独身魔王が婚活を仕掛けてきた!   作:はふへェ!

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私の自認では4月27日なので1週間ぶりの投稿です。

1日が243時間あるだけです。

言い訳終わり。

どうぞ。


第19話 胃痛パーティー、その2

 魔王が人だかりの中心にいた。それも優しげで、儚げで、吸い込まれる様な微笑みを浮かべて。

 

 それがどうも可笑しくて、違和感で……俺と姫様はこのパーティー会場で二人、その様子を遠目で見ながらなんとも言えない顔をしていた。

 

「アイツの普段を知ってる分、なんだかすごく違和感があるというか……ぞわぞわするというか……」

「分かります……」

 

 本当のアイツはもっと、粗雑で悪辣で唯我独尊的な腕っ節だけで全部何とかなると思っているし実際どうかしている様な、そんな頭のネジが捩じ切れている奴だ。

 それがこう令嬢の様な態度をしているのを見ると……なんというか、圧倒的違和感。もはや詐欺では? と思うほどだ。

 

 一体何がどうなってこうなったんだ……?

 

「おや、クリフ様ではありませんか。お久しゅうございます」

「あ、ああ。タダノ・モブー様。お久しぶりです。ところで、つかぬ事をお聞きしたいのですが……アレは一体……」

 

 魔王を指差しながら、ちょうど話しかけてきた貴族に問いかける。

 

「おお! プロメア殿の事ですな!」

「プロメア『殿』?」

「あれほど素晴らしいお方は初めて見ましたよ! 記憶を無くして尚あの佇まい。私の目が節穴でなければ、あのお方は記憶を失う以前はどこぞの王族だったのでしょうな! 他の方も少しでも繋がりを持ちたいと考えているのか、ああしてお話をしているのですよ」

「ああ、それであの人だかりが……」

「不思議と目で追ってしまいたくなるお方ですからな。おおっと、私もプロメア殿とお話ししたい事があるんでした。失礼しますね」

 

 小首を傾げる俺を気にも留めず、この場のできる限りの早足で魔王の下へ向かうモブー。

 なんというか、彼の目が節穴とは言えないが……微妙にカスってはいるが……

 

 

「魔道具にご興味がおありでしたら紹介したいものが……」

「こちらのワインは私の領地で生産されたもので……」

「ぜひ、今度我が家の食事会に……」

「ふふ、ありがとうございます」

 

 

 アレ、完全に擬態だしなあ……

 

 魔王を中心に和気藹々と話している様子を見て、どうしてこうなったと頭を抱える。

 目立つとダメだと言い聞かせていたはずなのだが……理解して…ないはずがないか。

 何があったんだ本当に……

 

「目立つなとは聞かせてたはずなんですがね……どうしますか姫様? 一旦退かせますか?」

「……いえ、それはやめときましょ。あれじゃ無理に下がらせると逆に目立っちゃうわよ」

「……それもそうですね」

 

 二人してため息を吐く。

 面倒を見なければいけないというだけでも疲れるのに、こうも突拍子もなくこちらの想定外の動きをされるとな……もう手に負えないというか……

 

「み、みんなプロメアに気を取られて暇ね!」

「そうですね……パーティーでこうも人に話しかけられないのは久しぶりですよ」

「暇なら、ゆっくり食べながら話でもしましょ!ふたりで!」

「ええ、そうしましょうか」

「そっ!!!」

「ど、どうしました?」

 

 大きな声に驚いて振り返ると、姫様は強張った笑顔を浮かべていた。

 こちらの視線を感じてか、仕切り直すようにこほんと軽く咳払いをする。

 

「そ、そそそういえばこのドレス、実は肩周りがキツい上に袖周りの布の問題上一人で食べることが難しいのよ。その、だから……わっ、私の食事のサポートをさせてあげるわ! あ、アンタがよければだけれど……」

「? それくらいなら構いませんが」

「そ、そう……ヨシッ!」

 

 今日の姫様、なんだか妙に落ち着きがないな……魔王の対応に疲れでも出たのだろうか?

