死亡代行サービス   作:ダイヤモンドリリー

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5482字。

ヤンデレさん結構なキーパーソンになりました。


ヤンデレは正義

2016年11月17日(19日目)

 

「あんときのヤンデレじゃねぇか!」

 

なんでこいつがここにいるのか。理解が全く追いつかない。

 

「あんときっていつのことよ。あんたと前に会ったことあったっけ?」

 

「えっと...覚えてない?」

 

「知らない」

 

あっそっかぁ...あんときは乗り移ってたからこの姿じゃないのか。

 

「2016年10月11日にお前に殺された男だ」

 

「えっ...そっか死んだってことは誰かが乗り移ってたってことだもんね...そうだよね」

 

「あー...理解してくれた?」

 

「一応...ね」

 

俺はまだ理解が追いついてないがな。

 

「あんたが乗り移ってたのか...だからあの時変なことばっか言ってたのね」

 

やっぱちょっと不審がられてたか。まぁあんときはまさか車の中に人がいるだなんて思ってなかったしな。

 

「それで?何しに来たのさ」

 

「話したいことあったんだけど...ごめんちょっと聞いていい?なんでここいんの?」

 

「なんでって仕事でしょ」

 

「いやそういうことじゃなくて...あそっか、元々ここにいたのかそういうことか」

 

「来たのはほぼ一ヶ月前からだよ?」

 

「みんなそう言うんだよなぁ...」

 

記憶を失って繰り返すんだからその証言に信憑性はほとんどない。

 

「いやいやほんとだよぉ。だって私が死んだの、その日だし」

 

「その日ってまさか10月11日⁉︎嘘だろマジかよ⁉︎」

 

「なんでびっくりしてんのさ」

 

もしかしてこれ結構すごい状況じゃないか?まだループする前の人なんて初めて会った。

 

「ちょっと教えてあのクソ女神に何言われたか教えて!初めてここに来た時のこと教えて!」

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて...話せばいいんでしょ話せば」

 

肩を掴んで揺さぶっていたのを振り解かれる。そして女は話し始めた。

 

「えっと自己紹介からでいいのかな。私は安達茜。あんたが乗り移ってた男の彼女だった。私が絞め殺しちゃったけどね」

 

「あの時は苦しかったなぁ...」

 

「それで私が死んでから9日後、10月20日にここに来た」

 

やっぱり9日後。なんでだ?

 

「それでここに来た時にあの女神に仕事の話をされた。『あなたは選ばれた人間。あなたには仕事をしてもらいます』ってね」

 

「信じられなかっただろ?」

 

「そもそも嫌って断ったよ。やりたくないって。私はあそこで死にたかった。あの人と死にたかった。生き返りたくない。そんなふうに言ったのに、あの女神はこう言ったの」

 

『あなたがどうこう言おうと、やらなければいけないのは確定している。生き返りたくないならやり直してもまた死ねばいい。しかも、あなたは自殺したんだから死ぬことには慣れてるでしょう?』

 

「自殺...自殺⁉︎あれ自殺なの⁉︎」

 

「まぁあのタイミングではまだ生き残れたのに彼氏を殺す選択をしたんだよ?自分で生き残るすべを逃したんだから自殺なんじゃない?」

 

「自殺ねぇ...」

 

何か、違和感というか気付けそうなことがあるような気がする。そこにとても重要なことが隠れてるかのような、そんな気がしていた。でもそれが何なのかがわからなかった。

 

「これであの女神との会話は終わり。ところでなんでクソ女神って呼んでるの?」

 

「あっ、まだ話さないといけないこと言ってなかった」

 

俺はいつもの定型文を話す。とりあえず今はループするぞってことだけだ。より深いことは安達さんがもう一度ここに戻ってきてからだ。

 

「ループしてる...か。確かにそうみたいだね」

 

「えっ信じるの?これ言うとほとんどの人に嘘だろって言われるんだけど」

 

「いやだってあなたもループしてるんでしょ?私が死んだ日に仕事してたんだったらもうここにいるはずがないし」

 

「確かに」

 

10月11日から今日まで一ヶ月以上経っている。もし本当に一ヶ月で仕事が終わりならここに俺がいるのがおかしいのだ。それに気づくってすごいな。

 

「じゃあ明後日またここに来てよ。記憶を戻してくれるんでしょ?」

 

「オーケー 。それじゃあまた会おう安達さん」

 

「じゃあねぇ」

 

部屋を出る。なんか結構普通の人だったな。とても彼氏を殺そうとするような人には見えない...いや待て、彼氏さんが海に突っ込もうとした原因はあの人だろ?やっぱやばいやつなんじゃね?表に出さないだけで。

 

「これ結構いい情報手に入ったんじゃないかな」

 

もし今日聞けてなかったらこの情報が手に入ることはなかっただろう。明日以降だとループ前の話を聞くことができなかった。なかなかに幸運だった。

 

「…暇になったな。とりあえず資料読みに戻るか」

 

自分の部屋に戻ってくる。そして資料を取って読み耽る。

 

