独身魔王が婚活を仕掛けてきた! 作:はふへェ!
承認欲求が満たされる音がするぜえ……!
翌日。
俺は止まない胃痛に苛まれながら廊下を歩いていた。
え?報告書?そんなの書いてる場合じゃない。
世界の滅亡とか姫様の安否とか俺の貞操とか、色々賭け皿に乗せたらいけないものを乗せた決闘が幕を開けるせいだ。
また胃が痛くなってきた気がする……
憂鬱だと思いながら、目的の部屋に着く。
……何で俺がこんな事を。とは思うが、この仕事を無関係の者にさせるわけにも行かない。
「おい、起きてるか?おーい」
コンコンコン、と扉をノックしながら呼びかける。
しかし、部屋からは反応がない。
「おい、おーい?起きろ、時間だぞー」
コンコンコンコンコン、とノックを続ける。
反応はない。
「………」
ココココココココココ……!
とノックを続けていると、部屋からドタン!バタン!と大きな音がした。
すると、数秒も経たない間に扉がゆっくりと開く。
「なにぃ、うるさぁい……」
寝巻き姿で寝癖が跳ねている、正に今起きた状態の魔王が出てきた。
しかも、完全に意識が覚醒していないのか目は開いておらず、滑舌も回っていない。
「モーニングコールだ」
「んあー……もう、あさ………」
「寝るなー、起きろー」
朝に弱いのか、なんと扉の縁に身を寄せたまま寝始める魔王。
手を叩いたり揺さぶって何とか起こすも、まだ寝ぼけているのかトロンとした目をしている。
「起きたか?そろそろ時間……」
「……おはようのちゅーは……?」
よし、水風呂に叩き込もう。
■■■
「朝からひどい目にあった……」
「お前の妄言の方が100倍酷かったぞ」
寝ぼけていた魔王を見事に水風呂に叩き込むことができた。
イラッとして衝動的にやったが、後悔していない。
こんな目に合わされているんだし、少しくらい反撃してもバチは当たらないはずだ。
……まあ、水風呂に叩き込むのはムカついたとしたとしても少しやりすぎたかな……
「み、未婚なのに肌を見られた……これはせ、責任を……!」
「透けないタイプの服だっただろうがふざけんな」
氷風呂でもよかったかも知れない。
「全く、こんなに朝が弱いとは……なんだ、あまり寝付けなかったか?」
「あー…いや、その恥ずかしい話なのだが……朝に弱くてな。昔から婆や達に世話をしてもらってたんだ」
本当に恥ずかしそうに、少し眉を下げながらそう答える。
そう言えば、側近のババアも「魔王様の世話の仕方〜」とかなんとか言っていた気がする……聞く前に連れ去られたから聞けなかったけど。
「朝起きると手を引かれて洗面台に連れて行ってもらって、用意された洗面器で顔を洗って、朝食を口まで運んでもらってたよ」
「世話のレベルが予想以上なんだが」
世話というか介護では?
というか、朝だけでこれとは……他にも世話しないといけない事が何かあるのかな……ないと良いなあ……
「で、朝から一体どうしたんだ?」
「姫様がお呼びなんだよ」
「と言うことは……」
「ああ、今から決闘だとさ」
そう言うと、途端にワクワクした顔をする魔王。
「ふふ…ようやくだ……!さあ、今から行こう、早く行こう!」
パタパタと駆け足気味で俺の周りをうろつく魔王。
よほど待ちきれないのか、少し進んでは俺の下にを繰り返す。
そんな魔王に言うことは一つ。
「廊下を走るな」
「あ、はい」
魔王に与えられた部屋は、客室の中でも離れた場所に作られた人気が少ない場所だ。
しかし、ここは王城。他の王侯貴族も顔を出すし、騎士や従者も歩いている。どこで誰の目があるか分からない以上、悪目立ちする行為は控えるべきだろう。
……魔王だとバレた瞬間に色々と終わるから、本当に悪目立ちするのはやめてほしい。
「それで、結局何をするんだ?」
「さあ、姫様に呼んでこいとしか聞いてなくてな……」
なにやら自信がある様子だったが……魔王に勝てる事、と考えるとあまり思いつかない。
姫様の事をあまり知らないこともあるが、それ以上に魔王が規格外な存在だからだ。
一度魔王の本気を見たから言える。あれが負ける様を想像できない。
いや、まあ切に魔王には負けて欲しいが。俺の想像が乏しかったと思いたい。
「まあ、直接本人に聞けば分かる」
そう言い、一際大きな扉に手をかける。
そこは広い石畳の空間。壁にはずらりと武器が並んであり、真ん中には広めの円状に少し段差のある場所が。それはまるで……
「闘技場……?」
「いいえ、違います!ここは第一修練場……普段は騎士が訓練する場所なのです!」
姫様のものでない、溌剌とした声にギョッとする。
声の方を向くと、長い金髪を後ろにまとめ上げている背の高い美女。しかし、その顔には似つかないゴツい全身鎧を纏っている。
その姿を見て、思わず声を上げてしまう。
「き、騎士団長?なぜここ──ぶおぉ!?」
「おお、勇者じゃないですか!久しいですね、1年ぶりですか!?」
騎士団長はそう言いながら、俺の頭を胸に押しつけて撫で回す。そう、この人は生粋の
美人に胸に抱き寄せられるのは嬉しい……何も知らない人ならそう思うのだろう。しかし、これは地獄なのだ。
騎士団長はほとんどの場合鎧を着ている。そのため、胸に抱き寄せられると自然と頭を金属に叩きつけられる。さらに、いくらもがこうと高いSTRが逃亡を許さない。もがけばもがくほど、鎧に押さえつけられる。すり潰される林檎の気持ちが味わえるのだ。
つまり、騎士団長のハグは死ぬほど痛いのだ。
「うごご…は、はなして……!」
しまった……いつもなら声を聞いた瞬間身構えて避ける事もできたのに、勘が鈍ったか……!
