独身魔王が婚活を仕掛けてきた! 作:はふへェ!
A.春眠暁を覚えずって言うじゃん?書こうと思ったら寝ていて書く時間が消し飛んでたんだよね……春眠春眠、全部春眠が悪いようん!
ヨシ!!!!
「決闘?え、なんで?」
ビシリ!と指を指された姫様は、困惑した様子でそう言った。
「ねえクリフ、私王族よね?なんで平民から決闘を挑まれているの……?」
首を傾げながら、しきりに俺の裾を引っ張る姫様。
しかし、そんな姫様に返事ができないほど俺は焦っていた。
───決闘を申し込むとか、練ったシナリオを忘れているのでは?
やばい、尋常じゃなくやばい。やばい以外の言葉が出てこないレベルでやばい。
描いていたシナリオでは、「記憶喪失している上、魔王に囚われていた意味があるはず。ケアと身の安全のため、彼女を王城に住まわせてください」と王様を
慎重に、確実性を重視する……そのはずだった。
計画は魔王の宣戦布告で早くも崩れ去ろうとしている。
もし、今ここで魔王の事がバレたとしよう。下手をしなくても衛兵を呼ばれかねない。すると魔王を手引きした裏切り者として追放、もしくは囚われの身に。
正直に「魔王が俺に惚れて婚約者にしたいそうです」なんて言ってみろ。魔王を追い返したとしても、洗脳でも受けたと思われて一生囚われの身に。
一番良いのは、魔王と姫様達がある程度信頼関係が築けてから魔王とバラす事だ。少し時間はかかるが、信頼関係を築いて「魔王は人を襲わない」という認識が刷り込まれれば受け入れられる可能性が高くなる。
そう、
例えば、親友や恋人が魔族だったとして、それを受け入れられる人類は少ない。それほどまでに人類は魔族に悪印象を抱いている。
つまり、どれだけ好印象を抱かせても、魔王である事をバラすのは必ずリスクを伴う。俺の追放や投獄、そして人類の滅亡というリスクが。
そのリスクを鑑みると、慎重すぎるほどでちょうど良い。失敗はできないからだ。
しかし、この状況で魔王を黙らせて自然にフェードアウトする……なんて事は不可能。
主に魔王が本気で踏みとどまろうとすると、いくら聖剣で殴ったとしても直立不動でいることができるからだ。
前の様に手を引っ張れば……いや、あれは不意打ちだからこそ混乱したのだろう、
くっ、俺は平穏に生きたいだけだというのに、世界が試練を与えてくる……!
この状況を他人に……しかも魔王の判断に委ねられているという事に胃がキリキリとする。
魔王、分かってくれ。てか分かるよな!ここで魔王とバレると大変な事くらい……!
「当代魔王、プロメア・マオウ・アーデルハウトの名の下に、貴様に決闘を申し込む!!」
………あっ、おわった。
「魔王と姫、種族は違えど同じ王族。これで立場の問題はないな!さあ、正々堂々と勝負だ!!」
キリキリと痛む胃と頭を押さえる。
最悪だ……数ある選択肢の中で最悪に近い回答を出したぞこいつ。
シナリオどころか、説得に必要な土台そのものをぶち壊しやがった。
どうする……いや、これは…どうしようもない、か……
そう諦めかけていたその時。
「マオウ?え、何言ってるの?魔王がこんな所にいるわけないじゃない。あっ、もしかして記憶喪失の影響で……」
……そうか。
俺はコイツが魔王だと知っているが、姫様は魔王だと知らない。なら、いくら魔王と名乗っても冗談の類だと思うのが自然……!
いける、まだ誤魔化せる……!