 

「ですが、魔王から目を離すのも怖いですね」

「上のラウンジに行きましょ。そこなら広間の様子も見れるわ」

「ああ、それなら安心ですね」

「じゃ、じゃあ早速行くわよ!!」

 

 俺の手を引き早歩きで前を歩く姫様。

 そんなにこの場から立ち去りたかったのか。まあ気持ちは分からなくもない。むしろよく分かる。魔王も貴族も面倒くさいからな。

 

 しかし、このまま行ってしまって大丈夫だろうか? そう思い、魔王のいる人だかりに視線を向ける。

 今、魔王と一瞬目があったような……? いや、気のせいか。育児疲れと言うやつかな……

 

「どうかしたクリフ?」

「ああ、いえ……やはり少し不安で……」

「心配しなくても大丈夫でしょ。周りにあれだけ人がいるんだし、下手な事はしないでしょ」

「……それもそうですね」

 

 眉間を揉みながら強張った体をほぐすように大きく息を吐く。

 ……今までが予想を超える最悪だったからか、気を張りすぎていたのかもしれないな。姫様の言う通り、流石にこれだけ人がいれば大丈夫だろう。魔王は頭蛮族だがバカではないし、下手な真似はしまい。

 

「じゃ、じゃあ早く上に──」

 

 

「ところで、勇者とはどのような関係で?」

「それは……ふふ、ないしょです」

「おや、これはこれは……勇者も隅に置ませんな」

「あら、誤解ですわ。勇者様とはただ手を取り合った仲で──」

 

 そんな矢先にとんでもない事を話し始めた。しかも丁寧に顔を赤らめてモジモジと、まるで恋する乙女の様な顔をして。

 

「姫様! 俺は今からあのバカがボロを出さないうちに引き剥がします! 貴族の対応を!!」

「任せなさい!」

 

 姫様に声をかけ、急いで魔王の下に駆け出した。

 アイツ、本当になにやってんだ!! 言うなって言ってただろ!! 言うこと聞かないし無茶苦茶やるし……!

 

 ああ、もう! 赤ん坊よりも目が離せないなコイツは!!!

 

 

 

■■■

 

 

 

「やってくれたな……!」

 

 あれからなんとかして貴族たちを引き離し、魔王を上のラウンジに連れてきた。

 

「お前、本当に……! 面倒を起こすなと、目立つなとあれほど……! お前なあ……っ!!」

「まあまあ、これでも食べて落ち着け」

「誰のせいでこんな……っっ!!!」

 

 ……魔王の手を掴んで無理矢理連れて行く時の貴族たちの生暖かい目がフラッシュバックする。

 これに対して下手に弁明したところで「うんうん、分かってる分かってる」という対応をされるのは目に見えていたため、無視してきた。

 

 だが、弁明の余地もなければ妙な勘違いをされ続けるこの現状は非常に腹が立つ……! なぜ俺がこんな目に……!

 

「すぅ……はぁ……ひとまず、どうしてあんな事を言った。弁明くらいは聞いてやる」

「あんな事?」

「俺とお前が密な関係にあるとかそういうことだ!!」

「嘘ではないだろう?」

「真実でもないがな……!」

「そう荒ぶるな。あれには天界よりも高く、冥府よりも深い訳があるんだ」

「なんだと?」

 

 魔王が目を伏せ気味にそう言う。そのシリアスな表情は嘘をついている様には見えない。

 短い付き合いだが、魔王がバカではないことはよく分かっている。つまり、この一見考え無しの大馬鹿野郎がする行動にも何か訳があるはずだ。

 

「それはな……」

「それは……」

 

 

 一体どんな訳が……

 

 

「なんか勇者と姫を見てると無性にイラッとしてつい」

「ざけんな」

 

 ただの大馬鹿野郎じゃねーか、何が深い訳だよ……

 

