独身魔王が婚活を仕掛けてきた! 作:はふへェ!
スザクを追いかけていたらパーティーが始まってしまっていた。
バカな事をしてる場合じゃ無い。急いで向かわないと……!
多少遅れても「少し手洗いに」とでも言っておけば良いが、遅れすぎるとネチネチと嫌味を言われる。魔王のフォローで気が気ではないのに、さらにクレーム処理も重なると
そう思い、途中で切り上げて会場へ向かった。
すると───
「どこ行ってたのよ!パーティーはもう始まってるの…よ……」
パーティー会場の扉の前。
えらく不機嫌な姫様が仁王立ちで居た。それはもう、視線だけで人を殺せそうなほどに怒っていた。
「す、すみません。遅れました……ですがこれには深いわけが……!」
「な……」
「な?」
「なんでさっきよりボロボロなのよ!?」
「ボロボロ……?」
姫様の言葉で、そこにあった鏡を見てみる。
右袖は千切れ、服は所々破れ、全身土埃で汚れている。格好だけ見るとスラム街にでも居そうなほどにボロボロだ。
追いかけるのに夢中で気が付かなかった……
「あー……実は虫退治をしていまして……」
「虫退治でここまでボロボロになるの!?」
「最近の虫は物騒なんですよ」
「どんな虫よ……」
投げナイフを大量に使ってくる
捕まえる難易度が高い癖に捕まえても毎回証拠隠滅済みなのが腹立つんだよな……今回もどうせ証拠は無いだろうし、早い所闇市に行って非公式グッズを販売している店舗を一斉検挙した方が良いだろう。
それはそれとして一発殴っておきたいしあのカメラを叩き割りたい。
「はぁ……まあいいわ。それよりも着替えどうするのよ?今から用意して時間は大丈夫かしら……」
「あ、それは大丈夫です。もしもの時に備えて会場の近くに服の予備をしまっているのでそれを」
「どんな時を想定してるのよ」
「主に暴れた魔王を取り押さえた時を想定しています」
「ああ……」
なんとも言えない表情をする姫様。
魔王ならしかねないけど、実際に暴れられると困るし、暴れられたくないなあ……と言った感じだろうか。俺も全く同じ考えに至ったから分かる。
まあ、パーティーの礼儀作法は教えたし、武器の類は持ち込まないように再三言い聞かせたので大丈夫……のはず……たぶん……
そんな事を考えていると、姫様は何かを思い出したようにハッとした表情をする。
「あ、そうだわ。クリフに言う事があったんだった」
「言う事ですか……パーティーの事ですか?」
「ううん、違うわ」
姫様はキョロキョロと誰もいない事を確認すると、しゃがむように手招きをして、そっと耳に近づくと───
「───2回目の決闘が決まったわ」
「っ……!」
小声で耳打ちされた言葉に思わず息を呑む。
ついに、と言えば良いのだろうか。運命の分かれ道、もう負けられない戦いの火蓋が切って落とされようとしている。
「その時が来たらクリフも頼むわよ?」
「ええ、どんな事でもお任せください!」
「頼りにしてるわよ」
姫様は穏やかな顔でクスリと微笑む。
それに釣られて、俺も頬が上がってしまう。
恐らく、姫様は見つけたんだ。俺なんかでは見当もつかないが、あの性能だけは一級品の魔王に勝つ何かを。
「っと、話し込んでちゃいけませんね。時間も押しているので自分はこれで……」
「ま、待ちなさい!」
予備をしまってある部屋に行こうと踵を返すも姫様に止められる。
「わ、私に何か言うことはないかしら!」
顔を赤くしながら訴えるような視線を向けてくる姫様。
何か言う事……ああ。
「そうですね。そう言えば、キチンと言わないとダメですよね」
「そっ、そうよ!こういうのはちゃんとしなきゃダメなの!」
姫様の真正面に立ち、向き合う。
姫様の目を見て、ゆっくりと腰を曲げて……
「遅刻してすみませんでした。以後このような事がないよう気をつけます」
「ちがーーーう!!!」
「ええ!?」
謝罪をしたらキレられた。
えっ、パーティーに遅れた事の謝罪じゃないのか?あんなに顔を赤くして怒っていたしてっきり……
「そうじゃないわよ!もっとこう、あるじゃない!?」
「そう言われましても……」
「ほら、見て分からないの!?目、付いてるの!?」
信じられない!と言わんばかりに激昂する姫様。
