死亡代行サービス   作:ダイヤモンドリリー

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4455字。

少しずつ物語が加速していきそう。
想定よりも早く終わることになりそうです。


会議の時間

2016年11月29日(1日目)

 

「とりあえずみんな集まれー記憶戻していくぞー」

 

なぜ御守りに触れたら記憶を取り戻せたのか、考えたところでそんなことわかるわけないのは既にわかっているので、まずは今できることからしていくことにした。

 

「えっと...記憶戻すだけでどれだけかかるんだ?人数多すぎない?」

 

広場に抵抗戦線のメンバーを集めてもらったが、人が多すぎて何人いるかすらわからない。

 

「千人はいってなかったはずだけど」

 

「全員に触れないといけないのすっごい面倒だな...さっさとやるしかないか」

 

人と人の中を走りながら、どんどん流れ作業のように触れていく。

 

「はいはいはいはいはいはいっと。これで終わりか...疲れたな」

 

「お疲れ様」

 

「なんとか日付変わるまでに終わったけど千人でこれってもっと増えたらどうすりゃいいんだこれ」

 

いずれはこの狭間の世界にいる人全てに協力してもらいたいのだ。全員の記憶の管理をしないといけないとか考えるだけで疲れてくる。

 

「そういえばここってどれくらいの人いるんだっけ?」

 

「わ、わかりませんけど何千万人とかいるんじゃないですか?」

 

世界で1日に自殺する人は1900人くらい。クソ女神の100年ほど前からこの仕事をしているという言葉を信じるとして、ここから適当に見積もると7000万人ほどここにいることになる。

 

ちなみに現代の地球で1日に死ぬ人の数は15万人ちょい。シフトは2日に一回だから地球担当の人だけでも30万人ほど必要なのだ。並行世界や異世界なども含めるとそれこそ星の数ほどの人が必要だろう。

 

「多分だけどその人数でも足りないんだろうね。だからこそループさせる必要がある...と」

 

全ての人に協力してもらうのはとても時間がかかりそうだ。けれど、俺たちにはたっぷりと時間があるから多分問題ないだろう。

 

「ひとまずこれからは地球担当の人を優先的に仲間にしていきたいな。クソ女神の注意を引いて監視対象をずらしてもらう人員もほしいし...」

 

「そういえば片桐時間平気か?」

 

「時間...?あっやっべ今何時⁉︎」

 

「23時50分」

 

「やべ資料読んでなかった俺がまたクソ女神に目をつけられたら困る...!」

 

俺は自室に急いで移動する。確か書類は鞄に入れてそのままベッドの上にあったはずだ。ここから部屋まで走っても5分くらいかかってしまう。

 

「要点だけ読むしかない...!」

 

人混みの中をうまくすり抜けていきながら自室に向かって走る。

 

「ここだ!資料資料...」

 

急いでカバンの中から資料を引っ張り出して読んでいく。

 

「って資料うす⁉︎厚さうっす⁉︎どんだけすぐ死ぬんだこの人!」

 

記憶を思い出した影響で少し記憶が混濁してしまっていた。そのせいで今回もらった資料がとても薄かったのを忘れていた。

 

「ちくしょう急いだ意味ねぇじゃねぇか...いやでもこんな簡単な仕事もできないのかってクソ女神に思われるのも癪だな。急いで覚えよう」

 

紙束5枚ほどの資料の中、当日の行動のところのみを読み込み終わった瞬間に時計の針は真上を向いた。

 

27回目の初仕事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年11月30日(2日目)

 

俺は今、夜の砂漠をあてもなく歩いていた。

 

「さ、寒い!砂漠は夜冷えるって本当なんだなぁ...」

 

すでにガラガラになった喉で喋る。どうやら二、三日水分を取れていないようだ。

 

「風も強いし寒すぎる。砂嵐もやべぇ」

 

とりあえず歩き続けるが、砂嵐で視界がほぼゼロなためどこに進んでいるのか全くわからない。

 

「やばいよもう今にも死にそうなんだけどこの状況」

 