「私自身も驚いた。私の口が勝手にな」

「その口を二度と利けないようにしてやろうか……!」

「ま、マウスtoマウスでか? そ、そそそれはいささか気が早いというか……! ゆ、勇者がどうしてもというなら私も覚悟を……!」

「……もう、黙っててくれ……」

 

 疲れた……パーティーが始まってそう時間も経っていないのにも関わらず、もう横になりたい気分だ……何もかもこの魔王とかいうやつが悪い……魔王城に帰ってくれないかな……

 

 ……おい、なに口を突き出してるんだ。目を瞑るな不安と期待が入り混じった様な顔をするなにじり寄ってくるな腰に手を回すな!! くそっ、フィジカルモンスターめ。どうしてレベルが高いやつはこうも実力行使に躊躇がないんだ!!

 

 くっ、パーティー会場で余り目立った行動は避けたかったが……そうも言ってられそうにないな!

 

「離れろ!!」

「あぁ!」

 

 強引に腰で投げ、上着を脱ぎ捨てることにより引き離す。習っててよかった騎士団長の本気タックル(ハグ)の防ぎ方。あれのおかげで抜け出せた窮地は数知れない。

 

 それよりも投げられた瞬間に自分から飛んで空中で捻りを加えて着地する魔王に辟易とする。割と本気で投げたんだが……

 ここまでパワーやテクニックどころかほとんどのステータスで負けてる相手にこの国の偉い奴はどう勝てると思ってたんだろうか。

 

「私が投げられるなんて……! 流石だぞ勇者! それでこそ私が見込んだ男だ!」

 

 静かだと思ったら、どうやら感激のあまり言葉を失っていたそうだ。興奮気味に目を輝かせている。

 

「……この国の騎士団なら割と必須技能だから俺が特別と言うわけではない」

「そんな謙遜するな。ステータスに差があるのにも関わらず投げられた……ふふ、それが嬉しいんだ」

「……戦闘狂め」

「なっ……! そ、そんな急に褒めるな! ビックリするだろう……!」

 

 か細い声で照れくさそうに顔を背ける魔王。表情は見えないが、耳まで真っ赤になっていた。

 理解できない感性だが、魔族だからとしか言えないんだろうな……戦闘狂が褒め言葉かぁ……文化の壁は厚いな……

 

「はあ、もう降りるぞ」

「ま、待て!」

「待たん。というか待てん。ここは鍵がある部屋でも立ち入り禁止エリアでもないからな。今は姫様が貴族たちを抑えてくれているが、その内抑えきれなくなってここに来るぞ」

「じゃ、じゃあ一曲だけ踊ってくれないか? その、何と言うか……ええと……そう、少し不安なんだ! お、覚えれてないところがあるかも知れなくて……」

「パーティーに関する教養は一発合格して撮影会しただろうが。問題ない。それに、もし忘れたとしても相手の呼吸に合わせてそれっぽいステップを踏めばそれっぽく見える。お前なら余裕でできるだろう?」

「できるが……余裕だが……そ、そうじゃなくてだな……」

 

 チラチラと俺に視線が向けられる。

 魔王は不安気味の、少しガッカリしたような顔をしていた。

 

 ……俺だって鈍感じゃない。むしろ男女の機微には聡い方だろう。相手を魔王だというフィルターを一旦外して考えれば、答えは明白だ。

 

 

「はあ……曲が始まったら1曲だけ踊ってやる」

「っ……」

「だから、騒ぎになる前に降りるぞ」

 

 

 まあ、ここらがせめてもの譲歩だろう。




騎士団長のタックルは大体熊に襲われたのと同じです。やばいですね。
新人騎士は気まぐれタックルで大体病院送りになります。しかしベテランともなると事前に回復薬を用意するほどです。流石ですね!

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「会話」と「会話」の間は

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  • 1行あけて
  • どっちでもいい早よ書け
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