独身魔王が婚活を仕掛けてきた! 作:はふへェ!
ゴーレム業界に現れた超新星。マスターギア社が誇る最強の搭乗型
その名も『
頭部のドリルで巨大な岩も障壁にならない。持ち上げられる重量も10tを記録。パワーだけでも今までのゴーレムとは比較にならない。
さらに、精密動作性に長けている点も挙げられる。直感的な操作感を維持したまま、壊れやすいガラス製品の取り扱いが可能なほど。
機動力にも優れ、急斜面や荒れた山地、瓦礫地帯など、陸地ならどこでも活動できると言っても過言ではない。
山岳部、農林、建築等の作業に新時代をもたらした革命機である。
そのゴーレムを改造した物が、この『
ボディ素材は厳選された魔法処理合金が使用されており、元のゴーレムに比べて耐久度と出力が増加している。また、特殊コーティングによる防塵防煙防火防水防魔などの加工が施されており、溶岩地帯や魔力嵐地区などの極限環境に適応できるほどの脅威的な耐性を得ている。
兵装も並の戦闘用ゴーレムを圧倒する魔道具を搭載。超広範囲攻撃による一撃で市街地を破壊することすらも可能。
対騎士団長を想定して作ったと豪語する傑作機。
それが今、騎士団長よりも圧倒的格下の勇者に振るわれている。
「そもそも抵抗しないとか言ってなかったか!?」
「無様に泣き喚いて助命を乞う事はしないとは言いましたが、抵抗しないとは言ってませんね!」
「……今からでも降伏しないか?」
「しません」
「だよなぁ!!」
ゴウン! バゴン!! ドッカーン!!!
ゴーレムパンチにより景気良く床が陥没し、壁が崩れ、天井に穴が開く。
魔王の攻撃より優しいが、十分な脅威。超質量による一撃はただのパンチに非ず。通常攻撃が即死攻撃。全てを警戒しなければならないという理不尽。戦闘経験の差など意味を為さないほどの性能差。
……魔王と比較できる時点でクソでは?
「ひ、姫様ァー! これダメなやつです!! 逃げてください!!」
「でも……!」
「俺のことはいいから早く!」
「後始末とか報告書が……!」
「命の危機だって言ってんですよ!!!」
確かに後々面倒になりそうだけど、死ぬよりかはいいでしょうが!!
あと下手に怪我をされると首が飛ぶので、自己保身的な意味でも逃げてほしい。
「それもあるけど、動き回るよりここにいた方が安全だと思うのよね」
「それは……」
「うわびっくりした」
「そうですね……」
魔王は羽虫を払うかのように大きな瓦礫を弾き飛ばす。確かに今一番安全な場所はそこだな……
後コイツ、姫様と一緒に逃げてくれなさそう。
「おしゃべりとは余裕ですねっ!」
「実際に余裕だからな」
「なっ!?」
「不意打ちは意識外からするものだ」
振り下ろされた拳を紙一重でかわす。
確かに、戦闘経験を無意味にするほどの性能差。訓練された兵士でも逃げ惑う他ない。磨き上げた剣術などその風と同義になるだろう。
───だが、それは普通の兵士の話!
「しまっ!」
「搭乗式のゴーレムの弱点は、コックピットの搭乗者!!」
拳の嵐を潜り抜け、懐に入り込む。
ゴーレムは通常、弱点らしい弱点はない。本来弱点と言える心臓部である演算コアや関節部など装甲を厚くするだけで十分な防御力になる。あえて弱点を言うなら、強さと価格が比例してしまう事と、整備に専門知識が必要な事。
しかし、搭乗型になると話は変わってくる。
ゴーレムがいかに頑強だろうと、搭乗者はただの人。閃光に目が眩むし、衝撃に身を竦める!
人ゆえの欠陥! 本能による抗えない反射!
「呼吸ができなくなればゴーレムなど乗っていられないだろう!」
伸び切った拳の反動で一瞬動きが止まる。
ゴーレムをある程度乗りこなせているという事は、使用経験があるという証拠。このゴーレムでは雑に身じろぎするだけで大抵の相手なら蹴散らせてしまうだろう。
つまり、これに乗り続けていると碌な戦闘経験が積めていない。
戦闘経験の浅さが、ゴーレムの強さが仇となったな!!
「シィッッ!!」
聖剣が魔力を帯び、淡く光りを放つ。ゴーレムの背にある換気口へ刃を振るう。
現状できる最高火力。百点満点とは行かずとも斬鉄には十分!
呼吸我慢大会だ! 参加者はお前1人だけだがな!!