「そうなんですよ姫様。彼女は少し頭の方が………」
「む、すまない。人の身に変身していたな……よっと」
「は?」
あまりにも自然に、手首のブレスレット……変身の魔道具を外す魔王。
すると、先ほどまで無かったもの。大きなツノ、尖った耳という人には無いものが生える。
「どうだ、立派なツノだろう?」
ポカンとする俺たちを置き去りに、謎に胸を張る魔王。
「これで魔族である事は証明できたはずだ。私の前でイチャついた報い……じゃない。誇りを賭けて勝負だ!」
……いやいや、いやいやいやいや。
え、何してんの?本当に何してくれてんの!?
「ちょ、お前何してんだ!?慎重に行くって言っただろ!?」
「え?……あっ」
「『あっ』じゃねーよバカ!」
「い、いや、その……すまん!」
「謝んなせめて言い訳をしろぉ!!」
「ね、ねえ!アレ本物?本物よね!?魔王って魔王ってことよね!?!?」
「えーっと……わ、私は魔王じゃないぞ!!それはそうと、勇者に引っ付きすぎじゃないか!?羨ま……こほん、淑女なら少し離れるべきじゃないか!?」
「お前ちょっと黙っててくんないかなぁ!?」
「どういうことなの!?ねえ、クリフ、これどういうことなの!!?」
右と左の腕をそれぞれ掴まれ、されるがままにされる。
あー、もう終わりだ!全部終わり!
逃亡生活ってどんなのかなー!!楽しみだなー畜生!!
■■■
「なるほど、なるほどね……」
あの後、姫様はなぜか人は呼ばなかった。
一生逃亡生活かと覚悟を決めていたが、姫様の様子を見ると、特段騒ぎ立てて事を荒立てようとはしていなかった。
しかし、最初に練っていた計画は全て台無し。全てをあけすけに話すように詰められた。
普通、魔王が目の前にいたら即刻通報するのが常識のはず……事情を話してはい終わり、とはいかないのだが……
もしかして、貴族はそこらの常識が違うのか?王族だけの何か決まり事があるとか……
詳しい事は分からないが、一旦は助かった……と見るべきか。
「魔王が貴方に惚れて、結婚したいけど私という婚約者がいるからそれができない。だから婚約破棄をさせるためにここに来た……なるほど。うん、事情は分かったわ」
「分かったんですか」
「そこまでは辛うじて理解できるわ。でも……決闘?私が?なんで???」
「魔族の文化ではな、こういうお互いが引けない場合では決闘で決めるという習わしがあってだな……」
「私人類なんだけど」
まあ、その反応が妥当だろう。
「決闘で白黒はっきりさせる」という文化が人類にないわけではない。それでも、王侯貴族が自らの手で決着をつける事はない。
貴族の決闘と言えば、お互いに代理人を立てるのが基本だ。財力やコネクションを競い、より優秀な者を獲得することである。
「決闘はしないわ、勇者を婚約者にするのは諦めなさい」
「なっ……」
決闘を断られるとは思わなかったのか、絶句する魔王。
当たり前の話だが、魔族の価値観が無い上、姫様が決闘を受ける理由がない。
魔王との命のやり取りという、極限の状態だったから気付かなかったが、姫様が決闘を受けるとは限らないのだ。
「話を聞く限り、強ければ誰でもいいんでしょ?代わりと言ってはなんだけど、私が何人かいい感じの人を見繕ってあげるから」
「だ、だが魔王軍の調べでは、婚約者候補となるのは勇者以外居ないはずなのだが……」
「魔王軍がどれだけ調べてるかは知らないけど、普通にいるでしょ。そもそも勇者の選定って一番強い人じゃないもの」
すでに姫様の中では解決の算段が付いているのか、椅子に深く腰をかけて淡々とした様子で話す。
「魔族がどこから攻めてくるか分からない以上、守りを固めるのが基本でしょう?勇者はそういう守りの任に着かなくても良い人の中で上位層の強さの人が着く役職よ」
「ゆ、勇者の同年代に勇者以上の実力者はいないはず……」
「それって騎士団の中だけでしょ?冒険者とか、他国とか見れば勇者より強い人なんて山のように……は行かなくても、十分選べる程度にはいるわよ」
俺自身「ちょっと勇者にならない?給料いいよ」と誘われたから乗っただけで、軽い試験と面接があった程度だった。そのため、勇者の細かい規定は知らなかったが……なんというか、思ったより夢がないというか……
少しだけ「俺にも秘められた力が……」なんて思っていただけに少し肩透かしを食らった気分だ。
「じゃあ、それでいいわね?細かい話は後にしましょ。クリフも疲れてるでしょ?今日は休みなさい」
予想外の優しさに胸を打たれる。
それ以上に、話の着地点を俺の想像を遥かに超えた最良のものにしてくれた事に感動すら覚える。
たった数分の間に俺を魔王の婚約者候補から降ろし、絶対何かやらかす決闘を回避し、魔王が暴れないように対策まで打ち出した。
冷静に考えられる場面じゃ無かったとしても、ここまで綺麗に面倒事を処理してくれるとは……!