見て……?そう言われて姫様を頭のてっぺんから足の先までじっくり眺めてみる。うーん……
「ええと、いつも通りですが……」
「い、いつも通り!?本気で言ってるの!?」
「?ええ、まあ……」
「っ……!わ、分かったわ。私がバカだったのね……!こうなったらクソボケでも理解できるように骨の髄まで───」
「いつも通りお可愛いですよ?」
「んぅ……!そ、そう……」
それだけ言うと、姫様は顔を背けて黙り込んでしまった。よく見ると耳まで真っ赤だ。
これは……途轍もなく怒ってる……?それに何か末恐ろしい事も言ってた気が……
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「も、もういいわ!早く行きなさい!」
「ですが……」
「いいから!早く!!行って!!!」
「は、はい!失礼しました!」
全速力で着替えのある部屋に向かう。
これは完全に怒ってるなあ……呆れてものが言えないとはこう言う事なんだろう。
冷静に考えて、王族に「可愛い」とかダメだよな。気をつけよう。
■■■
あらかじめ用意しておいた《クリーン》の
……マジックスクロール1つで10万ゼニーしたんだが、経費で落ちるかな……落ちると良いな……
そんな事を考えながら、息を整え襟を正す。
そして扉に手をかけ……ようとした瞬間、勢いよく扉が開き自分の鳩尾に勢いよく何かがぶつかった。
「ぐぅっ!?……い、急ぐと危ないですよ……って、姫様?」
貴族相手に失礼な態度を取るといけないと思い何とか取り繕ったが、なんと飛び出してきたのは姫様だった。
「慌ててどうかしましたか?」
「た、たたた大変よ!」
「大変……まさか!」
姫様の取り乱し様で、うっすらとだが察した。
魔王が何かした、もしくはする直前……!
くっ、少しでも目を離したのはミスだったか。部屋に迎えに行って同伴して監視下に置いておくべきだった……!クソッ、赤ん坊よりも目が離せないなアイツは!!
会場に急いで入るも、明らかに会場の雰囲気が普段と違う。誰もこちらに注意を向けない。会場の真ん中に視線を釘付けにされている。
しかしなんというか、熱狂や狂乱と言った雰囲気ではない。どちらかと言うと、アイドルの握手会に並ぶ人の雰囲気に似ている様で……
「あれよ!見て!」
姫様が指差す所に魔王が───
「プロメア殿とおっしゃいましたか、なんとお美しい……それに、少し話しただけで分かる知性、言葉遣いから分かる人間性。そして、己の記憶を引き換えに勇者殿を助けたとか……おお、なんと高潔な方なのでしょう。あなた様のような素晴らしいお方と会えるとは思いませんでしたよ」
「ありがとうございます。そう言っていただけるとお世辞でも嬉しく思います」
「お世辞だなんてそんな……私はこう見えても正直者でして」
「ふふ、お上手なのですね」
───集団の中心に佇み、まるで深窓の令嬢のような穏やかな笑みを浮かべていた。
周りの貴族達も、心の底から嬉しそうに……それはもう、今まで見た事がないような笑顔で魔王と会話していた。
えぇ……なにあれ……
書いてから気づいたけど、普通にクソボケよな勇者。まあ、魔王とバトってる最中とかいう最高に恋愛にうつつを抜かす暇がないタイミングと、姫様のキレ芸のせいなんだけどネ!あと「王族が平民を恋愛対象にするかよバァカ!」という先入観。
がんばれ姫様!このクソボケは姫様を妹か親戚の小さい子とほぼ同じ感覚で接してるぞ!そこからランクアップは大変だぞ!!
高評価、お気に入り、感想、誤字報告等お待ちしております。ロイヤルストレートフラッシュが完成した時並みに喜びます。
「会話」と「会話」の間は
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詰めて
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1行あけて
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どっちでもいい早よ書け
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興味ないね……