完全に砂漠のど真ん中で遭難中であった。死ぬ未来しか見えない。まぁ死ぬことは確定しているんだけど。

 

「ああ寒い。こいつ砂漠だからって薄着できやがって...日差しの怖さと夜の寒さを知らないのかこいつは」

 

風によってどんどん体温が奪われていってしまう。少しずつ体の動きが鈍っていき、ついには倒れ込んでしまった。

 

「あは、は...これで仕事完...了...」

 

俺は意識を手放した。今回の死因は脱水症状ではなく低体温症なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし戻ってきた。まだみんな広場に居るかな?」

 

倒れてから数十分経ってから死んだようだ。仕事開始から1時間ほど経っているとなるともう広場にはいないかもしれない。

 

「とりあえず佐川の部屋にでも...あっ」

 

扉を開けたらガンッ、と何かにぶつかった。

 

「いてて...」

 

「えっあっご、ごめん野田さん。大丈夫?」

 

「だ、大丈夫...です。そんなに痛くはな、なかったので...」

 

「それならよかった。なんでこの扉外開きなんだよ人多いんだから内開きにすればいいのに」

 

「へ、部屋が広くなるからじゃないですか?」

 

「あぁそういう...そういえばなんでこんなところに?」

 

「えっと...片桐さんが行っちゃったので、一回自分の部屋に戻って資料を読んでから佐川さんの部屋に集合することになったんです」

 

「なるほどね。じゃあ一緒に行こっか。と言ってもすぐ隣だけどね」

 

隣の佐川の部屋に入る。

 

「片桐、野田入りまーす」

 

「…片桐なんか早くね?」

 

「砂漠放浪中に低体温症で倒れて死んだ。こんなんのためにわざわざ資料見に走ったって考えるとちょっとムカついてくる」

 

「あはは...とりあえず主要メンバーは集まったな。さて、会議を始めよう。まずはこれから何をしていくかだな」

 

佐川が司会進行を行い、抵抗戦線の会議が始まった。

 

「まず一番やりたいことは、あのクソ女神の目的を知ることだな。なんでこんな仕事をしているのかを突き止めたい」

 

「そうだね。そのための方法がないから困っていると」

 

「やっぱ手っ取り早く盗聴するのがいいんだろうけど...安達さん以外に盗聴できそうなの持ってる人いないの?」

 

「今のところは見つかっていない。まぁ死ぬ瞬間に盗聴器持ってる人なんてそうそういないしね」

 

持ってる安達さんがおかしいのだ。他に盗聴器持った状態で死ぬなんてことした人がいたら教えて欲しいものだ。

 

「…携帯とかでもできるんじゃないですか?ほら、ボイスメモの機能を使えば」

 

「あーごめん。俺スマホ持ってるけど充電あまりないんだよね。多分だけど録音まではできても再生する前に電池切れると思う」

 

元々深夜に死んだのも合ってスマホの電池残量は結構少ない。長い間使っているスマホだからバッテリーも消耗しているからすぐに電池切れしてしまうだろう。

 

「じゃあひとまずは人を増やしていくしかない...か」

 

目先できることはメンバーを増やしていくことぐらいだった。メンバーを増やして、偶然盗聴できるような物を持っている人が出るまで耐えるガチャ耐久のようなことをするしかなかった。これまでは。

 

「じゃあ二つ目にやること。こいつがなんなのか調べることだ」

 

俺は御守りを机の上に置く。

 

「これに触れたら記憶が戻ったんだよね」

 

「そうそう。前の周期は多分、鞄の中のメモ帳を取り出そうとした時に偶然触れたんだと思う」

 

「これっていつから持ってたの?」

 

「いつだったかな...あんまり覚えてはないんだけど、子供の時から持ってた記憶がある。誰かにもらったんだっけな...いや、拾ったんだったか」

 

「なんでこれに触れたら思い出したんだろうな」

 

それが一番の謎だった。

 

「ちょっと触ってみてもいい?」

 

そう言いながら有田さんが御守りに触る。

 

「んー特に何か変わった感じはしないな」

 