ギャリィィィン………
「は?」
間抜けな声と共に、頭の中で描いだ事と現実の差に愕然とする。
いやいやいや……仮にも聖剣の一撃。退魔は破邪の加護を加算されないとは言え、野良ゴーレム程度なら無双できる攻撃力を誇る。
「ふふ……ふふふ……驚いた。驚きましたよ」
「ああ、俺も驚いた。さすがにコレは予想外だ」
しかして、S.R.エクスカベーターには浅い引っ掻き傷が残るのみ。
威力としては満点とは行かずとも、魔王相手でも「いてっ」と言わせる程度の攻撃力はあるはず。
にも関わらず、ゴーレムには少し凹んだ程度の傷跡しかない。
聖剣が効かないとなると……
「姫様ァァー!! 逃げてェー!! 騎士団長呼んでェー!!!!」
無理! いくらなんでも攻撃が通らない相手は無理だ!!
「ふふふ……騎士団長殿は来ませんよ」
「っ……そう言えば騎士団は引き剥がしてるんだったな……なら騎士団長も……」
「ええ。今頃は王都の外れでゴーレムの集団が散発的に襲い掛かったり街中で暴れたり逃げたりしてる所でしょう」
「くっ、卑怯な……!」
「ゴーレムを全て対処するなら、30分はかかるでしょうね」
「30分もだと!? 一体どれだけのゴーレムを……!」
「ふふふ、騎士団長殿の対策費は予算の半分を占めてますからねぇ!」
予算の半分で騎士団長を……なんて節約術だ……!
「むう……勇者! 何を遊んでいるんだっ! そこだ、いけー!!」
「いけるかバカ!」
「クリフー! そんなやつさっさとやっちゃいなさい!! クリフならできるでしょー!!」
「攻撃通らないから無理なんですって!!」
外野の声に反応しながらもラッシュを凌ぎ切る。まだまだ余裕は……あっぶな今掠った! まさかこの戦いで成長しているとでも言うのか!?
一応、どこかダメージが出る箇所がないかの確認がてら聖剣を当ててはいるが……
通り抜けざまに聖剣を振り抜く。引っ掻き傷ができる。
脚部が浮いた瞬間に関節に聖剣を振り抜く。引っ掻き傷ができる。
位置を誘導し瓦礫を直撃させる。無傷。
といったように、効果がない。全身カチカチだ。硬さだけなら魔王幹部に匹敵するレベルでは?
「さて、どうしたものか……」
傷つくということは倒せるという事。
しかし、引っ掻き傷しかできないのは脅威になり得ない。
アリュードが本来取るべき選択は逃走。勇者が脅威では無くなった時点で、騎士団長が来るまでの制限時間内に勇者を倒す必要は無くなった。
それに気が付かず戦闘を続行している。ほぼ初めての戦闘に頭が回っていないのだろう。
ならば、俺が取るべき行動はできるだけ長引かせるためにギリギリで避け続ける。俺を倒す事にリソースを割かせ、逃走の選択を意識の外に追いやる!
「私が知ってるお前ならいける! そこだー!」
「私のクリフなら一撃でしょ! 今よー!」
「「………」」
「あ? なに? 知ったかぶりか?」
「んー? アンタの方が知ったかじゃないの? 私は婚約者で勇者になる前からの付き合いなんだけど?」
「私はお前が見れない最前線の勇者をずっと正面から見続けてきたんだが? あいつの全てを知ってると言っても過言ではないのだが?」
「なんですって! アンタなんてクリフがおねしょしてた年も知らないくせに!」
「5歳の冬だろ! お前こそクリフのホクロの数も知らないくせに!」
「26個でしょ! アンタこそ……!」
「何話してんだこんな時に! あとで話があるからな! 姫様もですよ! どうせスザクとかに誑かされたんでしょうけど!!」
くそっ、気が散る! 俺のリソースが後ろの会話に持っていかれる!!
「その様子じゃ勇者の実力も知らないんじゃないかぁ〜? 最前線の姿を知らないんだろぉ〜?」
「知ってますけどぉ〜? 姫で婚約者舐めてる? 勇者の最前線のことも、それ以外も知ってますけど?」
「「………」」
「勝負だァ!」
「のったぁ!」
「何してんですか姫様ァー!?」
急展開が過ぎる! 勝負ってあの勝負だよな!? 俺の命運がかかってるやつだよな!? そんな酒の席の喧嘩みたいなノリで決めないで欲しいんだが!!?
「何分であのゴーレム倒すか予想で勝負だ!!」
「のったぁ!!」
「はぁ!?」
「私は3分だ! 勇者なら余裕ぅ!」
「ふふん、なら私は1分よ!」
「じゃあ間を取って2分だな。2分以内に倒せなければ私の勝ち、倒せればそちらの勝ちだ」
「それでいいわよ!」
「よくないです姫様ァー!! 騎士団長待つほうが勝率ありますけどぉ!? せめて魔王より長時間の予想してくれたらこっちで時間調整とかできたんですけどぉ!?」
「じゃあタイマー……スタート!」
「あああああああ!!!!」
あけましておめでとうございます!
今日はなんてお正月11日目! クリスマス18日目! めでたいですねぇ!
高評価、お気に入り、感想、誤字報告等お待ちしております。コタツにミカンに猫がセットになってる時くらい喜びます。
「会話」と「会話」の間は
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詰めて
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1行あけて
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どっちでもいい早よ書け
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興味ないね……