「うわすっごい色々書いてある...一日にいろんなことやりすぎでしょ。再現する俺の身にもなってくれよ。ってか問題行動起こした次に回す仕事かこれ?」

 

前回やらかした以上、少なくとも次の俺の仕事はちゃんと確認してくるかもしれない。

 

「めんどくさいけど覚えるしかないんだよなぁ...頑張るか」

 

またあのクソ女神に色々とぐちぐち言われるのはなんか癪に触る。それに時間を潰されるのも困るからな。必要な時以外はクソ女神に目をつけられないようにしたい。

 

「………よし、覚えた。それじゃみんな戻ってくるまで待ってよ」

 

資料を覚えたら、今日やるべきことはほとんど完了したも同然だ。あとすべきことといったら、みんなが戻ってきたらさっき知ったことを報告するくらいだ。みんなの仕事終わりの時間は共有しているので、主要メンバーが戻ってくるまで寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…というわけだったんだよ!」

 

「へぇー」

 

「……思ってた反応と違う...」

 

「で、でもそれって結構じ、重要なんじゃ...」

 

「そう?特に意味なんてなくね?」

 

今、俺は佐川の部屋で報告をしている。部屋には佐川、立花、野田さん、有田さんがいた。それ以外の人はまだ仕事中か情報集めをしているのだろう。

 

「いやいや、これには結構重要な意味があるはずなんだよ!」

 

「そうかなぁ...そういえばあの日追い詰められて一瞬自殺しようか考えたことあったな」

 

「…あの日って死んだ日のことか?」

 

「そうそう」

 

…いや、まさか...な。

 

「俺も一瞬やろうとしたな。考え直したけど」

 

「わ、私もしようとしたことあったなぁ」

 

「うちも」

 

「え、ほんと?マジ?」

 

「マジマジ」

 

もしかしたら、この予想が当たってしまっているかもしれない。

 

「ねぇ、もしかしたらこの世界にくる人って...」

 

「ただいま帰りましたー」

 

「あっ、原さんおかえりー」

 

原さんが佐川の部屋にやってきた。

 

「なんの話してました?」

 

「えっとねぇ...」

 

先程した話を繰り返す。

 

「…そういえば言い忘れてたけど佐川が死んだのって自殺だったんだよね」

 

「…え?」

 

「な、なんでそんなこと...知ってるんですか?」

 

「だって元々現実世界で佐川と知り合いでしたし、そこでの記憶は変わりませんし。まぁここに来て佐川と会った時に、突然自殺してびっくりしたって言ったら、してないって言われて変だなとは思ってたんだけど」

 

「やっぱりそっか」

 

「やっぱりって?」

 

疑惑が確信に変わる。

 

「多分、いや確実にそうだ」

 

「勿体ぶらずにさっさと話しなさいよ」

 

「ここに来た人たちは全員自殺をした人たちだ」

 

「…何を馬鹿なことを言ってるのよ」

 

有田さんにそう言われる。でも、そうとしか思えないのだ。

 

「だってそれなら説明がつく。安達さんもここには自殺で来たことになってるし。俺たちみんなに自殺を考えていたことがあるっていう共通点がある」

 

「あんたもなの?」

 

「まぁ、一応心当たりがな...」

 

「でも、うちたちは自殺なんてしてないし」

 

「俺たちは記憶を失ってループしている。だから最初の死因を覚えていない。それに前の仕事の時に、前回俺が死ぬことになった事故について調べたが何も出てこなかった。元々事故なんてなかった。俺は自殺していたんだからな」

 

「自殺なんてやってないよ!ちゃんとやる前に考え直して直前でやめたんだから!」

 

「あのクソ女神も言ってただろ?虫の知らせのような感じで無意識のうちに同じ死を繰り返さないようになってるって。考え直したっていうのは同じ死を繰り返さないための改変だ」

 

「……なるほどねわかったよ」

 

「妙にあっさりと落ち着いたな」

 

「いやー原さんにさっき耳打ちされてね。こう言えっていわれたんだわ。ごめんねー」

 

「あやふやな理由じゃなくてちゃんと考えた上で言っているのか試したかったのよ。まぁ元々同意見だったけどね」

 

原さんはなにかと俺を試そうとしてくるな。甘い考えを防いでくれるからちょっと助かる。

 

「さて、これでここに来る人の条件はわかったわけだけど...これからどうしようか」

 

「これであのクソ女神でも脅す?」

 

「それもいいけど...まだなんでこんなことしてるかわからないからなぁ。脅すのはそれがわかってからだな」

 

「お、脅すのは確定してるんだ...」

 

どうやればその目的を知ることができるのかはまだわからない。部屋に盗聴器でもつけてやろうか。そんなものここにないけど。

 

「あっ、やべそろそろ時間だ。仕事行ってきまーす」

 

「いってらっしゃ

 

言葉は最後まで聞き取ることは出来なかった。時計は12時ちょうどを指し、俺の体が転移され次の仕事相手に乗り移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年11月18日(20日目)

 

「つ、疲れた...」

 

「やぁ、おかえり片桐陽介」

 

気がついたら、目の前にはクソ女神が立っていた。

 

「今回はよく頑張っていたじゃないか。ほぼ完璧だ」

 