「ははは!帰ってきてたなら教えてくれれば……」
「ええい、勇者から離れろ!!」
「うぶっ!?」
「うわっと」
このままハゲるまで撫で回されるんじゃないかと思っていた所、魔王が無理矢理に騎士団長を引き剥がす。
「貴様、一体何者だ!!」
「ええと、はじめましてですよね?私、グレゴール王国騎士団長の……」
「そういう肩書きはいい!!」
「えぇっ!?」
「いきなり抱きつくなんて、そんな……!貴様、勇者の何だ!!」
魔王は威嚇するように騎士団長を睨みつける。まるで財宝に手を出された竜のような圧力を出して。
「うーん、勇者と私の関係性ですか……」
しかし、騎士団長はそれを感じないのか、感じた上で無視しているのか飄々としていた。
「上司と部下ですかね?」
「ジョウシトブカ!?じ、人類は上司が部下に抱きつく習慣でもあるのか!?」
「ないわよ!人類を変態みたいに言わないでちょうだい!」
失敬な!と言わんばかりに大声で否定する姫様。
そりゃ、人類の代表が騎士団長だとちょっと……良くも悪くも規格外な人だからなあ……
「それに、アンタも勇者を離しなさい!いつまで胸に押さえつけてるのよ!」
「え?うわわわわわ!?」
「ぷはぁ!ぜえ、ぜえ……し、死ぬかと思った……!」
勇者の死因が魔王の胸で窒息死とか、末代までの恥になるところだった。
俺の貧弱なSTRは騎士団長にも魔王にも意味をなさなかった。いくらタップしたところで気付かないし、本当に死ぬかと思った……
筋肉、もうちょっと付けようかな……
「わわわわわわわ……!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「叩けば治ると思うわよ」
「本当ですか?えいっ!」
「ぶおぁ!?……はっ!わ、私は一体何を……」
「あ、治りました!」
息を整えていると、視界の端で騎士団長のビンタが魔王に炸裂していた。
ビダァン!!と首がもげそうなビンタを繰り出す騎士団長も騎士団長だが、それを受けてほぼノーダメージの魔王も魔王だ。なんなのあの人外ズ……
「クリフ、無事かしら?」
「え、ええ。なんとか……」
「ねえ、一つ聞きたいんだけど」
「?なんでしょうか」
「やっぱり胸がいいの?」
「誤解です、あれは事故です!」
「柔らかかった?」
「死にかけてそれどころじゃなかったですよ本当に……」
「ふぅん……」
ジト目で俺を見てくるが、実際楽しむ余裕なんてものはない。
遊園地などで火事が起これば楽しんでる余裕がないように、死が差し迫ってる状況では生存以外に意識がいかないものだ。
当然、胸で窒息する状況でも同じだ。どれだけ暴れてももがいてもビクともしないとか、本当に死を覚悟したよ……
「それよりも、姫様は……」
「心配しなくても大丈夫よ」
「姫様……」
「あんな脳みその栄養が胸と尻とツノに行ったクワガタの亜種なんか私がボコボコにしてあげるわ!」
「姫様?」
何というか、燃えてるというか、荒ぶっているというか。とりあえず、やる気に満ち溢れているようだ。
「さあ、覚悟しなさい!まずは一勝、私がもらうわ!」
「何とでも言うが良い……それで、内容は?」
「ふふふ、決闘の内容はコレよ!」
姫様はビッシリと何かが書かれた紙を取り出した。
これは……え、本気ですか?
「模擬テストで勝負よ!!」
ちょっと天然で大型犬みたいな距離感の近い金髪ゆるふわお姉さんは好きか!?私は好きだ!!
騎士団長は勇者より強い(ステータス上)ゴリゴリマッチョの美女です。
なお、魔王に『ちょっとダメージを与える』というのは聖剣くんレベルの攻撃力というわけで……
「会話」と「会話」の間は
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詰めて
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1行あけて
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どっちでもいい早よ書け
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興味ないね……