「ちょっと綺麗なだけでただの石みたいだけど」

 

「なんだろう、最初に触った人にしか効力がない...とかなんかな。判断材料が少なすぎてわからないな」

 

「片桐が石に触ることがトリガーであって、不思議な力が備わってるのは片桐の方ってことはない?」

 

「そんな超能力みたいなことあるわけ...いやほんとにあるのかも知んないけど、地球で拾ったもんだぞ?そんな変な力ないと思うんだよな。拾ったは何もなかったと思うし」

 

「……あれ?なんで前回からしか記憶の継承できてないの?前からずっと持ってたんだよね。もっと前の周期の記憶があってもおかしくないと思うんだけど。ってかないと変だと思うんだけど」

 

「えっと...今から2個前の周期の時は車にはねられて死んだんだけど、その時に鞄が吹っ飛ばされてね。御守りも一緒に吹き飛ばされてたから持ち込めなかったんだよ」

 

「つまりその周期では御守りは手元になかった...だから記憶の継承は一つ前の周期から始まったと」

 

「多分そういうことだね。ということはここにくるたびに持ち物も変わるのか。なんか知らないうちにこれ無視してたな」

 

前々回は割れていたスマホも前回や今回は割れていない。鞄も持ち込めている。なんか当たり前だと思ってたから深く考えてなかった。

 

「…片桐さんもしかしたらもっと前の周期でも記憶の継承をしてたかもしれないのかも」

 

話をずっと聞いているだけだった原さんが、突然そんなことを言い出した。

 

「えっなんで?」

 

「御守りがないと記憶の継承ができない。つまり、御守りを持ち込めなかった周期より前の周期でも記憶の継承をしていた可能性があるんです」

 

「あーたしかに。でも仮にそうだったとしても意味なくない?御守りのない周期のせいで、仮に何かを残していたとしても消えてるだろうし」

 

「確かにこの世界に残した情報は消えたでしょう。でも、この世界以外なら...もとの地球に記録を残していたのなら、今も残ってるんじゃないですか?」

 

「………⁉︎確かにそれなら記録は残ってるはず!」

 

もし、十数回以上繰り返してきた俺が残した記録があるのなら。それはとてつもない情報源となる。俺たちの知らない情報がたくさんあるだろうし、もしかしたらクソ女神の目的まで載っているかもしれない。

 

「でもどこにそんな記録を残しているかなんて今の俺にはわからないぞ?見つからなければ意味がないしそもそもあるかどうかもわからない」

 

「考えてもみなさい。確かに今のあなたが作ったわけじゃない。けれど、作ったのは紛れもなく過去のあなた。同じ片桐洋介なのだから考えることは同じ。なら、やってることも同じはずよ」

 

「……そうだな。次の仕事の時に調べてみるよ」

 

次にやるべきことが見つかった。俺にしかできないことだ。

 

「俺のやることは決まったけど、みんなは何するの?」

 

「まぁ気長にやっていくさ、メンバー増やしたりね。と言ってももうすぐ最後の仕事だからすぐには何も出来ないけど」

 

そういえば佐川や立花、野田さんに原さんに有田さんは明日で最終日だ。主要メンバーの殆どが抜ける日になる。

 

「おっけ俺の仕事終わったらすぐに迎えに行くわ」

 

「りょーかい。よし、ちょうどいい時間だし解散にしよう。じゃあみんな、次の周期で会おう!」

 

会議はお開きとなりみんなは各々の部屋へと戻っていった。

 

「俺も部屋で集中して考えとこ」

 

自分の部屋に戻る。そして次の仕事の時にやる、過去の俺の情報を探す目処を立てるために、目を閉じて集中して頭を働かす。

 

けれど、その集中は長くは持たず、俺は眠りについてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこにあるのかもわからない過去の自分の情報。

 

過去の俺なら、この石の謎も知っているのだろうか。




前書きに書いた通り、今後どんどんトントン拍子に物語が進むことになりそう。
話を継続させる文才がなくて重要な部分をどんどん出さないと話が持たない...
多分長くてもあと8話くらいで終わりそう。
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