「ま、まぁ前回ミスっちゃいましたし、今回はミスしないようにちゃんと資料読んで完璧にやってやりましたよ」

 

「その調子でこれからも頑張ってねぇー」

 

「はい、頑張ります」

 

部屋を出る。

 

「やっぱり見られてたか。よかった対策しておいて」

 

ちゃんと資料を読み込んでいた甲斐があった。もうどやされるのは勘弁だ。

 

「多分俺警戒されてるんだろうなぁ。残りの仕事も全部監視されそうだしもう下手なことできないな」

 

少なくともこの周期では俺は仕事中もう何もできそうにない。と言っても次の周期で記憶を取り戻せるかは不明だけれど、多分抵抗戦線は残ってるだろうから、もし記憶を取り戻せなくてもどうにかなるかもしれないがな。

 

「とりあえず安達さん回収するか。ここで出待ちしてよ。日付変わるまであと20分くらいだし」

 

安達さんも今日仕事終わりで、明日になったらまたここに戻ってくるはずだ。だからクソ女神の部屋の前で待つことにした。

 

そして30分ほど経ち...

 

「あっ、出てきた」

 

クソ女神の部屋から安達さんが出てくる。なんかすごい目怖いけどどうしたんだろ。

 

「あのーすみません」

 

「なに」

 

「ヒッ」

 

ギロッと睨みつけられる。ヤベェ超怖い。そっか時間軸的に言えば彼氏殺した直後なんだこれ。

 

「こ、怖いけど...失礼!」

 

震える手で安達さんの手を触れる。

 

「っ⁉︎あ、あんたか...」

 

…一瞬この人俺の首に手伸ばそうとしてきたような気が...いや、気のせいということにしようそうしよう。

 

「戻ってきちゃったか」

 

「戻りたくなかったの?」

 

「そりゃそうでしょ。私はあそこでしにたかったんだから」

 

「あーたしかにそんなこと言ってたね」

 

「虫の知らせってのでちょっと死に方は変わったけどね。早めに殺して脱出しようとしたけど間に合わなかったことにされた」

 

「殺すは殺すのか...」

 

「だって死のうとしてたんだから私が殺しても構わないでしょ」

 

その理屈は通ってほしくないな。

 

「多分次は一緒に脱出することにされそうだなぁ。ひどいよほんとに」

 

「あはは...じゃ話はここら辺にして、ちょっとついてきてよ。あのクソ女神に反抗する集まりに来てもらう」

 

「わかった」

 

俺と安達さんは一緒に佐川の部屋に移動する。多分まだ佐川はいないけど、何人かメンバーはいるだろう。芦川さんとかあのイギリス人あたりは多分いる。

 

「ただいま帰りましたー」

 

「おかえり片桐」

 

「あれ佐川いるんだ早いね」

 

「なんか日付変更から10秒で獣に喰われて死んだ」

 

「キツイなそれ...あっ、安達さん連れてきたよー」

 

「安達茜です。よろしくお願いしますね」

 

猫かぶってるのか...?いや違うな。彼氏さんに対してだけだ多分あんなことすんの。

 

「さて、仲間が増えたわけだけど...これからどうしようか」

 

「やっぱ盗聴するしかないんじゃないの?」

 

「でも盗聴器ないじゃん」

 

「なんの話?」

 

「今はね、クソ女神の目的が知りたいんだ。何のためにこんなことをしてるのかの目的をね。それをするためにどうしようかってので盗聴って選択肢が出てるんだけど、肝心の盗聴器がないからできないんだよね。普通の人が持ってるわけないし」

 

「持ってるよ盗聴器」

 

「…え?」

 

ほんとに怖いんだけどこの人。

 

「なんで持ってるのさ⁉︎」

 

「車に忍び込んだのって盗聴器仕込もうとしたからなんだよね。そうしたらあの人が入ってきちゃって慌てて隠れてたら海に突っ込んだの」

 

「あっ、そういう...」

 

「まぁ盗聴器って言ってもボイスレコーダーなんだけどね。ちょっと待っててね今出すから」

 

一度クソ女神の部屋に行って仕掛ける必要はあるが、うまくいけば簡単に目的を知れるかもしれない。

 

「あっ、壊れてるわ。ごめん」

 

「…そっかそりゃそうだわ海水に浸かってんだから壊れるわそりゃ」

 

壊れてるならしょうがない。別の方法を考えるまでだ。

 

「うん、しょうがない。切り替えよ」

 

これはロスではない。1進むかもしれなかったのが0になっただけなのだ。マイナスになったわけではない。

 

その後、少しずつ人が戻ってきて会議も弾んだが進展はほとんどなく、しばらくしてお開きとなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着実に一歩ずつ進んでいっている。

 

たとえゴールまで永遠だとしても、永遠の日数をかけてゴールしてやろう。




片桐くんの自殺を仄めかす描写はまた今度やります。

というか想定よりも進みが早すぎてちょっと困ってる。
全体の要所要所は既に決めてあるけどそこに至る経緯までは決めてなくてその場で書いてるのが仇となってしまった。
まぁ頑張って書いていきます。
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