドのボディは、用意します。
次回は、ジュラの森の大同盟に関する話です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
マッハドライバーは、ベスター、ブレン、クリムが開発します。
テンペストの頭脳、三人が力を合わせます。
今後の展開は、ジュラの森の大同盟の後は、しばらくは転スラ日記の話をやる予定です。
今後の展開でリクエストがあれば、お願いします。
これからも、応援の程、よろしくお願いします。
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