独身魔王が婚活を仕掛けてきた!   作:はふへェ!

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見て、高評価が嬉しくて作者が踊ってるよ。


第13話 決闘終了

ディアナは勝利を確信している。

 

自分が内容を決めたからには自信がある分野だ。運動や実技が苦手な反面、筆記なら誰にも負けないと自負している。

 

しかし、そうではない。もっと根本的に、絶対に負ける事が無いと確信しているのだ。

 

(人類と魔族……そもそも魔法が違うのよね)

 

『目的地まで行く』としても馬車で行く人と徒歩で行く人がいる様に、魔法は同じ結果でも術式が違うという事はままある。

 

ましてや人類と魔族。種族が違う上、長年交流が無いとなれば術式などまるで違う。

つまり、人類の魔法の常識が通じないのだ。

 

 

今回の勝負、完全にディアナが有利だ。

グレゴール王立魔法学院。祖国最古にして最高の教育機関にして()()()()

そう、魔族領に接しているグレゴール王国の使命の一つとして、魔族の研究がある。

 

魔族とは。

魔族の生活は。

魔族の種類は。

魔族の強さは。

 

───魔族の扱う魔法とは。

 

人類と魔族に交流はない。

しかし、人類は魔族のことを調べ尽くしている。

恐るべき敵として、最も身近な脅威として。

 

 

今回のテストは、人類サイドの規格……『グレゴール王立魔法学院卒業試験』を参考にしたテストだ。

それを魔族の感性でそのまま解いてしまうと……

 

(全問不正解もあり得る……って事よ)

 

仮に、それに気づけたとしても1時間という制限時間。優秀な卒業生ですら「時間が足りない」と言わしめた量と質。

それを魔族の感性から人類側に直すというロスが勝利を遠ざける。

 

 

故に、この勝負に公平など存在しない。

 

 

(勝負を決めてから思い出したけど……なんか私有利になっちゃったわね)

 

 

まあ、完全に偶然だったが。

 

 

ディアナにそんな策略を練る余裕なんてなかった。

如何にあの邪智暴虐の魔王を分らせねばと決意していた。自分の最も得意な事で、完膚なきまでに叩きのめしてやるとだけ考えていた。

決闘を受け入れたのも、我慢の限界ということもあったが、堂々と叩きのめせる場所が欲しかっただけだった。

 

なぜそんなに怒っているのか?

そのきっかけは広間での事だ。

 

魔王討伐に向かってコソコソと帰ってきた勇者。何か訳があるのか知らないが、一応は無事に帰ってきたらしい。まあ死ぬとは思っていなかったが。

ならば、婚約者として!致し方なく!忙しいけど!自ら迎えに行ってあげよう!だって自分は婚約者だから!ああ、まったく仕方ないなあ!そう言い聞かせ、勇者の下に向かい───

勇者が魔王と初々しく、なんだか()()()()()になっていた現場に直面した。

 

なにをしている?

ふざけるな、ふざけるなよ。

それは私がするはずだったものだ、と───!

 

 

(絶対に泣かす!泣くまでボコボコにしてやるんだから……!)

 

 

ディアナの怒りは日を跨いでも収まらなかった。

表面上こそ収まっているものの、荒ぶる炎が静かなマグマに変わっただけに過ぎない。

 

決闘を受けるべきでは無いことは理解している。メリットは皆無、デメリットは甚大。そんな事は理解している。

だが、だがしかし。それよりも『一回シメる』という動機が強かった。

 

 

「開始です!」

 

 

そう言われて、2人は問題用紙を開く。

 

(難しい……でも、解けなくは無いわ!)

 

ディアナに油断はなかった。

並みの魔族ならば……いや、ある程度優秀な魔族でも、ディアナが勝っていただろう。

そもそもの話、ディアナが一番得意だと自負する内容。人類でもよほどの者でなければ勝ち目はない。

 

 

しかし、しかしだ。今回ばかりは……

 

 

「できた」

 

 

相手が悪かった。

 

 

「えっ」

 

 

間抜けな声を上げるが、それも仕方がないことだ。

1時間でも足りないと言われているそれを、10分も経たない内に埋め切ったというのだから。

現に、ディアナの答案用紙にはまだ半分以上空白が存在している。

 

(うそ……早すぎる……!いや、どうせ分からないからって適当に埋めたに違いないわ!!)

「一度提出してしまったらもう元に戻せませんが……」

「構わない。見直したが、ケアレスミス等は無かったからな」

「なるほど、では受け取りますね!」

 

そんな思いも、あまりに自信満々な姿に内心をめちゃくちゃにされる。

 

(まさか……いや、解けるわけが……!)

 

自身の経験、先人の実績が目の前で起こった事を否定する。否定しなければならない。

デタラメを前にして常識が認知を阻む。

 

「え、もう解けたのか?相当な量があったと思うが……」

「そう難しい内容では無かったからな。それに、普段の書類仕事に比べたら少ないからな……」

「お、おお……」

「勇者、知ってるか?書類って終わりがないんだ……」

「そ、そうか……」

 

衝撃的な内容を、なんでもないように語る。

わざとディアナに聞こえるように……などではなく、本当にただのくだらない世間話をするように。

そのことが、またディアナの心を逆撫でする。

 

「まあ、それに……一応人類の使う魔法は一通り研究しているからな」

 

人類は魔族を研究している。

しかし、逆もまた然り。

 

魔族は人類を研究している。

 

考えれば当たり前だ。

相手は物を考えない土人形でもなければ、本能で動く野生動物でもない。高度な知性を有する生物だ。

ならば、人類という脅威に対し、研究や分析をするのは当然。むしろ、しない方が不自然だろう。

 

 

ディアナは自分の中の何かが軋む音が聞こえた。

 

アドバンテージは最初から無かった。

つまりこれは正々堂々、()()な勝負。

 

(それを、私は……っ!)

 

下唇を噛み締める。

ペンを握る手に力が入る。

 

一番自信があったものを、真正面から突破された。

 

その事実は多感な年頃の少女には認め難く、王族のプライドとしても受け入れ難く。

 

 

(まだ……まだよ!仮に相手が全問正解してたとしても、私も全問正解すれば良いだけの話よっ!)

 

 

なにより、想い人の前では耐え難く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一試合、【模擬テスト】

 

 

「………私、こんな点数初めて取ったわ」

「……姫様」

「これが、私の本気なのよ」

 

 

ディアナ:98点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初戦は私の勝ちだな」

 

魔王:100点




魔族ってマジでケンカばっかりやってるし、殴り合いと同じくらい知恵比べをするので、まあ知性のある蛮族なんですよね。魔王クラスになるとそりゃもうインテリゴリラですよ。
ちな、魔王様は魔法の知識があるだけで碌に使えません。ほら、スポーツ好きの運動音痴とかいるじゃないですか?あんな感じ。


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