独身魔王が婚活を仕掛けてきた! 作:はふへェ!
ディアナは勝利を確信している。
自分が内容を決めたからには自信がある分野だ。運動や実技が苦手な反面、筆記なら誰にも負けないと自負している。
しかし、そうではない。もっと根本的に、絶対に負ける事が無いと確信しているのだ。
(人類と魔族……そもそも魔法が違うのよね)
『目的地まで行く』としても馬車で行く人と徒歩で行く人がいる様に、魔法は同じ結果でも術式が違うという事はままある。
ましてや人類と魔族。種族が違う上、長年交流が無いとなれば術式などまるで違う。
つまり、人類の魔法の常識が通じないのだ。
今回の勝負、完全にディアナが有利だ。
グレゴール王立魔法学院。祖国最古にして最高の教育機関にして
そう、魔族領に接しているグレゴール王国の使命の一つとして、魔族の研究がある。
魔族とは。
魔族の生活は。
魔族の種類は。
魔族の強さは。
───魔族の扱う魔法とは。
人類と魔族に交流はない。
しかし、人類は魔族のことを調べ尽くしている。
恐るべき敵として、最も身近な脅威として。
今回のテストは、人類サイドの規格……『グレゴール王立魔法学院卒業試験』を参考にしたテストだ。
それを魔族の感性でそのまま解いてしまうと……
(全問不正解もあり得る……って事よ)
仮に、それに気づけたとしても1時間という制限時間。優秀な卒業生ですら「時間が足りない」と言わしめた量と質。
それを魔族の感性から人類側に直すというロスが勝利を遠ざける。
故に、この勝負に公平など存在しない。
(勝負を決めてから思い出したけど……なんか私有利になっちゃったわね)
まあ、完全に偶然だったが。
ディアナにそんな策略を練る余裕なんてなかった。
如何にあの邪智暴虐の魔王を分らせねばと決意していた。自分の最も得意な事で、完膚なきまでに叩きのめしてやるとだけ考えていた。
決闘を受け入れたのも、我慢の限界ということもあったが、堂々と叩きのめせる場所が欲しかっただけだった。
なぜそんなに怒っているのか?
そのきっかけは広間での事だ。
魔王討伐に向かってコソコソと帰ってきた勇者。何か訳があるのか知らないが、一応は無事に帰ってきたらしい。まあ死ぬとは思っていなかったが。
ならば、婚約者として!致し方なく!忙しいけど!自ら迎えに行ってあげよう!だって自分は婚約者だから!ああ、まったく仕方ないなあ!そう言い聞かせ、勇者の下に向かい───
勇者が魔王と初々しく、なんだか
なにをしている?
ふざけるな、ふざけるなよ。
それは私がするはずだったものだ、と───!
(絶対に泣かす!泣くまでボコボコにしてやるんだから……!)
ディアナの怒りは日を跨いでも収まらなかった。
表面上こそ収まっているものの、荒ぶる炎が静かなマグマに変わっただけに過ぎない。
決闘を受けるべきでは無いことは理解している。メリットは皆無、デメリットは甚大。そんな事は理解している。
だが、だがしかし。それよりも『一回シメる』という動機が強かった。
「開始です!」
そう言われて、2人は問題用紙を開く。
(難しい……でも、解けなくは無いわ!)
ディアナに油断はなかった。
並みの魔族ならば……いや、ある程度優秀な魔族でも、ディアナが勝っていただろう。
そもそもの話、ディアナが一番得意だと自負する内容。人類でもよほどの者でなければ勝ち目はない。
しかし、しかしだ。今回ばかりは……
「できた」
相手が悪かった。
「えっ」
間抜けな声を上げるが、それも仕方がないことだ。
1時間でも足りないと言われているそれを、10分も経たない内に埋め切ったというのだから。
現に、ディアナの答案用紙にはまだ半分以上空白が存在している。
(うそ……早すぎる……!いや、どうせ分からないからって適当に埋めたに違いないわ!!)
「一度提出してしまったらもう元に戻せませんが……」
「構わない。見直したが、ケアレスミス等は無かったからな」
「なるほど、では受け取りますね!」
そんな思いも、あまりに自信満々な姿に内心をめちゃくちゃにされる。
(まさか……いや、解けるわけが……!)
自身の経験、先人の実績が目の前で起こった事を否定する。否定しなければならない。
デタラメを前にして常識が認知を阻む。
「え、もう解けたのか?相当な量があったと思うが……」
「そう難しい内容では無かったからな。それに、普段の書類仕事に比べたら少ないからな……」
「お、おお……」
「勇者、知ってるか?書類って終わりがないんだ……」
「そ、そうか……」
衝撃的な内容を、なんでもないように語る。
わざとディアナに聞こえるように……などではなく、本当にただのくだらない世間話をするように。
そのことが、またディアナの心を逆撫でする。
「まあ、それに……一応人類の使う魔法は一通り研究しているからな」
人類は魔族を研究している。
しかし、逆もまた然り。
魔族は人類を研究している。
考えれば当たり前だ。
相手は物を考えない土人形でもなければ、本能で動く野生動物でもない。高度な知性を有する生物だ。
ならば、人類という脅威に対し、研究や分析をするのは当然。むしろ、しない方が不自然だろう。
ディアナは自分の中の何かが軋む音が聞こえた。
アドバンテージは最初から無かった。
つまりこれは正々堂々、
(それを、私は……っ!)
下唇を噛み締める。
ペンを握る手に力が入る。
一番自信があったものを、真正面から突破された。
その事実は多感な年頃の少女には認め難く、王族のプライドとしても受け入れ難く。
(まだ……まだよ!仮に相手が全問正解してたとしても、私も全問正解すれば良いだけの話よっ!)
なにより、想い人の前では耐え難く。
第一試合、【模擬テスト】
「………私、こんな点数初めて取ったわ」
「……姫様」
「これが、私の本気なのよ」
ディアナ:98点
「初戦は私の勝ちだな」
魔王:100点
魔族ってマジでケンカばっかりやってるし、殴り合いと同じくらい知恵比べをするので、まあ知性のある蛮族なんですよね。魔王クラスになるとそりゃもうインテリゴリラですよ。
ちな、魔王様は魔法の知識があるだけで碌に使えません。ほら、スポーツ好きの運動音痴とかいるじゃないですか?あんな感じ。
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「会話」と「会話」の間は
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詰めて
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1行あけて
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どっちでもいい早よ書け
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興味ないね……