これが王族の力か……傍若無人唯我独尊姫なんて思っててすみませんでした。
「代わりに、明日は少し付き合いなさいよね」
「ええと、何か用事ですか?できれば明日は報告書などまとめたいのですが……」
「報告書なんて後でもできるでしょ!とりあえず、明日は開けときなさいよね!」
「はい……」
やっぱり傍若無人なのは間違ってないのかも知れない。
「………のか」
「ん?どうかしたか魔王?」
「逃げるのか?」
少し明日が憂鬱だと思いながら、部屋から出ようとしていたら、魔王が仁王立ちのまま話し出した。
「は?逃げる?」
「ああ、いやいい。勝てない勝負はしないというのは至極当然、負けるとわかる勝負に挑むことが美徳とは言わない」
煽る。
「いや、そういうことじゃ……」
「決闘と言っても力比べじゃないと説明したが……ああ、自分で勝負をする機会がないお姫様には厳しいだろう」
煽る。
「なにを言って……」
「それに!身長もバストサイズもツノの綺麗さも私の方が上だ!!勇者は私の胸をガン見していたぞ!!」
「おい待てコラ」
「これはもう、実質的に私の勝ちだな!!」
ガン見はしてないだろうが!
いや、確かにふと胸に目がいってしまった時もあった!それは認める、認めるが……誇張表現もいいところだぞ!?
「姫様、奴は頭がおかしいのです。話半分で聞いていれば………姫様?」
相変わらず煽り続ける魔王から姫様を引き離そうとする。
しかし、姫様は少しうつむきながら、拳を握りしめて動こうとしない。
あっ、もしかしてあの煽りが舐められて判定に引っかかって……
「………」
「ひ、姫様?とりあえず部屋から……」
「クリフ」
「はいっ!」
「胸は見たの?」
「え、いや、その……」
「見たかと聞いてるの」
「すみません、少し目が行きましたがガン見はしてません!!」
怖いんだが!?
瞳孔開いたまま、目と目を合わせられるのすごく怖いんだが!?
姫様は魔王と比べてその……スレンダーな見た目をしている。その事を気にしていた……?いや、そんなのは聞いたことがないし……
俺が胸を見ていた事が気に食わなかった?うん、婚約者がいるのに他の人に目移りした事に気を触ったとか……そういうことだろう。あれ?じゃあ姫様が怒ってる原因って俺では……?
「ふぅん……そう」
そう言うと、視線を魔王に向ける姫様。
「決闘よ……グレゴール王国第三王女、ディアナ・フォン・グレイズロッドの名の下に決闘を受けるわ!!」
「姫様!?ちょ、何を言って……!」
「ボコボコにしてあげるから覚悟しなさい!」
そう高らかに告げる姫様。良い笑顔の魔王。
その2人を見ると、胃と頭がまた痛んでくるのだった。
王族の煽り耐性は0です。
「左で打てや」って言ったら一発で左で打とうとするぐらいには煽り耐性がないです。
「会話」と「会話」の間は
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詰めて
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1行あけて
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どっちでもいい早よ書け
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興味ないね……